8 籠 謎の浮遊感に襲われていた。
車に乗っている時のような、あるいは空を飛んでいるような、どこか地に足がつかない感覚。
夢でも見ているのだろうか、と思ったが、その感覚はやけにリアルで、これは現実なのだと、うすぼんやりとした頭も徐々に理解していく。
瞼をゆっくりと上に押し上げる。ひどく薄暗い。それになんだか窮屈で息苦しい。
ここはどこだ?と声を上げようとしたが、それは出来なかった。口は布で結ばれている。それどころか、手足までもが拘束されているようで、身動きが取れなかった。
いったい、何がどうなっている?
理人は、こうなるまでの過程を思い出そうと、記憶を辿った。
(確か、自分はチャオの屋敷の蔵で、びわさんと一緒にいて……)
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