Recent Search
    Create an account to bookmark works.
    Sign Up, Sign In

    悪夢

    Hebi_Nami

    DOODLE誰ロク未通過一応×

    うららは、自分の聴力が「神様」の犠牲で成り立っているってわかってしまって、でも必死で隠してなんでもないように振る舞って、泣きたくて苦しくて罪悪感に苛まれて、でもあの日の悪夢でやっと絶望と救いを見たんだろうな。
    「わがままで、ごめんなさい」わたしの全てが奪われる。でも、その全ては偽りで成り立っているもので、「神様」の犠牲で成り立っているものだから、なら、そう、そうだよね。そうなるのも、当然か。……とうぜん、かぁ……。

    泣きたくなった。でも、終わりが近いと理解した。最後まで、どうか、と願って。去りゆくその姿に縋りつこうと震える手を祈りの形に結んで止めた。

    かみさま、これが、わたしの罰ですか。

    そして、当日。目が覚めた顔は真っ白で、苦笑しながら血色のいいメイクを施した。隈を隠して、頬紅をひいて。
    それでも、スティックを持つ手は、震えてしまった。

    ……それでも、最期の本番までは、どうかと、願ってしまった。
    願って、しまったの。

    ***

    その本番。夢のステージで、うららは凄惨たる絶望をみた。朋友が倒れる姿をみた。血だらけになって倒れる世界を見た。やめて、と叫ぶことすら出来ずに、そうして聞こえてきた声に、うららは、——希望を、見た。
    811

    _yxme

    MOURNING服部悪夢合同誌用に書いてたものの伊未の味が強くなってやめた話。ノッキン・オン・ヘブンズ・ドアのパロディ。伊未や、二人の結末に言及あり。こんなの合同誌に載せようと思うな(ほんとうにそう)
    地獄への扉を叩くな 男はタバコに火をつけた。上がる煙の向こうには、鼻筋と唇のはっきりとした女が目をつむったまま横たわっている。
    (見覚えがあり過ぎる) 
     いつか。もう遠い、濃い思い出と自分の名前の重さの隙間。日常、と呼べるものだったかもしれない。男は親友や後輩と予定のない日は、たまにこうやって仕事の疲れか死んだように眠る女を見下ろしながらタバコを吸っていた。
     理由はもう思い出せない。単純に職場から近い女の家を寝床として利用していただけかもしれないし、彼女の子と一緒にニチアサを見るのが楽しかったのかもしれないし、一流のレシピからショートカットしまくった結果形になったもののイマイチ物足りない素人料理を彼女の息子と微妙な顔をしながら食べるのがクセになっていたのかもしれないし、酒の勢いで寝たこの女が思いの外良かったのかもしれないし、単なるきまぐれが長引いただけかもしれない。でも気まぐれというにはあまりに頻繁に女の家に足を運んでいた。男にとっても、女にとっても、子にとっても、男は家を形作る一員だった。
    4512

    かいこう

    TRAINING顔/伊吹と志摩
    バットリの悪夢に囚われている伊吹
    切断とか嘔吐とか出てくるので好きな人はどうぞ
    甘々字書きワードパレット22金平糖と23ティラミス
    「ん、志摩ちゃん、ありがとー」
     志摩が新しく買ったという動物の顔を模したクッションの写真が表示されているスマートフォンを相棒に返す。
    「今回のもかわいー」
    「だろ?」
     胸を反らして誇らしげに言う志摩の可愛さに、伊吹は声を上げて笑った。結構酔っているので、知らない内に声が大きくなる。つられて志摩も笑っていた。もうすぐ日づけが変わろうとする深夜の、闇に包まれた官舎の一室が笑い声で満ちる。先月、久住を逮捕してから、自分に対する志摩の空気が、柔らかくなったと伊吹は思っていた。俺が悪い、何もかも俺のせい、というような気負った鎧が、目の前のビールの泡みたいに、すっかり薄くなった、いい感じ。久住の件で相棒としての仲がこじれるまで、結構です、の頻度は四月に比べればだいぶ少なくなっていたが、今は一層、心を開いてくれているようだった。自ら初めて部屋に招いてくれたり、柔らかくて丸みを帯びたフォルムのぬいぐるみやクッションが好きなんだと教えてくれたり。当番勤務の後で、よく互いの部屋を訪れて、今夜みたいに飲むことが増えた。最初はその日の夕方頃には帰路に着いていたのに、気づいたら、一晩泊まって、翌朝帰るという流れになっている。嫌ではなかった。伊吹にとっては楽しい。伊吹から受け取った私用のスマートフォンを手に、志摩が室内を見回した。
    7195