ヒースクリフ
いさは
DOODLE夢を見るヒースクリフの話落書き、推敲なし。羽化不全と極性反転と同じ、悪夢を見る囚人の話です。
帯化(仮) 嵐の音がする。締まり切った窓ガラスがガタガタと揺れ、屋根や地面を無数に叩きつける夥しい量の水の音が、引っ切り無しに耳に届いた。時折ビカビカと光る雷が、部屋の中をまばらに照らす。
耳障りなほどうるさいのに、ゾッとするほど静かな夜だった。ヒースクリフはそれが、嵐の前の静けさだと知っていた。もうすでに嵐の中にいるのに、そう思っていた。
大切なことをふたつ忘れた。
ひとつは、自分が証明できるもの。復讐を誓った武器の、塗り替えた言葉の意味が、自分の寄る辺だった。
もうひとつ。
もうひとつ、あったはずだ。
本棚の中で本がひとつ抜き去られていたとする。自分はその本棚を初めて見た。そして、そこに一冊分の間がある。そこにある本の名前を、果たして当てられる人はいるのだろうか。そういうものだった。“無い”と言うことがわかっても、それが何なのかはわからないのだろう。
1303耳障りなほどうるさいのに、ゾッとするほど静かな夜だった。ヒースクリフはそれが、嵐の前の静けさだと知っていた。もうすでに嵐の中にいるのに、そう思っていた。
大切なことをふたつ忘れた。
ひとつは、自分が証明できるもの。復讐を誓った武器の、塗り替えた言葉の意味が、自分の寄る辺だった。
もうひとつ。
もうひとつ、あったはずだ。
本棚の中で本がひとつ抜き去られていたとする。自分はその本棚を初めて見た。そして、そこに一冊分の間がある。そこにある本の名前を、果たして当てられる人はいるのだろうか。そういうものだった。“無い”と言うことがわかっても、それが何なのかはわからないのだろう。
さかみや(鉢植え)
DOODLEその肉も血も私のために使えって自傷する銛ヒースの手を取ったり切られた舌を指でぐりぐりしてうっかり舌を噛んで死ぬことは無いなヨシ!て言う船長イシュ見たい。本編世界線でクィイシュだった場合船長イシュ時空で銛ヒ-スにどう影響するのかは色んな人の見解が見たいよね。はい……。6章後の、あのひとを喪った空白を無意識に別の女で埋めようとする鏡世界のヒースクリフが好きなのかもしれない。 1213
野洲くん
DOODLE4日目(1月4日)① ヴィックス
② イライジャ
③ サイモン
④ ヴィヴィアン・ヒースクリフ
⑤ フィグ・バルデス
⑥ インディゴ・グリムショー
⑦ レイナ・ベラミー
⑧ ヴィックス (ケモノ)
omoti_yaitaTRPG
MEMOCoC『Aconite:re』KP:いなり寿司
HO1:エドアルド・アルリーヴァ/ゆっくり
HO2:ヒースクリフ・ローレル/るい
HO3:ラヴロサ・ウンディチ/よなか
HO4:リヴェ・クローバー/やいたおもち
エンディングA 全生還にてシナリオEND 2
Shiori_pow
PROGRESS厄災戦後、晶ちゃんがヒースクリフに忘れられる話です。ハピエンになる予定ではあります……!
【ヒス晶♀】My wish is only you. 1
世界の秘密は解明された。壊れかけの世界は救済された。その瞬間、私の役目は終わりを告げて、だからそれはきっと必然だったし、私たちはある程度それを予測していた。
もう〈大いなる厄災〉とは呼ばれることのない月の、圧倒的な神秘の下、私の身体は淡い光に包まれた。足元から吹き上げるあたたかな風に衣服や髪が舞い上がって、懐かしい音がどこかから聞こえた。チン、とエレベーターが到着する音、行き交う車のエンジンノイズ、雑踏のにぎわい、軽やかなお喋りの声、スマートフォンの着信音――私の世界の音。は、と息をこぼしたところで、私の周囲に立つみんながどよめいた。私の身体が、指先からさらさらと光の砂になって、消滅しはじめたから。賢者。賢者様。賢者さん。賢者よ。――魔法使いたちが、口々に私を呼ぶ。私はぎゅっとくちびるを引いて、
14146世界の秘密は解明された。壊れかけの世界は救済された。その瞬間、私の役目は終わりを告げて、だからそれはきっと必然だったし、私たちはある程度それを予測していた。
もう〈大いなる厄災〉とは呼ばれることのない月の、圧倒的な神秘の下、私の身体は淡い光に包まれた。足元から吹き上げるあたたかな風に衣服や髪が舞い上がって、懐かしい音がどこかから聞こえた。チン、とエレベーターが到着する音、行き交う車のエンジンノイズ、雑踏のにぎわい、軽やかなお喋りの声、スマートフォンの着信音――私の世界の音。は、と息をこぼしたところで、私の周囲に立つみんながどよめいた。私の身体が、指先からさらさらと光の砂になって、消滅しはじめたから。賢者。賢者様。賢者さん。賢者よ。――魔法使いたちが、口々に私を呼ぶ。私はぎゅっとくちびるを引いて、
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DONE2024.11.16-17 ◆ 晶♀受けwebオンリー「賢者の書に花の栞を」ヒースクリフ×真木 晶♀
「執着」
(小説/ 3554文字)
普段小説を書かないので、その、気軽に読んでやってください!💦
最後オチがつけられなくて、尻切れ蜻蛉になってしまってますが、ご愛嬌で何卒…!
ヒース(美人)の怒った顔が見たかったんです… 14
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PROGRESS2024.11.16-17 ◆ 晶♀受けwebオンリー「賢者の書に花の栞を」ヒースクリフ×真木 晶
間に合え〜〜〜!!!出来次第ここに差し替えます〜!
ぱんこさんのとっても素敵な小説!「レイニー・シュガーのお誘い」の一部シーンを漫画化させていただきました!✨(19p)※ほんのりR18
ーーーーー
(追記)間に合わなかったけど、何もないのも何なので、チラ見せサンプル画像入れました! 3
yayosan_P
MOURNINGシノとヒース(とファウストとネロ)の話です。まだほやくんに触って1か月くらいで、イベストをほとんど読めてない状態で書いたやつですが勢いが気に入っています。
色々あって某所からお引越し再掲。
カプ要素はないけどいつものシノだなぁ要素はあります。
半世紀先の追憶 目の前に広がる光景を前に、心の声のまま「珍しいな」と口にする。ふふんと得意げに口角を上げながら「だろう?」と返した子どもの手に収められていたのは実技科目で使うような魔道具ではなく、魔法に関する学問書だ。
ファウストが日頃の講義で使うものとは違う。真新しさは感じられずに若干の古めかしささえ覚えるそれは、おそらく魔法舎に保管されている蔵書の中から引っ張り出されたものだろう。隙あらば座学に対する文句を垂れて、実技への転向を求める男が持つにはあまり似付かわしくもない。
そもそも場所だって、意外性が多く含まれている場所だった。魔法舎にあるこの空き部屋は東の国の面々が授業に使うことが多く、真面目なヒースクリフや授業の用意を必要とするファウストであればともかくとして、それ以外の人物が寄り付くことは滅多にないはずなのだ。
16902ファウストが日頃の講義で使うものとは違う。真新しさは感じられずに若干の古めかしささえ覚えるそれは、おそらく魔法舎に保管されている蔵書の中から引っ張り出されたものだろう。隙あらば座学に対する文句を垂れて、実技への転向を求める男が持つにはあまり似付かわしくもない。
そもそも場所だって、意外性が多く含まれている場所だった。魔法舎にあるこの空き部屋は東の国の面々が授業に使うことが多く、真面目なヒースクリフや授業の用意を必要とするファウストであればともかくとして、それ以外の人物が寄り付くことは滅多にないはずなのだ。
Applenanatsu7
DONE先日のイベントで頒布した無配漫画です!内輪向けから産まれた謎漫画 ほんの少しキャサヒス風味
本当に何でも許せる人向けですがよろしくおねがいします!
※謎時空
※ヒースクリフが女体化してる
※グレゴールが二頭身 7
0srm0
DOODLEあさきさん制作の『晶くんメーカー』にてお手伝いした・ヒースクリフルートEDスチル
・誕生日スチル2種(子ども・大人)
・ヒースクリフ立ち絵/表情差分
・おまけ
です!
ゲームはこちらから!
https://vivikarashiabc.wixsite.com/akirakunmaker 6
sauco_trigo
REHABILIファウストの誕生日直前、建国の魔法使いの聖誕祭にわく中央の市場で買い物をするシノとヒースクリフとネロの話。シノ中心で東の魔法使いたちの話、続く予定。
世界線は箱庭と同じ。時系列が「やわらかな夜に」と「箱庭の星月夜」の間でカプ以前。
市場に溢れる目移りも鼻移りもする出店の数々に、歩きながらあれもこれもと買い込んでいたらすぐに両手一杯になってしまった。シノの左右にいるヒースクリフとネロに渡すふりをしながら足を止めずに魔法で少しずつ消して、そのうちのひとつは食ってみろと実際にそれぞれ手渡した。ヒースクリフは戸惑った顔をしている。
「美味しそうだけど···食べ歩きは苦手だから···」
「何も考えずにかじりつけばいい。おまえなら何をしても様になるから、それだけで周りの連中が振り向くぜ」
「い、意味がわからない」
「はは、シノらしいな。ヒースも難しく考えないでさ、作りたてを味わうのも食い歩きの醍醐味だって」
ほれと手本のようネロがホットドッグにかじりついた。右腕は買い込んだ食材で塞がっており、左手だけで包みを下げている。やっぱり器用なやつだと感心しつつ、ネロに誘われてわたわたと両手で持ったドーナツを食べようとしているヒースクリフはかわいい。
3437「美味しそうだけど···食べ歩きは苦手だから···」
「何も考えずにかじりつけばいい。おまえなら何をしても様になるから、それだけで周りの連中が振り向くぜ」
「い、意味がわからない」
「はは、シノらしいな。ヒースも難しく考えないでさ、作りたてを味わうのも食い歩きの醍醐味だって」
ほれと手本のようネロがホットドッグにかじりついた。右腕は買い込んだ食材で塞がっており、左手だけで包みを下げている。やっぱり器用なやつだと感心しつつ、ネロに誘われてわたわたと両手で持ったドーナツを食べようとしているヒースクリフはかわいい。
Lie/磊
DONE《Armeria》あくあま2展示漫画です。年下を揶揄ってやりたいオーエンとなんだかんだ世話焼きなミスラがヒースクリフとシノを振り回してる話。パスワードはイベントの日付です。
※CPはミスオエのみ、衣装やキャラの細かい設定などはかなり簡略化してます。
うっかりカプ要素薄くしちゃったので最後の2ページはおまけです。事後描写注意 27
act243129527
DOODLEグレムル前提のヒスムル(仮)9アホみたいな頻度で書いてるのにまだ終わる気がしない
またヒースクリフが曇ってるよ
ヒスムル(仮)910時頃、ヒースクリフは寝心地の良いベッドの上で気持ち良く目を覚ました。
「うぅ……ん……」
腕を伸ばしてからカーテンを開き、家に人の気配がしない事に気が付いた。
(……まだ帰って来てないのか……?つーかいつもの癖でムルソーのベッドで寝ちまってたな……)
リビングに行っても家中を回ってみてもムルソーは居なかった。
(……ああ……仕事か……)
昨日見た書類の山を思い出してヒースクリフは落胆した。
何故かは……何となく分かった。
(おっさんと仲直り出来たのかな……)
テレビを見ながらバターを塗っただけのトーストを齧っていた時の事だった。
玄関の鍵が開く音が聞こえて来た。
ヒースクリフがトーストを皿に置いて立ち上がると、ムルソーとグレゴールの姿が見えた。
6177「うぅ……ん……」
腕を伸ばしてからカーテンを開き、家に人の気配がしない事に気が付いた。
(……まだ帰って来てないのか……?つーかいつもの癖でムルソーのベッドで寝ちまってたな……)
リビングに行っても家中を回ってみてもムルソーは居なかった。
(……ああ……仕事か……)
昨日見た書類の山を思い出してヒースクリフは落胆した。
何故かは……何となく分かった。
(おっさんと仲直り出来たのかな……)
テレビを見ながらバターを塗っただけのトーストを齧っていた時の事だった。
玄関の鍵が開く音が聞こえて来た。
ヒースクリフがトーストを皿に置いて立ち上がると、ムルソーとグレゴールの姿が見えた。
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DOODLEグレムル前提のヒスムル6ヒースクリフがずっと泣いてる
ヒスムル(仮)6私は、彼の背中を見送ってから1時間後、事務所へ向かっていた。
理由……理由など無い。
ただ、何もしないで居る事が出来なかっただけだ。
デスクにはまだ山積みの仕事が残っていた。
そうだ、私以外はやろうともしないのだから、どちらにせよ私はここに来なければならなかったのだ。
「あれ?今日休みって……」
「休む必要が無くなりましたので出勤しました。」
「……?」
私は椅子に座り、仕事を手に取った。
頭が、回らなかった。
エナジードリンクを飲んで、仕事に向き直る。
文字の意味を理解するのに時間がかかった。
どんどん、作業終了予定時間が伸びていった。
「なんか作業スピード落ちてないか?何かあったのか?」
「……なあ、ムルソー……まだ終わらないのか?」
9088理由……理由など無い。
ただ、何もしないで居る事が出来なかっただけだ。
デスクにはまだ山積みの仕事が残っていた。
そうだ、私以外はやろうともしないのだから、どちらにせよ私はここに来なければならなかったのだ。
「あれ?今日休みって……」
「休む必要が無くなりましたので出勤しました。」
「……?」
私は椅子に座り、仕事を手に取った。
頭が、回らなかった。
エナジードリンクを飲んで、仕事に向き直る。
文字の意味を理解するのに時間がかかった。
どんどん、作業終了予定時間が伸びていった。
「なんか作業スピード落ちてないか?何かあったのか?」
「……なあ、ムルソー……まだ終わらないのか?」
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DOODLEグレムル前提のヒスムルの続きヒースクリフの進路の話になってきた
ムルソー君ほぼ出てこない
ヒスムル(仮)2あれから3日経った。
ムルソーの家は外に比べれば何倍も居心地が良かった。
ムルソーが家を出る前にある程度の小遣いを置いて行ってくれるので安心……とは言えなかった。
(……これ、完全にヒモじゃねぇか……)
立派な社会人であるムルソーに対してヒースクリフはまだ学校に通うような年齢だ。
身を粉にして働いているムルソーを見ていると、やはり多少の罪悪感が芽生えるものだ。
せめて家事だけでもと行動を起こしたのだが、洗濯する物はそもそも無いし、料理を作っても自分でも不味いと感じる物が出来たり、そもそもムルソーが帰ってこなかったりもした。
やがて1週間が経ち、それでもムルソーが帰ってこないのでヒースクリフはまた事務所へ向かう事にした。
6181ムルソーの家は外に比べれば何倍も居心地が良かった。
ムルソーが家を出る前にある程度の小遣いを置いて行ってくれるので安心……とは言えなかった。
(……これ、完全にヒモじゃねぇか……)
立派な社会人であるムルソーに対してヒースクリフはまだ学校に通うような年齢だ。
身を粉にして働いているムルソーを見ていると、やはり多少の罪悪感が芽生えるものだ。
せめて家事だけでもと行動を起こしたのだが、洗濯する物はそもそも無いし、料理を作っても自分でも不味いと感じる物が出来たり、そもそもムルソーが帰ってこなかったりもした。
やがて1週間が経ち、それでもムルソーが帰ってこないのでヒースクリフはまた事務所へ向かう事にした。
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INFO8/20のインテで出すネファ本の本文サンプルです。R18、A5、70P、500円(会場価格)。
ネファが推しカプなヒースが、ネファになりたいネロを応援するコメディです。
前半はヒースクリフ視点、後半(R18部分含)はファウスト視点に切り替わります。
イベント会場で購入すると、クリアしおりがおまけでつきます。
よければお願いします!
ネロと先生っていい感じじゃない!? 1
目が覚めたけれど、まだ朝ではなかった。
カーテンの外はまだ暗くて、階下から僅かにざわめきが聞こえてくる。
一度寝付くことが出来たのは何だったのだろうか、自分は本当に眠っていたのだろうかと不思議になる。時計を見ると、まだ日付は変わっていなかった。
――お子ちゃまは遠慮すんなよ。
そう人懐こく笑いかけてくれた顔が頭をよぎる。同じ生徒というには恐縮するくらい歳が離れていて、自立していて、けれどすごく繊細な、頼れるお兄ちゃんみたいな存在。少しだけ、いいだろうか。完全に目が冴えてしまって、ほんの少し誰かと話したい気分だった。
ネロの部屋をノックすると、緩慢な「開いてるよ」という声が返ってきた。
「ごめん、夜分遅くに。起きちゃって、眠れなくて……」
17626目が覚めたけれど、まだ朝ではなかった。
カーテンの外はまだ暗くて、階下から僅かにざわめきが聞こえてくる。
一度寝付くことが出来たのは何だったのだろうか、自分は本当に眠っていたのだろうかと不思議になる。時計を見ると、まだ日付は変わっていなかった。
――お子ちゃまは遠慮すんなよ。
そう人懐こく笑いかけてくれた顔が頭をよぎる。同じ生徒というには恐縮するくらい歳が離れていて、自立していて、けれどすごく繊細な、頼れるお兄ちゃんみたいな存在。少しだけ、いいだろうか。完全に目が冴えてしまって、ほんの少し誰かと話したい気分だった。
ネロの部屋をノックすると、緩慢な「開いてるよ」という声が返ってきた。
「ごめん、夜分遅くに。起きちゃって、眠れなくて……」
act243129527
DOODLEグレムル前提のヒスムルひょんな事から工房ムルソー君の家に居候し始めたヒースクリフだったが……?と言う話
ここで投げたらそれで終わりにしてしまいそうだけどそれでも投げる
え?そもそも工房はK社の世界だからヒースは技術解放連合に居るだろって?
……。
ヒスムル(仮)ヒースクリフは不機嫌を露わにした顔でアパートの扉の前に立って呼び鈴を鳴らした。
時刻は20時。
普通の人間であれば迷惑に思う時間帯だが、ヒースクリフはそんな常識など関係無いと言うようにもう一回呼び鈴を鳴らした。
……出ない。
ヒースクリフは舌打ちをした。
(クソ……まだ帰ってねえのかよ……)
実はこの訪問は今日に限った事では無かった。
昨日も一昨日も、一週間は連続で訪問していると言うのに家主はまだ帰っていないのだ。
そして一日の訪問もこの一回だけではない。
朝の6時、昼の13時にも呼び鈴を鳴らして出ないのだから一日中家に居ない筈だ。
あるいは気絶したように寝ているか、だが。
「ハァ……」
溜め息を吐き、ヒースクリフはその場に胡座をかいて座った。
4191時刻は20時。
普通の人間であれば迷惑に思う時間帯だが、ヒースクリフはそんな常識など関係無いと言うようにもう一回呼び鈴を鳴らした。
……出ない。
ヒースクリフは舌打ちをした。
(クソ……まだ帰ってねえのかよ……)
実はこの訪問は今日に限った事では無かった。
昨日も一昨日も、一週間は連続で訪問していると言うのに家主はまだ帰っていないのだ。
そして一日の訪問もこの一回だけではない。
朝の6時、昼の13時にも呼び鈴を鳴らして出ないのだから一日中家に居ない筈だ。
あるいは気絶したように寝ているか、だが。
「ハァ……」
溜め息を吐き、ヒースクリフはその場に胡座をかいて座った。
sauco_trigo
REHABILI東の魔法使いが嵐の谷で二組に別れて授業準備をする話。ヒースクリフとネロ、シノとファウストの会話。子供たち視点。「ほ、本当に探していいのかな」
「先生が探せって言ったんだからさ、んな気にすんなって」
宥められても手を出せないヒースクリフを見かねたネロが、苦笑混じりにヒースはこっちと棚を開けてくれる。躊躇いは継続しつつ敷居はぐんと低くなって、ほっとしながらありがとうと礼を口にした。
本人不在のまま先生の私物を漁る、どうにも気おくれしてしまう。けれど目的がはっきりしているのは確かだと、ヒースクリフはひとつ大きく息をして標本のようなものが並ぶ棚へと手を伸ばした。偉いと背を撫でてくれたネロの手が、優しくて頼もしかった。
授業の一環で、とある魔法薬を作ることになった。
ファウストは魔法舎での精製を前提としていたが、嵐の谷で作りたいとごねたのはシノだ。ファウストの家の近くで材料を見かけたことがある、現地調達できれば手っ取り早い。ヒースクリフは慌てて我儘を言うなと咎めたが、多少思案しつつファウストは思いのほか軽く承諾した。
8706「先生が探せって言ったんだからさ、んな気にすんなって」
宥められても手を出せないヒースクリフを見かねたネロが、苦笑混じりにヒースはこっちと棚を開けてくれる。躊躇いは継続しつつ敷居はぐんと低くなって、ほっとしながらありがとうと礼を口にした。
本人不在のまま先生の私物を漁る、どうにも気おくれしてしまう。けれど目的がはっきりしているのは確かだと、ヒースクリフはひとつ大きく息をして標本のようなものが並ぶ棚へと手を伸ばした。偉いと背を撫でてくれたネロの手が、優しくて頼もしかった。
授業の一環で、とある魔法薬を作ることになった。
ファウストは魔法舎での精製を前提としていたが、嵐の谷で作りたいとごねたのはシノだ。ファウストの家の近くで材料を見かけたことがある、現地調達できれば手っ取り早い。ヒースクリフは慌てて我儘を言うなと咎めたが、多少思案しつつファウストは思いのほか軽く承諾した。
GamE9joY
DOODLEAEDDコンビの落書きの続き、唐突に終わる設定や背景は一つ前のポイピク「脱走」参照
前回までのざっくりとしたあらすじ
とある研究所の一般公開エリアにある技術館に展示されていた展示用電気百足のヒースクリフは脱走した。そしてバックヤードの実験用電気百足のグレゴールと出会い、彼の水槽をかち割って出してやったのだ。グレゴールも満更じゃなさそうにバックヤードの一室から出たのだが……
続・脱走「……あ。」
「うおっ、なんだよ急に止まるんじゃねぇ!」
小柄で眼鏡をかけた壮年男性の姿だが右腕だけは本来の姿を模っている電気百足は、自身の閉じ込められていた部屋から数歩出て立ち止まる。続いて出た、釘バットを手にした傷だらけの青年の姿の電気百足は、すんでのところでぶつからずに済んだが代わりに苛立ちを口にした。
「いやぁ、な?」
彼の右腕は鎌首をもたげると、ウロウロと揺れる。
「行くあてがないんだ。どうすりゃいいかな。」
「そんなん知るか! ……あー……」
青年は思うと同時に口に出していた。しかし同属のよしみか、解放した責任を感じたのか、少し考えるように声を漏らす。
「何をしたいかでもいいんじゃねぇの。」
「ふぅん。」
2561「うおっ、なんだよ急に止まるんじゃねぇ!」
小柄で眼鏡をかけた壮年男性の姿だが右腕だけは本来の姿を模っている電気百足は、自身の閉じ込められていた部屋から数歩出て立ち止まる。続いて出た、釘バットを手にした傷だらけの青年の姿の電気百足は、すんでのところでぶつからずに済んだが代わりに苛立ちを口にした。
「いやぁ、な?」
彼の右腕は鎌首をもたげると、ウロウロと揺れる。
「行くあてがないんだ。どうすりゃいいかな。」
「そんなん知るか! ……あー……」
青年は思うと同時に口に出していた。しかし同属のよしみか、解放した責任を感じたのか、少し考えるように声を漏らす。
「何をしたいかでもいいんじゃねぇの。」
「ふぅん。」
GamE9joY
DOODLEAEDDコンビで書いてみたもの。研究所一般公開エリアの技術館に展示されていたヒースクリフと、研究所非公開エリアで研究・実験に使われていたグレゴールが、一緒に研究所を脱走する話。
AEDDコンビの設定
おおもとの電気百足から抽出された子ムカデ。
通常形態(百足の姿)、擬態形態(いわゆる通常ego)、暴走形態(いわゆる侵食ego)の3形態がある。普段は通常形態だが、人間とコミュニケーションを取ろう
脱走憂鬱な1日が始まる。
透明な壁を隔てた向こう側にやってくる老若男女は、何かを読んでは何かをいじるような動作をする。すると今いる空間が、途端に地獄へと変わるのだ。ある時は水に、ある時は自分の発するものではない電気に襲われる。痛みや不快感にのたうち回っていると、向こう側の人間たちの感嘆の声が聞こえ、頭を向ければ驚きや喜びといった表情をしているのが目に入った。気に食わなくて頭を壁にぶつけて脅してやればビビったような素振りは見せるものの、壊せないのを知っているのかどこか余裕が見て取れ、余計に不快感が増すのみで。人がいなくなる頃には疲れて何かをしようという元気もなく、ただ残りの時間を回復のために大人しく過ごすしかなかった。
1930透明な壁を隔てた向こう側にやってくる老若男女は、何かを読んでは何かをいじるような動作をする。すると今いる空間が、途端に地獄へと変わるのだ。ある時は水に、ある時は自分の発するものではない電気に襲われる。痛みや不快感にのたうち回っていると、向こう側の人間たちの感嘆の声が聞こえ、頭を向ければ驚きや喜びといった表情をしているのが目に入った。気に食わなくて頭を壁にぶつけて脅してやればビビったような素振りは見せるものの、壊せないのを知っているのかどこか余裕が見て取れ、余計に不快感が増すのみで。人がいなくなる頃には疲れて何かをしようという元気もなく、ただ残りの時間を回復のために大人しく過ごすしかなかった。