kemeko_hina
MOURNING運命に滾ったにもかかわらずどうにも大不正解な降風になりました〜いぇーい甘くもなくただただめんどくさい感じです。
運命論者の、「なぁ風見、今この世界には何人いると思う?」
また始まった。このやたらとあらゆることに見識が広いらしい上司は、ときおりこうやって唐突に問題をぶつけてくるのだ。それがたとえ今のように、作戦までのわずかな間のことだとしても。もちろん、けっしてそれが部下の緊張を和らげてやろうなどという殊勝な心がけのはずもないので、風見からすれば迷惑極まりない。
最初の頃こそ己の平凡な脳を必死に働かせたものだが、それもいつからかやめてしまった。うっかりすると意外とお喋りな上司を助長しかねないので。兎にも角にもすっかり慣れてしまった今となっては、結局たいして働きもしない脳を、彼の発した音を理解することだけに集中させることにしている。
2439また始まった。このやたらとあらゆることに見識が広いらしい上司は、ときおりこうやって唐突に問題をぶつけてくるのだ。それがたとえ今のように、作戦までのわずかな間のことだとしても。もちろん、けっしてそれが部下の緊張を和らげてやろうなどという殊勝な心がけのはずもないので、風見からすれば迷惑極まりない。
最初の頃こそ己の平凡な脳を必死に働かせたものだが、それもいつからかやめてしまった。うっかりすると意外とお喋りな上司を助長しかねないので。兎にも角にもすっかり慣れてしまった今となっては、結局たいして働きもしない脳を、彼の発した音を理解することだけに集中させることにしている。
kemeko_hina
MOURNINGぺいあてんしょん!降風ですが暗いうえに書きたいとこだけ書いたので情景描写ゼロですつまり意味不明
一度はネタにしたいマザーグース
しにたがりとクックロビン 一分でも一秒でも、はやく、はやく、はやく。はやく。
「どうしてこんなことをした!!」
言うが早いか、伸びてきた手が風見の胸ぐらを掴む。首の後ろに食い込むワイシャツの襟が痛い。そういえば今日は新しいものをおろしてきたばかりだった。固くてまだ馴染んでないそれの感触がいやに気に障る。思わず出かかった舌打ちを喉の奥に押し込んで、風見は努めて冷静を装う。
「……どうして、もなにもないでしょう。自分はあの場において最善と思われる方法をとっただけです」
ぐ、と糊の聞いたシャツに皺が寄る。だから今日おろしたばかりなんです、そんなことはこのひとが知る由もないだろうけど。音がしそうなくらい力の込められた褐色の手は風見が知っているよりもずっと色をなくしていて、血管の内側からわずかに白い骨が透けてみえた。
1253「どうしてこんなことをした!!」
言うが早いか、伸びてきた手が風見の胸ぐらを掴む。首の後ろに食い込むワイシャツの襟が痛い。そういえば今日は新しいものをおろしてきたばかりだった。固くてまだ馴染んでないそれの感触がいやに気に障る。思わず出かかった舌打ちを喉の奥に押し込んで、風見は努めて冷静を装う。
「……どうして、もなにもないでしょう。自分はあの場において最善と思われる方法をとっただけです」
ぐ、と糊の聞いたシャツに皺が寄る。だから今日おろしたばかりなんです、そんなことはこのひとが知る由もないだろうけど。音がしそうなくらい力の込められた褐色の手は風見が知っているよりもずっと色をなくしていて、血管の内側からわずかに白い骨が透けてみえた。
furifuri2159
DOODLE降風♀組織に部下殺される
↓
潜入捜査で隙をつかれて上司拉致される
↓
部下達助けに来る
↓
見覚えのない女性が
↓
野生の勘発動
↓
部下が女性になって帰ってきたえっちだ
↓
え、男に戻る方法は?
A.ボクとセッ 2
kemeko_hina
MAIKING降風ワンドロお題「抱きしめて」の途中まで。ここまででお題までたどり着いてないという謎。降風ワンドロのはずだったもの(途中)「あぁ、もう、勝手にしろ!!」
「ええ、そうさせてもらいます!!」
今にして思えば、売り言葉に買い言葉、だった。
その日、いつもなら気にならない相手の言葉尻がなぜか喉に小骨のように刺さって、ちくちくと細かな傷のようにいつまでもまとわりついていた。そこへ追い打ちのように苛立ったような声がかかったものだから、風見はつい言い返してしまったのだ。
『降谷さんには、関係ないです』
完全に悪手だ。彼が部下兼恋人である自分の行動を把握していないと気がすまない質であると、知っていながら言ってしまったのだからなおさら悪い。
そこからはお互い何を言い合ったのか定かではない――風見よりよほど優秀な頭脳を持っている彼なら覚えているかもしれないが、と考えて、なんだかこの妙に卑屈っぽい自分が嫌になってくる。
1959「ええ、そうさせてもらいます!!」
今にして思えば、売り言葉に買い言葉、だった。
その日、いつもなら気にならない相手の言葉尻がなぜか喉に小骨のように刺さって、ちくちくと細かな傷のようにいつまでもまとわりついていた。そこへ追い打ちのように苛立ったような声がかかったものだから、風見はつい言い返してしまったのだ。
『降谷さんには、関係ないです』
完全に悪手だ。彼が部下兼恋人である自分の行動を把握していないと気がすまない質であると、知っていながら言ってしまったのだからなおさら悪い。
そこからはお互い何を言い合ったのか定かではない――風見よりよほど優秀な頭脳を持っている彼なら覚えているかもしれないが、と考えて、なんだかこの妙に卑屈っぽい自分が嫌になってくる。
のじま
DOODLE付き合ってる降風の、初めての夜の話。いかがわしくない。こうふく このひとが幸せであればいいと思った。自分といることで幸せを感じてくれるというなら、その気持ちに応えたいと思った。
最初は、すべてあなたのためだった。あなたの希いを叶えられるのなら、それでよかった。
それなのに、いつからだろう。あなたといることが、自分の幸福になっていた。
心底たのしそうに笑う顔。うれしそうに此方を見つめる瞳。気の抜けた横顔。すこし甘えた物言い。
ぼくへと向けられる、ひたむきな信頼と愛情が、どうしようもなくうれしい。あいしている、と声に出さずとも伝わってくる、態度が、仕草が、どうしようもなくいとおしい。
いつでも手を離してあげられるよう覚悟をしていたはずのぼくは、気付けばあなたとの生活がいつまでも続けばいいと希うようになっていた。
968最初は、すべてあなたのためだった。あなたの希いを叶えられるのなら、それでよかった。
それなのに、いつからだろう。あなたといることが、自分の幸福になっていた。
心底たのしそうに笑う顔。うれしそうに此方を見つめる瞳。気の抜けた横顔。すこし甘えた物言い。
ぼくへと向けられる、ひたむきな信頼と愛情が、どうしようもなくうれしい。あいしている、と声に出さずとも伝わってくる、態度が、仕草が、どうしようもなくいとおしい。
いつでも手を離してあげられるよう覚悟をしていたはずのぼくは、気付けばあなたとの生活がいつまでも続けばいいと希うようになっていた。
のじま
DOODLEキスする降風月間に書いたもの。事故チューしてしまった、付き合ってないふたりの話。こたえはまだ知らない あ、と思った時には遅かった。
唇に触れるやわらかな熱。鼻先をふわりとくすぐる石鹸の香り。澄んだ薄花色の瞳がぱちりと瞬きをするのにハッとして、慌てて距離をとった。
「す、すみません!」
「いや、僕も……すまなかった」
タイミングが悪かったな、と苦笑している上司は大して気にしたふうもない。途端にひとり慌てている自分が幼稚に思えて、驚いた拍子に握り込んでしまった書類の皺を伸ばすふりをして俯いた。
*
今日は、降谷が久々に登庁する日だった。ひと通りの少ない小会議室を借りての打ち合わせ。前回から結構間が空いてしまったためそれなりの量になってしまった書類に目を通してもらっている間、自分は隣でチェック済みの書類を整理していた。
1021唇に触れるやわらかな熱。鼻先をふわりとくすぐる石鹸の香り。澄んだ薄花色の瞳がぱちりと瞬きをするのにハッとして、慌てて距離をとった。
「す、すみません!」
「いや、僕も……すまなかった」
タイミングが悪かったな、と苦笑している上司は大して気にしたふうもない。途端にひとり慌てている自分が幼稚に思えて、驚いた拍子に握り込んでしまった書類の皺を伸ばすふりをして俯いた。
*
今日は、降谷が久々に登庁する日だった。ひと通りの少ない小会議室を借りての打ち合わせ。前回から結構間が空いてしまったためそれなりの量になってしまった書類に目を通してもらっている間、自分は隣でチェック済みの書類を整理していた。
まりこ/hld_op
DONEいただいたお題で書いた降風ですお題:いい加減にしてくれ少し前から、上司に添い寝を頼まれている。ひとりだとうまく眠れない、といつになく弱った声で言われて、風見は自分でいいのかの訝しみつつ、了承したのだった。
命令ではない。「今夜、頼めないか」と電話してくるときの降谷の声は、いつも断られることを怖がっているように聞こえて、そんなに遠慮しなくても、と風見は思う。同意の上だし、セクハラにも当たらないだろう。たぶん。
「日付が変わる頃になるかもしれませんが」
『かまわない。待ってる』
通話が切れたスマホをポケットにしまい、目の前の書類仕事に意識を戻した。
深夜、インターフォンを鳴らすのは憚られる。そろそろ着きますと連絡を入れておいて、合鍵でドアを開けた。
「おかえり」
玄関で出迎えられる。降谷は近ごろ、風見にそう声をかける。
3077命令ではない。「今夜、頼めないか」と電話してくるときの降谷の声は、いつも断られることを怖がっているように聞こえて、そんなに遠慮しなくても、と風見は思う。同意の上だし、セクハラにも当たらないだろう。たぶん。
「日付が変わる頃になるかもしれませんが」
『かまわない。待ってる』
通話が切れたスマホをポケットにしまい、目の前の書類仕事に意識を戻した。
深夜、インターフォンを鳴らすのは憚られる。そろそろ着きますと連絡を入れておいて、合鍵でドアを開けた。
「おかえり」
玄関で出迎えられる。降谷は近ごろ、風見にそう声をかける。
まりこ/hld_op
DONEいただいたお題で書いた降風です。お題: 分かって欲しくない「君のプライベートも少しは尊重しないとな」
降谷さんが何気なく言った一言に、僕は驚いて箸を落としてしまった。
今日は安室透の部屋で晩ごはんをご馳走になっていた。降谷さんのお料理は相変わらずとても美味しくて、今の今までニコニコしていたのだが、いっぺんで青ざめてしまった。
「ん? どうかしたか?」
「いえ、なんでも……」
降谷さんがぼくのプライベート云々を言い出したのは、先日の怪盗キッドの事件のせいだ。
降谷さんに呼び出されて沖野ヨーコさんのライブを見られなかったぼくは、ちょっと拗ねた態度をとってしまった。
降谷さんが送ってくださった、おそらくお詫びの気持ちがこもった品もチョイスが微妙にずれていて(行けなかったライブを再演するなんてそもそも無理なのだが)「そういうことじゃないんだよなぁ」と思っていた。
1836降谷さんが何気なく言った一言に、僕は驚いて箸を落としてしまった。
今日は安室透の部屋で晩ごはんをご馳走になっていた。降谷さんのお料理は相変わらずとても美味しくて、今の今までニコニコしていたのだが、いっぺんで青ざめてしまった。
「ん? どうかしたか?」
「いえ、なんでも……」
降谷さんがぼくのプライベート云々を言い出したのは、先日の怪盗キッドの事件のせいだ。
降谷さんに呼び出されて沖野ヨーコさんのライブを見られなかったぼくは、ちょっと拗ねた態度をとってしまった。
降谷さんが送ってくださった、おそらくお詫びの気持ちがこもった品もチョイスが微妙にずれていて(行けなかったライブを再演するなんてそもそも無理なのだが)「そういうことじゃないんだよなぁ」と思っていた。
ShimoTsuki_Knm2
DONEお題:ハロちゃんの肉球をふにふにする降風お題:ハロちゃんの肉球をふにふにする降風 上司の家に行ったら彼の愛犬が真っ先に飛び付いてきた。
「やあ、ワンちゃん。おはよう」
靴を脱いで上がってから、すぐにしゃがみこんで頭を撫でる。
「あれ。僕より先に迎えに出たのか」
肩にタオルを引っかけた降谷が、風見にまとわりつくハロを見て言った。
「おはようございます、降谷さん」
「おはよう、風見。朝からすまないな」
「いえ。登庁まではまだ余裕があるので大丈夫です」
そう言って、風見は持参した資料を降谷に差し出した。
「ありがとう。今日中に確認しておくよ」
「よろしくお願いします」
仕事の話をするふたりを、ハロはキョロキョロと見比べていたが、しばらくしてムムッと顔をしかめ、前足を風見の足に乗せた。
「どうしたんだい、ワンちゃん?」
1015「やあ、ワンちゃん。おはよう」
靴を脱いで上がってから、すぐにしゃがみこんで頭を撫でる。
「あれ。僕より先に迎えに出たのか」
肩にタオルを引っかけた降谷が、風見にまとわりつくハロを見て言った。
「おはようございます、降谷さん」
「おはよう、風見。朝からすまないな」
「いえ。登庁まではまだ余裕があるので大丈夫です」
そう言って、風見は持参した資料を降谷に差し出した。
「ありがとう。今日中に確認しておくよ」
「よろしくお願いします」
仕事の話をするふたりを、ハロはキョロキョロと見比べていたが、しばらくしてムムッと顔をしかめ、前足を風見の足に乗せた。
「どうしたんだい、ワンちゃん?」
ShimoTsuki_Knm2
DONEお題:小さな喧嘩をして、いつのまにかイチャイチャ仲直りしてる降風お題:小さな喧嘩をして、いつのまにかイチャイチャ仲直りしてる降風 まとわりつく女の強い香水に、内心辟易する。
情報を引き出す為だと己に言い聞かせ、完璧な笑顔を貼り付け、「バーボン」はチラリと少し離れた位置に目を向けた。
長身でスリムなバーテンダーと一瞬目が合うが、すぐに逸らされる。
と。
「あら。どうしたの? こわい顔をして」
「いえ、別に何も」
かぶりを振って返しながら、バーボンは女ににこりと笑いかけた。
*
酔ってしまった女をタクシーに乗せ、運転手に釣りは要らないと告げて金を渡す。
必要な情報は引き出せたから、これであの女に用はない。女の連絡先ごと全てのデータを削除し、プリペイド式のスマートフォンをゴミ箱に放り捨てた。
バーボンはそのまま駐車場に向かい、停めておいた愛車に乗り込む。
1227情報を引き出す為だと己に言い聞かせ、完璧な笑顔を貼り付け、「バーボン」はチラリと少し離れた位置に目を向けた。
長身でスリムなバーテンダーと一瞬目が合うが、すぐに逸らされる。
と。
「あら。どうしたの? こわい顔をして」
「いえ、別に何も」
かぶりを振って返しながら、バーボンは女ににこりと笑いかけた。
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酔ってしまった女をタクシーに乗せ、運転手に釣りは要らないと告げて金を渡す。
必要な情報は引き出せたから、これであの女に用はない。女の連絡先ごと全てのデータを削除し、プリペイド式のスマートフォンをゴミ箱に放り捨てた。
バーボンはそのまま駐車場に向かい、停めておいた愛車に乗り込む。
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DONEお題:くしゃみお題:くしゃみ くしゅっ、と小さな音がした。
誰かのくしゃみの音か、とその場にいた全員が目を一点に向ける。
視線を受けた佐藤は、きょとんとしてから手をパタパタと横に振った。
「違う違う。違います。私じゃないわよ、今のくしゃみ」
「佐藤さんじゃないんですか?」
白鳥が意外そうに目を見張る。今、この場には佐藤しか女性がいないのに、と。
「じゃあ、今の可愛らしいくしゃみ、誰だったんですか?」
高木が不思議に思いながら周囲を見回した時、鼻をぐすっと鳴らす音がした。
今度はその音を立てた人物に目が集まる。
「………失礼」
鼻を押さえながら言った風見を見て、全員が意外な結果に茫然としたのだった。
*
車に乗り込みながら、風見は憮然として今日の捜査会議のことを思い返す。
1129誰かのくしゃみの音か、とその場にいた全員が目を一点に向ける。
視線を受けた佐藤は、きょとんとしてから手をパタパタと横に振った。
「違う違う。違います。私じゃないわよ、今のくしゃみ」
「佐藤さんじゃないんですか?」
白鳥が意外そうに目を見張る。今、この場には佐藤しか女性がいないのに、と。
「じゃあ、今の可愛らしいくしゃみ、誰だったんですか?」
高木が不思議に思いながら周囲を見回した時、鼻をぐすっと鳴らす音がした。
今度はその音を立てた人物に目が集まる。
「………失礼」
鼻を押さえながら言った風見を見て、全員が意外な結果に茫然としたのだった。
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車に乗り込みながら、風見は憮然として今日の捜査会議のことを思い返す。
ShimoTsuki_Knm2
DONEお題:降谷さんに手料理をふるまう風見お題:降谷さんに手料理をふるまう風見「うわ」
思わず風見の口をついて出た声に、降谷がムスリと顔をしかめた。
「何だ、その反応。僕だってたまにはミスもする」
「いや、むしろそれだけで済んだのが奇跡です」
そう言いながら、風見は降谷の前に、買ってきた飲み物や鎮痛剤を置く。
「折れてはいないんですよね?」
「ああ。ヒビが入っただけだから二、三週間で動かせるようになる」
そう答えた降谷は右腕を三角巾で吊っている。とある事件のさなか、巻き込まれた……否、首を突っ込んできて見事に解決した、眼鏡の少年を崩れた瓦礫から庇った結果の、名誉の負傷だ。
「失敗したよ。まさか利き手をやってしまうなんて」
「ポアロに連絡は?」
「今回の事件には最初から『探偵安室透』として関わったからな。安室が負傷したことは、ポアロ周辺の人たちは知っている」
2215思わず風見の口をついて出た声に、降谷がムスリと顔をしかめた。
「何だ、その反応。僕だってたまにはミスもする」
「いや、むしろそれだけで済んだのが奇跡です」
そう言いながら、風見は降谷の前に、買ってきた飲み物や鎮痛剤を置く。
「折れてはいないんですよね?」
「ああ。ヒビが入っただけだから二、三週間で動かせるようになる」
そう答えた降谷は右腕を三角巾で吊っている。とある事件のさなか、巻き込まれた……否、首を突っ込んできて見事に解決した、眼鏡の少年を崩れた瓦礫から庇った結果の、名誉の負傷だ。
「失敗したよ。まさか利き手をやってしまうなんて」
「ポアロに連絡は?」
「今回の事件には最初から『探偵安室透』として関わったからな。安室が負傷したことは、ポアロ周辺の人たちは知っている」
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DONEお題:イベントお題:イベント ついに来た。
人が溢れ返る会場で、風見は万感の思いに浸っていた。
今日は待ちに待った、怪コレの周年記念フェスである。ゲームのリアルイベントに参加するのは初めてで、この日の為に仕事を必死にこなし非番の日程を合わせ、当日に向けて体調を整えた。
そうして、無事に会場に到着したが、アイドルフェスの時はヨーコさんの出番直前に降谷に呼び出されるという憂き目に遭った。今日はそんなことはないと祈りたい。
「さて、どう回ろうかな……」
グッズ列に並ぶか、人が増えてくる前に展示を見るか……と掲示されている会場内マップに近寄る。
と。
「……………ん?」
マップを見上げる人影に、風見は目を細めた。
すらりとした立ち姿。キャップをかぶっていても、そのモデル並みの顔立ちとスタイルは到底隠しようがなく、周囲の客がひそひそと「公式レイヤーさん?」だの「取材に来たタレントじゃない?」とチラチラ気にしている。
1171人が溢れ返る会場で、風見は万感の思いに浸っていた。
今日は待ちに待った、怪コレの周年記念フェスである。ゲームのリアルイベントに参加するのは初めてで、この日の為に仕事を必死にこなし非番の日程を合わせ、当日に向けて体調を整えた。
そうして、無事に会場に到着したが、アイドルフェスの時はヨーコさんの出番直前に降谷に呼び出されるという憂き目に遭った。今日はそんなことはないと祈りたい。
「さて、どう回ろうかな……」
グッズ列に並ぶか、人が増えてくる前に展示を見るか……と掲示されている会場内マップに近寄る。
と。
「……………ん?」
マップを見上げる人影に、風見は目を細めた。
すらりとした立ち姿。キャップをかぶっていても、そのモデル並みの顔立ちとスタイルは到底隠しようがなく、周囲の客がひそひそと「公式レイヤーさん?」だの「取材に来たタレントじゃない?」とチラチラ気にしている。
ShimoTsuki_Knm2
DONEお題:指切りをする降風お題:指切りをする降風「指切りげんまん、嘘ついたら針千本飲ます!」
遠くから聞こえた明るい子供の声に、風見はスマートフォンをいじるふりをしながら、視線を送る。
まだ小学校に上がったばかりだろうか。小柄な子供が小指を絡めていた。
「嘘の罰が針千本って厳しくないですかね」
風見がスマートフォンを見たまま、ぽつりと呟くと、背後から声が返った。
「あれは元々、遊女が客と約束を交わした時のものとされている。『愛しているのはあなただけ』と小指を切り落として送ったそうだ」
「小指……」
ひく、と口元をひきつらせ、思わず額を押さえた。
美しい女が白くしなやかな指に自ら包丁を振り下ろす姿を想像して身震いする。
と。
「実際は、作り物の小指が多かったらしいがな。要するに、営業用だ」
686遠くから聞こえた明るい子供の声に、風見はスマートフォンをいじるふりをしながら、視線を送る。
まだ小学校に上がったばかりだろうか。小柄な子供が小指を絡めていた。
「嘘の罰が針千本って厳しくないですかね」
風見がスマートフォンを見たまま、ぽつりと呟くと、背後から声が返った。
「あれは元々、遊女が客と約束を交わした時のものとされている。『愛しているのはあなただけ』と小指を切り落として送ったそうだ」
「小指……」
ひく、と口元をひきつらせ、思わず額を押さえた。
美しい女が白くしなやかな指に自ら包丁を振り下ろす姿を想像して身震いする。
と。
「実際は、作り物の小指が多かったらしいがな。要するに、営業用だ」