バンさんRE:BORN18 れんごくばんちゃんの朝は早い。大好きなエレインに朝ごはんを作ってやらなければいけないからだ。妖精のエレインはお肉を食べないので、彼女のために朝露を浴びた美味しいベリーをたくさん摘みにいく。
けれどもれんごくばんちゃんは、途中で何かがあると、目的を見失ってしまうこともある。今日がその日だった。ベリーを摘みに行こうとしていたのに、途中で強い熊と出会ったから早速戦いを挑んだ。もちろんばんちゃんの勝ち。これは今夜シチューにしよう。
「こんなところにいやがった」
どこかで聞いた声がしたので振り返ると、狐の獣人ジバゴが腰に手を当て呆れ顔でばんちゃんを見上げている。
「エレインちゃんもう起きて、お前を探してるぞ」
熊をとったと報告すると「おう、よくやったな。偉いぞバン」と褒めてくれた。ばんちゃんはあまり褒められたことがないので、ちょっとくすぐったい気持ちになる。と、同時に本来の目的を思い出した。大変だ、エレインが腹をすかせちまう。
「バン、見つけた!」
するとそのエレインがふわふわ浮いて、木の陰からひょこっと顔を出した。
「なぁに? くまさんとったの? フフッ、バンにはごちそうね。え、私にベリーを? ありがとう、じゃあ今日は一緒に摘みましょう」
三人はベリーを摘みながらちまちま食べて、朝から家族仲良く楽しく過ごした。持って帰ったベリーはパイにしておやつに食べた。
そう、これはきっとかぞく。なかまも大事だけど、それとは別の大事な何か。
れんごくばんちゃんは今日もしあわせ。