バンさんRE:BORNそのさん 何なんだ、この状況は。一体どういうことなんだ。
バンは地べたに座り込み、赤い玉のような目でどこでもない何処かを見つめていた。
「でっかーい!」
「くろーい!」
その巨躯の周りには、つい今しがたまで敵意と警戒心の塊だった妖精たちが好奇心まるだしで群がっている。
「昨夜までは人間のかたちだったのにね。はっ。もしかして人間も、成体になると変態するの?」
妖精族にはそういう子もいるわよ、とエレインは大真面目だ。バンは違う違うと首を横に振った。
「そうなのね。具合の悪いところはない?」
バンはまた、首をブンブンと横に振る。けれども違和感はあった。というか少し前から、意識が何処かふわふわと夢心地場なのだ。いっそ夢であれ、とも思うが残念ながら現実である認識はある。
「うーん。人間の事はよくわからないけど、もしも病気だったら大変ね。リオネスに使者を送って、ヘンドリクセンに診て貰いましょ」
……病気っつーか、こんな状況はもはや呪いのたぐいでは……。
バン含め、この場にいたエレイン以外の者はそう思ったが、誰も何も言わなかった。ここでは誰もがエレインの言うことが最優先なのだ。