【欲張りだからもっと知りたい】 目を開けると、窓の外は明るくなり始めていた。
寝ぼけ眼のアラタはベッドで横になったまま何度か瞬きを繰り返し、隣を見上げる。そこには未だ熟睡しているアルローの姿。
自分とは違う褐色の肌も、目尻に刻まれたシワも、左目の上を走る大きな傷も、どれもが愛おしくて。アラタはほんの少し表情を緩ませながら、傷跡にそっと触れてみる。
この傷、いつ出来たんだろう。
傷に限った話じゃないけど、俺はアルローさんの事をまだ全然知らない。
もっともっと知りたいなあ。
それこそ、好きな人の事だったらいくらでも──
「……おまえさん、俺の傷がそんな気になるのか?」
唐突に聞こえたアルローの声により、思考が中断された。びくりと肩が跳ね、傷跡をなぞっていた指も慌てて離す。
1195