バンさんRE:BORNなな。「また何かあったら、迷わずオイラや団長を呼ぶんだよ」
キングはエレインに間をおかず五回は言って聞かせ、何度も振り返りながらディアンヌに連れられて妖精王の森に戻った。
ヘンドリクセンとエリザベス、そしてメリオダスもそれぞれがバンとエレインの身を案じつつ、リオネスへの帰途についたのだった。
それまでさんざんメリオダスにじゃれついていたバンだったが、最後は案外あっさり見送った。……と思いきや、耳がぺたんと寝ている。
「バン。寂しいのね」
エレインが慰めようとすると、首を横に振る。が、よしよしと頭を撫でると嬉しそうに目を細めた。
「フフッ。何だか本当に、大きい赤ちゃんになったみたい。もっとも元から、私の方がずっとお姉さんですけどね!」
少しばかり偉そうに、冗談めかして胸を反らせて威張ってみせれば、バンはそりゃそうだ、と笑った。相変わらず鳴き声でしかないが、エレインには伝わっている。
……でも心を読む、って言うのとは違う。森の動物たちと話しているときと同じ感じね。
精神、というか知能は相当幼くなっているが、意思疎通は問題ない。
「とにかく少しでも、もとに戻る手がかりが掴めるといいわね。私も頑張るから」
そう語りかけると、今度は不思議そうな顔をする。まるで今の自分の状況を失念してしまったかのように。一晩ですっかり、心だけでなく記憶も獣の姿に引きずられてしまったようだ。暫く困り顔で思案にくれたエレインだったが、甘えたバンにすり寄られ、ふっと気分も緩み、微笑んだ。
「ま、いっか。バンはバンですもの。それよりバン、貴方ずいぶん大きくなっちゃったから、寝床に敷くふわふわ草を集めに行きましょ」