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    とうこ

    じゃっと書いた落書きとか、なんかの下書きとか、適当な奴をぽいぽいしていきますよ!

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    とうこ

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    監禁する七五(監禁の意図を間違えた七五)

    #七五
    seventy-five

    .

     もぬけの殻になったベッドの前で、七海は額に血管を浮かべた。こめかみが痙攣するのも自覚できる。
     まだそれほど遠くへは行っていないはずだ。入ったばかりの部屋から出る。ここは高専内の七海の部屋だ。呪術師に戻る際に再度割り振られたもので、宿直、当直、夜勤、或いはその他の労働基準法無視の勤務の際に使用するために呪術師各自に与えられている。だから必要最低限の生活必需品以外は揃っていない。普段の生活はサラリーマン時代に購入したマンションで過ごしているし、いかに深夜に業務が終ろうと、なるべくそちらへ帰るようにしている。高専関係者からすれば、結界のあるここでの生活ほうが気を抜くことができてよいと考えている者のほうが多数だが、七海は自宅へ帰りたい理由があった。
     ただし、今は別だ。結界内に引き留めておきたい人がいる。
     そう探し回らなくても見つけることができた。同じ階の職員用トイレに、よく知っている呪力の気配がある。男性用のトイレ、個室のひとつ、鍵はかかっているが、ノックをしても返答はない。
     七海は扉を開けた。鍵はかかっている。だから、釘で打ち付けられている小さな銀色の錠はひしゃげて、釘も抜け、カーンと高い音をたててタイルの床に落ちた。
     中の便座に座っているのは五条悟で、壁にもたれてぐったりとしている。
    「ちょ……入ってますケド……?」
     白いつむじの下から息絶え絶えの苦情が上がったので、意識はあるのかと七海は一安心した。
     そのまま連れ出そうとすると
    「まって、ぱんつ、はいてねーし」
     か細いながら学生の頃のような乱暴な口調だ。七海は、それは確かにはかせたほうがいいだろうと、白い脚、足首のあたりに絡まっている布、下着とスウェットを乱暴につかんで引っ張り上げた。犬猫か子供を抱えるようにしてトイレから出る前、廊下に人の気配がないことだけ確認する。
     速足で自室に戻り、ベッドに放り込み厳重に掛布で包む。
    「……ただのかぜですけど」
    「風邪は万病の元です。そもそも医者から診断も下りてないのに自己判断をしないように。……まったく、赤い顔で息を切らして何言ってるんですか。平気なツラができるようになるまでここから一歩も出ないように」
    「トイレぐらい行かせろよ~……」
     きっとどれだけ瀕死になっても最後まで口が減らないのだろう。漏らせって言うのかよぉだとか、トイレにまでついてくんじゃねーよとか、ぶちぶちと文句を垂れ続けているけれど舌がもつれがちだ。
    「……まったく、それぐらい弱っていれば拘束する必要もないと判断しましたが、アナタを舐めていたようだ」
    「……七海クン何物騒なこと言ってんの?」
     席を外した理由、当面の水分と食料は部屋に入るなり床に直置きしたままだ。とはいえそれらの置き場所と言ってもベッドサイドの小さなテーブルくらいしかない。元々が広くはない部屋だ。ベッドに小さなテーブル、デスクとイス、備え付けの小さなキャビネット、その程度の備品しかないので安いビジネスホテルと大差ない。
     七海はペットボトルやフリーズドライのおかゆなどをテーブルの上に端から並べつつ、
    「そんな弱った姿でうろつかないでください。日本の治安に関わります」
     と苦情を申し立てる。それから大袈裟にため息をついた。
    「……アナタが反転術式を使える以上、脚を折ろうと腕をもごうと無駄」
    「ぶ、ぶ、物騒だね!」
    「時間による縛りやナマクラを使うことによる縛りなど、私自身いくつか、呪力を制限する手技は持ち合わせていますが、アナタの呪力量に対しては焼け石に水」
    「ちょっと、え、拘束ってマジのやつ? どこまで本気?」
    「私、実は以前より興味があったのですよ。一体どこまで物理的な拘束および呪力の制限をかければ、アナタを私の部屋に閉じ込めておくことができるのか。今、検討していたいくつかの策を試す絶好の機会だと思いませんか。ちょうどアナタ、ただトイレに行くだけでぶっ倒れるほど弱っている」
     ベッドに横たわる悟が身じろぎもせずじっと自分を見上げてくるのを、七海は満足して見下ろした。
    「医薬品等、医療物資の調達のために家入さんの所へ向かいます。私が戻るまで、おとなしくこの部屋に監禁されていてくれますか?」
     口から先に生まれてきたような男が無言のままうなずくのを見届けて、七海は実際には何も害しないまま部屋を出た。
     こんな脅し程度、数時間も持てばいいほうだと七海は理解している。だが、その数時間で高専内の医療施設へ行って戻ってくるには十分だ。
     しかしまったくいつになったらまともな大人同士のやりかたで、病気のときはおとなしくしておくというただそれだけのことを了承させられるようになるのか。
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    さかばる

    DONEこちらもリクエストを強奪したお話です。
    雪山で裸で抱き合うってこれで合ってます!?ついでに七五っぽくないですね?これ。いや、七五は少年の頃は線が細く繊細そうな(中身は違う)七海が大人になって溢れる大人の色気を醸し出す男になるのが趣だから・・・・・・。
    ホワイトブレス 五条が任務に向かったのは冬の、雪が降り積もる村だった。
     村で何人もの死体が出ているという報告。そして人間でないモノ、恐らくは呪霊の目撃情報が寄せられた。その呪霊の祓除に担任の夜蛾から五条は指名されたのだった。隣には一つ下の後輩、七海がいる。この任務、五条が指名されたというより、七海のサポート役ということで振られたのだろう。夜蛾にはなるべく七海の自由にさせるよう予め言い含められている。五条はその事に不満は無かった。七海は良い術式を持っているし戦闘センスもあるので鍛えたら強くなりそうだった。ここは先輩として見守ってやろうという気持ちである。ただ、
    「さっみぃ〜〜!」
     真冬の夜で今も雪が降り続くこの現状が問題だった。補助監督の運転する車を降りて高専の制服の上に防寒着にマフラーを身につけたが寒いものは寒い。放っておくとサングラスの奥のまつ毛が凍りそうな気がする。
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