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    飲み会

    ciff_2

    DONE飲み会に遅刻しているふたりがなかなか現れないはなし
    約束 俺が、最後だと思っていました。だけど座敷にはふたりの姿しかなく、座布団は二枚残っていました。なんだか据わりの悪いような思いがして、俺たち三人は残りのふたりを待つつもりでしたが、店員が食事を運んで来てしまったのです。まだそろっていないので待ってくれと友人は言いました。しかし、先にはじめておくよう言付かっていると聞き、それならばと腑に落ちないまま乾杯しました。俺たちは、小学生のときによくつるんでいた友達同士という間柄です。同窓会というほどのものでもないですが、思い出話でもしながらしみじみ酒を呑むような座を期待して集まりました。全員そろわなかったことや、ひさしぶりの再会ということもあって、はじめは随分ぎこちなかったです。でも、うまい飯や酒の力もあり、俺たちは次第に童心に帰って打ち解けていきました。それからどのくらいの時間が経ったでしょう。遅れているふたりは一向に姿を見せませんでした。共通の思い出も語り尽くしてしまっており、俺たちの酒の肴は自然とこの場にいない人間の話になりました。そういえば俺、このまえ接待でカブキ町に行ったんだけどさ。あいつ、いまホストやってんだぜ。ナンバーワンだって。でけぇ看板の前で写真撮ったわ、と友人が笑って言いました。伊弉冉のことです。昔から、きれいな顔をした男でした。黙っていると冷たい印象を抱くほどで、同級生の誰とも違う独特の雰囲気をまとっていましたが、その実とても明るくて気のいいやつで、クラスの人気者だったことをおぼえています。ふと、伊弉冉の名前でひとつ思い出したことがありました。
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