この国の新聞には、天気予報が無い。
基本的に公判が有る前に小ぶりに降る程度だから裁判予定を見たほうが雨の降る確率がわかるくらいだ。…だった。と言うべきか。
噂では、月一でカラリと晴天になるようだ。…それは決まって四週おきで。それは、今日。
ソレに自惚れていた俺は今、土砂降りにあっている。普段ならば迎えに来てくれているメリュジーヌすらいない。
「あー…地味に距離あるんだよなぁ…はぁ、走るか」
バチャバチャと、水を跳ねさせながら向かう先は遥か遠い執務室。
「あっリオセスリ様!!申し訳ありませんお迎えに行けなくて…」
入口でずぶ濡れになったコートを脱いでいると声がかかった。
「あぁ、いや気にしなくていいさ。悪いがタオルはあるかい?」
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