飴色には未だ早い「ここにいたんだな、ミシェル」
背後から声が掛かり、キッチンに立つミシェルはドアの方を振り返る。声の主は抱えた荷物を下ろして肩を回しながらすぐ傍まで歩み寄って来た。
「お疲れ様、レオくん。荷物運んでくれてありがとう」
「気にすんなって。これでまた俺の気高さ値がアップしたからな」
思っていた通りの返答にミシェルが思わずくすりと笑みを零すと、レオは少し照れくさそうに頬を掻く。
「子ども達は昼寝してんだっけ?」
「うん。小さい子達は夜の天体観測まで起きてられるようお昼寝で、大きい子達はまだ川で遊びたいって。今は養護院の先生達が見てくれてるよ」
レオとミシェルの二人はシルヴェーアにある養護院で子ども達の夏のキャンプを護衛する任務に就いていた。朝から森を散策して、昼は川で遊んで、夜は天体観測。それから庭にテントを張ってみんなで眠る。それだけのささやかな催しだが、夏の恒例行事として子ども達は毎年とても楽しみにしているらしい。
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