アルビレオの離別⑥-2パァン! 何かが破裂するような音が扉を越えて日和の耳をつんざく。日常では聞くはずの無い音、中で一体何が起きたか考えられる選択肢はそう多くない。即座にタッチパネルに飛び付き扉の解錠を試みるが、何度やっても弾かれてしまう。許可した人間以外は入れないようにロックがかけられているようだ。
「……くっ!」
焦りのあまり、日和はらしくもなく乱暴に壁に拳を叩き付ける。無事コロニーに帰還できたからと油断した。まさか大佐が一枚噛んでいて、それも直々に始末しに来るとは。このままでは最悪の場合……。
(ジュンくんが死んじゃう……っ! 何か方法は……そうだ)
ハッとして日和はポケットから携帯端末を取り出すと、『何かあればこちらに』と言われていた茨の番号に電話をかける。茨はこのコロニーの副所長だ、施設のロックに対して何かしらの特権を持っていてもおかしくない。数コールもしないうちに応答した茨に向かって叫ぶように状況を伝える
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