いのちだいじに パプニカ国の城のとある一室、己には分不相応に感じるほど立派な執務室で、ダイは紙面と睨み合いをしていた。
想い人の隣に立つべく学ぶことは多く、しかし人間社会とは隔絶され生きてきたダイにとって勉強は大魔王より手強い相手かもしれない。
うんうんと唸っていると不意にノックの音が響く。
朝ご飯も食べたばかりで、この時間は誰も来ない予定のため不思議に思いながら入室を促すと、丁寧な動作で扉が開いた。そこに立っていたのはラーハルトだ。
「ラーハルト! 急に戻ってきてどうしたんだ!?」
現在ラーハルトはヒュンケルを伴い、世界各地で見受けられる不穏な動きを調査している。
普段であれば定期報告の手紙と共に来訪の予定が綴られているが、なんの連絡もなく現れるとは予想外で、ダイは思わず立ち上がった。
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