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    masasi9991

    @masasi9991

    妖怪ウォッチとFLOとRMXとSideMなど
    平和なのと燃えとエロと♡喘ぎとたまにグロとなんかよくわからないもの

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    DONE事後の土ガマ赤裸の肌を覆う

     ふと、目覚めれば朝であるらしい。既に開け放たれた縁側から白い陽光と風が座敷へと入り込んでいる。我が糸を張り巡らし網の巣へ、何んの遠慮も知らず入り込んで来る様が、あれによう似ておる……などと栓もないこと、陽の光にまでそんなことを考える阿呆らしさ、まだ己は寝惚けているらしい。つらつらとめどなくしようもなく考え、最後に一体誰がそこを開け放ったのか、という疑問へと至った。
     至ったが、すぐに答えを思い出した。あれの他には居らぬではないか。
     天井ばかりを見つめた頭をふと傾けて姿を探す。縁側から差し込む陽に長い影が差し挟まれている。
     起き上がろうか。億劫だ。まだどうにも気怠い朝。横に寝返りを打ってどうにか少し上体を起こし、立てた片肘に頭を乗せた。
    「あんたがそうだらしねぇのは、珍しい」
    「うむ」
     我ながら寝惚けた返事だ。しかし此れも大した話はしておらぬのだから、別に構いはせぬであろう。
     吾輩に背を向け、庭を眺めていた大ガマが、首を傾け振り返る。真っ白の陽に当たって白く輝く頬が透けて見える程だ。瞳は、笑っている。しかしすぼめた唇からは、薄っすらと白い煙を吐いている。
    「借 1056

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    DONE土蜘蛛さんと小さい大ガマさんわしづかみ


     しまった、と思ったときにはもう遅い。手を出したが手遅れだ。そも、先んじて気付かれなかった己が弛んでいるのか、ぬるいのか。ともかくその首根っこをわしづかみに持ち上げたが、どうにもならぬ。
    「ゲコ」
     のんびりと一声、あくびのような抜けた声。顔の半分はある口をぱくりと開いて鳴いた後、口も目もぎゅっと閉じる。もごもごと喉と腹を動かしている。咀嚼をしておるのだろうか。
     宙吊りに掴んだ身体をこちらに向けて、その腹をまじまじと見た。
     まったくこの子蛙がこれほど大食らいだとは知らなかった。しかも量ばかりでなく妙なものも食べたがる。悪食だ。
    「お主、腹を壊しても知らぬぞ」
     丸く膨れた腹は皮膚が薄く、濡れた緑色の内側に薄っすらと内臓、血管が透けて見える。それもどうやら日頃よりもよく見えるような、と思い目を凝らして見れば、何やら内側からほんのり光っている。昼間の座敷ではよく見えぬが。さては今食ろうた数珠のせいか。
     しかし元の玉は決して光ってはいなかった。
    「お主が呑んだがために光っておるのか? おかしな蛙だ」
    「ゲコゲコ」
     可愛げもない返事と共に薄く目を開き、真黒い翡翠のような 672

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    DONE土ガマいちゃいちゃしてるだけ視線をそらす

     ぐっ、と腹の奥から熱いものが湧いてきた。喉元まであっという間に通り過ぎて、吹き出しそうになったところで急ぎ顔を背ける。視線を、まるで何んの気なしに窓の外へ向けたかのように。そう見えたであろうか? と己で取り繕っておきながら、果たしてそれがうまくいったかどうかが気になって、目だけ動かしチラリと相手の様子を伺う。
     が、ところが奴め、こちらを見てすらおらぬのだ。丸窓の外へ顔を向けながら、視線の端で苦労して見下ろした己の膝の上には、此奴の頭の後ろばかりが見える。
    「おのれ……」
     思わずこぼしたため息を、ハッと飲み込む。
     しまった、未だ、吾輩の口元に笑みが浮かんだままやも知れぬ。
     また視線を窓の方へ向ける。今度は慌てて、己の口を手で隠した。
    「あ? 何んか言ったか?」
     膝に寝っ転がっていた頭がのっそり動いて、上を向く。こちらを見上げた、それをまた、視線の端に見てしまう。何んの気なしに、を装っているつもりなのだが。
    「何も言うてはおらぬ」
    「うん? そうかァ? なんか今日のてめえは、ぼんやりしてやがるな。さっきからまともに返事もしねえし」
     と大ガマの方こそぼんやりと間 647

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    DONEちょっと弱った大ガマさんの土ガマ痛くてもかまわない


     めずらしく、戸を叩いて入ってきた。
     外は今に洪水となろうという大雨であり、一向に止む気配もない。昼間であるのに真っ暗だ。おまけに寒い。恐らくこの雨のために人里の畑は流され、病がはびこり、命を落とすものも少なくはないだろう。少し前からこの物哀しい天気が続いている。
     そんな折、静かに戸を叩く音と共に現れた。
     旅の帰りであろうか、笠と蓑をかぶって、降り続ける雨から身を守っている。がしかし雨は激しく、雨具などでは事足りず、その身体はすっかり濡れそぼっていた。
     して、濡れた身体はすっかり冷え切っている。無論、その身体はいつでも冷たい。しかし今日ばかりは常に増してことさら冷たい。それも、この雨も、彼奴にとっては望むべくものかと思っていたが、どうやらそうではないようだ。というのは、こうして膝の上に……寝間着の薄い襦袢越しに、膝の上にじわりと滲み、感ずるものが語っている。これは雨だれではあるまい。夜よりも前に、その身体はすっかり拭ってやったのだから。
    「まったくめずらしい。表の戸を叩いて入ってきたのもめずらしい。多くを語らぬのもめずらしい。こうもしおらしいのもめずらし 1346

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    DONE近未来とホラーっぽい大ガマさんバシリカの入り口へ


     ゴーストを知っているか? いいや、昔話じゃない。現代の話だ。ネットワーク上の話でもない。本当に居るんだ。俺は見た。隣の部隊の奴らも見たと言っていた。カメラに? もちろん映っていない。そうさ、何度も確認した。だが俺の目には見えたんだ。見えたはずだ。思い出せない。見えた筈なのに、どんな姿だったのか記憶にゃ残っていないんだ! 嘘じゃねえさ! 俺は見た、他の奴らも見た、嘘なものか。
     俺の目は壊れちゃいない。故障なんかあったら、今日この仕事もしてられんだろう。そうさ、そうさ、点検は入ってるよ。俺の記憶にゴミが混じってるってわけじゃねえ。見たのは俺だけじゃないんだからな。今にお前も見るさ。俺が見たのもこんな夜だったんだ。
     へへ。面白がらせてやろうって腹じゃねえよ。ゴーストってのは恐ろしいもんなんだぜ。昔話だ。死んだ人間の魂がどうのというやつだ。ありゃ一種のホラーだろうよ。居るんだよ、それが。死んだ人間がさ……そりゃごまんと居る。この研究所で死んだのも、居るわけだろう。そういうゴーストだ、多分。
     なんだ? ノイズが。足音? いや、聞こえねえな。お前のマイクの方が故障し 2319

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    DONE改札に引っかかる土蜘蛛さん只、見返してやりたいのだ


     随分気が立っている。お館様の短気はいつものことですから、ただ皆んなしてハイハイと頷いておけばいいのです。いくら気が立っているとしてもお館様のこと、よほどのことでなければご命令に間違いはありませんでしょうし、よほどのことでなければそのうち気が済むでしょう。
    「車ですか。牛車か馬車か妖力車か。それとも所謂自家用車を手配しますか。それでどちらまで? は? 人間界のその辺をブラブラするだけのために、手配せよと? 馬鹿馬鹿しい。自分の足で行けってんだ」
     客間の入り口まで呼び出され、つらつら命じられるままにハイハイと返事をしていた者が、途中から随分な呆れ顔になった。どうにもよほどのことらしい。お茶と茶菓子を抱えて台所と客間をふよふよと往復してるだけのわたくしには、関係のないことのようですが。
    「遠いなんて何を今更。電車に乗ればすぐでしょう。ここ最近は人間界の駅まで直通のやつも出てるし、それにまさか、一人で電車に乗れないなんてその歳になって、まさか」
     一笑に付されてお館様は口をつぐんだ。ぐうの音も出ないという顔のようで、白い顔にカッと赤く血が登って、額には青筋が浮 976

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    DONE何かと戦っている土蜘蛛さんと大ガマさん落下


     足を滑らせた、かのように見えた。
     高く跳ね上がって、ご自慢の長い髪を振り上げる。同時に空が震える。よく晴れた雲ひとつない空が、水面のように波紋を広げた。
     錯覚である。しかしともかく、あれが妖気の波紋を広げた途端、そこで足を滑らせた。
     空を切り裂く波紋を残し、落下する。
     その仇は我々と異なる理を抱き、不可視であった。音ばかりは耳に届く。悲鳴のごとき轟音が響いた。
     空に巣食っていた目に見えぬ何者かが、目に見えぬ血しぶきを上げ、のたうち回りながら、逃げ去っていくのだった。
     地上では歓声が上がる。勝利と安堵の声を妖怪たちが上げている。
     仇は討った。逃げていく。しかしあれが、真っ逆さま、空から落ちる!
     仇の残した最後の一撃は、あれの胴を撃ち抜いた。だがまるで誰にも見えていない。ただ空で迂闊に足を滑らせたかのような。妖怪たちの軍勢は誰もその一撃を見ていない。だが落ちる。ただ一人、止めの一撃を放ったあれが真っ逆さまに落ちるのを、誰も気付いていない。
     勝利に酔った混沌の中を駆け抜けて、空白の――波紋も悲鳴も血反吐も音もかき消えた晴天の最中へ、たまらず飛び上がった。
     無我 548

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    DONE他愛のない喧嘩未満の土蜘蛛さんと大ガマさん追いかけっこ

     トン、トン、トン、と小気味の良い足音が空に響いている。閑静な町並みには些か騒がしいのではないか、と思われるのだが、かといって誰も天を見上げるものはない。
     人の耳には聞こえぬ音だ。彼奴が屋根から屋根へと伝って駆け跳ね回る足音。昨今の人家はかつて昔の城や要塞のりも高く天に向って伸び上がったものも多く、そこを跳ねる彼奴の足取りも、嘗てと異なる。時代の流れと共に少しずつ変わっている。
    「遅えなあ!」
     空で叫んだ。次いで、高らかに笑った。蛙の声色は、弾けるような音色である。これも天から地から四方八方あちらこちらへ響き渡ったが、無論それを聞いたのは吾輩だけであっただろう。人には聞こえぬし、低級の妖怪にも禄に聞こえまい。あれは疾すぎる。
    「早く捕まえねえとオレが全部食っちまうぜ」
     高い高い玻璃で造られた塔の上で一度立ち止まってそう言った。小袖の胸元に隠したそれをちらりと見せる。
     全く小癪な輩である。
    「まだ本気を出しておらぬだけだ」
     糸をたぐりたぐり、吾輩も塔を駆け上がる。笑い声がよく晴れた空に吹く風と一緒になって、ゆっくりとちぎれちぎれの雲を押し流す。
    「食い意地張って 920

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    DONE土蜘蛛さんと大ガマさんの出会いの話袖振り合うも……


    「ナァナァ、兄さん、案内人何んか、探してんじゃねえか」
     しつこく何度も馴れ馴れしく話しかけられ、仕方なしに振り向いた。
    「お」
     と相手は驚いた顔をする。二の句を失ったかのようで、あんぐり口を開いたまま立ち止まったその男を置いて、吾輩は再び踵を返して歩き出す。街道の人の波に押されてその顔は遠ざかる。
    「あ、おい。おい。そう睨むことはねえだろうよ」
     数歩遅れて再び追いかけてくる。にしてもなんと人の多い街であろう。人もそうだが、妖怪も多い。人に紛れた者もあれば、人には隠れて往来をうろつく者もある。この中から探すのは、いかにも骨が折れる。
    「あんた田舎から出てきたんだろう」
     派手な緑の小袖を尻端折り、白いふんどしを顕にし、そのくせ肩には獣の毛皮を巻いている。いかにも傾いてだらしがない。ろくな相手ではないだろう。とはいえやくざ者と呼べるほど年季の入ったようにも見えないし、まともに取り合うだけ無駄なこと。
    「どうも歩き慣れていねえようだし、案内役を買ってやってもいいぜ」
    「田舎ではない。上方からだ」
    「やっぱりそうか。しきりにキョロキョロしてるから、そんなこったろうと 1301

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    DONE土蜘蛛さんと大ガマさんの出会いの話井の中

     水の湧き出るところに、そいつは落ちてきた。流れてくる水が生ぬるく濁った。なにかの死骸だろう。たまにあることだが、そのままそこで腐ってしまうと水が汚れる。この生ぬるさはきっとまだ息があるということなのだろうが、知ったことか。ともかく水から引き上げて、水源から離れたところに捨て置かなければ。
     上流へ泳いで、湧き水の泉へ、暗い水底から岸を見上げると、そのほとりから垂れ下がったような影があり、影の真ん中から赤い靄がじわじわ広がっている。白い水面を汚している。あれだ。
     湧き水によって削り取られた水底の深いところから手を伸ばし、ひっ掴んでしまおうと思った矢先、浮かび上がろうと力を込めて水底の泥を蹴ったがためか、水面は波打ち、ほとりから垂れ下がった影がつるりと落ちて、底へ沈み始めた。
     暗く深い泉の半ばですれ違う。死骸は人のそれだった。乱れた髪が水草のように絡まって、白い頬にまとわりついている。白い顔、白い頬、白い額……しかし生気を失った死骸のそれとはどうにも違う。こんなに暗い水底なのに、それはまるで光を放つほどに白かった。泥と見紛う青白い死骸の肌とは違うのだった。そしてその唇からは 1171

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    DONEホラーっぽい雰囲気と大ガマさんうわさ


     そこは住宅街でも外れの方で、ひと気がない。どこまで行ったってここは現代日本の都市部には違いないのだから、そこは忽然と未開発の野や山になっているわけではなくて、ただ古い住宅がどこまでも続いているだけに過ぎない。しかしひと気が少なく、空き家が多く、街路樹とその植え込みは手入れもされず枯れるか、生い茂って歩道を犯すか、どこから飛んできた種なのだろうか、蔦のように伸びた正体のわからない草が電柱へ絡みついて電線まで腕を伸ばし一つになり、空を見上げればその電線こそが互いに弛み絡まって混雑しながら住宅街の上に蓋をしている。夕暮れともなるとその影が特に濃くなる。街そのものの影だ。街灯が少なく、すぐに街は暗くなるからだ。
     この区画は見通しが悪いので、事故や事件の噂が絶えない。あの坂道では十年くらい前から露出狂が出るとか、あそこにあった老人ホームは火事で全部なくなったとか、あの角では交通事故が一昨年起こってそこに住んでいた誰々が亡くなって、その亡くなった幼児の遺体はひどいものだったそうで、遺族は耐えきれず引っ越して空き家となったのが残っているのだが、庭の草や木が好き放題に伸びているのでもう 1554

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    DONE冬眠前の大ガマさん 土ガマ晩秋に


     夜にもなると少し冷える。夏は終わって、秋はあっという間に過ぎる。もうそろそろ冬の足音が聞こえるようだ。
     こう寒いと神経が鈍くなる。オレはどちらかというと夜に強い方なので、こんな冷える夜でも目ばかりは覚めているのだが。
     ぼんやり見上げる月が真っ白だ。十五夜はもうふた回り前になる。今夜の月は、冷えた空気の中で強く白く光っている。その強い眩しさに、どうしても頭に思い浮かべてしまうのは、あいつのことだ。どうにも似ているような気がする。土蜘蛛に。
    「大ガマ」
    「ゲコっ」
     急に声が聞こえて、びっくりして後ろにバタンと倒れた。天井でLEDの真っ白いライトがまるで昼間のような光を放っている。その中ににゅっと、土蜘蛛の顔が割り込んできた。
    「いつから居たんだ?」
    「なに、今しがただ。珍しがっておるようだな。たまには吾輩の方から、驚かしてやろうと思ったまでよ」
     と少し早口に弁明めいたことを言って、咳払いを一つ。
    「勝手に人の屋敷に上がるのは、日頃ならばお主のやることだが」
    「オレが来るたび、あんたは驚いてくれてたのか?」
    「いつも驚き呆れておる」
    「なんだ、素直じゃねえなあ」
     顔を 1420

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    DONEまだ蛙の姿の小さい大ガマさんと土蜘蛛さん天気予報


     雨の匂いがすると言う。わらかぬでもない。確かに天候の変わる前、彼方より雨雲を押し運んでくる風の匂い、それは水気を含んだ彼方の土地の匂いとして、わずかに感ぜられる。
    「ヘン」
     と咳払いをした。蛙が咳払いとは不思議なものだ。蓮の葉の上に座って、小さな身体でふんぞり返る。
    「まだまだだな」
     蛙の喉から、人らしき声が。いややはり人とは少し違っている。まだうまく舌を回して言葉にするのが難しいらしく、音の一つ一つが舌っ足らずな。それに小さな身体に釣り合って、微かで、跳ねるように高い。
     その声を聞き漏らさぬために、こちらも池の淵にしゃがみ込む。
    「まだまだとはどういうことだ」
    「雨の匂いについて、まだちっともわかっちゃいないってことさ。仕方ねえな。人間てぇ、そんなもんか」
    「吾輩は妖怪だが」
    「どっちも一緒だ。どう違うのかよくわからん。少なくとも蛙じゃない」
    「蛙は特別か」
    「そうだ、特別だ。こんなに雨に親しいのは蛙だけだ」
    「それはそうかも知れぬな」
    「うん、あんたはよくわかっている。いいか、雨の匂いというのは、水の匂いや土の匂いだけを嗅いではだめだ。それだけじゃねえ、ええ、 1190

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    DONEテレビ電話初挑戦の土ガマスピーカー


    「いよう! 土蜘蛛、聞こえてるか?」
     妙に光る薄い板から声が聞こえる。玻璃の貼られた板の表面にはその顔も映っている。面妖な。
    「聞こえてるみたいだな」
    「吾輩はなにも言うてはおらんが」
    「顔見りゃわかるぜ。オレの顔と声にちゃんと反応してくれてるってのが、その眉間のシワでな」
    「なんだと」
     言われて思わず、己の眉間に手を伸ばそうとしたが、こらえる。そう思惑通り動いてなるものか。吾輩はこのまま腕組みのまま頑として動くまい。
    「どうせ面妖だと思っているんだろう。今どきビデオ通話も理解してねえんだもんな」
    「莫迦にするでない。びでおもわかる。通話もわかる。つまり、これがお主との電話……であることは、さすがにわかる」
    「おお、すげえ。わかることいっぱいじゃねえか」
    「幼子に語るかのようだな」
    「いやいや、土蜘蛛さんはご立派……ご立派な……ええ、古の大妖怪様だぜ」
    「ようもそう洒落臭いことばかり言えるものだ。そのような話をするばかりのために、この板を置いて帰ったのではあるまいな」
    「ま、ま、これなら有事の際に直ぐに連絡を取れるだろう」
    「言っておくが吾輩からはこれでお主に連絡を 993