いつものように椅子に座って、その日のクエストに合わせたうさ団子を頼んだ。
お待たせニャ!と運ばれてきたうさ団子は、いつ見ても美味しそうで。
何度食べても美味しい事を知っている。
いただきます、と手を合わせて、いつものように大きな口を開けた、ら。
「痛っ!」
ピリッと唇に走った鋭い痛みと、プツッと皮膚が裂ける音。
ペロリ、と舐めれば、よく知った鉄臭い血の味がした。
唇が切れてしまった。
「最近、砂原ばっかり行ってたからかなぁ…」
肌の保湿や日焼け対策は忘れないように気を付けていたが、普段、紅も引かない唇の事は、スッカリと忘れていた。
ピリピリと痛む唇に顔を顰めつつ、いつもより小さく口を開けて団子に齧り付く。
温かいお茶が、唇に滲みて痛い。
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