Recent Search
    Create an account to secretly follow the author.
    Sign Up, Sign In

    yamagawa_ma2o

    SPUR ME忘羨とピアスの話②魏無羨が風邪引きます。何でも許せる忘羨好き成人向け(まだそういうシーンはないです)
    耳環②「忘機、起きたのか。具合はどうだい?」
    「兄上……、もう、私は大丈夫です」
    「どれどれ。――うん、熱は下がったみたいだね。さっき、魏無羨くんが来てくれて、明日の連絡とゼリーを買ってくれたよ。いい友を持ったね」
    「なっ…………、彼は、友などでは…………」
    「熱が下がって腹も減っただろう? 冷やしておいたから食べなさい。折角の見舞いの品だ」
    「…………はい。あの、兄上」
     藍湛が見回しても、魏嬰の姿はそこにはなかった。
    「魏くんを引き留めたのだが、用事があるからと帰ってしまったんだ。お礼は、明日学校で言いなさい」
    「…………はい」


     魏無羨と藍忘機が大学に入学して暫くの日が経った。
     二人はすぐに学部の学生はもちろん、教員の間でも有名人になった。藍忘機は次席で入学したが、品行方正、成績優秀で既に何人かの教員が自身の研究を手伝わせるべく大学院への進学を打診している。一方、首席で入学した魏無羨はというと、成績は極めて優秀でこの国の最高学府にも行けたのではないかと噂されているが、あまり授業に出席せず、学内の友人も多いわりに付き合いが悪くて有名であった。藍忘機は最初こそ寝ている魏無羨を授業に担いで連れて行こうとさえ思ったが、未だに布団も買えない彼の経済状況を思うとそれが正しいかどうかは分からなくなって放っておくことにした。魏無羨は夜遅くに帰ってきて、明け方まで藍忘機が取ってきた講義資料を読み、自分でノートを作って、補足が必要なことに関しては教科書だけでなく関連する論文まで確認しているようだ。たまに講義に出ているかと思えば、そんな日は大抵授業後に教員と議論を交わしている。しかし、そんな勉強熱心なのか不熱心なのか分からない魏無羨は、教員たちに気に入られているというよりは脅威になりつつあるようで、教員たちは彼がいない日の方がのびのび講義をしているようにも感じられた。
    6300

    hbnho210

    SPUR MEルクアロ版ワンドロワンライさまよりお題:「バカップル」「たばこ」お借りしました!闇バもでてくる。ルクアロだけどBOND諸君がみんなで仲良く?しています。
    お題:「バカップル」「たばこ」7/16「キスしたときにたばこの味がすると、オトナのキスだな、て感じがするってむかし同級生の女の子が言っていたんだけど」
    「……女とそういう話するのか、意外だな」
    「ハイスクールのときだよ。隣の席の子が付き合いはじめたばかりの年上の彼氏の話をはじめると止まらなくて……それでさ、アーロンはどんな味がした」
    「何」
    「僕とキスをしたとき」
     午后の気怠さのなか、どうでもいい話をしながら、なんとなく唇がふれあって、舌先でつつくように唇を舐めたり、歯で唇をかるく喰んだり、唇と唇をすり合わせて、まるで小鳥が花の蜜を吸うように戯れていた二人は、だんだんとじれったくなってどちらからともなくそのまま深く口吻けをした。そうして白昼堂々、リビングのソファで長い々キスをして、ようやく唇を離したが、離れがたいとばかりに追いかける唇と、舌をのばしてその唇をむかえようとする唇は、いつ果てるともわからぬ情動のまま口吻けをくりかえした。このままではキスだけではすまなくなると思った二人はようやく唇を解いて呼吸を整えた。身体の疼きがおさまってきたそのとき、ルークが意味不明な問答を仕掛けてきた。アーロンは、まだ冷めやらぬ肉体の熱を無理矢理に抑込みながら寝起きでも元気に庭を走りまわる犬のような顔をしたルークの顔をまじまじと見た。
    2714

    xxshinopipipi00

    SPUR ME7/30新刊サンプル第4話です。
    当主×呪専の五夏、唯一の1年生すぐるくんが五条家の当主様に気に入られる話。
    すぐるくんが五条のおうちに行く回です。モブが若干でしゃばる。

    前→https://poipiku.com/532896/9061911.html
    イカロスの翼 第4話 目の前に聳え立つ大きな門に、夏油はあんぐりと口を開けた。
     重厚な木の門である。その左右には白い漆喰の壁がはるか先まで繋がって、どこまで続くのか見当もつかない。
     唖然としている少年の後ろから、五条はすたすたと歩いてその門へと向かっていく。
     ぎぎ、と軋んだ音を立てて開く、身の丈の倍はあるだろう木製の扉。黒い蝶番は一体いつからこの扉を支えているのか、しかし手入れはしっかりされているらしく、汚れた様子もなく誇らしげにその動きを支えていた。
    「ようこそ、五条の本家へ」
     先に一歩敷地に入り、振り向きながら微笑んで見せる男。この男こそが、この途方もない空間の主であった。
     東京から、新幹線で三時間足らず。京都で下車した夏油を迎えにきたのは、磨き上げられた黒のリムジンだった。その後部座席でにこにこと手を振る見知った顔に、僅かばかり緊張していた夏油は少しだけその緊張が解けるように感じていたのだけれど。
    12196