ロジャ兄 モデル兼アイドル
グレおば 事務職
雨の気配は窓の外。
せわしなく立てるタイプ音と、無視を許さない熱視線。
今をときめくモデルの彼と、社畜まっしぐらな私は休日を合わせることが難しい。
今日はそんな私たちの、奇跡的に完全なオフだった。
そう、優しくて甘くなる予定の完全オフ……完全なオフ、だったんだ。
急に入った確認依頼のせいで私はロージャではなくパソコンを構い、大切な彼を放置してしまっている。
作業中もじぃと体に浴びる視線はどんどん重くなり、体を縮こませながらキーをしばいた。
「もう少しで終わるから」
「うん」
言い訳にもならない言葉は短くはたき落とされる。
どうしよう。
全力で処理しながら必死に考えた。
彼の機嫌を取り持つには何が一番か。どうしたらいのか。どうやったら——彼に飽きられずに済むのか。
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