aokbワンドロライ 悪いこと/日常/名前を呼ぶ 世界はずっと色褪せていて。
カブと出会うまでは食う寝るくらいにしか興味は無かった。
アオキくーん!
大きく手を振って自分の名を呼びながら朗らかに笑うカブにアオキは小さく微笑む。
ああ、愛おしかった。
彼のすべてが愛おしいのだから不思議なもので。
カブの声が大きくて良かった、多少遠くに居てもしっかり聞き取れる。
体は小柄な方なのでこの世界にカブの成分が少ないのは惜しまれるけれど、アオキの腕に収まりやすいので良しとしよう。
その姿も、声も、笑顔も、潔いその立ち振る舞いも、カブのすべてに焦がれていた。
ああ、良かった。
これまでのカブの人生の中で番とやらが現れなくて。
きっと誠実なカブならばその相手と最後まで添い遂げてしまうだろうから。
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