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    秀二🐻‍❄️

    ヘキの墓場🪦
    現在はくるっぷメインのため、通常は更新していません

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    秀二🐻‍❄️

    MOURNING今は昔の月兎
    メルヘン考私は頭の中にツキシマハジメを飼っている。
    坊主頭で仏頂面で筋肉隆々の、あのお馴染みのツキシマハジメだ。

    もう永いこと、気が遠くなるほど昔からツキシマを飼っている。
    はじめは全く懐く様子見がなかった。私が何をしても無表情で見ているか、後々面倒なことになりそうなら止めてくるか。出会った当初は正直つまらない男だと思った。
    そんな男の頭に、ある日珍妙なものが生えた。

    「少尉殿、午後ですが」

    予定を話す月島のいつもの坊主の頭。その頭からうさぎの耳が生えている。
    坊主である故よく見えるが、根本に特に違和感はない。はじめからそうであったように頭からにょきりと生えているのだ。根元の周りは髪が薄く、地肌がうっすらと見える。

    耳は私の掌を広げたくらいの長さか。普段の月島と同じようにすっと立っている。時折ぴくりと反応するのは何かの音を拾っているからだろうか。毛は髪と同じように黒くふわりとしている。思わず触りたくなるが、まさかいきなりそんなことはできまい。毛に覆われていない内側の部分は薄い血色をしている。光に照らされ細い血管が見えるのが不思議な感覚だ。まるで砲台の方にどっしりと、無骨な月島の生命をあらわすもの。この桃色の部分はどんな感触なのだろう。触ってみたい。頼めば触らせてくれるだろうか。
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