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    お蔵入り

    緒々葉

    MOURNING支部にweb再録した「心伝う、想い花」の世界線スピンオフに滾った時に書いてお蔵入りな話。
    真←翔(失恋)←那の冒頭しかないプロット。
    翔那風味。
    永遠に書けないから供養!!!💦💦
    俺はまた、あいつの背中を見送った。
    今までも何度か、それはあった。
    だけど、今回はきっともう取り戻せない。
    あんなに血相変えた顔、向けられたことなんてなかったから。
    この想いを叶えようなんて考えてなかった。それでもやっぱりここまで面と向かって突き付けられると、嫌でも痛感する。
    いつか、そんな日が来ると解ってたけど。
    あいつにとって心から大切な相手が出来た時には、俺もめいっぱい喜んでやろうって。
    笑顔で見送ろうって、そう決めてたのに。
    いざそうなってみると、みっともなく足掻いてる俺がいた。

    こんだけ、長いこと一緒にいても、所詮良い同僚止まりだったってわけだ。


    「あーあ…こんな俺じゃ、聖川じゃなくても誰かに好かれる訳ねーよな」

    もう誰一人として残っていないオフィスに、投げやりな声が消えていく。
    なんとなく、帰る気力がなかった俺は、大掃除後の小綺麗な室内でぼうっと過ごしていた。

    「翔ちゃん!」
    ドアの方から、馴染みの深い中性的な声がして。
    振り向くと大柄な影が、がらっと快活な音を立てオフィスに姿を見せた。
    「ひとりでどうしたんですか?」
    「げ、那月……」

    「別に、どうもしてねーよ 1001

    blackberryO7I5

    MOURNING一ヶ月くらい前から書きかけて難航している五七。

    体調不良ネタ大好きなんだけどわたしの中の7ミンほんっと甘えてくれなくてぜんぜん進まないの……このままお蔵入りになってしまいそうなのでここに墓を建てておく。
    スマートフォンの向こうから耳に届いた声に、五条悟は眉を顰めた。

     デジタル化されていても耳に馴染む、一聴すると普段通りの抑揚の薄い声。だが他でもない五条がその変調に気がつかないわけがない。

    「ねえ、七海」

     電話の向こうで話す相手の言葉を遮って名を呼ぶ。思っていた以上に強い語気になってしまったことに、五条は自分でもやや驚きつつ言葉を続けた。

    「いまどこ」

     それまでの会話を完全に一蹴した質問に、電話の相手――七海建人が当惑する空気が伝わってくる。常ならば話を聴いていないことに対してひと言二言の諫言をするはずの七海が何も言わないのは、おそらく五条の声に孕まれる不穏な気配のせいだろう。
     普段の言動から自由奔放、傍若無人に振舞っている印象の強い五条だが、その実は無闇に負の感情を撒き散らすことはない。とりわけ七海と接するときの五条は、他の誰と対するよりも自然体且つ温和であることが多かった。

    「……帰るところですが」

     なにか不興を買うことをした自覚があるならまだしも、理由に心当たりのない七海は五条の不機嫌――とも違うかもしれないが――に、わずかながら動揺する。
     注意深く言葉を 2969