masasi9991 @masasi9991 妖怪ウォッチとFLOとRMXとSideMなど平和なのと燃えとエロと♡喘ぎとたまにグロとなんかよくわからないもの ☆quiet follow Yell with Emoji Tap the Emoji to send POIPOI 422
ALL 道タケ漣 デググラ 妖怪ウォッチ 久々綾 かぶもも レクセル RMX クラテパ ヴァルフェン レオクリ ゼロクス ZXA 創作 ジクイア masasi9991DONEキスの日の夜のデググラキスの日「なあ、今日が何の日か知ってたか?」 ベッドマットがズシンと沈む。キミの身体が俺の隣に横たわる。それからキミは大きな身体をもぞもぞ動かして、こちらを向いて転がった。ダブルベッドもキミにとっては窮屈だ。よく磨かれた黒曜石のような目がきょとんとしておれの顔を見た。 「まさか、おれのお誕生日か?」 「ははっ、もしそうだったとしたら、おれが盛大なパーティを開いていないのはおかしいだろ?」 「ウム? それもそうか。ということは今日は……?」 「今日は、『キスの日』だったらしいぜ。先に行っておくが魚じゃないぞ」 「キス!」 キミは一度目を白黒させた後、ガバっとベッドに起き上がった。もう照明も消してしまった暗い部屋で、キミに覆いかぶさられると……何も見えない。キミのキラキラ光る黒い瞳の他は。 953 masasi9991DONEハロウィンのデググラ困ったハロウィン キミを見ていると飽きないのはいつものことだ。いつものことなのに全く飽きない。キミってやつは本当に凄い。おれがこうして語るだけじゃとても追いつかないほどだ。 だがそれはそうだとして……今日はキミのその偉大さに困らされ続けている。 キミのその偉大なうっかりに。 「随分たくさん持ってきたんだな? もうビレッジ中の子供全員に渡し切ってしまったんじゃないか?」 「そうかもしれん。だがしかし世界にはまだ見ぬ子供たちがいるはずだ……! こうなったら山の上でも海の中でも砂漠のはてにでも配りに行くしかない!」 「お祭りは今日の夜までだから世界を回るなんてさすがのキミの足でも間に合わないと思うぜ」 「うぬぬ……そうか……」 1879 masasi9991DONE料理をしているデググラ台所の発明 狭い台所で背中を丸めて、小さな緑の花の芽を相手に悪戦苦闘している。いや、台所の広さは標準的だから、実際はキミの背中が大きすぎるんだ。どっちにしろ窮屈そうで、たまらなく愛しい。 そんなことを考えてのんびりと眺めている場合じゃないか。 「デグダス、こっちは終わったぜ。手伝おうか」 「ムムム。ご心配には及ばない! こちらも後すこしでおしまいだ」 「そうは見えないけどな」 大きな背中越しに手元を覗き込むと、キミはその大きな背中をさらに丸くして隠そうとする。といってもキミはデカすぎて限度があるから、その腕に抱えたボウルの中身はしっかり見えてる。 淡い緑の花の芽が、まだ沢山。土と草の瑞々しい香りがする。 「さっきみたいにやり方を教えてくれよ。こいつはどうやって下ごしらえするんだ?」 1073 masasi9991DONEおやすみ前のデググラ幸せの重量 どしん、とベッドが重く沈む瞬間が好きだ。 「今なんだか怪しい音がしなかったか!? み、みしん、みしんみしん……と!」 「あっはっはっはっは! ミシミシって? ちょっと軋んではいたけど、大丈夫じゃないか? このビレッジに引っ越してきたときに新調したばかりのベッドだぜ」 「むむ……そうなるともう何年も前か……」 「あれ? もうそんなに前になるのか。キミと一緒だと時間が経つのもあっという間だ。とはいえベッドの寿命にはまだ早すぎるんじゃないかな」 「そうだろうか。そうだといいんだが」 柔らかいマットレスがキミの重みでずしんと沈む。先にベッドに入って待っていると、後からやってきたキミの方にころんと転がる。 こんななんでもないちょっとしたことも、キミと一緒に居て幸せを感じる瞬間の一つ。 455 masasi9991DONE焼き芋を買いに行くデググラ忘れ物「ふっふふっ、あっはっはっは」 「そんなに笑わなくてもいいじゃないか」 「あははは! すまない! キミはやっぱり最高だな、と思ってさ」 「最高……ムムム。まあそれほどでもあるのだが」 「どうしておれの上着なんか大事に抱えて出て行っちゃったんだ? 財布と見間違えたか?」 「さすがにお財布とおまえを見間違えたりはしない。お財布のことは、実はすっかりすっぱり忘れていた」 「間に合ってよかった。キミにも、あの焼き芋の屋台にもな。ところでいま、おれとおれの上着を間違えなかったか?」 「うん?」 おれの指摘がちょっとわかりにくかったのか、キミは不思議そうに首を傾げた。それから大事そうに抱えたままのおれの上着に視線を落とすと、あっと大きな声を出して、そっと上着をおれの肩にかけた。 701 masasi9991DONE朝のデググラ朝からお元気「グランツ、朝だぞ。今日も間違いなく朝だぞ」 「ぷっ、ふふふ……っ」 「お布団の中でたぬきになってもおれには通用しない! おまえの笑い声がお布団の中から聞こえてきている! 深く潜ったところでむだだ。こうして、こうして、お布団の上からコネコネ……」 「あっ……」 ベッドに頭までしっかり潜っても、朝の眩しさはもう遮ることはできず、瞼の裏はすっかり白い。これ以上寝坊のしようもないくらいだ。 しかしそれよりも、キミの大きな手がブランケットを揺さぶることの方が。いや揺さぶられているのはブランケット、というか。 分厚くふわふわの布地越しに、大きな手の存在を感じる。キミはうどんでもこねてるみたいにブランケットと、それからその下のおれの腰のあたりを鷲掴みにして、ゆさゆさと揺さぶっている。鼻歌を歌いながら。 1065 masasi9991DONE冬のデググラ寒い日の帰宅「グランツ! おかえり!」 「あっはっはっは。キミもおかえり」 「ただいま!」 一足先に玄関に上がったキミは、おれの方をくるっと振り向いて両手を広げた。そうされると抗えずその腕の中に飛び込んでしまう。 飛び込んだキミの胸は柔らかい。そのまま大きな腕が力強くおれを抱き上げて、ちょっと床から足が浮いた。お互い外から帰ってきたばかりで胸も腕も少し冷たいが、キミに抱きしめられてるだけで寒さなんて吹き飛んでしまう。 「ううっ冷えているなぁ。早く暖炉の前で暖まろう」 「キミも同じくらい冷えてるぜ。だってずっと一緒に居たんだからな」 「しかし不思議なことにおまえの方がよく冷えている……ような気がする! おれの胸の暖かさでは追いつかないようだ。やはり早く暖炉に火を入れて……急げ急げ」 460 masasi9991MAIKINGデググラのバレンタイン 4623 masasi9991DONE歯磨きとキスのデググラ歯磨き後 そう広くもない洗面所だから、二人で並んでいるとギチギチだ。キミはとても大きいし、歯を磨いているとどうしても腕を動かすせいでその分幅を取りがちだ。 洗面台の前の鏡もほとんどいっぱいにキミが映っている。歯磨き中のキミの大きな口は泡だらけ。ニッと笑うように口を開いて、シャカシャカといい音を立てている。 口を濯ぐのも、順番。 「きれいに磨けたかい?」 「もちろんだ! 見てみるか? あーん」 「あっはは、真っ白でピカピカだ。おれの方はどうだ?」 別に毎日こうして確認しあっているわけではないが、たまには。口を大きく開くと歯磨き粉のミントで冷えた舌や唇がスースーする。覗き込んでいるキミの視線にも、ドキドキだ。 「きれいな歯だなぁ」 1497 masasi9991DONEいちゃいちゃしているデググラ負けず嫌い「なんだかずいぶんかわいいものを食べているなぁ」 「キミも食べるか?」 ソファの肩越しに振り向くと、キミがわかりやすくニコッと笑った瞬間だった。返事を待つまでもなく、おれは袋から取り出したマシュマロ一粒をキミの前に差し出す。 「いただきます!」 キミは大きく口を開いて、その一粒を一口でぱくっと食べた。柔らかくあたたかい唇がおれの指先に当たる。その感触、やっぱり思った通りだ。 「大きめのマシュマロを買ってきたつもりだったんだが、キミと比べると小さいな」 「もぐ……自分で買ったのか?」 「仕事帰りに衝動買いしてしまった。あんまり甘いものは好きじゃないんだけどな。あっはっは、思い出したらやっぱり……」 「む?」 「いや、お店の売り場でキミのことを思い出してしまったんだ。もう一つどうだ?」 1103 masasi9991DONE現パロのデググラ大事な写真 キミの太い指がスマホの画面の上をちょん、ちょん、とつっついてるのを見ているだけで、とても幸せな気分になる。 「うーん、この写真は……そうだ、先週の夜!」 「真っ白じゃないか。一体何を撮ろうとしたんだ?」 「これはだな、スマホをうっかりベッドの上に落としたときの写真だ!」 「あっはっはっは、よくそんなことを覚えているな! 寝るときかい? それとも起きたとき?」 「寝る前だ。手の上からこうツルリとな」 その瞬間の再現なのか、手に持ったスマホを落とす真似をする。で、やっぱり本当に落としそうになってお手玉した。 「おっとっとっとっと。ふう、ひやっとした。それでな、この次の写真が」 「今の、消さないのかい?」 「む? 消さないぞ。だっておまえが写っていたじゃないか」 794 masasi9991DONEわたあめのを食べているデググラわたあめ キミの口の中に入っていくにしては、ちょっと小さかったかなと思ったけれど。 「あーん」 「あーん……もぐ」 大きな口はわたあめを通り越しておれの指までがぶっと食べてしまった。 「あははっ。もっと大きくちぎるべきだったな。ふっふっふ、くすぐったい」 「ムム? しまった! おまえの指まで甘かったものだから、つい」 「かなり指にくっついてしまうんだ。このくらいの大きさならどうだ? あーん」 「あーん! ムムム。もっとあーん! む!」 口を大きく開いて、がぶっと行く前にちらっとおれのつまんだわたあめの大きさを確認する。これでは足りないとばかりにもうもう一段階大きく口を開く。これ以上は無理だ、というところまで開けて、さらに首を傾げてかぶりつく位置を考えた。それから満を持して、がぶり。 609 masasi9991DONEハンドクリームを塗るデググラハンドクリームのおすそ分け「あ。しまった」 もう少しでなくなってしまいそうだ、と思って思い切り絞り出したチューブから、勢いよくハンドクリームが飛び出した。白く柔らかいクリームが手の上に飛び散る。 「どうした? おっ、わはは! それはいつものおまえの、珍しいうっかりだな!」 おれの手をひょいと覗き込んだキミが元気に笑いながらそんなことを言った。 「いつもの珍しい、って妙な言い方だな」 「おまえはいつでもしっかりしているが、ハンドクリームを絞り出すのだけは時々失敗する」 「……ん、欲張ってしまうんだ」 「むふふ。欲張るのはいいことだ。おまえの手はいつでもスベスベであってほしい! おれも欲張りだ」 「キミの手だってスベスベじゃないと」 「おう、いつものだな」 1229 masasi9991DONE年越しのデググラ年越し「なあ、もうここにあるの持ってっちゃっていいかな?」 「おう! ありがとう! ……あっ」 「どうした?」 こたつの上にどんぶり四つを並べて台所を振り返ると、エプロン姿のキミが大慌てでネギを手に追いかけてくる。「あっ」の意味がすぐにわかって、たまらず吹き出した。 「あっはっはっはっは! まだ具が足りなかったか!」 温かい部屋に温かい蕎麦の湯気、おいしい匂い、いつものキミのうっかりが揃っている。笑っているのはもちろんおれだけじゃなくてロックとロッタナもだ。こたつに入った二人は少し眠たそうだけど。 「やはり彩りはな、大切だからな……」 「でもネギってちょっとだけだし味がしないじゃん」 「しかし栄養たっぷりだぞ! しっかり食べて来年も元気に過ごそう!」 901 masasi9991DONEおやすみ前のデググラ心臓の音 こうして一つのベッドに潜り込んで目をつむっていると、キミの熱と一緒に鼓動の音が聞こえてくる。キミがおれにぴったり寄り添ってくれているからだ。 それにしても今日はいつもよりもっと鼓動が大きい。おれも同じだ。眠ろうとしてもどうにも落ち着かない。今日は何もしない日なんだが。 静かなベッドの中に二人分の落ち着かない鼓動がしばらく続いて、それからキミが耐えかねたように突然動いておれを太い両腕で強く抱き寄せた。 「眠れないのか!?」 「あはっ、それはキミもだろ?」 「うむ!」 キミに抱き寄せられてキミの胸に顔を押し当てて、キミに密着して……キミの鼓動がさらに大きく聞こえてくる。 「どうしておれが起きてるってわかったんだ?」 1384 masasi9991DONEクリスマスの準備のデググラサプライズ「すっかり暗くなってしまったなあ」 そう言いながら、キミは焚き火の前から立ち上がった。 「また採掘に出るのか? 今夜はひょっとすると雪でもちらつきそうだぜ」 「いやいや遠くには行かないぞ。おまえにご心配をかけるわけにはいかないからな」 「ああ、そうしてくれると嬉しい」 なにしろ夜の山は真っ暗だ。キミの採掘師としての勘がこんな暗闇なんかでどうにかなるはずがないとは思うが、暗闇の中でキミを待つのはおれが不安だ。行くなら、ついていくけど。 「ちょっとやることがあってな……これだこれだ」 「ん?」 テントの中に放り込んでいた荷物をゴソゴソと探っていたかと思うと、キミはすぐに焚き火の前に戻ってきた。揺れる火の灯りに照らされたそれは、いくつかの小さな宝石の原石だ。 1978 masasi9991DONEおはようのデググラお名前「デグダス、デグダス」 とんとん、つんつん、ほっぺをつつかれている。ちょっと冷えた指先がくすぐったい。「むふふ」 なんていい夢だろう。グランツが耳元でおれの名前を呼んでいる。とても楽しそうな声だ。今にも笑い出しそうなのを我慢している、そんなときのウキウキはねる声だ。 どうしておれの名前を呼んでいるだけで、そんなにうれしそうなのだろう? とっても不思議だが、おれもそんな気持ちのときもある。同じ気持ちを思い出して、おれもムフムフ夢の中で笑ってしまう。 「今朝はキミの好きなものを作ったぜ」 「うーん」 そうか朝なのか。言われてみれば、眩しいような夢だ。じゃあ起きないと。 ううん、でも、しかしそれにしても、その『キミ』という響きも、たいへんむず痒く幸せなものだなぁ。 981 masasi9991DONEお買い物のデググラ選びきれない マーケットで買い物をするとき、こういった店だとかなり大変だ。 小さな屋台の端から端まで、無数の種類のドーナツと値札が並んでいる。一つの種類につき、残っているのは二つか三つぐらいしかない。もうカラになっているカゴもある。そうなると逆によほど人気のあるフレーバーだったのだろうな、と想像をかきたてられて、購買意欲をそそる。 とはいえおれもデグダスも、それほど優柔不断というわけではない、はずなんだが。 「これとこれとこれ……で、六、七、八個。あとは……」 「これ、おれも食べたいな。あとこのトマトとアンチョビのやつ、酒に合いそうじゃないか?」 「おおっ。じゃあそれ、おれの分も買っていいか!? トマトまんじゅう!」 1064 masasi9991DONEいちゃいちゃしているデググラ呼吸の音 ふう、と一息をついた。洞窟は静かで、おれのため息ばかりがホワンと響く。少し離れたところでピッケルを振るっていたグランツが振り向いて、声を上げて笑った。 「あっははは。休憩にしようか」 「む。おれのため息は、そんなにうるさかったか?」 「静かだからさ。キミの呼吸の音ばかり聞こえるんだ」 と、ケラケラ笑いながら駆け寄ってくる。 そんなにハアハア言っていたかな? ピッケルを振るっているときはそりゃあもちろん呼吸も荒くなるものだが、そのヒイヒイハアハア言っているのをグランツにしっかり聞かれていたかと思うとちょっとばかり恥ずかしい。 思わず片手で口元を塞いだ。 いつだって一緒に採掘をしているのだから今更なことではあるけれども。 756 masasi9991DONE朝からいちゃいちゃするデググラ食べたいもの正解 ほっぺがむにむにと柔らかいので思わずいつまでもこうしていたくなるのだが……。 「ふふ、くすぐったい……。な、キミも一緒に二度寝しようぜ」 なんて誘惑が、グランツのお口から聞こえてくるのでたいへん危険だ。眠たいグランツの目は片方は閉じたまま、ウィンク。 うつ伏せになって枕に半分沈んだ顔の、むにっとなっているほっぺをつついていると、おれは今にもベッドに吸い込まれてしまいそうだ。グランツはどうしてこうも誘惑がお上手なのか。 「そうはいかない。ムム……、おれはおまえを起こしておいしい朝ごはんを食べてもらうという使命があるのだ! 朝ごはんは元気のもと!」 「んー……。そういえばお腹が空いてるな」 「そうだろうそうだろう! いまにおまえのお腹はグーグー言い始めるはずだ」 914 masasi9991DONEお買い物のデググラ二人でお買い物「これもキミに似合うな」 「そうか?」 振り向いて首を傾げたキミの襟足に、それをそっと添えてみる。ぴょんぴょん跳ねるキミの赤毛に黒のゴムはもちろん深い青のガラス玉もよく似合う。欲を言えばガラスより鉱石の飾りの方がきっとキミには似合うだろう。 「こっちもいい。キミなら……これも。ふふ、選ぶのに時間がかかってすまない。キミには何でも似合うんだ」 「いやいやそれほどでも! むっふっふっふっふ。お買い物は楽しいから仕方がないさ。ところで……」 「あとで晩飯の買い物にも行かないとな。なあ、この焼き芋の飾り、ほんとにキミにぴったりじゃないか?」 「おいしそうだ! それに色もおれの髪にジャストフィットだと!?」 「あっはっはっはっは! これを買ってしまおうか!」 579 masasi9991DONEデググラと焼き芋秋の食べ放題 公園の方から家の前の道まで、すっかりきれいになった。ほうきで集めた落ち葉をまとめて積み上げておくと、これはこれで秋らしくていい。あとはごみ袋でまとめて公園に持っていって、焚き火をするのだ。 そう、焚き火だ! 今日は焚き火の日だ。ビレッジの中央の公園の方角からモクモクと煙が上がっている。すでに集まってきている落ち葉で焚き火が始まっているようだ。 煙が秋の水色の空にゆっくり上り、ゆっくり吹いた風でゆらゆらと揺れ、香ばしい焚き火の香りが……焚き火の中のお芋の焼ける匂いが! 漂っているような気がする。 今日は秋の恒例のビレッジの落ち葉掃きの日だ。落ち葉を集め終わったら、落ち葉で焼いた焼き芋がもらえる。つまり焚き火の日であり、焼き芋の日でもある。そして焼き芋は食べ放題だ。 1304 masasi9991DONEパイズリの日のデググラ 1331 masasi9991DONE現パロ お買い物のデググラ赤ちゃんサイズ いつもここに並んでいるはずなんだが、いくら探してもない。売り切れてしまっているのだろうか? ひとつでいいから、残っていてくれないか。一つずつ手にとって、パッケージに書いてある文字を読む。やわらかめ。しかし、〇〜三歳用。これは違う。 そうしていると、背中をつんつん、とつつかれた。 一番下の商品の棚を見るためにしゃがんで丸めたおれの背中を、つんつん、こちょこちょ。ちょっぴりくすぐったい。顔を見なくてもすぐにわかる、もちろんこれはグランツだ。 「何を探しているんだ?」 「おう、いつも使っている歯ブラシをだな」 「キミがいつも使ってる歯ブラシ? あのメーカーのやつか」 「白に青と緑の線が入っていて、大きめでやわらかい……。ないな。あれが一番いいんだ。やっぱり売り切れか」 737 masasi9991DONEお昼寝前のデググラお昼にもお昼寝 ふわ、と大きなあくびが出た。静かな洞窟の中にほわんと反響して、誰も聞いていないのに少し恥ずかしくなる。仕事中にこんな気が抜けた様子じゃ流石にまずい。 誰も聞いてない、よな? デグダスは……先に進んでいるはずだし。いくらさっきのおれのあくびの声が大きすぎたからって、まさかデグダスのところまで響いて聞こえるなんてことは。 そんな気まずい予感がしたときは、当たることが多いような気がする。 洞窟の先から、ドタドタと急いでこっちにやってくる足音が聞こえた。 「グランツ! だから言っただろう!」 「あっはははは。まさか聞こえてたとはな」 「おれは耳もよければ鼻もいいし勘もいいのだ。うっかりは多いけれども」 「顔もいいしな」 1703 masasi9991DONEハロウィン準備中のデググラお祭りの朝「デグダス、おはよう」 「んがっ?」 朝だ! グランツの声だ! ワッと目を開くと、朝日が眩しい。おれの顔を覗き込むグランツの肌と瞳がキラキラしている。 「朝なのか?」 「そうだぜ。あはっ、まだ寝足りないかい?」 「いや、とってもすっきりとした目覚めだ。今日もぐっすり眠ることができたようだ!」 「それはよかった」 グランツの笑顔は今日もピカピカだ。朝日の眩しさにも全く負けていない。そんな笑顔を一日の始まりから見ることができて、おれはなんて幸せ者なのだろうか。 「でもなんだかまだ夢の中みたいなぼんやりした顔をしていないか?」 「ン、実は」 グランツがさらにおれに顔を近づけると、昼間と違って結んでいない髪がサラリサラリとおれの顔に流れてかかる。おれの頬にこしょこしょ、と。 1295 masasi9991DONEいちゃいちゃしているデググラ昔から しょんぼりと肩を落としてうなだれていても、キミの身体はとても大きい。 「ちょっとかがんでくれないか?」 「おう」 返ってきた一言も元気がない。背を屈めて、頭をうなだれ、赤いくせっ毛がそっと揺れる。それでもおれはちょっと背伸びをして、キミの頭へ手を伸ばした。 「お」 「よしよし。おれはキミが落ち込む必要はないと思うが……。ま、こんな日もある」 「……うむ!」 背は屈めたままだけど、キミの黒い目は元気に見開かれて少し上目遣いにおれを見た。 キミに見つめられながらキミの頭を撫でるのは、なんだかとてもくすぐったい気分だ。手のひらに感じるキミのくせっ毛もくすぐったい。 この場合、キミの方がくすぐったいのかもしれないが。 871 masasi9991DONEデググラの日常ごほうび「よーしよし。今日はお疲れさまだ!」 夕暮れの平原の一角に時間通り集まった弟子たちに、キミは予め用意しておいたアップルジュースのビンを一人一本ずつ手渡していた。昼にマーケットで買っておいたものだから冷えてはいないけど、涼しくなってきたこの季節にはその方がいいだろう。今日の採掘は試験も兼ねていた分、頑張った弟子たちへのキミからのご褒美というわけだ。 マーケットからの帰り道では何本ものビンを抱えてカチャカチャ鳴らしながら運んでいて、うっかり割っちゃったりしないだろうかと心配だったけど、渡し終わってみればちゃんと全員分無事だった。むしろ予備で買った分が一本残っている。 キミはうっかりも多いけど、いつもこんなふうに弟子たちへの気遣いもとても優しくて、おれはただただ羨ましい。 1615 masasi9991DONEデグダスを吸うグランツのデググラ補給 ソファの上にグランツがうつ伏せに倒れている! こんなとき、引っ越しのときにグランツが言った通りに大きめのソファを買っておいてよかったと思う。おれも一緒に横に座ると、まさにぴったりサイズとなるのだ。 とはいえそれは並んで座ったらの話であって、グランツがうつ伏せに倒れているとなると話は別だ。 「グランツ、ただいま」 「ん、おかえり」 ソファに倒れたグランツはお返事の声までまさにぐったりとしており、だんだんそこからずり落ちていくのだった。 おれが隣にお邪魔すると少し顔を上げておれを見つめる。なんともせつなそうな顔だ。そしてやはりそのままずりずりと床に落っこちてしまいそうになるので、両手で支えてソファの上に引っ張り上げた。 833 masasi9991DONEエアスケベのデググラ 1143 masasi9991DONEおやすみ前のデググラ短い赤毛に「だんだん、寒くなってきたなぁ」 なんて言いながら、風呂上がりの火照った身体をぶるり、とキミは揺らした。それから大きな口を大きく開いて大あくび。 「今日はもう寝ようか」 「うむ。こんな日は風邪をひかないようにあったかくしてゆっくり寝ないとな」 ベッドの上に腰を下ろして、もう一度キミは大あくびをした。もう目は半分閉じて、眠たそうにしている。でも、おれが来るのを待ってくれているらしい。 おれもしっかり髪を乾かしてから、ベッドの君の隣に腰掛けた。 「むにゃ」 座って腕を組んだまま寝ようというキミの背中側からそっと手を回し、後ろ髪に指を触れた。 まだ少し濡れて、ひんやりと冷たい。いつも元気に跳ね回ってるキミのくせっ毛も、風呂の後には少しおとなしい。 1096 masasi9991DONE紐パンとデググラ 2604 masasi9991DONE寝袋の中でいちゃいちゃしているデググラ起きたあとは「あっはははは、ははっ、……っはあ。ふふふ……」 「落ち着いたか?」 「んふっ、あぁ。あはは」 「よしよし」 寝袋の中のおれの腕の中で頷いたグランツをさらに撫でる。グランツの頭はあたかかく、寝癖の髪も指にふわふわと絡んで気持ちがよく、不思議なことだがおれの手にぴったりくっついてくる。本当はおれがおれが手を離せないだけなのだが。 でもいいじゃないか、野宿の朝のテントの中の二人用の寝袋の中はふたりっきりだ。まぶしい日の出と一緒に置きたからにはこうして少しのんびりする時間もある。 「キミのおかげですっかり目が覚めた」 「実はおれもだ! おれもおれのおかげで目が……あれ?」 「もしかしておれのおかげかな?」 「おお、そうだった! おまえのとびっきりの笑い声でおれもすっかりすっきり目覚めたんだ」 1186 masasi9991DONE朝からいちゃいちゃしているデググラいい起こし方 ここはどこかな? ぱちっと目が覚めて、一番最初に考えることはそれだ。いつもと違うところだ、ここは。 少々狭くて大いに眩しい。狭いのはまったくおれのせいだ。二人用の寝袋にきゅっと詰まって眠っている。しかし狭いのは悪いことばかりではない。なにしろとっても温かい。いつものベッドの上よりも、ぎゅっとグランツにくっつける。ころんと転がって離れてしまうこともない。いつでもぴったりなのだ。 そして朝は天幕越しに、とても眩しい朝日で目覚めるのだ。 ということはここは山の中のテントの中の寝袋の中だ。そして朝だ。 「グランツ、朝だぞ」 寝袋の中でくっついて、背中に回した腕で腰のあたりをちょんちょんする。……べつに腰を触りたかったわけではないぞ。ただ純粋にグランツをちょんちょんしたかっただけなんだ。 1141 masasi9991DONEデググラのファーストキスですキミとの最初の 疲れてしまって眠れない。まだ身体はじんわり熱いし、鼓動も落ち着いてくれない。こんな夜はキミをしばらく見つめ続けてることにする。 ブランケットに潜り込むなりすぐに目を閉じて、大きな鼻をぴくぴくさせながら深い呼吸を繰り返す。そんなキミの肩と胸が呼吸のたびにゆっくり動いて、二人で潜り込んだブランケットもゆっくりそっと波打つように揺れている。いつも、それに気付くたびにくすぐったい気持ちになって――本当に、揺れるブランケットの柔らかさにくすぐられているせいかもしれないが、こんななんてことないことで思わず吹き出してしまう。 「ふふっ」 「ンぉ?」 「あ……起こしてしまったか?」 パチパチ、とキミは力強く瞬きをする。既に浸っていた眠気を覚まそうとしているのか。実に申し訳ないことをした。 1986 masasi9991DONEお買い物に行くデググラチョコ禁止 買い出しにマーケットへ向かっている最中から明らかにしょぼんとして落ち込んでいる。大きな背中が縮こまって。隣を歩くおれとしては、夕方になっても眩しい夏の日差しを頼もしく遮ってくれるキミの影が小さくなってしまっているのは実に残念だ。 でも男らしい太い眉をしょんぼりと下げているキミの姿はとてもかわいい。 「さっき出かけるときに何か問題でも起こったのか?」 「ううむ……ロッタナに怒られてしまった。今日の晩ごはんはチョコレートは禁止だと」 「晩ごはんにチョコレート? あはははっ、それは確かに、ちょっと難しい問題だな? おれもロッタナに賛成だ」 「ムム。いや違う間違えた! 禁止されたのは明日のおやつのことだ! 今日の採掘のおやつにチョコレートを持たせていたら、おやつの時間にはすっかり解けてしまっていたらしくてな」 1036 masasi9991DONEご飯を食べているデググラ少食かもしれない いつも、ご飯のときはお喋りだ。もちろんご飯のとき以外もグランツはとってもお喋りだ。それによく笑う。しかしやはり採掘師にとって食事は全ての基本、だからこそご飯のときはいつもよりも楽しくお喋りになるものなのだ。 「デグダス、こいつも美味かったぜ」 「ム? ……ごくん。どれだどれだ?」 「ふっふっふ。これだ。……熱っ」 と笑いつつ、グランツは大皿に積まれたチキンを一切れ口に入れた。菜っぱのサラダの上に、ソースで照り焼きにされたチキンがこんもりと積み上がっている。出来たてでまだソースはじゅうじゅうと音を立ててさえいる。音と匂いと焦げ目の色がいかにもうまそうだ。 「んふっ、ふふ、さっきのキミの顔」 熱いと言いつつニコニコ笑って、熱い肉を口の中でハフハフとしつつ、それでもまだお喋りが止まらない。 1080 masasi9991DONEハグの日のデググラハグの日「デグダス!」 目があった途端、グランツは一気に笑顔になった。こんなに遠くてもよくわかる。おーいおーいと大きな声で手を振ってこっちへ走ってくる。 「グランツ! 久しぶりだなあ」 「あっはっはっはっは! 今朝の『行ってきます』から、かなり久しぶりだな?」 「うん、そうだ。おまえと別々に採掘へ向かう日は、一律千円の思いだ。……噛んだだけだぞ、今のは」 「あははは、そんなこと言われたら照れるじゃないか」 グランツは相変わらずニコニコで、そのままスキップを始めそうな足取りで帰り道を歩き出した。 と、思いきや急に立ち止まってクルッと回りこちらを見る。 「そっか、久しぶりか。じゃあこれをしないとな」 「お」 おれの前でグランツが両手を大きく広げた。 616 masasi9991DONEセックス中デググラ 1042 masasi9991DONEかき氷を食べているデググラかき氷の予防「いただきます!」 と、キミは当然かき氷の前で礼儀正しく手を合わせた。小さなお辞儀も。山のように積み上げられたかき氷にキミの額がぶつかりそうで少しヒヤヒヤする。涼しそうだ、という意味でも。 「どうしたグランツ。うらやましいのか? やっぱりこう暑い日は、かき氷だものな!」 「ああ、そうだな」 氷と同様に輝く銀のスプーンをかかげ、キミは満面の笑みだ。 「おまえもかき氷を注文すればよかったのに」 「でもよく冷えた麦ジュースの誘惑に勝てなかった」 「うーん、確かにな。それも確かに、魅力的だった。でもかき氷もいいだろう? うらやましいだろう? そんなに見つめてくるぐらいだ」 「バレてるか」 「そりゃそうだ! おまえの熱い視線で溶けてしまいそうだぞ」 1282 masasi9991DONEおやすみ前にいちゃいちゃしているデググラ堪能 キミが呼吸をするたびに、胸の筋肉が膨らんで上下に動く。それを見ているだけで癒やされる。永遠にこうして見つめていたいが、もちろんそんなわけにもいかない。明日も早いから、もう寝る時間だ。……でも、夜は長いし。キミに話したいことも沢山ある。 「ふっ」 「むむっ?」 話したいこと、何だったっけ? キミの身体を見つめてるうちに忘れてしまった。たったそれだけで一人で吹き出す。するとおれの息がキミをくすぐってしまったのか、今度はキミの胸はぷるぷると小さく揺れた。 「ごめんな、くすぐったかったか?」 「むっふっふっふっふ。この程度どうということはない! 笑うのはいいことだからな。おまえが笑っているとおれもうれしい。む、ふはは」 966 masasi9991DONEお風呂上がりのデググラお風呂の後 デグダスは世話を焼くのがとても好きだ。そしておれは身の回りのことは少しだらしない。だから一緒にいると、際限なく甘えてしまう。 風呂から上がるとキミはおれの髪まで拭いて乾かしてくれる。その間、キミは自分のことは最低限しかせずに髪もほとんど塗れたままだ。いつも自分のことより他人のお世話を優先してしまう。 「悪いな、デグダス。あとでキミの髪を乾かすのを手伝うから」 「おれの髪なんかすぐに乾いてしまうから大丈夫だ! 特にこんな暑い夜はな」 「でもそのままだとキミはなんだか塗れた子犬みたいだからさ」 「わ、ワンワン? そうかな?」 言われてその気になってしまったのか、キミは首を左右に何回か振った。しゅぱぱぱ……と本当にシャワーの後の子犬みたいに水を跳ねさせる。しかし子犬、と言っても大型犬のでっかい子犬だ。 974 masasi9991DONE海に行く準備をしているデググラ夏の準備 おれは日焼けなんかちっとも気にしないんだが、グランツがどうしてもと言うので。健康のことを考えると気を使った方がいい――なんて真剣に心配してくれているとなると、大変うれしくもあり逆らうわけにはいかない。 その上こうも楽しそうな笑顔を見せられるとなると。 「うっふふふ……ふふふん」 「くすぐったいか? でも隅々まで塗らないといけないからな」 ニコニコ顔のグランツが、おれを上目遣いで見上げている。白いトロトロの日焼け止めをおれの胸に塗りたくりながら、なんだが、そのために顔をそこまで近づける必要はないんじゃないか。しかしとても楽しそうで悪くはない。むしろとてもいい。 人肌に温まったぬるぬるとケラケラ笑うグランツの息が胸の上で合わさってとても……。思わずブルッと。 1118 masasi9991DONE4等身ぐらいのデググラ masasi9991DONEいちゃいちゃしてるだけのデググラすべすべ ホカホカでちょっとしっとりしている。冬の寒い夜だったら、肌から湯気が上がってるのも見えるくらいには、湯上がりのキミの体温は上がっているけど、今日のような夏の夜では流石にそれは見えない。 でも熱くてしっとりしていてぷにぷにで、しかもすべすべだ。 「むふふ。ふふふふ」 「くすぐったかったか?」 と聞きながらも、キミの頬をなでる手は止められないが。 両手で包み込んだ右の頬も左の頬もすべすべだ。この感触は、お風呂上がりのこの時間だけ。 「くすぐったいな。気持ちが、そう心が! くすぐったい」 キミもニコニコの満面の笑顔だ。笑顔の口元も、膨らんだ頬もすべすべ。 「今のおれはぴかぴかだぞ! どうぞお好きなだけ触ってくれ! 朝になったらもういがぐりのようになってしまうけれども……」 458 masasi9991DONEコロッケを作っているデググラできたてのコロッケ キミのどんな表情も好きだけど、一番好きなのは真剣な表情だ。そしてキミが真剣な顔をするのは、鉱床を掘っているときと、それから日々の台所で揚げ物をしているときだ。 大きな身体を覆いきれていないピンクのエプロンは、キミの動きに合わせて裾をひらひらと揺らしている。最高にかわいい。それを眺めてるだけでいくらでも時間が過ぎていく。 料理をしているキミに対して、見てるだけってのはちょっといけないんじゃないか。おれの飯でもあるんだから、ぼんやりしてないで手伝うべきだ。とは思うんだが、この家の台所はキミの身体の大きさに対して正直なところ狭すぎる。なかなか二人で並んで立つのは難しい。とはいえ最初はおれも野菜を洗ったり切ったりと細々と手伝ってはいたんだ。 1838 masasi9991DONE採掘中のデググラ冬の気分 洞窟の中、新たに見つけた鉱脈を辿って登ったり降りたり掘り進んだり危険な足場を渡ったりしてやっとたどり着いたそこは圧巻だった。ここまでの苦労で熱くなった身体もすうっと冷えるような、幻想的な場所……採掘師にとってはとんでもない穴場だ。 上も下も前も後ろも、四方八方どこを見ても透明なクリスタルに覆われている。どれも非常に透明度が高く、まるで氷でできた洞窟の中に立っているかのようだった。それにクリスタルの中に、自然発光する鉱石が混じっているのか、灯りを掲げるまでもなくあちこちでキラキラと光が反射している。洞窟の中だってのに、やはりまるで凍りついた冬の星の夜を思わせた。 息をゆっくり吐いたら白くなるような錯覚まで覚える。確かに洞窟はいつでもひんやりとした空気が漂っているが、実際には息が白くなるほど寒いわけじゃない。頭ではわかっているんだが。 953 masasi9991DONEメイドの日じゃないデググラメイドじゃない日 我ながら、別に全く似合っていないと思う。鏡の前でポーズを取ろうとしたけど、ポーズを取りきる前に思わず一人で吹き出してしまった。 「ぷふっ」 どうにかこらえて、小声で。もうすぐデグダスが帰ってくる頃だから。あまり似合ってはいないけど、びっくりさせることはできそうだ。笑ってくれるかな? 「ただいま!」 ちょうど元気のいい声が玄関から聞こえてきて、おれは慌ててそっちへ向かった。 「デグダス、おかえり」 いや、この格好で言うならそれじゃないな。こういう場合は、と考えてやっぱり一人で照れる。が、それどころじゃない。着慣れない服で慌てて階段を降りると、足がもつれそうになる。 このひらひらと長いスカートは、走り回るのにはあまり向いてないんじゃないか? 足に絡まって動きにくいし、その割にはまるで下半身に何も履いていないみたいでスースーするし! さらに裾で揺れるフリルのせいで足元も見えない。 1356 1234