aokbワンドロライ もしも/すれ違い/夜更かし 番を探し求めて旅に出る狼の一族であるカブは今、全く種族の違う黒い羊のアオキに恋をしていた。
勿論成就したいなどとは思って居ない。自分は狼だから、歳だから、釣り合わないから……などの理由ではない。
ただただ、アオキが傍に居てくれるだけでカブは満たされていたから。
それでももし、なんて考えないわけではない。
もしもの話なんて無駄な話だとは思うけれど。
例えば、きみが。
例えばぼくが。
あの日、この時とああだこうだと語っても状況は何も変わらなくて。
ただ、もしもきみがぼくのことを好きになったら、なんて考えてしまったのだ。
そう考えるだけでもとても幸せだなと気づいてしまってからカブの満たされていた世界は何かが欠けてしまっているような気がしてしまって。
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