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    はっさく

    zeppei27

    DONEハサアオ最終話です。ハッサクにじわじわと『普通』を侵食されたアオキが、ちょっとしたお節介から後に戻れなくなるお話。ハッサクの暴走回だよ!アオキがハッサクに意地悪だったり強気になったりするのも良いですね……。

    前話 #3
    >https://poipiku.com/271957/8193864.html

    最後まで読んでくださりありがとうございました!絵文字もいつもありがとうございます……!
    正しさの証明 #4 湖に小石が投げ込まれ、水面に波紋を広げる。小石が岩となり雨霰と降り注ごうとも、しばらくすれば湖は元通りの静けさを取り戻し、何事もなかったかのように全て忘れ去っていくだろう。日常とは一見左右されがちな脆弱な存在だが、長い目で見れば何よりも力強い。いずれ全ては回帰してゆくのだし、多少変化があろうともそれすら全て飲み込んでしまうものだ。アオキの『普通』の日常もまた然りである。

     ハッサクにより引っ掻き回され、機を窺って掻き乱し返す他愛もないやりとりは、数え切れないほど繰り返してもはやアオキの日常の一部と化していた。大変申し訳ない話だが、彼が長々と時間を割く説教の大半は効力を発揮していない。髪型やらシャツやらネクタイやら、その他いくらかは一理あるのといじられることに耐えかねて変えた(改善とは呼びたくない)ものの、アオキの本質はハッサクと初めて出会った時のままだ。
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    zeppei27

    DONEハサアオの続きだよ!アオキに振り回される世話焼きハッサクが、チリちゃんとオモダカの入れ知恵を手に日常を逸脱してゆく話。

    前話 #2
    >https://poipiku.com/271957/8178676.html

    人格者だと見なされている人の歪みや破綻、人間性の露呈が好きなので、ハッサク先生に色々なロマンを感じています。もっと生臭い部分も見てみたい……!
    正しさの証明 #3 一日の時間の流れが、まるで降る星のように早い。朝を見かけたかと思えば、来たばかりだと言うのにもう夜が闇を流し込んで世界を真っ黒に塗りつぶしてしまう。星を数えるにつれて瞼は重くなり、そして朝日が頬を照らすだろう。一日に何が起こっているかは大体同じ、繰り返し、繰り返し。大人になるにつれてこの繰り返しの部分はどんどんと増えてゆき、たとえ新しい出来事に出くわそうとも物珍しさは束の間の出来事だ。何物も、こちらを大きく変化させることはない。世界は緩慢に動いている。

     ハッサクにとって、子供は千変万化の可能性を秘めた希望だった。彼らこそは長い一日を過ごし、朝から夜まで変化し続ける生き物である。全身で世界を受け止め、見知らぬものを素直に浴びるのだ。繰り返しからは程遠く、身も心も瞬く間に変化してゆく。感電すれば心の底から燃え上がるような繊細さは、かつてのハッサクの姿そのものでもあった。最初こそ窮屈に狭められていたものの、自ら現状を打破して羽化できたのは未熟さが助けた部分も大きかったように思う。青い果実は日の光を良く吸収し、気づけば大樹へと姿を変えていた。
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    zeppei27

    DONEハサアオ話の続きだよ!ちょっかいを出してくる(語弊)ハッサクに慣れつつあるアオキが、一緒に鍋を突きながら心をくすぐられる話。まだ続く

    前話 #1
    >https://poipiku.com/271957/8173131.html

    アオキは全具材おかわり派、ハッサク先生は最初はバランス良く……のはずが最後は肉だけ食べてるというのもいいなあと思います。〆を雑炊にするかうどんにすかで毎回バトルする。
    正しさの証明 #2 暇な人だ。アオキの中で、ハッサクの印象は右肩下がりの一方である。会うたびに何がしかの注意を受け、なんやかや時間を潰してゆくうちに説教に入る。最初の数回こそ真面目に傾聴したものの、今では説教されるんだな、と理解すると同時にどこか冷めた気持ちで聞き流していた。ハッサクは本当に細かい。挨拶や返事の仕方、メールの文章、退出方法におさだまりのやる気問題、身だしなみに、一体どこまで自分のことを見ているのだろうかと空恐ろしくなる。アオキ自身でさえも自分のことをそこまで細かく知りもしない。

     一方的に責められる日々の中で、アオキは面倒臭さと同時にハッサクの育ちの良さも感じていた。ピケタウンで営業活動をした帰りで髪の毛が乱れていた時には、どこからか取り出してきた櫛で整えながら身だしなみの大切さを説き、不健康に見えると言って大量に食べたくなるような美味しい店に連れ出したりもする。説教のつまらなさに眠らないよう下唇を噛めば、傷がつくと嗜めた後、後日新しいリップクリームを寄越してきた。もらったものは有り難く受け取る口なので、そのリップクリームはいまだに思い出した時に使用している。
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    zeppei27

    DONEハサアオになります。初顔合わせでハッサクに指導されるアオキの話。ハッサク先生が大人に「こうあるべき」を指導の形で厳しく行うのは、実はなかなかないんじゃないかな……?と考えながら書いていました。頑固おじさんの譲れぬガチンコ勝負が見たい!
     あと少しだけ続きます。
    正しさの証明 #1 初対面における、アオキの中でのハッサクの印象は理想の教職者を描いたままの人間というものだった。仕事柄、オモダカが不本意にも自分を四天王に据えた際に全員の履歴書を見る機会があったため、実際には実物ではなく書類上の出会いである。半年ほど前からジムリーダーになることは決定済みだったというのに、更にもう一足草鞋を履かせられる面倒な事態で暗澹たる気持ちだった。せめて数少ない直接の同僚くらいは、気持ちの良い円滑な関係を築ければ良いな、と仄かな期待を寄せてアオキは書類を確認していた。

     ジムリーダーの代表格として、四天王は多少難があろうとも恥ずかしくはない人間である必要がある。人格者とまでは行かずとも、犯罪者やサイコパスでは本末転倒だ。故に、四天王は当人が提出した履歴書に合わせて漏れなく周囲への事前調査が行われている。聞き取り調査から想像される限り、他地方からの移住者であるハッサクは堂々たる人物らしい。
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    zeppei27

    DONEpkmnハサアオ、カジッチュを渡された後、アオキがハッサクとカジッチュ……とコルサに振り回されるお話。もう少し続きます〜

    前話 #2
    >https://poipiku.com/271957/8137224.html
    リンゴ甘いか酸っぱいか #3 何かに向けて準備をして整えたというのに、いざとなったら取りやめになって肩透かしを食らった心地になることがある。例えば何がしかの試験に向けて、対策を練り覚悟を決め、さあ当日だと思っていたらば直前に取りやめになったとする。すると現金なもので、できたら試験自体がなくなって欲しいと願っていたにも関わらず、過ぎ去った難が起これば無駄足にならなかったのにと憤慨さえしてみせるのだ。どんな結果が伴うとしても、難事に打ち当たった方がすっきりするという見方もできるかもしれない。

     アオキがこの手の経験をすることはあまりないが(せいぜい楽しみにしていた食品の新製品が発売中止になる程度だ)、今の気分は正にこの肩透かしの連続だった。「また様子を見にきます」と言ったくせに、あのドラゴン使いは足音すら聞こえてこない。思えば、彼と顔を合わせるのはいつだって仕事がらみであって、プライベートな時間ではないのだから、仕事の予定が入っていなければすれ違いもしない間柄なのだった。
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    zeppei27

    DONEpkmnハサアオ、ハッサクにもらったカジッチュに途方に暮れるアオキと、二人の馴れ初めの思い出のお話。続きます。

    前作↓の続きですので、まずは前作からどうぞ🙌

    >寿司よ、寿き司れ
    https://formicam.ciao.jp/novel/sushiomoi.html
    寿司と間違えてシャリタツを拾ったアオキがハッサクからカジッチュをもらってしまった話
    リンゴ甘いか酸っぱいか #1 絶望とは、希望をして初めて訪れる。希望に基づく未来への展望が期待を孕み、前を向いたその瞬間に背後から殴りかかってくる代物だ。希望も絶望も、繰り返される既定路線を逸れた場所に存在する。物分かりがいいフリをするのであれば、そもそも余計な希望など持たずに予想範囲内で普通を享受するに越したことはない。別段、それで不幸になるというわけではないし、生きることへの満足は得られるのだから。

     大人になり、社会人生活を長く営むようになったアオキにとって、期待は何よりも自分を裏切るものだった。だから、そもそも期待なんて自他ともにしない。特に人間相手は不確定要素が多く絡みすぎるので要注意だ。普通が一番良い。自分もずいぶん大人になったものだ――そう満足する日々を過ごしていたのは、どうやらただの慢心に過ぎなかったようだ。
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    zeppei27

    DONE寿司の話から続け、改めてハサアオになりました。寿司に続いて食べ物でハッサクに攻められ、アオキの日常が崩れてゆく話です。続きも書く予定で、全てまとめた形でHPに載せます〜!
    最初の話>これは寿司です。
    https://poipiku.com/271957/8081383.html
    前作>これは寿司ではありません。
    https://poipiku.com/271957/8087971.html
    これは想いでしょうか。 ポケモンが人間の生活に間近になり、当たり前のような顔をして暮らすのは今に始まった事ではない。アオキも幼少期から家には二、三匹家事手伝いと愛玩動物扱いにポケモンがいたものだし、祖父の趣味は父とのポケモンバトルだった。昔気質の粘り強い、だがシンプルな戦法は祖父の背中を追いかけているのだと今更のように思う。どこにでもいる好々爺然とした祖父が、ポケモンボールを手にするやグッと気合いが入ったのもなかなか良かった。

     さて、シャリタツである。ハッサクに過大な期待を持たせてしまった諸悪の根源、もといアオキの疲労の傑作は今や当たり前のような顔をしてついてくるようになった。ハッサクとのやりとりの末、弁当箱から野に放ってやった(洗って宝食堂に返すためだ)のだが、どういうわけだか鞄に入り込んでいたらしい。焼き鳥屋に行くまでのことなので、ひょっとするとハッサクが無理やり鞄に潜り込ませたのだろうか。ドラゴンというのは気が長いと一説に聞くものの、あれは蛇よりもしつこいという類と言える。
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    zeppei27

    DONEシャリタツを拾う話の、ハッサク目線のものです。
    >前作 https://poipiku.com/271957/8081383
     アオキの話の後について考えたことを書こうか迷っていたのですが、ハッサク先生について考えることが多すぎて書きました。そう、ハサアオ、好きなんですよね……情熱と虚無のぶつかり合いと、なんやかや頑固な二人が本気で勝負するところは是非見たいと思っています。人生の勝負はこれから!
    これは寿司ではありません。「小生は猛烈に感゛動゛し゛て゛す゛!!」
    「……違います」

    ポケモンリーグの会議室で、ハッサクは心底感動していた。冷静な声が聞こえたような気がしたが、そんなことよりも目の前の事象を処理することで頭も胸もいっぱいだった。チリ曰くは感情がドラゴン並に激しく揺れやすいという評価であり、美術教師である本職を鑑みても申し分ない性質と言えるだろう。ハッサクは今猛烈に感動していた。この感情の荒波を、キャンバスに描いてコルサに共有したい。

     例えて言うならば、長く丹精込めて育ててきた植物がようやっと蕾を膨らませてくれた、そんな瞬間である。アオキの弁当箱にひっそりと可愛らしく鎮座しているシャリタツのつぶらな瞳が告げている。これは天の啓示だ、祝福だ、自分が教師としてもポケモントレーナーとしても情熱を注いできた結果が実ったのだ!植物をこよなく愛し、芸術として昇華させるコルサも大いに同意するだろう。今すぐにでも写真を撮って送ってやりたい。
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