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    花火

    SueChan_Factory

    DONE花火を見るほわか
    夏の華――今日の夕方、家に来てほしい
    端的に用件のみが書かれたメッセージを受け取ったのが今日の午後。〝来てほしい〟はいいが肝心の〝なぜ〟の部分は書かれていない。いや、敢えて書かれていないのだ。キミならこのメッセージの意図を汲みとれるだろう、とでも言いたげに。彼の言葉足らずは今に始まったことではないが、これが恋人に対して送ってくるメッセージだろうか。もっと他にあるだろう、と内心では思いつつもそれを言葉にするでなく代わりに深いため息としてジェームズ・モリアーティ青年は吐きだした。視線は手元のスマートフォンに落としつつも、机の端に置かれた卓上カレンダーに小さな印のある今日の日付を視界の隅に捉えながら。


    夏至を過ぎたとはいえ七月の終わりはまだまだ日が長い。日中の蒸し暑さを未だに残す七時よりも少し前。夕方というよりも夜と言った方がいい時間だが、燃え盛るような真っ赤な夕陽は空をオレンジ色に染め上げ、混ざり合った薄い青は徐々に紫色へとグラデーションを描いている。そんな美しい風景を少しだけぼんやりと眺めてからモリアーティは先輩兼恋人でもあるホームズの部屋のチャイムを鳴らした。
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    しんした

    DONE花火大会で七灰に遭遇したモブの小話です。
    軽い気持ちで書き始めたら長くなってしまいました。
    モブの自我が強めかもしれませんが、七灰には直接関わらないです。最初ちょっとモブの話があるので、さらっと読み飛ばしてもらっても大丈夫だと思います。
    七灰ワンドロワンライ35.『花火』.





    最近ちょっといい感じになっているバイト先の先輩に誘われてやってきた花火大会。
    本当にここが東京?と信じられないくらいの田舎だったけれど、駅前から続くお祭りの出店も都心にはない懐かしさがあって楽しかったし、結構いい雰囲気になっていたと思う。
    しかし、花火が見えやすいという神社の敷地内の端っこで場所を確保した時、さっきの通りで最近流行っているスイーツの屋台を見つけたからと、私は一人ポツンとその場に残されることになったのだ。
    さっき色々食べたから大丈夫ですと言ったが、張り切っている様子の彼は遠慮しないでと聞き入れてくれなかった。ちなみに、その屋台のスイーツは私が今一番ハマっているものだ。
    それに、実は先輩が同じバイト先の私の友達に、私の好きな物のこっそりリサーチをしていたことも、先輩の携帯のメモ画面にその一覧が載っていることも私は知っている。(勝手に見たわけではなく先輩が迂闊だから見えたのだ)
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