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    真夜

    いなほのほ

    DONEヤス不在の🍱⚖️。真夜中のキッチンにて。
    ⚖️とべっこう飴のはなし。

    作中のスプーンで混ぜて〜のくだりは衝撃で再結晶した場合じゃりじゃり食感になりやすいというアレです。気にならなければ混ぜても大丈夫。

    今回はプロットがありました。
    しょばやってなくて腐男子でもない彼氏から突然送られてきたやつです(いや何で?????)
    ミリしらにつき自由改変の許可が出ていたので好き勝手に肉付けしました
    夜更かしのべっこう飴ぺらり、はらり。
    秒針音に時折混じる、紙の擦れる[[rb:微 > かす]]かなノイズ。

    「…………ふぅ。」

    集中の切れ間にふと顔を上げれば、時刻はもうすぐ午前2時になろうとしていた。

    ——もう、こんな時間か…。何か、甘いもの……。

    リカオは空になったマグカップを片手に、のそのそと立ち上がってキッチンに向かう。
    冷蔵庫にはドリンクと、それからキャンディチーズがひとつだけ。リカオは一度扉を閉めて、天井を仰ぎ見る。そのまま深く息を吸って、ゆっくり[[rb:吐 > は]]く。
    [[rb:一縷 > いちる]]の望みを抱きながら…今度は冷凍室を開けるも[[rb:氷菓 > アイス]]の類は何もなく。リカオは結局、深々と溜息を[[rb:吐 > つ]]きながら扉を閉める羽目になった。
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    mitochiyo

    DONE今週のネロファウ「真夜中のキッチン」
    真夜中のキッチン 深い夜。建物全体が眠ったような静けさに足音も溶け込む。目が覚めて喉が渇いていた。自室の水差しにはまだ半分程水が残っていたが、足がキッチンへ向かった。月は随分と高い位置にいるのにその輝きと大きさのせいでキッチンの中は夕闇に置き去りにされたような暗さと明るさの間にあった。影もまるで生まれたばかりのようにぼんやりとしている。
     作業台の側にある椅子に座って喉を潤した。今夜は本当に静かだ。日が昇っている間のこの場所とは別世界のようにも思えた。

     ふと、鍋が目に付く。朝食用のスープの仕込みだろうか。誰よりも早く誰よりも遅くまでこの場所にいる数時間前の彼を想像する。鍋の前に立ち、火加減を見つつ時折混ぜ込み、小皿に取って一口味見する。うーん、と首を傾げて綺麗に並べられた調味料の瓶に手を伸ばす。迷わず一つを手に取り、鍋に少量振り入れた。何度目かの味見で静かに笑い、火を消す。鍋に蓋をして寝かせる。道具を洗い、水を切った皿を拭く。食器棚へ皿をしまう。作業スペースを布巾で拭く。床にゴミが落ちていないか確認する。汚れていれば軽く掃除。使った布巾を洗い、布巾用の物干しに広げた。両手を腰につけて辺りを見渡して頷く。エプロンの結び目を解き、手早く折り畳む。畳んだエプロンを片手に掛けて、キッチンを出ていく。
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