dps94kakuriyo @dps94kakuriyo @dps94kakuriyoクラノス、サテヨモ、フククワのネタ帳からSS化したものをここにあげたり、文庫の作業場だったり。他にもいろいろ。 ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji Tap the Emoji to send POIPOI 92
dps94kakuriyoTRAINING妖怪耳舐めそこに耳があるので「……君はなぜこれが好きなんだ」 「はい?」 これだ。と、やや面倒くさそうに自分の耳を指差し、ヨモツザカは隣のサテツを睨め付けた。耳朶から耳穴にかけてしっとりと濡れたそこに、PCモニターの光が僅かに反射している。つい先程まで、サテツが嬉々として舌を這わせたからだった。 「あ、いや、その、好きと云うかなんというか」 「は? 貴様は道楽で俺様の耳をわんちゅ〜るみたいにベロベロベロベロ舐めているのか?」 ヨモツザカが食い気味に不機嫌さを露わにした。 「ち、違いますっ、道楽なんかじゃないです!」 サテツは掌を左右に振ってそれを否定したが、ヨモツザカは白衣の袖で耳を拭いながら、納得いかない様子である。 「あの、ですね」 630 dps94kakuriyoTRAINING『人は元々善きものであり、隣人や弱きものを助けなかった人は神の再臨の日に地獄へ選り分けられる』というのが正教会の教えらしいです。※クラが正教徒と判断して書き直しました痛悔「お前たちの世界に神は存在しないのか?」 「おかしなことを言う。この世に棲まう全てのものを生み出したのが神であるならば、神はどこまでも平等だろう。昼は太陽となり、夜は月となり、寄る辺無きものの褥ではないのか」 赤スグリの瞳を据えて、隣人は唄うように答えた。 「私の神は姿形を変えるということだ。私にも畏怖してやまない存在がある。……我が吸血鬼生を賭けて、守りたいものがある」 「……今夜はやけに饒舌だ」 「そう言うお前は、毎日神に何を祈っている」 冷たい石造の床にカソックの膝を折り、一日も欠かすことなく伏拝し、天に捧げるその言葉は。 「痛悔だよ」 我らが父への、尽きることの無い愛と裏切りの告白。私は、私の罪を毎日数えている。 438 dps94kakuriyoTRAININGクラージィとノースディンの三十年に渡る思い出。そのプロローグ。さらば、愛しき日々1 村で唯一の教会に、身なりの良い一人の老人が訪れた。その男は村外れの大きな屋敷に住む貴族で、慈悲深いことから村人に「お貴族様」と大変慕われていた。だが、近頃は病を患い、姿を見せることも少なくなっていた。 教会の慎ましい居室には、同じく一人の老人がベッドに横たわっていた。目は落ち窪み、豊かな毛髪は全て雪のように白くなり、この土地に神の教えを説きにきた頃の面影は随分と失われていた。 「ご機嫌よう、ノースディン」 老いた神父が手を僅かに上げて答えると、ノースディンと呼ばれた老貴族はその姿を変えた。曲がった腰はまっすぐに伸び、肌に深く刻まれた皺は見る間に張りを取り戻す。髪も髭も身体も、生命力を発露して輝くばかりだ。 1386 dps94kakuriyoMEMO「え? 僕ですか?」について考える僕考キッス姉さん回で、コラーゲン放出師となったヨモツザカが一目惚れしたキッス姉さんに言った言葉である。 「僕にはまだやることがある」 あくまでコロの件を解決してから改めて添い遂げようと云うその意気や良し。まぁあの回では多少人格がブレてるキャラもいたので、果たしてヨモツザカが「女神の如き存在」に「僕」と畏まるかどうかは謎だ。あれ?オルタでも僕だったか? そもそも学生の頃から「オレ様」で、現在「俺様」なヨモツザカが「僕」ということがあったのか? 私的には「私」でもよかったが、なぜ「僕」なのか? 【仮定1】コロに対しても「オレ様」と言っていたので、いわゆる「猫をかぶる時」に「僕」が発動するのではないか? (例)家族に対して>私的に家族に依存していなかったが独り立ちする力もなかったため、若い頃は家族に対して「僕」を使っていたのではと予想。悪く言えばよそよそしく、そして裏を返せば本来は「僕」であったとも考えられる。 601 dps94kakuriyoTRAININGきっかけはどうあれ、重ねてきた時間で育ったものがある。被験体Sはかく語りき きっかけは確か、真っ当な仕事の依頼だったと思う。 マスターの指示で向かった先は、その頃まだワクチンを打つ時くらいしか来たことの無かった場所、の更に奥のフロア。そこで俺は、奇妙な白い仮面で顔を隠した男性に出会った。 背は高いけど痩せっぽちで、首からガラスのフラスコをぶら下げていた。ひどい猫背なのは、きっとその重そうなフラスコのせいだろうと思ったのを覚えている。 彼はゆらりと俺を見上げて、 「VRC所長のヨモツザカだ」 と言った。意外にハッキリとした強い響きに、俺は無意識に背筋を伸ばしていた。 「ハ、退治人ギルドから来ました、サテツといいます。今日は、その、よろしくお願いします」 「ああ、よろしく。…………」 1413 dps94kakuriyoREHABILI以前チャレンジした「利き手と逆で描いたサテヨモ」 dps94kakuriyoREHABILI素顔のヨモツザカにつき妄想注意 2 dps94kakuriyoMEMOオータムの最終兵器彼氏、フクマさんについて考えてみたよ。ベースはフククワだよ。フクマさん考(捏造を添えて)支部に上げた小説の通り(継続中)、フクマさんは童貞ではありません(願望) ただ、名状し難い謎多き人物のため、人並みに性欲があるとか考えにくく、そのため解釈違い覚悟で以下のようなフクマさんを錬成してみた次第です。 ・人の生き様は好きだが恋愛感情はわからない ・親がしてくれたように愛情を注ぐことはできるし、注がれることは嬉しいが、肉欲とは程遠く与えるだけで求めることはなかった。 ・そのせいで大学時代に外国人の彼女に振られる ・ねこだいすき!だけど圧がすごくて大体のねこは逃げる。 ・フクマさんの髪は緊張したり極度にテンアゲ状態になると動き出す ・マルチリンガルで、地球外言語も話す(?) ・家には⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎の書やら⬛︎⬛︎ロノ⬛︎⬛︎⬛︎、その他やばい書籍(写し含む)が沢山ある。 808 dps94kakuriyoTRAININGうちのヨモさんはサテくんに相当甘い今年の梅雨明け早すぎませんか「梅雨、明後日には明けるみたいです」 などと、どことなく寂しげに言うものだからつい手を差し伸べたくなってしまった。俺様が絆されたなんて、認めたくはないがそもそも犬に無体はできない。 「……明日」 「え?」 「休みを取れ。そうしたら一日中付き合ってやる」 「うぇ、あ、あの、ってことは」 「休みが取れんなら今のは無しだ」 取ります! と彼は勢いよく立ち上がって、俺様の手を握りしめ(痛い)、 「今夜、迎えにきます」 と、真っ赤な顔でくさい台詞を吐いた。 それからまた椅子に腰を下ろすと、そのまま俺様をギュウと抱きしめ甘え始めた。くすぐったいやら痛いやら。そもそも何故立ち上がった。気合いか? 「……まぁ、無理して仕事を休む必要はないが」 561 dps94kakuriyoMEMOうちの所長についての設定的なサムシングをデルするヨモツザカ考(日々追記していく)所長。それは、最後のフロンティア。 拙宅のヨモツザカとはこうである、というのを以下にまとめることにしたので、オタクによくあるアレだと思って左に受け流して欲しいピョン。自分不器用ですから。 生い立ち:ナンカスゴイダイビョウインの偉い人を父に持ち、生まれる前から医者のレールが敷かれた人。幼少からメチャクチャ頭が良かったので何回か飛び級してる。FSSのファティママイト(今はガーランドだっけ?)みたいに「できて当然」みたいな頭してる。エスパー魔美で云うとこの高畑くん。読んだら記憶できる。 「親も学校も愚物ばかりだ」 「オレ様は医者になんかなりたくない」 「吸血鬼の研究がしたいんだ」 思うに、吸血鬼という存在は大天才の頭脳を持ってしてもわからないことだらけで、そこに惹かれたのではないだろうか?しかし当然ながら親はそれを認めない。流石の大天才も、若さゆえ敷かれたレールから脱する力はまだなかったと思われる。 1571 dps94kakuriyoTRAINING俺も、あんたを誰にも触れさせたくない。※プロトサテヨモとまどい「さわるな」 怒りの声だった。眉間に深い皺が寄っていて、まるで眼鏡を掛けて居ない時の眼差しのようだけど、違う。 「……悪ぃ」 「……」 何だか珍しく戸惑っているように見える。視線が下を向いてる。何だろう、まだ普通に注射でも打たれた方がマシに思えてきた。地味にショックだ。 「……あんたが大事そうにしてっから、気になったんだ。その……もう、二度と触らねぇよ」 女がいつも抱えている、白くて大きな犬のぬいぐるみ。抱えてなくても椅子に座らせて横に置いてある。古そうだが、洗っているのかまだまだ綺麗で。 よっぽど思い入れがあるんだなって思ったら、触っていた。 「……私こそ、悪かった。君に悪意がないのは分かってるんだ」 425 dps94kakuriyoMEMOヨモの素顔考 444 dps94kakuriyoMAIKINGR18。ソファーの上でいたすサテヨモの書きかけ。こんなん書いてる間に歳を食いました。7/23、少し加筆(まだ終わらない)パスワードは「煩悩の数」3桁。 2066 dps94kakuriyoPAST他ジャンルのサークルカット。コミケットとかシティとか。 dps94kakuriyoTRAINING「熱を分け合うってこういうことですよね」 269 dps94kakuriyoTRAINING番犬はカレーの夢を見る甘いやつと辛いやつ 目を覚ますと、頭にかかる重みが彼の手だと分かって嬉しくなった反面、頭を動かすタイミングを失ったことに気付いた。 彼は横になってる時に俺の頭をよく撫でる。そうじゃない時でもたまに撫でられるけれど、こうして微睡んでると、ここがラボの中だと忘れそうになる。 床に座ってベッドに俯せている俺と、ベッドに寝かされている彼。寝息が聞こえるので、彼はまだ寝ているようだ。 「ヨモツザカさん」 ……返事はない。 「一緒にカレー作りませんか」 ……返事はない。 「甘いやつと、辛いやつ」 ……返事はない。 「ご飯も沢山炊いて」 ……返事はない。 「今度家に行く日が楽しみだなぁ」 ……返事はない。 でも、彼はきっとこの次一緒に帰るとき、スーパーに寄ってくれると俺は勝手に信じている。 346 dps94kakuriyoMEMOプロトサテヨモは連載前の原案なのにアカジャにも出てくるので私の中では実在していますシンヨコ突撃インタビューQ.貴方の好みのタイプは? サ(狼男)「え⁉︎ いきなりそんなもん聞かれても……えっと、胸はそんな無くてもいい。痩せっぽちのくせに意外と尻がデカかったりする方が……なぁ?」 舎弟1「あー、分かるっす!(あの人だろ……)」 サ「あと、そうだな。目付き悪ぃけど笑うと可愛かったりとか」 舎弟2「(あの人だろ……)」 サ「グルーミングが上手くて」 舎弟3「(あの人だろ……)」 サ「頭のトチ狂った痴じ……」 舎弟4「あ、兄貴ッ! もうその辺で!」 ————— Q.貴女の好みのタイプは? ヨモ♀「は? 私は忙しい。皮膚にダメージを与えずにどうやって毛をフカフカにするかを考えている。何の毛かって? 犬だ。狼だが犬だ。彼を丸洗いして一日中吸いまくるのが私の楽しみなんだ。邪魔をするな愚物」 387 dps94kakuriyoTRAININGサテ君の本名はコバル君に比べてシンプルだと思う。まさに読んで字の通り。君の名は 問診票、という面倒な書類がある。面倒ではあるが、これが必要不可欠であることは、如何なVRCでも避けられぬところなのだ。人命軽視は殺人事件を犯していい理由にならない。 「書けました」 「うむ」 治験協力あたって、彼の身分証明書を初めて見た。車の免許証だが、思ったより彼は若かった。 自動二輪に中型にAT限定解除。なるほど、実用的だ。 「清々しいほど健康体だな」 「丈夫なだけが取り柄なんで……」 そんな彼も、仮性吸血鬼化騒動では我々の予測を超える変化を示した。既往症や持病の有無というより、受け継いできた遺伝子レベルの問題だと推測している。更なる研究が必要だ。 ふと、氏名欄が目に留まった。 「……君らしい名だな」 564 dps94kakuriyoMEMO吸血鬼アレックスしないと出られない部屋inサテヨモ。部屋に入る→ヨモは部屋の調査優先→トイレも風呂も備品も揃った下世話な部屋とわかる→さっさとヤッて出るか?見せられる訳ねぇだろ「あの、これって……やること全部見られてるって事ですよね?」 「そうだな」 「つまり風呂もトイレも」 「?」 「俺達が、その、アレ……してるのも、全部?」 「そうだな」 「ヨ、ヨモツザカさんの◯◯◯な姿も◯◯◯な顔も、◯◯◯◯で◯◯ってるのも全部……?」 「君の凶悪な◯◯も丸見えだな」 「お、俺のちんちんのことはいいんです!」 「ちんちんとかいう可愛いレベルじゃ無い」 「俺、ヨモツザカさんの◯◯な姿を誰にも見せたくないです(半泣き)」 「しかし、ここにもう用はない。俺様はさっさと出たい」 「……ようは扉が開けばいいんですね?」 吸血鬼がドアを開けたくなるまで扉をヤン切れで猛打→ドア破壊→脱出 健全 306 dps94kakuriyoTRAINING彼が髪を切るとき、それはきっと全てが終わったことを意味する。思いの丈 この人の髪紐は、俺が以前贈ったものだ。ゴム紐だと髪が切れやすいからと、見繕って渡した紐を見て、 「君のそれと同じ色だな」 と、俺のアームに施された装飾を指さされた時、紐の色など全く意図的ではなかったのに、酷く赤面したのを覚えている。 結び目を引くと、巻かれた髪がしゅる、と綺麗に解けて落ちる。その細い髪を梳いて指を絡めるのが好きで、昔はよく「しつこい」と怒られたけど、あれは照れ隠しだったんだなぁと、今はわかる。 そういえば、この人のために初めて自分で自分の髪紐を解いたのはいつだったかな。まるで昨日のことのようで、でも多分とても前の話だ。 この人は、今も髪を伸ばし続けている。 298 dps94kakuriyoTRAINING誰もいない海は、優しいけれど終着点では無いラストシーン 六月半ばの、静かな海辺。 遥か水平線を船が通ったり、海鳥の姿が見える。温い塩風が、この場に似合わぬヨモツザカの白衣をはたはたと揺らした。 歩みの遅いヨモツザカを追い越したサテツが、進行方向でじっと立っていた。ヨモツザカが気に留めないそぶりでそこまで辿り着くと、逞しい両腕が待ちわびたように痩躯とフラスコを抱きしめた。 「なんだ、どうした?」 「こうしたかっただけです」 サテツは柔かに笑って、満足したのか、 「誰も居ませんから」 と、ヨモツザカの右手を大きな左手で捉えて、そのまま、またゆっくりと海辺を歩き出す。ヨモツザカが懐に抱いたフラスコの中で、灰色の塵がサラリと音を立てる。 「……そうか、誰も居ないか」 417 dps94kakuriyoTRAININGサテヨモが謎の喧嘩をして弟君が兄貴の背中を押す話。弟君は相手が誰か薄々知ってる。理解不能の恋「兄ちゃんさ、好きな人居るだろ」 「うぇ⁉︎」 弟の部屋に漫画を借りにきて、まさかそんなことを聞かれるとは思ってなかった。家族の誰にも話してなかったことだ。何か露骨な態度をしていたんだろうか? 「な、何で?」 「行動見てたらなんとなくわかる」 弟の視線が俺を捕えてる。うわぁ……。 「兄ちゃん、結構前からミスドの常連なのに家に持って帰ってこないし」 「ぐっ……!」 「家に戻ってくる時間も不規則だし」 「うぅっ」 「念入りに風呂入ってから出かけるし」 「ワーーーッ!」 俺は弟に土下座した。このことは親には内密に、と。何れ話さねばならないことだけど、今はちょっと、かなり、無理だ。 「……兄ちゃん、その人と結婚する気なの?」 1913 dps94kakuriyoPAST顔が隠れるの好き dps94kakuriyoTRAININGあの日と今の景色は、似ているようで違うブルーアワーに、君と そうか、夜明け前にはこんなに鳥が鳴くんだな。知っていた筈なのに、すっかり忘れていた。 あの頃、家族の誰よりも先に起きて、コロと散歩に行った。遠く日の出を臨む河川敷はまだ寒くて、暖かいコロを腕に抱いて一休みして、また歩く。周りが明るくなるまでずっと歩いて、人の姿が増え始める前に帰った。 「散歩に行く」 と言ったら、サテツ君は飛び起きて身支度を始めた。俺様がすっかり着替えていたから慌てたんだろう。一緒に来いとは言ってないんだが。 家を出る前、体調はどうかと聞かれた。調子が悪かったら散歩になんぞ行くか。……まぁ、腰は少々痛むが、いつものことだ。 外は、存外に寒かった。 川や地面に靄がかかっている。こんな時間から走っている馬鹿が居たから、仕方なく道を外れてそのまま土手に降りた。 580 dps94kakuriyoTRAINING拳兄に「アンタあの左手の義手がカッケーあんちゃんと付き合ってんのかい?」とか聞かれてハ?と首を傾げるヨモツザカさん「惚気てんじゃねぇぞ」「アレは義手ではなくて『シンヨコハマニウム合金』のアタッチメントアームだ。因みに俺様はアレを1ミリも持ち上げることができん。全く、馬鹿力にも程がある。何回か筋肉組織を調べさせて貰ったが、どうやったら普通の人間があんな筋力と胃袋に育つのか未だ解明できん——ん? ああ、知らんのか。餌を前に『待て』は出来るが、例えばカレーのトッピング全部増しが最大五杯までおかわり自由なら五杯まで食うし、バイキングならトレイごと行く。しかもよく噛んで食べる。そこは偉いと思う」 「あー、うん。それで?」 「八個入りのドーナツなら二個は俺様で残りは彼が一瞬で食う。どんな強靭な顎をしてるのか調べてもみたが至って普通なのがムカついたな。あれだけ食べて体脂肪が一桁台なのがさらに小癪だ」 402 dps94kakuriyoTRAINING「頭を撫でる時は何故か刺さらないサテツの剛毛の謎を探るため、私たちはシンヨコの奥地へと飛んだ」剛毛七不思議 よし、そのまま待てだ。 まぁ困惑するのもわかる。俺様は君の髪をシーズーのように結びたいだけだ。は? 特に理由はない。 頭の天辺に結ぶ分だけ髪を寄せて、と……痛い! 毛が刺さった! ……大丈夫だ。血は然程出てない。 しかし、頭を撫でる時は何故刺さらないんだ? 君の髪は理解不能だな。 145 dps94kakuriyoTRAININGコロの声真夜中の流砂 整った筋肉の奥、首筋を辿ればトクトクと規則正しく送り出される血流がある。 自分が再び他の命を側に置くことになるとは思ってもみなかった。案外自分はチョロい人間なのかもしれない。 彼の逞しい腕にすっぽりと抱かれて眠る時、時折何処かで砂の流れるような音が聞こえる。 ああ、分かってる。お前だけだ。 ◇ 枯れ枝の集合体のように見えて意外とタフな体。そうわかっていても側で守りたくてたまらない。薄い皮膚の奥には確かに熱があって、感じる度に安心と不安が綯い交ぜになる。 彼を懐に抱いて眠る時、どこかで砂の流れる音を聞くことがある。 ごめん。でも、俺たち仲良くなれる気がするんだ。駄目かな? 305 dps94kakuriyoTRAINING事後のニューヨークタイムズアフタートーク「ここのバスタブに湯なんか溜めたことがない」 と、彼に言われたときは一瞬言葉に迷ったのを覚えてる。そりゃ湯を張ったまま寝落ちしたら下手すると死んでしまうし、彼なら面倒だからとシャワーだけで済ませそうだ。それに、そもそもこの自宅に帰ること自体が月に一回程度だと云うから、仕方ないのかもなぁと、それはそれで納得したんだけれど。 「君が入れたいなら入れてもかまわんぞ」 お湯を、と。 俺の方を伺う無言の気配と、何やら含みが無さそうで有りそうな彼の口元に突き動かされて、上気した顔のまま振り絞った言葉は、 「一緒にお風呂に入ってください」 だった。 偶然引き当てた最適解。ナイス俺。 現に今、俺は彼と明け方の風呂を満喫している。ちょっと横に窮屈なのは俺のせいだ。ちゃんと大きくて深めの湯船は身長の高さをカバーしてくれるし、お湯のかさが増すから彼の肩が冷えることもないと思う。 756 dps94kakuriyoTRAININGサテ君はね、初めてヨモの家に行った時、狭くはないけど必要最低限のものだけあって生活感のまるでない部屋に1人佇むヨモを見て、ものすごく切なくなったの。この人はどうして、こんなにも寂しいんだろうって。世界の果ての話 非番の夜、眠りが浅かったのか夜中に目が覚めてしまった。午前三時四十分。あと少しで夜明けの匂いがしてくる頃。 眠らない街のあの喧騒も、ここでは遠い世界のことのように思えた。隣で小さく寝息を立てる彼の、心臓の鼓動が響いてきそうな、静かな夜の静かな家。 彼が滅多にこの家に帰らなかった理由が、今なら分かる。ここには機械音も人の気配も吸血鬼達の騒がしさも無くて、初めてきた時は静かで寂しい場所だと思った。だから、ここに来る時はなるべく彼と話すようにしている。 居間でレンタル映画を見て、テーブルで一緒にご飯を食べる。寝室では、会話にならなくても会話する。こうしてただ眠る時も、出来るだけ寄り添うようにする。 一人と一匹だけじゃないことを感じて欲しくて、俺は彼の領域に踏み込む。叱られたって構わない。叱ってくれることが嬉しいから。 552 dps94kakuriyoPASTプロトサヨ dps94kakuriyoTRAININGサテヨモログ綿飴みたいに甘い ゴォゴォと、ドライヤーの騒音が居間に響く。無言なのもどうかと思い、話題に困ってつい何気なく「髪、すごく長いですね」と聞いたに過ぎなかったのに、相手の反応が「ああ」だけだったのでサテツはますます困ってしまった。 〝髪を乾かす〟という権利を得た今、改めて得られる情報量は意外と多い。サテツは感慨深くその薄青色を見つめて、そして触れた。枯れ枝に少し肉をつけた程度の身体と同じく、ヨモツザカの髪は温風を吹かせば容易く舞うほど細かった。自分が1なら0・2くらいかな、などと認識してしまうと髪を梳く動作も自然と慎重になった。 「君はなぜ髪を伸ばしてるんだ?」 「え、俺ですか?」 予想外の問いかけに、サテツはドライヤーを弱にして言葉に迷う。でもヨモツザカの前で嘘はつきたくなかったので、素直に「短いと刺さるんです」と答えた。過去、サテツは個性が欲しくて悩んだ末に短髪にしたことがある。だが、物珍しさに触れてきたロナルドの掌を穴だらけにした時から「ウニ」「イガグリ」「剣山」「ハリセンボン」とまさに頭から生える凶器扱いされて、盛大にへこんだ。その翌朝には枕カバーに無数の穴が空いた。サテツは大いに泣いた。今思い出してもテンションが下がる。 850 dps94kakuriyoTRAININGサテヨモログ恋とは狂気である さっきまで目が離せなかったのに、今は顔を見るのが怖い。だって、初めて彼にキスをした。背中の糸屑を取ろうとしただけなのに、間近で彼の口元を見てしまったらもう、迷いより体が先に動いてしまった。 仮面にぶつからないように顔を傾けて、見たまんま薄くて、思ってたより温かい唇に三秒ほど触れた。子供でもできる幼稚なキスだと思う。けど、キスはキスだ。抵抗はされなかった。ポジティブに捉えてもいいのかわからなくて、俯いたまま指先の糸屑を見ていた。朱色の糸屑。彼には馴染みのない色。どうして付いてたのかは分からない。 「——やっとか」 「え?」 顔を上げようとした。けど、急に彼に頭を押さえられて動けなくなる。 「フン、何もしてこないから、てっきり正気に戻ったのかと思ったが。俺様の予測が甘かったな」 1419 dps94kakuriyoTRAININGサテヨモログトライアンドエラー「だ、…………抱きしめても、いい、ですか……?」 サテツ君の手が、宙を掴むような状態で固まっていた。目は真っ直ぐこちらを見ているが、これではまるで紙相撲の力士だ。彼が何を躊躇しているのか、全くわからない俺様ではないけれども。 「なんだ、さっさと抱きしめろ」 今日はどうも寒くてかなわん、と言えば、おずおずと壊れ物に触れるような仕草で背を抱かれた。酷くもどかしい、何の圧も感じないのに熱い掌。 「……君の力は、弱いものを傷つけたりしない」 「……こ、子供なら、手加減できます、でも」 言い淀む声が、肩口で震えた。 「あなたは、子供じゃない……から、抱き潰してしまいそうで、怖いんです」 ……おい、ベソをかくな。俺様のフォローが台無しになるだろうが。 560 dps94kakuriyoTRAININGサテヨモログ愛してもいいかな「気分はどうですか?」 と問うと、彼はぼんやりとしたまま「悪くない」と言って、ベッドから起き上がったその足でまっすぐソファの上の犬用ベッドに向かい、静かに眠る愛犬に「おはよう」と挨拶をした。 ブランケットの上から撫でるその手は優しくて、俺はその瞬間いつも釘付けになってしまう。 彼が洗面所で顔を洗っている間、俺はソファに座って秘密の会話をする。 おはよう。 今日は雨だね。 昨日は君のご主人様を独り占めしてごめん。 君は俺のことどう思ってる? 俺たちきっと仲良くなれると思うんだ。 フラスコの中で静かに眠る君を、俺も愛したいんだけど、駄目かな? 俺はソファから立ち上がって、弱火で温めていた玉子粥をお椀によそう。最近は消化の良いもの限定で朝食を食べてくれるようになったから嬉しい。 404 dps94kakuriyoTRAINING花を散らす生成のニットカーディガンと紺のサテンのパジャマ。サテツが真冬の前に買って彼に贈ったものだ。それを今度はベッドの上で丁寧に剥いでいく。美しい花弁を摘むような罪悪感と、謎の高揚。 「服を贈るのは脱がすためらしいな」 彼の愉悦の笑みに赤面で答えながら、サテツは最後のボタンに手をかけた。 141 dps94kakuriyoTRAINING一日一本「おやすみ前の推しCPの短文」をツイートしていこうという企画。基本140文字。夜の話とか、布団に入った後の話とか、寝る前の風呂の話とか、他愛もない会話とか。断固黙秘する「おい、お前も入れ」 「は?」 思わず編棒を変な場所に通してしまった。何故我輩が小娘と湯浴みを? 「断る」 「何だ、貧相な体を見られるのは嫌か」 「はぁーー⁉︎」 キーーッ! この大鴉に何たる侮辱! 良かろう、この人間風情が—— この後、靴下風呂にぶち込まれた我輩に何があったかは黙秘とする。 150 dps94kakuriyoTRAINING一日一本「おやすみ前の推しCPの短文」をツイートしていこうという企画。基本140文字。夜の話とか、布団に入った後の話とか、寝る前の風呂の話とか、他愛もない会話とか。こちらでは加筆してます。ピレニアン・マウンテンドッグかい? 先に寝てろと言われたけど、ネット通話の様子が気になって眠れなくなった。そろりとベッドから抜け出して、台所で作った白湯をPC台に置くと、映らない範囲のソファに座って彼の英語だか独語だかをじっと聞いていた。内容が全く謎だ。 真夜中の国際会議も大変だなぁ。 「ist er deine Familie Oder Liebhaber」 「Nein, er ist ein Haustier」 「Wow」 203 dps94kakuriyoTRAINING一日一本「おやすみ前の推しCPの短文」をツイートしていこうという企画。基本140文字。夜の話とか、布団に入った後の話とか、寝る前の風呂の話とか、他愛もない会話とか。髪めっちゃ乾かせてへんけど ブレーカーが落ちた。ドライヤーと何かが重なったらしい。神ちゃんが慌てて洗面所にやって来た。 「ごめんなさい!電子レンジ、オートにしてて」 ブレーカーを直す手を止めて、彼の顔を覗き込む。 「なぁ、神ちゃん」 「は、はい」 お互い夜目が効くけど、なんかこういうの、エエ雰囲気やと思わん? 144 dps94kakuriyoTRAINING一日一本「おやすみ前の推しCPの短文」をツイートしていこうという企画。基本140文字。夜の話とか、布団に入った後の話とか、寝る前の風呂の話とか、他愛もない会話とか。※ポイピクにまとめる時は加筆修正もあり。実家のミニバンだけど いつもの家への道中、助手席の彼はどうやらぐっすりと寝ているようだった。俺はラジオの音量を下げながら、果たして彼が到着後に起きてくれるか考えた。 無理かもなぁ……。 時間はまだ日付が変わる前だ。毛布もあるし、起きないなら車中泊でもいいかな、なんて気取ったことを考えてしまった。 140 dps94kakuriyoMEMO「死なば諸共」のおまけできるならもうしている「もう棺桶うちに持ってこい。いちいち帰るの面倒だろ?」 「な、なななななな、タビコ、それはつまり、その」 「なんだ? 寝込みに杭を打つとでも?」 「……貴様こそ、我が輩に寝込みを襲われるとは思わんのか」 「ハハハ! できるもんならやってみろ」 できるものならな! 133 dps94kakuriyoTRAINING一日一本「おやすみ前の推しCPの短文」をツイートしていこうという企画。基本140文字。夜の話とか、布団に入った後の話とか、寝る前の風呂の話とか、他愛もない会話とか。※ポイピクにまとめる時は加筆修正もあり。死なば諸共 夜食を平らげた女が急に大鴉になれと我儘を云うので、仕方なく月に向かって翔んだ。 「お前の羽は気持ちいいな。まるで夜に抱かれてるみたいだ」 「このまま翔べば朝になる」 「夜が焼ける様は綺麗だぞ。ヴェントルー」 結局背の上で眠ってしまった女を抱え直し、我輩は沈みゆく月に背を向けた。 142 dps94kakuriyoTRAINING一日一本「おやすみ前の推しCPの短文」をツイートしていこうという企画。基本140文字。夜の話とか、布団に入った後の話とか、寝る前の風呂の話とか、他愛もない会話とか。※ポイピクにまとめる時は加筆修正もあり。入稿後の夜「クワさん、歯磨き粉は何を使ってるんですか?」 「え? 塩」 塩。 一瞬粗塩で歯を磨く姿を想像したけれど、結局クワさんは笑いながら塩入り薬用歯磨きのことだと教えてくれたので、通販して洗面所に置いた。そうしたら、 「なんか照れる」 とか耳を赤くするの、ベッドまで我慢できなくなるからやめてほしいです。 152 dps94kakuriyoTRAINING一日一本「おやすみ前の推しCPの短文」をツイートしていこうという企画。基本140文字。夜の話とか、布団に入った後の話とか、寝る前の風呂の話とか、他愛もない会話とか。※ポイピクにまとめる時は加筆修正もあり。おやすみなさい、良い夢を「おやすみなさい」 と告げる頃にはもう彼は殆ど眠りの淵に居て、唇が微かに動いたけれど音にはならなかった。隣で安らいでくれることが嬉しくて、つい寝顔を眺めてしまう。整った呼吸が愛おしい。そうして同じリズムで息をしてると、俺の瞼も重くなっていく。 起こさないように、彼の指先にそっと触れた。 145 dps94kakuriyoMEMO文庫本のネタのお題を思い出せる限りまとめる(時々更新) 429 12