もちこの本棚📖
DONE幽霊けけシリーズの続きです👻最初の注意書きをお読みの上、問題ない方はそのままどうぞ!
一気に書きあげたので変なところがありそうです、すみませぬ…🙏あとでこっそり、修正予定です
幽霊の相棒とストーカーの話caution⚠︎
ストーカー視点から話が始まります、苦手な方はご注意ください。また、本作は犯罪行為を助長するものではありません。ちょっとだけホラー展開あり〼
彼の郵便受けを覗き見る。入っているのはチラシだけだった。郵便物が入っていれば、私が先に開けて中を見ることが出来たのに。
彼……伊月くんと私が運命的な出会いをしたのは数日前の事だった。あの日夜道を歩いていると、変な場所へ迷い込んでしまった。さっきまで普通の道を歩いていたのに、いつの間にか墓地の真ん中に立っていて、スマホの電波は圏外になっていた。慌てて墓地を抜けようとしても抜けることが出来ない、出口を探しても見つからない、いつの間にか顔のない人のようなものに囲まれて、このまま殺される――そう思った次の瞬間だった。
4162ストーカー視点から話が始まります、苦手な方はご注意ください。また、本作は犯罪行為を助長するものではありません。ちょっとだけホラー展開あり〼
彼の郵便受けを覗き見る。入っているのはチラシだけだった。郵便物が入っていれば、私が先に開けて中を見ることが出来たのに。
彼……伊月くんと私が運命的な出会いをしたのは数日前の事だった。あの日夜道を歩いていると、変な場所へ迷い込んでしまった。さっきまで普通の道を歩いていたのに、いつの間にか墓地の真ん中に立っていて、スマホの電波は圏外になっていた。慌てて墓地を抜けようとしても抜けることが出来ない、出口を探しても見つからない、いつの間にか顔のない人のようなものに囲まれて、このまま殺される――そう思った次の瞬間だった。
ことざき
DONE独占欲について。K暁。とんちき?穴があったら入りたい 指先が触れたのは、隣に座る彼の手の甲だった。
肌理は年齢相応に荒くかさついていて、暁人が何気なく指をすべらせると、人肌特有の滑らかさとともに、はっきりとしたざらつきを感じた。力をこめるとわずかにへこむ皮膚は分厚く硬い。熱い緑茶の入った湯呑みを平然とわしづかみにしていた彼の姿を思いだし、なるほどこの樹皮のように厚い皮膚があるから平気だったのかと、改めて深く納得した。
新たな発見にすっかり気を良くした暁人は、血管が浮いた手の甲をさらに先へとたどり、がっしりとした太い指を撫でた。彼がこなしてきた力仕事の数々を思わせる、ごつごつと存在感のある関節の山をふたつ越え、真冬でもないのにちくちくと目立つ逆剥けを通りすぎれば、これまでとは違うつるりとした感触に行き当たった。爪だ。しかし、やはりそこも完全に滑らかとはいえず、わずかなでこぼこを指先に感じた。
4280肌理は年齢相応に荒くかさついていて、暁人が何気なく指をすべらせると、人肌特有の滑らかさとともに、はっきりとしたざらつきを感じた。力をこめるとわずかにへこむ皮膚は分厚く硬い。熱い緑茶の入った湯呑みを平然とわしづかみにしていた彼の姿を思いだし、なるほどこの樹皮のように厚い皮膚があるから平気だったのかと、改めて深く納得した。
新たな発見にすっかり気を良くした暁人は、血管が浮いた手の甲をさらに先へとたどり、がっしりとした太い指を撫でた。彼がこなしてきた力仕事の数々を思わせる、ごつごつと存在感のある関節の山をふたつ越え、真冬でもないのにちくちくと目立つ逆剥けを通りすぎれば、これまでとは違うつるりとした感触に行き当たった。爪だ。しかし、やはりそこも完全に滑らかとはいえず、わずかなでこぼこを指先に感じた。
ことざき
DONEモブ視点の、花を贈る青年の話。(K暁)花を贈る人 数日ごとに来店し、花を買っていく若い男性客がいた。
花は決して安い買い物ではない。その頻度だけでも記憶に残りやすいが、なによりも私の胸に焼き付いていたのは、彼が醸し出していた雰囲気だった。
彼は清潔感のある身目よい青年だったけれど、いつもこわばった翳のある表情をしていて、顔色もあまりよくなかった。見た目どおりに礼儀正しい人で、私や他の店員と言葉を交わすときだけは笑みらしきものを浮かべるものの、会話が終わればまた思い詰めた表情に戻ってしまう。受け取った花を見下ろす彼の目には、底知れない絶望が浮かんでいるように見えた。
事情は少しだけ知っていた。彼が初めて来店したときに、「お見舞い用の花はありますか」と訊かれたからだ。どうやら彼の妹が入院しているらしく、少しでも病室を華やかにしたいとのことだった。そのときに、たとえ差し色であっても、赤色や赤みを帯びたものは絶対に入れないでほしいとも言われた。そう要望を出したときの彼の声は、少しふるえていた。
2335花は決して安い買い物ではない。その頻度だけでも記憶に残りやすいが、なによりも私の胸に焼き付いていたのは、彼が醸し出していた雰囲気だった。
彼は清潔感のある身目よい青年だったけれど、いつもこわばった翳のある表情をしていて、顔色もあまりよくなかった。見た目どおりに礼儀正しい人で、私や他の店員と言葉を交わすときだけは笑みらしきものを浮かべるものの、会話が終わればまた思い詰めた表情に戻ってしまう。受け取った花を見下ろす彼の目には、底知れない絶望が浮かんでいるように見えた。
事情は少しだけ知っていた。彼が初めて来店したときに、「お見舞い用の花はありますか」と訊かれたからだ。どうやら彼の妹が入院しているらしく、少しでも病室を華やかにしたいとのことだった。そのときに、たとえ差し色であっても、赤色や赤みを帯びたものは絶対に入れないでほしいとも言われた。そう要望を出したときの彼の声は、少しふるえていた。
ことざき
DONE24年5月の、#毎月25日はK暁デー に参加させていただきました。プレゼントしあうK暁です。
贈り物ラプソディ 交番勤務時代の何が嫌だったかといえば、夏場の防刃衣だった。とにかく暑い。あれを着て炎天下に立っているのは、拷問以外の何物でもなかった。
刑事になって、あの暑苦しさから解放されたと思いきや、今度はネクタイに首を絞められる毎日だ。おまけに〝職務にふさわしい服装〟とやらを自分で用意する煩わしさまでついてきた。いったいなにが悲しくて自分で自分の首輪を買わなきゃいけねえんだか。あれのなにがどう〝相応しい〟のか、さっぱり分からねえ。
今だってそうだ。こうして、祓い屋などと呼ばれるヤクザな商売に就いて、今度こそ堅苦しい格好からオサラバできるはずが、「こんな商売だからこそ依頼人に信用されるようにしろ」との凛子サマからのお達しだ。オレは切った張ったの実働部隊だぞ。依頼人に会ったその足で怪異に遭遇することもあるんだぞ。やってられるかってんだ。
6412刑事になって、あの暑苦しさから解放されたと思いきや、今度はネクタイに首を絞められる毎日だ。おまけに〝職務にふさわしい服装〟とやらを自分で用意する煩わしさまでついてきた。いったいなにが悲しくて自分で自分の首輪を買わなきゃいけねえんだか。あれのなにがどう〝相応しい〟のか、さっぱり分からねえ。
今だってそうだ。こうして、祓い屋などと呼ばれるヤクザな商売に就いて、今度こそ堅苦しい格好からオサラバできるはずが、「こんな商売だからこそ依頼人に信用されるようにしろ」との凛子サマからのお達しだ。オレは切った張ったの実働部隊だぞ。依頼人に会ったその足で怪異に遭遇することもあるんだぞ。やってられるかってんだ。
akibin02_gwt
DOODLE本当はもう少しちゃんと怪異退治パートも書きたかったのですがとりあえずライト版。学校にはやっぱり怪異がいたのです。そりゃ居るでしょう、学校だし。
子どもと暁君には甘いKおじっていいよね。 1550
もちこの本棚📖
DONE過去に幽霊けけシリーズの短編で書いたものを加筆修正しました。お題は「傘」をお借りしています。幽霊けけシリーズってなぁに?という方は本編後の暁人くんの元に幽霊として帰ってきたKKが再び一心同体状態で生活を共にしている、という設定が前提にあるおはなし、と解釈していただければ…!
(過去作を読んでいただけると尚のこと嬉しいです………!)
幽霊の相棒と、傘と ――スマートフォンのアラーム音が鳴る。
うーん、と軽く唸りながら暁人がスマホに手を伸ばし、画面も見ずにアラーム解除をタップした。まだ眠り足りない暁人が再び眠りにつこうとすると、突然金縛りにあったように体が動かなくなり、目がバチッと開かれ閉じることが出来なくなる。ずしり、と体の上に何かの重さを感じ、恐る恐るソレの正体を確認…することはなく
「けぇけぇ……金縛りで起こすのやめてくれる…?」
寝起きの少し掠れた声で暁人が困った顔をした。
『こうでもしないと起きないだろ、オマエ』
金縛りを起こしたのは幽霊の相棒である、KKの仕業だった。霊体姿で暁人の上に胡座をかいて座っている。
「大丈夫だよ……二度寝したって間に合うようにアラームセットしてるんだから……」
1352うーん、と軽く唸りながら暁人がスマホに手を伸ばし、画面も見ずにアラーム解除をタップした。まだ眠り足りない暁人が再び眠りにつこうとすると、突然金縛りにあったように体が動かなくなり、目がバチッと開かれ閉じることが出来なくなる。ずしり、と体の上に何かの重さを感じ、恐る恐るソレの正体を確認…することはなく
「けぇけぇ……金縛りで起こすのやめてくれる…?」
寝起きの少し掠れた声で暁人が困った顔をした。
『こうでもしないと起きないだろ、オマエ』
金縛りを起こしたのは幽霊の相棒である、KKの仕業だった。霊体姿で暁人の上に胡座をかいて座っている。
「大丈夫だよ……二度寝したって間に合うようにアラームセットしてるんだから……」
ことざき
DOODLEキスしたかったK暁の話。とても暗い。5/23がキスの日だと知って書こうとしたら斜め方向に暴投しました。
診断メーカー『あなたに書いて欲しい物語(ID:801664)』の【「ほら、目を閉じて」で始まり、「私も同じ気持ちだった」で終わる物語を書いて欲しいです。できれば7ツイート(980字)でお願いします。】をお借りしています。 2235
ことざき
DONEおやつを食べるK暁の話。おやつの時間「あのさ、ちょっとつき合ってほしいんだけど」
KKが暁人からそう頼まれたのは、カーテンの隙間から射しこむ陽光が赤みを帯びはじめた、午後四時過ぎのことだった。
「追加の買い出しか?」
こんな時間帯に頼まれることなど、それくらいしか思い浮かばない。KKは読みかけの文庫本を閉じると、ローテーブルの上に置いた。ソファから立ちあがり、ボディバッグを取りに行こうと寝室へ向かいかけたところで、近づいてきた暁人に制された。
「一緒におやつを食べてほしいんだ」
KKは眉をあげた。
「食いに行くんじゃなくてか?」
「うん」
ソファのかたわらに立つ暁人の笑顔はどこか遠慮がちに見えた。
「そりゃ、別にかまわねえが……」
「良かった!」
5591KKが暁人からそう頼まれたのは、カーテンの隙間から射しこむ陽光が赤みを帯びはじめた、午後四時過ぎのことだった。
「追加の買い出しか?」
こんな時間帯に頼まれることなど、それくらいしか思い浮かばない。KKは読みかけの文庫本を閉じると、ローテーブルの上に置いた。ソファから立ちあがり、ボディバッグを取りに行こうと寝室へ向かいかけたところで、近づいてきた暁人に制された。
「一緒におやつを食べてほしいんだ」
KKは眉をあげた。
「食いに行くんじゃなくてか?」
「うん」
ソファのかたわらに立つ暁人の笑顔はどこか遠慮がちに見えた。
「そりゃ、別にかまわねえが……」
「良かった!」
meeeenkdm
PAST全員生存本編後、KKに拒絶された暁人。愛してるじゃ足りない「ダメだ。オマエはもうアジトに来るな」
あの夜を二人で生き抜き、全員無事に戻ってきた。直後は魂の復元などバタついていたが、それも落ち着き日常を取り戻してきた頃、KKから面と向かって投げかけられた拒絶の言葉。一瞬理解が出来ずに、時が止まったのかと錯覚した程だった。
「…はぁ?!なんでだよ!!」
今このアジトに居るのは後凛子さんとエドさんだけで、僕の大声で二人の肩を跳ね上げさせてしまった。
「何でもだ。いいな」
「ちょっ、KKぇ!!!」
引き留めようとする手をすり抜け彼はアジトから出ていってしまう。取り残された僕は、空を切った手を下ろすことも出来ずに閉められた扉を見つめるしか無かった。実際には数秒だろうが、体感何十分も経った頃に後ろから凛子さんの溜め息が聞こえてくる。
1487あの夜を二人で生き抜き、全員無事に戻ってきた。直後は魂の復元などバタついていたが、それも落ち着き日常を取り戻してきた頃、KKから面と向かって投げかけられた拒絶の言葉。一瞬理解が出来ずに、時が止まったのかと錯覚した程だった。
「…はぁ?!なんでだよ!!」
今このアジトに居るのは後凛子さんとエドさんだけで、僕の大声で二人の肩を跳ね上げさせてしまった。
「何でもだ。いいな」
「ちょっ、KKぇ!!!」
引き留めようとする手をすり抜け彼はアジトから出ていってしまう。取り残された僕は、空を切った手を下ろすことも出来ずに閉められた扉を見つめるしか無かった。実際には数秒だろうが、体感何十分も経った頃に後ろから凛子さんの溜め息が聞こえてくる。
ポテトゾンビ
DONE #毎月25日はK暁デー4代目になってからの作品置き場。
毎月X(旧Twitter)に上げるのと同時にこちらにも追加していきます。
3代目運営様の間のデー作品置き場→ https://poipiku.com/2857944/9115210.html
それ以前のデー作品置き場→ https://poipiku.com/2857944/8535186.html 3
ことざき
DONE診断メーカー『あなたに書いて欲しい物語(ID:801664)』さんから、春に浮かれれるK暁の話。【「君と秘密を分け合いたい」で始まり、「緑が目に眩しかった」で終わる物語を書いて欲しいです。できれば3ツイート(420字)以上でお願いします。】 1830
5ilent_nya
DONE感覚遮断壁尻が見たい!と言っていたらサブさん(@subaccount3210)とぱそのさん(@pa_so_konbu)が小説と漫画にしてくださる奇跡が起きたので、恩に報いるため表紙を作成しました。5ilent_nya
MOURNING伊予柑を食べているときに「果物食べるのを少し不穏な描写で書けたら楽しそう」と思って書きました。ED後、独自設定あり。
K暁 傷付けた厚い表皮に親指を添える。
力を込めると歪んだ表皮の内からみりみりと音がして、食い込む指先を溢れ出してきたものが濡らした。
みるみる手首まで伝った雫が小さな水たまりを作る。
瑞々しい表皮を引き剥がして千切り、内側の柔らかい果肉を薄皮ごと含めばじゅわりと口内が満たされた。
潰れて弾ける感触を奥歯で楽しみ、そのたびに溢れる果汁を啜る。
大半が水分のようなものなので、ほとんど飲むように腹に収めた。
最後の一口を飲み込んで、今更ではあるが濡れそぼった指先を手のひらごと下に向ける。
咀嚼する間にも次々と滴っていくものだから、都度都度拭くのは早々に諦めていた。
ティッシュでは太刀打ちできそうにない惨状を見遣り、布巾で粛々と手を拭った。
1637力を込めると歪んだ表皮の内からみりみりと音がして、食い込む指先を溢れ出してきたものが濡らした。
みるみる手首まで伝った雫が小さな水たまりを作る。
瑞々しい表皮を引き剥がして千切り、内側の柔らかい果肉を薄皮ごと含めばじゅわりと口内が満たされた。
潰れて弾ける感触を奥歯で楽しみ、そのたびに溢れる果汁を啜る。
大半が水分のようなものなので、ほとんど飲むように腹に収めた。
最後の一口を飲み込んで、今更ではあるが濡れそぼった指先を手のひらごと下に向ける。
咀嚼する間にも次々と滴っていくものだから、都度都度拭くのは早々に諦めていた。
ティッシュでは太刀打ちできそうにない惨状を見遣り、布巾で粛々と手を拭った。
もちこの本棚📖
DONE2024年2月25日K暁オンリーイベント、開催おめでとうございます🥳
K暁デーネットプリント企画、お題「バレンタインデー」で書かせていただきました。
同棲軸の二人のはなしです🍚
※既にお知らせしていますが、本部様のネップリアンソロに申請させていただいた予約番号は不備があったためすでに削除しています。白黒版、修正したカラー版を登録し直したので、詳細はTwitter(X)をご覧下さい!
ビターな思い出を塗り替えて「KK、いつもありがとう」
お皿の上にちょこんと乗せられたそれは、どうやらチョコレートケーキのようだ。
「あ?……昨日作っていたのは、それだったのか」
昨日の夕方頃、帰宅すると部屋中チョコレートの甘い香りで包まれていて、その残り香が甘ったるくてつい顔を顰めてしまった。その香りの正体が、これだというわけだ。
「甘さ控えめにしたからさ、KKでも食べられると思うよ」
食べてみて苦手なら残してもいいからさ、と暁人は皿をずずいっとオレの前に差し出してくる。残してもいいと言うが、せっかく作ってくれたものを食べないわけにもいかない。とりあえず一口、と控えめにスプーンですくって口へと運ぶ。
「…………美味いな、これ」
1959お皿の上にちょこんと乗せられたそれは、どうやらチョコレートケーキのようだ。
「あ?……昨日作っていたのは、それだったのか」
昨日の夕方頃、帰宅すると部屋中チョコレートの甘い香りで包まれていて、その残り香が甘ったるくてつい顔を顰めてしまった。その香りの正体が、これだというわけだ。
「甘さ控えめにしたからさ、KKでも食べられると思うよ」
食べてみて苦手なら残してもいいからさ、と暁人は皿をずずいっとオレの前に差し出してくる。残してもいいと言うが、せっかく作ってくれたものを食べないわけにもいかない。とりあえず一口、と控えめにスプーンですくって口へと運ぶ。
「…………美味いな、これ」
もちこの本棚📖
PAST1月のK暁デー、お題は「温泉」で書かせていただきました♨️まだ付き合っていない、ふたりの話です
湯けむり温泉、恋慕の情「あ、見えてきた!あの旅館だね」
「おー、立派なモンだなぁ」
暁人とKKは、某県某市のとある旅館へと足を運んでいた。駐車場から少し歩くと、趣のある旅館が立派に構えている。古くからある旅館だが、ネットのクチコミでも評価が高いようだ。
「貰った宿泊券じゃないと、こんな立派な場所なんか来れなかったね」
「オマエの強運も、大したものだよ」
――そもそも、この旅館に泊まることができたのは暁人のおかげだった。たまたま貰った一枚の福引の抽選券で、なんと特賞が当たったものだから暁人は嬉しさよりも驚きの方が増してしばらくぽかんとしていた。同行していたKKが、たまには兄妹で旅行でもしてきたらどうだ、と提案したのもあって帰宅後すぐに麻里に話す。が
3273「おー、立派なモンだなぁ」
暁人とKKは、某県某市のとある旅館へと足を運んでいた。駐車場から少し歩くと、趣のある旅館が立派に構えている。古くからある旅館だが、ネットのクチコミでも評価が高いようだ。
「貰った宿泊券じゃないと、こんな立派な場所なんか来れなかったね」
「オマエの強運も、大したものだよ」
――そもそも、この旅館に泊まることができたのは暁人のおかげだった。たまたま貰った一枚の福引の抽選券で、なんと特賞が当たったものだから暁人は嬉しさよりも驚きの方が増してしばらくぽかんとしていた。同行していたKKが、たまには兄妹で旅行でもしてきたらどうだ、と提案したのもあって帰宅後すぐに麻里に話す。が