自分の物なのに他人の方がよく使う物 寒の戻りがようやく落ち着き、春らしくなってきたある昼下がり。新八は久しぶりに自宅の縁側に座って休みを満喫していた。
通年閑古鳥が鳴いている万事屋に珍しく依頼が続き、奇跡の5連勤が昨日まであった。大抵の人間が5日以上働いてるにもかかわらず、万事屋のまるでダメな大人、略してマダオは『これ以上働いてられっか』と言って、強制的に次の日を休みにしてしまった。
突然の休みだったが、新八はこれ幸いと午前中は道場の掃除や部屋の片付けに精を出し、お昼ご飯を食べた後は干していた洗濯物と布団を片付けた。一通りの用事を済ませ、意気揚々とポータブルCDプレーヤーを再生させると先月発売されたお通のアルバムの曲が流れ始めた。新八は音に合わせて頭を横に小さく揺らした。
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