noa/ノア
DONE新春SSおみくじ:第四番 [風信&南風 パイロットAU]年越しのNYの中継を見ていた風信機長が、画面に見慣れた姿を見つけるお話。
「ん?」
会社の休憩室で、テレビで流れるニュースをぼんやりと見ていた風信は、思わずその画面を凝視した。
テレビには新しい年を待つ世界各地の様子が流れている。画面にいま映っているのは、ニューヨークはタイムズスクエア。年越しの有名なカウントダウンには、毎年大勢の人が集まる。
まだ早いはずだが、もうすでにカウントダウン待ちの人々が集まっているらしい。だが、それはどうでもよかった。風信の目を引いたのは、キャスターの後ろに映っている人物だ。
ダウンジャケットに身を包み、寒そうにしながらきょろきょろと周りを見ているその姿には、ひどく見覚えがあった。
「南風……?」
間違いない。自分でもよく気づいたものだなと思いながら風信はおもわず画面の中の姿を見つめた。
1075会社の休憩室で、テレビで流れるニュースをぼんやりと見ていた風信は、思わずその画面を凝視した。
テレビには新しい年を待つ世界各地の様子が流れている。画面にいま映っているのは、ニューヨークはタイムズスクエア。年越しの有名なカウントダウンには、毎年大勢の人が集まる。
まだ早いはずだが、もうすでにカウントダウン待ちの人々が集まっているらしい。だが、それはどうでもよかった。風信の目を引いたのは、キャスターの後ろに映っている人物だ。
ダウンジャケットに身を包み、寒そうにしながらきょろきょろと周りを見ているその姿には、ひどく見覚えがあった。
「南風……?」
間違いない。自分でもよく気づいたものだなと思いながら風信はおもわず画面の中の姿を見つめた。
noa/ノア
DONE新春SSおみくじ:第参番 [風信&南風]下界から戻ってきた風信将軍を手伝う南風。南風吸いをする風信将軍もいます。
部屋で剣の手入れをしていた南風は、手をとめて顔をあげた。
南陽将軍のお戻りだ。
仙京に将軍が戻ってくると、わずかな気の揺れが起きる。もちろん、下界に降りた時のような派手な衝撃には限りなく及ばない。だが、どんなに僅かでも、南風はそれを逃したことはなかった。
将軍の部屋へ向かう。戸を叩くとくぐもった返事が聞こえた。扉を静かに開け、拱手して頭を下げる。
「失礼いたします」
将軍は、壁に腰を預け、項垂れるように手で頭を支えていた。南風の声に顔を上げる。
「ああ、南風か」
その目は疲れ落ちくぼんでいた。
「新年早々、お疲れさまでした。大変でしたか」
南風の心配そうな声に、いやと小さく首を振る。だが、続いた溜息は深い。
1381南陽将軍のお戻りだ。
仙京に将軍が戻ってくると、わずかな気の揺れが起きる。もちろん、下界に降りた時のような派手な衝撃には限りなく及ばない。だが、どんなに僅かでも、南風はそれを逃したことはなかった。
将軍の部屋へ向かう。戸を叩くとくぐもった返事が聞こえた。扉を静かに開け、拱手して頭を下げる。
「失礼いたします」
将軍は、壁に腰を預け、項垂れるように手で頭を支えていた。南風の声に顔を上げる。
「ああ、南風か」
その目は疲れ落ちくぼんでいた。
「新年早々、お疲れさまでした。大変でしたか」
南風の心配そうな声に、いやと小さく首を振る。だが、続いた溜息は深い。
noa/ノア
DONE新春SSおみくじ:第弐番 [風信&南風 パイロットAU]南風のサングラスが壊れるお話。
「あ、」
コックピットで機材の最終チェックを終え、出発を待っていた風信は、その声に隣を見た。
副操縦士の南風が、手に持ったサングラスをいじっている。
「どうした」と覗き込む。その手の中のサングラスは片方のつるが外れていた。
「壊れたのか?」風信が聞くと、南風は気まずそうな顔をした。
「その、昨日うっかり踏んでしまって……。でも、つるが外れただけだったので、テープで巻いてみたら直ったかと思ったんですが」
目を近づけて、うーんと唸る。「やっぱりダメだったのかも」
「予備は」風信が聞くと南風は、そのぅ、と言葉を濁す。「……ロッカーに」
「おい」
風信の顔を見て、南風の表情がわずかに固まる。
「お前、これはカッコつけるための小道具じゃなくて、上空では必需品だぞ」
1012コックピットで機材の最終チェックを終え、出発を待っていた風信は、その声に隣を見た。
副操縦士の南風が、手に持ったサングラスをいじっている。
「どうした」と覗き込む。その手の中のサングラスは片方のつるが外れていた。
「壊れたのか?」風信が聞くと、南風は気まずそうな顔をした。
「その、昨日うっかり踏んでしまって……。でも、つるが外れただけだったので、テープで巻いてみたら直ったかと思ったんですが」
目を近づけて、うーんと唸る。「やっぱりダメだったのかも」
「予備は」風信が聞くと南風は、そのぅ、と言葉を濁す。「……ロッカーに」
「おい」
風信の顔を見て、南風の表情がわずかに固まる。
「お前、これはカッコつけるための小道具じゃなくて、上空では必需品だぞ」
noa/ノア
DONE[風信&南風✈] 風南パイロットAU。どうみても普通じゃない二人の関係に気づきだす社員たち。当の本人たちは気づいてません。
ただならぬ二人 あの二人は絶対におかしい。
南陽航空の少なからぬ社員たちの間で、その認識は共有されていた。
業界でも指折りの中堅パイロット、風信機長。
会社の有望株と名高い、南風副操縦士。
きら星のような二人は、その輝きだけで注目を集めていたのかといえば、それは少し違ったかもしれない。
「南風、どうした」
機へ向かう前にパイロットたちがフライトの確認を行うブリーフィング室。一足先にパソコン画面で雲の様子を確認していた南風が俯いているのを見て、やってきた風信が声をかける。
南風が顔を上げる。その片目は赤く涙でぬれていた。
「あ、風信機長! いえ、さっき外を確認したときに風が強くて、ちょっと目に何か入ってしまって」
南風が目にもっていこうとした手を、風信が掴む。
2523南陽航空の少なからぬ社員たちの間で、その認識は共有されていた。
業界でも指折りの中堅パイロット、風信機長。
会社の有望株と名高い、南風副操縦士。
きら星のような二人は、その輝きだけで注目を集めていたのかといえば、それは少し違ったかもしれない。
「南風、どうした」
機へ向かう前にパイロットたちがフライトの確認を行うブリーフィング室。一足先にパソコン画面で雲の様子を確認していた南風が俯いているのを見て、やってきた風信が声をかける。
南風が顔を上げる。その片目は赤く涙でぬれていた。
「あ、風信機長! いえ、さっき外を確認したときに風が強くて、ちょっと目に何か入ってしまって」
南風が目にもっていこうとした手を、風信が掴む。
noa/ノア
DONE[風信&南風✈️] パイロットAU。風信機長とのクリスマスフライトが叶わず、一人、家で寂しく過ごしている南風だったが……?きよしこのよる はあ……
南風は自室のベッドにごろりと転がり、今日何度目かの大きな溜息をついた。
なんてつまらないクリスマスなんだ。
ちらりと時計を見る。味気ないクリスマスの日ももう終わろうとしている。
「クリスマスにオフなんて、彼女とデートでもすればいいじゃないか」そう言って小突いてきた年配の機長には苦笑いで返すしかなかったが、本当は言い返したかった。
彼女なんていませんよ。女性に興味ないですし。なんで若いっていうだけで、クリスマスには誰かとデートっていう発想になるんですか?
もちろん、そんなこと一文字だって言えないのだが。
自分がクリスマスを誰かと一緒に過ごすなら—。
その人は、いま、まさにクリスマス本場の国にいる。
3354南風は自室のベッドにごろりと転がり、今日何度目かの大きな溜息をついた。
なんてつまらないクリスマスなんだ。
ちらりと時計を見る。味気ないクリスマスの日ももう終わろうとしている。
「クリスマスにオフなんて、彼女とデートでもすればいいじゃないか」そう言って小突いてきた年配の機長には苦笑いで返すしかなかったが、本当は言い返したかった。
彼女なんていませんよ。女性に興味ないですし。なんで若いっていうだけで、クリスマスには誰かとデートっていう発想になるんですか?
もちろん、そんなこと一文字だって言えないのだが。
自分がクリスマスを誰かと一緒に過ごすなら—。
その人は、いま、まさにクリスマス本場の国にいる。
noa/ノア
DONE[風信&南風✈] 忘年会で酔っぱらった事故💋風南つづき。泥酔して寝落ちた南風の面倒をみながら、いろいろ考えてしまう風信さんがいます。(健全)
いったいどうすればいいんだ。
ホテルを出たところで風信は深いため息をついた。その肩には、可愛いコーパイの重みがずっしりと乗っている。
完全にもらい事故という状況に巻き込まれた風信をよそに、事故を起こした本人は、酔いがまわって気持ちよく寝落ちた。なんとか完全に寝てしまってはいないらしく、お開きになって会場を後にする時には、風信が肩を貸せば一応自分の足で歩いてはくれたが、一人で電車で帰るのは到底無理だろう。タクシーに突っ込もうかと思ったが、ホテル前のタクシーの列は長く、上司の面々が済むまでにまだ随分かかりそうだった。
まあそれでも待つほかないか、と歩き出したところで、肩から声がした。「きちょう……」
4585ホテルを出たところで風信は深いため息をついた。その肩には、可愛いコーパイの重みがずっしりと乗っている。
完全にもらい事故という状況に巻き込まれた風信をよそに、事故を起こした本人は、酔いがまわって気持ちよく寝落ちた。なんとか完全に寝てしまってはいないらしく、お開きになって会場を後にする時には、風信が肩を貸せば一応自分の足で歩いてはくれたが、一人で電車で帰るのは到底無理だろう。タクシーに突っ込もうかと思ったが、ホテル前のタクシーの列は長く、上司の面々が済むまでにまだ随分かかりそうだった。
まあそれでも待つほかないか、と歩き出したところで、肩から声がした。「きちょう……」
noa/ノア
DONE[風信&南風✈] 南陽航空の忘年会で酔っぱらって事故る南風💋めずらしく酔っぱらってふにゃふにゃの風信さん大好き南風がいます。
広い店内に、熱気と笑い声が満ち溢れている。
南陽航空の系列ホテルのバーを貸切っての忘年会。毎年代わり映えしないのだが、仕事以外でめったに集まることのない、パイロットに客室乗務員から地上クルーまでが集まるこの機会は大いに盛り上がる。
いつもは緊張を強いられる毎日。だが切り替え上手な者ばかりな分、羽目を外す時にはしっかり外すのがお決まりだ。
「南風、お前やってみろよ」
テーブルを囲むソファ席では、若手のパイロット達がはしゃいでいる。その真ん中ですでに頬を赤く染めている南風が、グラスをテーブルに置き、一つ咳払いをすると、もったいぶった様子で操縦桿を握る真似をすると、ぐっと眉間に皺を寄せる。
「南陽エアー099、スタンバイ・フォー・テイクオフ。……クソっ、玄真航空さっさとどけ!」
2958南陽航空の系列ホテルのバーを貸切っての忘年会。毎年代わり映えしないのだが、仕事以外でめったに集まることのない、パイロットに客室乗務員から地上クルーまでが集まるこの機会は大いに盛り上がる。
いつもは緊張を強いられる毎日。だが切り替え上手な者ばかりな分、羽目を外す時にはしっかり外すのがお決まりだ。
「南風、お前やってみろよ」
テーブルを囲むソファ席では、若手のパイロット達がはしゃいでいる。その真ん中ですでに頬を赤く染めている南風が、グラスをテーブルに置き、一つ咳払いをすると、もったいぶった様子で操縦桿を握る真似をすると、ぐっと眉間に皺を寄せる。
「南陽エアー099、スタンバイ・フォー・テイクオフ。……クソっ、玄真航空さっさとどけ!」
noa/ノア
DONE[風信&南風✈️] XにあげたパイロットAU。着陸直前に機体トラブルに見舞われた二人。神がいるなら「だめだな、こりゃ」
風信の声に、南風はごくりと小さく喉を上下させた。
目的地の上空まで来て、すでに数十分がたっている。本来ならもう着陸しているはずだった。だが、二人の視線の先では、着陸のための前輪の異常を示す赤いランプが点滅している。風信が何度も操作をやり直してみたが同じだった。おそらく表示の異常ではない。
車輪に異常があれば、着陸の衝撃で破壊され胴体着陸になる可能性も低くはない。南風は胸が冷たくなるのを感じた。
「だが、異常は前だけだ。後ろの二つは異常ないからこのまま着陸する」
まあ何とかなるだろう、と言う風信の声はカラリと楽観的で、だが南風には、それが自分に不安を与えないためのものだとわかっていた。おそらくその頭の中では、あらゆる情報を正確に分析して、素早く計算をしているはずだ。南風も、それを正しくなぞっていることを祈りながら自分も頭を回転させる。
1973風信の声に、南風はごくりと小さく喉を上下させた。
目的地の上空まで来て、すでに数十分がたっている。本来ならもう着陸しているはずだった。だが、二人の視線の先では、着陸のための前輪の異常を示す赤いランプが点滅している。風信が何度も操作をやり直してみたが同じだった。おそらく表示の異常ではない。
車輪に異常があれば、着陸の衝撃で破壊され胴体着陸になる可能性も低くはない。南風は胸が冷たくなるのを感じた。
「だが、異常は前だけだ。後ろの二つは異常ないからこのまま着陸する」
まあ何とかなるだろう、と言う風信の声はカラリと楽観的で、だが南風には、それが自分に不安を与えないためのものだとわかっていた。おそらくその頭の中では、あらゆる情報を正確に分析して、素早く計算をしているはずだ。南風も、それを正しくなぞっていることを祈りながら自分も頭を回転させる。
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DONE[風信&南風✈️]1129「いい肉の日」ということで、肉を食べに行く風南パイロットAUです。パイロット業界事情も、あちらの肉料理も、捏造と妄想100%なので悪しからず…。
いい肉の日「すみませんでした……」
クリップボードにペンを走らせながら、風信は隣で項垂れる南風にちらりと目をやった。しんと静まり返った操縦席。たまに遠くの滑走路のエンジン音が聞こえてくる。
「別に謝る必要はない」
「でも……弱気になってしまって」
初めて着陸を任される時は、誰しも緊張するものだ。
天気の変わりやすい地の空港で、雨と若干の横風という理想的とは言えない状況。着陸体勢に入ったところで、大丈夫かと聞かれた南風は操縦桿を握りながら思わず首を振ってしまった。
「途中で投げ出すなんて、パイロット失格だ」
「誰でも初めは怖いものだ。無茶をするよりよっぽどいい」
だが、南風の首は垂れたままだ。
「俺の初めての時なんて──」風信が胸ポケットにペンをしまう。「車輪が出なかった」
4402クリップボードにペンを走らせながら、風信は隣で項垂れる南風にちらりと目をやった。しんと静まり返った操縦席。たまに遠くの滑走路のエンジン音が聞こえてくる。
「別に謝る必要はない」
「でも……弱気になってしまって」
初めて着陸を任される時は、誰しも緊張するものだ。
天気の変わりやすい地の空港で、雨と若干の横風という理想的とは言えない状況。着陸体勢に入ったところで、大丈夫かと聞かれた南風は操縦桿を握りながら思わず首を振ってしまった。
「途中で投げ出すなんて、パイロット失格だ」
「誰でも初めは怖いものだ。無茶をするよりよっぽどいい」
だが、南風の首は垂れたままだ。
「俺の初めての時なんて──」風信が胸ポケットにペンをしまう。「車輪が出なかった」
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DOODLE[風信&南風✈️]いい…ぱいの日と聞いたので、パイロット風信&南風が🍎パイを食べるだけの現代AU。……あ、そのパイじゃない?
とりあえず、ぱいがいっぱい出てきます。
ぱいがいっぱい それにしても、キツいフライトだった。
降り注ぐシャワーの湯を浴びながら、風信はため息をついた。
数時間のフライトなのに、予想外の天候変化に乱気流に捕まること二回。ご丁寧に着陸間際にバードストライクまで。
だが、それほど機体も揺らさず、事故にもならず、安全にフライトをこなした自分を褒めたい。安全牌を適切に選んで無難に平穏なフライトをこなすのがどんなに難しいことか。だが、何事もなければ、何も起きなかったことを感謝されたりはしないのだ。事故を切り抜ければ英雄扱いされるのに、なんていう考えが頭をよぎることがあるなんて絶対に言えないが。
降りる乗客達は感謝こそしないが、忌々しげにちらりと見ていく乗客はいる。乱気流は俺のせいじゃない、と言いたい心をぐっと堪えるほかない。
2269降り注ぐシャワーの湯を浴びながら、風信はため息をついた。
数時間のフライトなのに、予想外の天候変化に乱気流に捕まること二回。ご丁寧に着陸間際にバードストライクまで。
だが、それほど機体も揺らさず、事故にもならず、安全にフライトをこなした自分を褒めたい。安全牌を適切に選んで無難に平穏なフライトをこなすのがどんなに難しいことか。だが、何事もなければ、何も起きなかったことを感謝されたりはしないのだ。事故を切り抜ければ英雄扱いされるのに、なんていう考えが頭をよぎることがあるなんて絶対に言えないが。
降りる乗客達は感謝こそしないが、忌々しげにちらりと見ていく乗客はいる。乱気流は俺のせいじゃない、と言いたい心をぐっと堪えるほかない。
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DONE[風信&南風] 南風の傷の手当をしながら話をする風信と南風。(カプなし)具体的な未邦訳ネタバレはないですが、過去編に思いを馳せながら書いてます。
風信と南風「待て、南風」
報告を済ませて部屋を出て行こうとしていた南風の背が、風信の声にぎくりと固まる。
「腕をどうした」
「いえ、何も……たいしたことじゃありません」
南風は振り返りながら腕にさっと手をやった。
南風の左側の二の腕、ちょうど中衣の短い袖に隠れるあたりだったが、机の前に座っていた風信の位置からはそこの衣が裂け血が滲んでいるのが見えた。
「座りなさい」
風信が言うと南風は眉間に皺を寄せ、小さく首を振った。
「大丈夫です。医官にでもみてもらいますので」
「たいしたことないんじゃなかったのか?」
風信が小さく笑うと、南風は眉間の皺をさらに深くしながらも、のろのろと戻ってきて座った。
「あの、本当に大丈夫ですから」
3149報告を済ませて部屋を出て行こうとしていた南風の背が、風信の声にぎくりと固まる。
「腕をどうした」
「いえ、何も……たいしたことじゃありません」
南風は振り返りながら腕にさっと手をやった。
南風の左側の二の腕、ちょうど中衣の短い袖に隠れるあたりだったが、机の前に座っていた風信の位置からはそこの衣が裂け血が滲んでいるのが見えた。
「座りなさい」
風信が言うと南風は眉間に皺を寄せ、小さく首を振った。
「大丈夫です。医官にでもみてもらいますので」
「たいしたことないんじゃなかったのか?」
風信が小さく笑うと、南風は眉間の皺をさらに深くしながらも、のろのろと戻ってきて座った。
「あの、本当に大丈夫ですから」
akatsuki_spring
DONEpixivに上げたものです。原作未読アニメ勢です。
慕情の過去を捏造しています(体を売ったことがある)
大丈夫OKという方だけお進みください!
秘密私には、誰にも知られるわけにはいかない秘密がある。
私が皇極観で修行が出来たのは、太子殿下の配慮があったためだ。
そうでもなければ罪人の子供が弟子になどなれるわけもなく、その点に関して私は殿下に感謝している。
側付として副将として、殿下のため国のためにあることは決して苦ではなかった。
だが私の中にはいつでも後ろめたさがあり、それは殿下からあいつを紹介された時、特に強く自身をなじった。
ある日、殿下のために良い茶葉を手配し町の店までそれを受け取りに行った帰り、宮殿の門の前で私を呼び止める男がいた。
男は良い身なりをしているが顔は厭らしく歪んでいた。
「慕情、ああ慕情ではないか!」
「…っ」
やけに馴れ馴れしいその男を、私はよく覚えていた。
2857私が皇極観で修行が出来たのは、太子殿下の配慮があったためだ。
そうでもなければ罪人の子供が弟子になどなれるわけもなく、その点に関して私は殿下に感謝している。
側付として副将として、殿下のため国のためにあることは決して苦ではなかった。
だが私の中にはいつでも後ろめたさがあり、それは殿下からあいつを紹介された時、特に強く自身をなじった。
ある日、殿下のために良い茶葉を手配し町の店までそれを受け取りに行った帰り、宮殿の門の前で私を呼び止める男がいた。
男は良い身なりをしているが顔は厭らしく歪んでいた。
「慕情、ああ慕情ではないか!」
「…っ」
やけに馴れ馴れしいその男を、私はよく覚えていた。
銀蝶々
DONE神楽月さん(@kaguraduki_M)の狐と兎の可愛いイラストから私の妄想が始まったお話。今回は従者の犬猫に焦点を当てて書かせてもらいました💓🐶🐱💓そして今回、神楽月さんがそんな犬猫のイラストを描き下ろしてくださっています🎶こちらで初出しです🥳💖
元のお話は『月の兎と地上の狐』 https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=18797204です。 9
銀蝶々
DONEアキさん(@akipon228)が、私の個人的なダンスの優勝を祝して私のリクエスト構図で素敵な风情絵を描いてくださったの、是非皆様にも見て頂きたくて展示させてもらっちゃいました🥳💗💗💗アキさん有難うございます❣️🙏🥹💘
せっかくのイベントでの展示なので、今回そのイラストに私が勝手に小話を付けてしまいました~😝💖お楽しみ頂けると幸いです✨
こちらで初出しになります🤭💓 6
銀蝶々
DONE연납さん(@renconabductor)の素敵な慕情さん絵からいつもの如く妄想劇場を勝手に書いたら、ラフ画を仕上げてもらっちゃいました❣️嬉しくて更に続きを書いたら今度は私の文章から연납さんが絵を描いてくださいました🙏😭💖素晴らしい描き下ろしイラスト初出しです❣️😳
English version is attached below the Japanese version💗💗💗 14
銀蝶々
DONEお正月に公開されたutopiaさんおみくじネタから大吉のお話を私の視点で書かせて頂きました😋💖当初は勝手に続編を書いて大吉おまけとして公開させてもらったのですが、今回はそれらを1本にまとめutopiaさんのSSSも合作させて頂いちゃってます(´>∀<`)ゝ
表紙も挿絵も頂いちゃった至れり尽くせりな作品を感謝を込めてupします🙏🥰 7
銀蝶々
DONEおみくじSSパスワード:おみくじの結果は? - utopia #poipiku https://poipiku.com/4264032/8079011.html↑こちらの続き(๑´ლ`๑)フ°フ°♡
パスワードは結果におまけを入れてね!
「○○おまけ」 2
cobi_brawn
MOURNING人生で初めての投稿です。慕情の内心がこんなだったらめちゃめちゃ滾るなぁという妄想の産物。自己満足の結晶です。生暖かい目で見てやってください。ぶっちゃけ尻切れトンボ。ご都合仕様で相手の内心が聞こえちゃうやつ慕情は本当にツンデレな男だ。
本心では人に感謝したり、相手を褒めたりしているのに口では素直に出せず、真逆の発言をしてしまう故に、その怜悧な相貌と相まって嫌味な奴だとか冷たい人だとか言われてしまう。それでも慕情は構わなかった。
しかし恋い慕う相手にもツンを発動してしまい、その人を毎度怒らせてしまうことだけが慕情にとっての悩みであった。
その日、風信と慕情は珍しく共同の鬼狩りの任務に当たっていた。
その任務の最中、残り一体の鬼が切られた瞬間、最後の足掻きとばかりに灰紫色の霧毒を慕情に向かって吐き出した。
「危ないっ!」
風信は慕情を突き飛ばして霧から庇い、代わりに思いっきり風信は霧を吸い込んでしまった。
ゴホゴホと咽せている風信のそばに瞬時に駆け寄り
4264本心では人に感謝したり、相手を褒めたりしているのに口では素直に出せず、真逆の発言をしてしまう故に、その怜悧な相貌と相まって嫌味な奴だとか冷たい人だとか言われてしまう。それでも慕情は構わなかった。
しかし恋い慕う相手にもツンを発動してしまい、その人を毎度怒らせてしまうことだけが慕情にとっての悩みであった。
その日、風信と慕情は珍しく共同の鬼狩りの任務に当たっていた。
その任務の最中、残り一体の鬼が切られた瞬間、最後の足掻きとばかりに灰紫色の霧毒を慕情に向かって吐き出した。
「危ないっ!」
風信は慕情を突き飛ばして霧から庇い、代わりに思いっきり風信は霧を吸い込んでしまった。
ゴホゴホと咽せている風信のそばに瞬時に駆け寄り