asebi_LarHyun
DONE8/27ラーヒュン1dr1wrお題「音楽」お借りしました。原作軸、ダイ帰還後。
現在、二人は一緒に暮らしている。
回想が多く、時制がわかりにくいかもしれない、すみません。
***4、***5は原作中の出来事(内心を推測したりはしている)。
ラー、ヒュンの他、回想でアバン先生がヒュンに語りかけています。ダイ、ヒム、クロコダインも回想で一瞬だけ出ます。
バックグラウンド・ミュージック 「音楽」***1
日が落ちる頃、石畳の上を通り抜ける風に、ヒュンケルは上衣の首もとを緩め、涼しさを味わう。
食事とともに酒を供する店の、通りに出したテーブルの上のランプに火が灯る。一日の労働を終えた人々が、家路を辿りながら、あるいは腹と心を満たす店を選びながら、気の置けない者と話すくつろいだ声が、町の雰囲気を一層柔らかくする。
ラーハルトは、ベンガーナで行われた会議にレオナと出席したダイに帯同し、数日間パプニカを離れていたが、今日の昼過ぎに城に戻り、夕方、城の書庫にいたヒュンケルを迎えに来た。フードを被って二人で城を出て、今日は材料も準備していないからどこか店で夕食を取ろうと、立ち並ぶ飲食店を見ながらゆったりと通りを歩く。
6550日が落ちる頃、石畳の上を通り抜ける風に、ヒュンケルは上衣の首もとを緩め、涼しさを味わう。
食事とともに酒を供する店の、通りに出したテーブルの上のランプに火が灯る。一日の労働を終えた人々が、家路を辿りながら、あるいは腹と心を満たす店を選びながら、気の置けない者と話すくつろいだ声が、町の雰囲気を一層柔らかくする。
ラーハルトは、ベンガーナで行われた会議にレオナと出席したダイに帯同し、数日間パプニカを離れていたが、今日の昼過ぎに城に戻り、夕方、城の書庫にいたヒュンケルを迎えに来た。フードを被って二人で城を出て、今日は材料も準備していないからどこか店で夕食を取ろうと、立ち並ぶ飲食店を見ながらゆったりと通りを歩く。
asebi_LarHyun
DONE8/6ラーヒュン1dr1wrお題「夏バテ」お借りして書きました。現パロ。原作要素は申し訳程度。二人とも夏バテしてない。
アイス、メントール、大蒜と生姜 「夏バテ」***
「お前……晩飯前にアイスを食うな。昨日も言ったはずだ」
「体が欲する物は食べるのが正解だと言ったのはお前だろう」
「そうだが順序があるだろう…。まずはシャワーを浴びてさっぱりして、それから麦茶を飲め。暑いのはわかるが、安直に毎回アイスに頼るな」
ラーハルトは、暑い中、首に温泉旅館の名前が入った薄いタオルを巻き、中華鍋を振りながら、ヒュンケルに小言を言う。ヒュンケルは、残りのアイスを二口で口の中に収めると、風呂場へ向かった。
「お前のメントール入りのシャンプー使ってみてもいいか?」
「肌が弱いんだからメントールも駄目じゃないか?使ったことあるのか?」
「ない。そうだな、やめておこう」
ああ見えて繊細なのは心だけではないのだ、この男。
1211「お前……晩飯前にアイスを食うな。昨日も言ったはずだ」
「体が欲する物は食べるのが正解だと言ったのはお前だろう」
「そうだが順序があるだろう…。まずはシャワーを浴びてさっぱりして、それから麦茶を飲め。暑いのはわかるが、安直に毎回アイスに頼るな」
ラーハルトは、暑い中、首に温泉旅館の名前が入った薄いタオルを巻き、中華鍋を振りながら、ヒュンケルに小言を言う。ヒュンケルは、残りのアイスを二口で口の中に収めると、風呂場へ向かった。
「お前のメントール入りのシャンプー使ってみてもいいか?」
「肌が弱いんだからメントールも駄目じゃないか?使ったことあるのか?」
「ない。そうだな、やめておこう」
ああ見えて繊細なのは心だけではないのだ、この男。
asebi_LarHyun
DONE7/23ラーヒュン1dr1wrお題「熱帯夜」お借りしました。原作軸。大戦後、ダイ帰還済、平和な世で二人旅中。
夜の散歩 「熱帯夜」***
暑い。暑すぎる。
東側と南側にある窓をどちらも開け放ってみたが、まとわりつくような熱気は微動だにしない。パプニカでは、夜は陸から海へと風が吹くので、少しは熱気が落ち着くのだが。湯浴みは夕食後に済ませたが、体はもう汗でべたついていて、そのまま寝台に横になることも躊躇われた。
ため息をつきながら窓の下を見ると、石畳はうっすらと白く、見上げれば、隣の宿屋との間の細い空に、満月が浮かんでいた。
下から視線を感じて再び石畳に目を向けると、帰ってきたラーハルトがこちらを見上げていた。ヒュンケルが顔の横へ手を上げると、ラーハルトは片方の口の端を上げ、頷いて見せた。あいつは食事の後、買いたい物があると言って、日の長い夏の間だけ開かれている夜市へ出かけていたのだ。
2742暑い。暑すぎる。
東側と南側にある窓をどちらも開け放ってみたが、まとわりつくような熱気は微動だにしない。パプニカでは、夜は陸から海へと風が吹くので、少しは熱気が落ち着くのだが。湯浴みは夕食後に済ませたが、体はもう汗でべたついていて、そのまま寝台に横になることも躊躇われた。
ため息をつきながら窓の下を見ると、石畳はうっすらと白く、見上げれば、隣の宿屋との間の細い空に、満月が浮かんでいた。
下から視線を感じて再び石畳に目を向けると、帰ってきたラーハルトがこちらを見上げていた。ヒュンケルが顔の横へ手を上げると、ラーハルトは片方の口の端を上げ、頷いて見せた。あいつは食事の後、買いたい物があると言って、日の長い夏の間だけ開かれている夜市へ出かけていたのだ。
あかつき
TRAINING10/30 pictSQUAREにて開催のWebオンリーイベント「同槍会」での展示。ヒュン meets 🍆(隠喩)。年齢制限はないがド下ネタ。
作中で出てくる「結ばれるその日」はこちらで連載中です→ https://www.pixiv.net/novel/series/9227539
※パスをかけているのは期間指定が上手くいかないからなので、イベントが終わったらパスは外す予定です。 2632
dosukoi_hanami
MOURNING2022.10.30同槍会開催おめでとうございます!開催ありがとうございます!
両片思いのラーヒュンをイチャイチャさせたい!
ぐぬあーーー(かなりナンジャコリャな漫画になってしまいましたが😭🙏)少しでも楽しんでいただけましたら嬉しいです。 13
asamag108
DONEラーヒュンワンライ、お題「読書」で執筆時間55分くらい。拙作でたまに出てくる、人に訊かずに書物から知識を得ようとするラーがたまたましくじった話(?)
2022.10.22 2555
Jeff
DOODLE離陸。2022-01-06
*過去作です*
<Web非公開としていた短編ですが、新刊「サンクタム」に収録予定のため、一時的に公開しております>
Voyageurs ここで一言「yes」と言えば、絵本でしか見た事のない様な、穏やかで華やかで、限りなく退屈な生活が待っているのだろう。もう誰かに心配をかけることも、他人を無駄に傷つけることも無い。
ヒュンケルは宙に浮いた自分の右手と、そこに置かれた彼女の繊細な指先に目を落とす。
不器用だと思われているが、実際その通りでもあるが、それは彼の一面に過ぎない。人間の子供という圧倒的に不利な状況から、弱肉強食の魔王軍で幹部にのし上がった程度には、順応力がある。
この局面も、あたかも幸せなふりをして乗り越える事が出来てしまうだろう。……仮面を着けるのは得意だから。
そんな未来があったのかもしれない。
真の欲望に蓋をして、万人に理解できる様な分かりやすい幸福を、自分自身すらも騙しながら演じ続けて、なんなら家族を持って、単調な仕事をこなして、孫とひ孫に囲まれて人生の最後を温かなベッドで終える様な。
1583ヒュンケルは宙に浮いた自分の右手と、そこに置かれた彼女の繊細な指先に目を落とす。
不器用だと思われているが、実際その通りでもあるが、それは彼の一面に過ぎない。人間の子供という圧倒的に不利な状況から、弱肉強食の魔王軍で幹部にのし上がった程度には、順応力がある。
この局面も、あたかも幸せなふりをして乗り越える事が出来てしまうだろう。……仮面を着けるのは得意だから。
そんな未来があったのかもしれない。
真の欲望に蓋をして、万人に理解できる様な分かりやすい幸福を、自分自身すらも騙しながら演じ続けて、なんなら家族を持って、単調な仕事をこなして、孫とひ孫に囲まれて人生の最後を温かなベッドで終える様な。
Jeff
DOODLEお題:「香水」#LH1dr1wr
ワンドロワンライ参加作品
2022/10/16
Shenanigans ……ぴちょん。
ひそやかな水音に、ヒュンケルはうっすらと瞼を開く。
岩肌に揺れる蝋燭の光が眩しい。この部屋の、唯一の光源。
清潔な枕からそっと頭を持ち上げて、自分の身体を見下ろしてみる。
闇の中に浮かび上がる白い胸から、力なくシーツに投げ出された腕、裸のままの腰と、足先まで。
つい先日まで鋼鉄の輪がはめられていた足首には、もうなにも戒めるものがない。
そんなものが無くても、もはや逃げることが出来ないと分かっているからだ。
逃げる、という選択肢が思い浮かばないくらい、完全に壊れてしまったのだから。
今までになく伸びた銀色の髪の先に、何か触れるものを感じる。鈍重な視線を向けると、彼の恋人は寝台の脇にかしずいて、熱心に毛束を布で拭っていた。
3230ひそやかな水音に、ヒュンケルはうっすらと瞼を開く。
岩肌に揺れる蝋燭の光が眩しい。この部屋の、唯一の光源。
清潔な枕からそっと頭を持ち上げて、自分の身体を見下ろしてみる。
闇の中に浮かび上がる白い胸から、力なくシーツに投げ出された腕、裸のままの腰と、足先まで。
つい先日まで鋼鉄の輪がはめられていた足首には、もうなにも戒めるものがない。
そんなものが無くても、もはや逃げることが出来ないと分かっているからだ。
逃げる、という選択肢が思い浮かばないくらい、完全に壊れてしまったのだから。
今までになく伸びた銀色の髪の先に、何か触れるものを感じる。鈍重な視線を向けると、彼の恋人は寝台の脇にかしずいて、熱心に毛束を布で拭っていた。
あかつき
TRAINING10/15のお題「香水」。公式香水のネタは団長で既にやってるので別バージョン。
クソ重い半魔の愛と執着に気付かない長兄。次兄辺りが聞いたらドン引きしそうだけど、長兄も何だかんだ重いので似た者同士だったりする。 1719
つーさん
DONEラーヒュンとロンノヴァだけど、攻め二人しかいない。寿命の違いというどう足掻いても越えられない壁について、ラーハルトに忠告してくれるロンさんの話。
運命を知る(ラーヒュン&ロンノヴァ)「お前、ちゃんと分かってんのか?」
「…………何のことだ?」
鎧の魔槍の手入れに訪れたラーハルトにかけられた言葉は、彼の理解の範疇外だった。目の前の名工に首を傾げるラーハルト。その姿に、ロン・ベルクはため息を一つついた。
分かっちゃいねぇんだなとため息と共に吐き出された言葉に、ラーハルトはやはり首を傾げる。彼は言葉遊びが得意な人種ではない。腹芸も苦手だ。つまりは、回りくどい言い方をされても察するのが苦手なのである。
魔槍の手入れは既に終わり――腕の使えないロン・ベルクに代わり、押しかけ弟子のノヴァが師の指導の下行った――今は雑談をしているだけとなる。ノヴァが食材の買い出しに出かけると聞き、ヒュンケルが同行してしまったからだ。
4535「…………何のことだ?」
鎧の魔槍の手入れに訪れたラーハルトにかけられた言葉は、彼の理解の範疇外だった。目の前の名工に首を傾げるラーハルト。その姿に、ロン・ベルクはため息を一つついた。
分かっちゃいねぇんだなとため息と共に吐き出された言葉に、ラーハルトはやはり首を傾げる。彼は言葉遊びが得意な人種ではない。腹芸も苦手だ。つまりは、回りくどい言い方をされても察するのが苦手なのである。
魔槍の手入れは既に終わり――腕の使えないロン・ベルクに代わり、押しかけ弟子のノヴァが師の指導の下行った――今は雑談をしているだけとなる。ノヴァが食材の買い出しに出かけると聞き、ヒュンケルが同行してしまったからだ。
つーさん
DONE吹雪なので裸で抱き合って暖を取っている二人の話。クソデカ感情ブロマンスなので、別に特に何も芽生えてない。ただし距離感はバグってる。愛しき温もり(ラーヒュン) ビュービューと吹雪の音が耳に届く。音の激しさから察するに、当分は止みそうに無いだろう。不幸中の幸いは、この洞窟が緩くカーブを描いた構造になっており、奥まった場所にいれば直接吹雪にさらされることがないことか。
そんなことをぼんやりと考えながら、ヒュンケルは自分を抱く腕の主を見た。鋭い視線も、瞼を閉ざしていれば見えず、その顔立ちの端正さを教えるだけだ。
魔族と人間の混血児。その容姿は魔族の父に似ているのだと語っていた。確かに、人間の要素は薄い。高位魔族は人間に近しい外見をしていることを考えても、ラーハルトの父はそれなりの実力者だったのではないかとヒュンケルは思う。思うが、それを確かめたことはない。
4118そんなことをぼんやりと考えながら、ヒュンケルは自分を抱く腕の主を見た。鋭い視線も、瞼を閉ざしていれば見えず、その顔立ちの端正さを教えるだけだ。
魔族と人間の混血児。その容姿は魔族の父に似ているのだと語っていた。確かに、人間の要素は薄い。高位魔族は人間に近しい外見をしていることを考えても、ラーハルトの父はそれなりの実力者だったのではないかとヒュンケルは思う。思うが、それを確かめたことはない。
つーさん
DONE原作終了後のお話で、うちのラーヒュンが旅に出るきっかけの話はこんなんです、という感じになります。友情出演でアバン先生。ラーヒュンと言いつつ、クソデカ感情ブロマンスって感じだとは思います。いつもの。
息の出来る場所(ラーヒュン)「貴様のその自己肯定感や戦闘以外の自己評価の低さは何なんだ」
「は……?」
不愉快そうな顔で告げられて、ヒュンケルはぽかんとした。あまりにも突然すぎる発言だったからだ。彼らは確か、他愛ない雑談をしていた筈なのである。
ここは、カール王国に与えられたヒュンケルの私室だ。戦い続きの人生で肉体を損なった弟子を、王配となったアバンが引き取ったのだ。せめて、それぐらいさせてください、と。
かつて、誤解から彼らの道は分かたれた。あの日、幼かったヒュンケルの手を離したことを、アバンは今も悔いている。その師匠の優しさに、顔向けなど出来ないと思いながらヒュンケルは甘えるカタチになった。
ただそれは、彼がアバンを頼ろうと思ったのが理由では、ない。
5236「は……?」
不愉快そうな顔で告げられて、ヒュンケルはぽかんとした。あまりにも突然すぎる発言だったからだ。彼らは確か、他愛ない雑談をしていた筈なのである。
ここは、カール王国に与えられたヒュンケルの私室だ。戦い続きの人生で肉体を損なった弟子を、王配となったアバンが引き取ったのだ。せめて、それぐらいさせてください、と。
かつて、誤解から彼らの道は分かたれた。あの日、幼かったヒュンケルの手を離したことを、アバンは今も悔いている。その師匠の優しさに、顔向けなど出来ないと思いながらヒュンケルは甘えるカタチになった。
ただそれは、彼がアバンを頼ろうと思ったのが理由では、ない。
Jeff
DOODLEお題:食べる#LH1dr1wr
1時間少し超えてしまいました、字数が多くすみません。
なぜか毎朝、卵料理を作るラー。
(ラーヒュンワンドロワンライ参加作品)
2022/09/28
Eggs「見ろ、ラーハルト」
ヒュンケルが寝室から声を張る。
ラーハルトはスープを煮立てる火を弱め、ことさら面倒くさそうに、彼が横たわるベッドに向かった。
「なんだ、朝から。いや、そもそも、きちんと起きて手伝わんか、この怠惰なごくつぶしめ」
「俺は休日だ。忘れたのか。それより、この本、古代の魔導書かと思ったのだが」
サイドテーブルには、昨日仕入れてきた古書が山積みになっている。寝転がったままのヒュンケルが、そのうちの一冊を指し示した。
擦り切れた印刷で、黄色っぽい楕円形がうずたかく積まれている、なんとも緊張感のない表紙。
「訳してみたら、全然違った。卵料理のレシピ集だった」
「だろうな」
見ればわかる気がするが。
5216ヒュンケルが寝室から声を張る。
ラーハルトはスープを煮立てる火を弱め、ことさら面倒くさそうに、彼が横たわるベッドに向かった。
「なんだ、朝から。いや、そもそも、きちんと起きて手伝わんか、この怠惰なごくつぶしめ」
「俺は休日だ。忘れたのか。それより、この本、古代の魔導書かと思ったのだが」
サイドテーブルには、昨日仕入れてきた古書が山積みになっている。寝転がったままのヒュンケルが、そのうちの一冊を指し示した。
擦り切れた印刷で、黄色っぽい楕円形がうずたかく積まれている、なんとも緊張感のない表紙。
「訳してみたら、全然違った。卵料理のレシピ集だった」
「だろうな」
見ればわかる気がするが。
fukafukahitode
TRAININGこの作品は『DRAGON QUEST ダイの大冒険』の二次創作です。初めて書きました。ド素人の作品です。下手くそです。キャラクターの性格が原作と掛け離れています。ごめんなさい。原作終了後、お付き合いしている二人です。
小さな仕返し「ラーハルトは可愛い」
「やめろ」
「オレを見つめる眼も、オレに触れる手も、オレを抱く時の余裕の無い表情も、全て可愛い」
「やめろと言っている」
「それだけじゃない。ダイに付き従う時の立ち居振舞いも、戦闘時の凛々しい顔も、必殺技を繰り出すその肉体も」
「…」
ラーハルトは困惑した。ヒュンケルが怒っている。それも他ならぬラーハルトに対して。昨日からずっとだ。
「…洗練された槍捌きも、野生のドラゴンを手懐ける手腕も」
「やめろ、頼むから」
「聞かん、まだまだある」
ヒュンケルはなおもしゃべり続けようとする。ラーハルトは戸惑いながらも過去に戻りたい、そして愚かな己の頭を思い切りはたいてやりたい、と思った。
その間も彼はラーハルトがいかに可愛いかを熱っぽく語っている。
715「やめろ」
「オレを見つめる眼も、オレに触れる手も、オレを抱く時の余裕の無い表情も、全て可愛い」
「やめろと言っている」
「それだけじゃない。ダイに付き従う時の立ち居振舞いも、戦闘時の凛々しい顔も、必殺技を繰り出すその肉体も」
「…」
ラーハルトは困惑した。ヒュンケルが怒っている。それも他ならぬラーハルトに対して。昨日からずっとだ。
「…洗練された槍捌きも、野生のドラゴンを手懐ける手腕も」
「やめろ、頼むから」
「聞かん、まだまだある」
ヒュンケルはなおもしゃべり続けようとする。ラーハルトは戸惑いながらも過去に戻りたい、そして愚かな己の頭を思い切りはたいてやりたい、と思った。
その間も彼はラーハルトがいかに可愛いかを熱っぽく語っている。
あかつき
MAIKINGお題ガチャ(https://odaibako.net/gacha/9056)で出てきたお題ラー「よくある「私の為に争わないで!」の逆はなんなんだろうな」 ヒュ「争え、勝った奴だけを愛してやる」
からヒュの台詞だけ貰って小話。血生臭い表現がでますので注意。
カッとなってリビドーを抑えられずに書きなぐっただけなので、途中で突然終わります… 2390
Jeff
DOODLEメレンゲみたいに幸せな二人の日常。俺の魔法使い。
2022/08/24
Cupcake「……え?」
もと魔王軍幹部とは思えない、わたあめみたいな返事に、少年は何度目かのため息をつく。
「だから。卵をかき混ぜる時には、こっちの道具を使うんだって。それは、スープを掬うためのもの」
「ああ」
ヒュンケルは慌てて、目の前のボウルに注意を戻す。しかし、粉と卵の塊を呆然と突っつきながら、視線はすぐに窓の外へと飛んでいく。
「もう。教えてくれって言うから準備したのにさ」
「……ああ、すまない。どこまで教わっただろうか」
「もういいよ、今日はやめとこ。またちゃんと教えてあげるからさ」
「悪かった。なぜだろう、朝からどうも頭がはっきりしなくて……いや、もう一度お願いしたい。バターを溶かして、それから」
「うん、多分ヒュンケル様はお料理に向いていないよ」
5904もと魔王軍幹部とは思えない、わたあめみたいな返事に、少年は何度目かのため息をつく。
「だから。卵をかき混ぜる時には、こっちの道具を使うんだって。それは、スープを掬うためのもの」
「ああ」
ヒュンケルは慌てて、目の前のボウルに注意を戻す。しかし、粉と卵の塊を呆然と突っつきながら、視線はすぐに窓の外へと飛んでいく。
「もう。教えてくれって言うから準備したのにさ」
「……ああ、すまない。どこまで教わっただろうか」
「もういいよ、今日はやめとこ。またちゃんと教えてあげるからさ」
「悪かった。なぜだろう、朝からどうも頭がはっきりしなくて……いや、もう一度お願いしたい。バターを溶かして、それから」
「うん、多分ヒュンケル様はお料理に向いていないよ」
Jeff
DOODLE奪われたから、今度は、こっちが奪おう。2022/08/22
Hope ほとんど上下していないヒュンケルの胸を、じっと見つめる。
汗まみれで横たわる彼の相棒は、浅い眠りに落ちている。
小一時間程熱に魘され、消えない痛みに身を捩りながらのたうって、ようやく静かになったところだ。
ラーハルトはサイドテーブルに肘をついて、片手で自分の額を覆う。
脳に巣食った重たい霧を、この掌に吸い取ってしまえたら。
気を取り直して立ち上がると、古いランプに火を灯した。寝室の窓を閉めようとして、低く垂れさがった曇天に目をやる。
雨になりそうだ。
――潮時だ。
ヒュンケルも、良く分かっているはずだった。
「置いて行け、その時は」
と、当然のように、彼は言った。
二人の歩調は、最初に旅立ったときよりも、ほんの少し緩やかになっている。休息や食事のタイミングも変わった。
3034汗まみれで横たわる彼の相棒は、浅い眠りに落ちている。
小一時間程熱に魘され、消えない痛みに身を捩りながらのたうって、ようやく静かになったところだ。
ラーハルトはサイドテーブルに肘をついて、片手で自分の額を覆う。
脳に巣食った重たい霧を、この掌に吸い取ってしまえたら。
気を取り直して立ち上がると、古いランプに火を灯した。寝室の窓を閉めようとして、低く垂れさがった曇天に目をやる。
雨になりそうだ。
――潮時だ。
ヒュンケルも、良く分かっているはずだった。
「置いて行け、その時は」
と、当然のように、彼は言った。
二人の歩調は、最初に旅立ったときよりも、ほんの少し緩やかになっている。休息や食事のタイミングも変わった。
MT24429411
DONEラーヒュンワンライ「夏バテ」夏バテ「おい、大丈夫か」
「あぁー…何とも言えんな」
気だるげに答えた声の主は、問う声の主に視線すら寄越さず、寝台に身を横たえていた。
普段の凛然とした姿勢は見る影もなく、額の上に手の甲を乗せ、茫洋として虚空を見るとも無しに見つめている。
それをさほど心配するでもなく、銀髪の青年は湯気の立つ銀盆をベッドサイドテーブルに置き、傍らに腰かけた。
「そら、お前は暑いからと言って冷たい水だの生野菜だの摂ってばかりいるからだ」
「ああ、反省しているとも、大いにな。我が身の不甲斐なさが情けなくて堪らん」
バツの悪そうなラーハルトの目の前に、ぐいとスプーンが差し出される。
「ならちゃんと食え。食わんことには回復せん」
強い匂いを発するそれに、ラーハルトは思わず眉をしかめた。
1778「あぁー…何とも言えんな」
気だるげに答えた声の主は、問う声の主に視線すら寄越さず、寝台に身を横たえていた。
普段の凛然とした姿勢は見る影もなく、額の上に手の甲を乗せ、茫洋として虚空を見るとも無しに見つめている。
それをさほど心配するでもなく、銀髪の青年は湯気の立つ銀盆をベッドサイドテーブルに置き、傍らに腰かけた。
「そら、お前は暑いからと言って冷たい水だの生野菜だの摂ってばかりいるからだ」
「ああ、反省しているとも、大いにな。我が身の不甲斐なさが情けなくて堪らん」
バツの悪そうなラーハルトの目の前に、ぐいとスプーンが差し出される。
「ならちゃんと食え。食わんことには回復せん」
強い匂いを発するそれに、ラーハルトは思わず眉をしかめた。