それは性感帯でもあるらしい「うひっ」
それは唐突に、小さな口から漏れ出てきた。捕まれてしまった足をぶんぶんと振り回してそこから逃れて、ソファの端まで逃げていく。この膝に無遠慮に乗り上げてきたのは、他でもない彼だというのに。
レイシオとアベンチュリンは恋人という関係にあった。お互いの家を行き来するような生活を続けていて、今はレイシオの家で食事も風呂も終えた後だった。読書にいそしむレイシオの膝の上に、風呂上がりの彼が端末片手に寝そべりに来たのだ。
膝枕であればまだかわいらしいだろう。そんな時期もあったのだ。何をするにもこちらの様子をうかがって、ほんの少しだけ欲をのせたうえで、なのに遠慮ばかりを携えて触れてくる。それがあまりにもいじらしくて、不覚にも愛しいと思ってしまって。慌てる彼をよそに抱き寄せたのはずいぶんと前だ。
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