TAR
kino_fic
DONE鍾タルワンライ・第十八回目【酒、毒】お題だけお借りしましたが、時間も長さも投稿タイミングも無配慮のためお題だけです。
(!)注意
・魔神1章3幕までのネタバレ
・全部捏造です
処女雪を踏み荒らして踊る(鍾タル) はじめてというものはいつだって喪失と隣り合わせだ。まっさらな新雪の上に足を踏み入れるように、踏みつけた場所はもう元には戻らない。永遠に失った「はじめて」を惜しむことも、振り返ることも今更したりはしない。俺は前だけを見て進むことを信条としているから。ただ、それでも。だからこそ、かもしれないが。人より多くの経験を重ねたこの身に残された数少ない初体験というものを見つけると、どこかくすぐったい気持ちになってしまう。
だから鍾離先生が泥酔というものを知らないと話したとき、「俺もだよ」と思わず零してしまったのだ。食後の茶を啜る男はぴくりとも表情を動かさずに、意外だな、と呟いた。だったらもう少し意外そうな顔を作ってほしいものだが。
6201だから鍾離先生が泥酔というものを知らないと話したとき、「俺もだよ」と思わず零してしまったのだ。食後の茶を啜る男はぴくりとも表情を動かさずに、意外だな、と呟いた。だったらもう少し意外そうな顔を作ってほしいものだが。
おにきゅ
DONE【鍾タルワンライ0724WEBオンリー「祝福」】鍾タルワンライ「祝福」執務も落ち着いて蝉の鳴き声が響く夏の夜。この日も変わらず、共に夕食を摂っていた。夏の賑わいもあり、飲み進めていた酒のペースも量もそれなりだった。だから、つい口を滑らせたのだ。『無妄の丘まで任務に出てから、どうにも夢見が悪い』と。
何度も食事を共にしてきたし、ちょっとした時間潰しなら誘い合う仲だが、互いに譲れない立場がある。それは向こうも理解しているからこそ、どれだけ無茶をしても、無理をしても、形の良い眉を顰めるだけで口を挟んできたことなど無かった。そんな相手が「顔色が悪い」「無妄の丘に行くのは止めた方が良い」と言い、「さもなければ任務に自分も同行する」とまで言い出した。
ここ数日まともに眠れていないのだ。顔色のひとつも悪くなるだろう。腹の奥底から湧き出るような不快感を抱えたまま、続く言葉を吐きだした。
1836何度も食事を共にしてきたし、ちょっとした時間潰しなら誘い合う仲だが、互いに譲れない立場がある。それは向こうも理解しているからこそ、どれだけ無茶をしても、無理をしても、形の良い眉を顰めるだけで口を挟んできたことなど無かった。そんな相手が「顔色が悪い」「無妄の丘に行くのは止めた方が良い」と言い、「さもなければ任務に自分も同行する」とまで言い出した。
ここ数日まともに眠れていないのだ。顔色のひとつも悪くなるだろう。腹の奥底から湧き出るような不快感を抱えたまま、続く言葉を吐きだした。
おにきゅ
DONE【鍾タルワンライ0703「凡人」「嫉妬」】鍾タルワンライ「凡人」「嫉妬」宙に舞い散った水滴が光を拡散し、虹色に染まる。空は分厚い雲が空を覆い、雨粒が落ちた。桶をひっくり返したような……とまではいかないものの、髪を伝って落ちる水滴が煩わしい。
土が水気でぬかるみ、気を抜けば足を滑らせそうな悪条件の中。男たちは各々の武器を手に取り合い、対峙していた。既に互いの身体には刃を交えた幾筋もの切り傷が出来ている。
「さすがだね、先生。条件は俺の方が有利なはずなのに」
「そういう公子殿こそ、この視界の中で良く正確に射貫け……おっと」
会話を遮るように一射。胸を狙ったそれは相手のシールドによって、無情にも弾かれる。
荒く乱れる呼吸を大きく息を吸い込んで整えながら、互いの距離を測りつつ、タルタリヤは目の前の相手を見据えた。
1591土が水気でぬかるみ、気を抜けば足を滑らせそうな悪条件の中。男たちは各々の武器を手に取り合い、対峙していた。既に互いの身体には刃を交えた幾筋もの切り傷が出来ている。
「さすがだね、先生。条件は俺の方が有利なはずなのに」
「そういう公子殿こそ、この視界の中で良く正確に射貫け……おっと」
会話を遮るように一射。胸を狙ったそれは相手のシールドによって、無情にも弾かれる。
荒く乱れる呼吸を大きく息を吸い込んで整えながら、互いの距離を測りつつ、タルタリヤは目の前の相手を見据えた。
おにきゅ
DONE【鍾タルワンライ0828「現パロ」】鍾タルワンライ「現パロ」カタカタ、と言うタイピングの音が響く。
「先生。今はどんな感じ?」
「線画が終わって、あとは彩色だけだな」
「一枚目の?」
「いや、」
全てだ、と機器の向こうから返された声に、目の前にある真っ白な原稿を見て、頭を抱えたくなる。入稿までの残り日数を振り返り、確実に徹夜作業だなと小さく溜息をこぼした。
「相変わらず、先生は手が早いね」
「他者より時間があるだけだ。それより、公子殿」
「ん」
「今、書いているものが終わったら一緒に食事でもどうだ?」
元素に満ちあふれた世界で過ごしていた俺たちは高層ビルが建ち並ぶ、現代で再会した。と言うより、憧れていた絵師のひとりが、見知った顔だった。
かつては鍾離と呼ばれた元岩神・現通話相手様は、今となっては「恐らく桁は変わっていないと思うんだが、」と言うくらいの御長寿だ。
1682「先生。今はどんな感じ?」
「線画が終わって、あとは彩色だけだな」
「一枚目の?」
「いや、」
全てだ、と機器の向こうから返された声に、目の前にある真っ白な原稿を見て、頭を抱えたくなる。入稿までの残り日数を振り返り、確実に徹夜作業だなと小さく溜息をこぼした。
「相変わらず、先生は手が早いね」
「他者より時間があるだけだ。それより、公子殿」
「ん」
「今、書いているものが終わったら一緒に食事でもどうだ?」
元素に満ちあふれた世界で過ごしていた俺たちは高層ビルが建ち並ぶ、現代で再会した。と言うより、憧れていた絵師のひとりが、見知った顔だった。
かつては鍾離と呼ばれた元岩神・現通話相手様は、今となっては「恐らく桁は変わっていないと思うんだが、」と言うくらいの御長寿だ。
おにきゅ
DONE【鍾タルワンドロ0925「月見」「抱擁」】鍾タルワンドロ「月見」「抱擁」柱の上に、ひとりの子供が座っている。
その眼下では流水で形を成した刃が真一文字を描き、ヒルチャールを吹き飛ばした。遠方では木陰に身を潜めたアビスの魔術師が火球を練り上げている。あの水の刃は火球を受け止めたら蒸発するのだろうか。どうやら空気中の水分を元素力で固着しているようだが、例えば周囲を炎の海にしたらどうだろう?空気中の水分は蒸発し、形になる基を失くした状態でも刃を成形できるものだろうか。子供が「ふむ」と思案を混ぜ込んだ一言を零した。
「公子殿、聞きたいことがあるのだが、――ああ、後で構わないぞ」
「そりゃ、お気遣いどーも! 今は手一杯だから助かるよ!」
戦場を舞うように駆ける男――タルタリヤが、周囲を敵に囲まれながら、嫌味混じりの返答を吐き捨てる。手にした松明を掲げ、火の粉を散らしながら走り寄ってくるヒルチャールをくるりと振り向きながら蹴り飛ばし、すぐさま手元の武器を弓へと変形させて火球を作り出していたアビスの魔術師を打ち抜いた。あいにくとシールドに阻まれて致命傷には成り得なかったが、一時的に詠唱を止めることは出来たようだ。不完全な火球は魔術師の足元に落ちて、草原を燃焼させた。
1841その眼下では流水で形を成した刃が真一文字を描き、ヒルチャールを吹き飛ばした。遠方では木陰に身を潜めたアビスの魔術師が火球を練り上げている。あの水の刃は火球を受け止めたら蒸発するのだろうか。どうやら空気中の水分を元素力で固着しているようだが、例えば周囲を炎の海にしたらどうだろう?空気中の水分は蒸発し、形になる基を失くした状態でも刃を成形できるものだろうか。子供が「ふむ」と思案を混ぜ込んだ一言を零した。
「公子殿、聞きたいことがあるのだが、――ああ、後で構わないぞ」
「そりゃ、お気遣いどーも! 今は手一杯だから助かるよ!」
戦場を舞うように駆ける男――タルタリヤが、周囲を敵に囲まれながら、嫌味混じりの返答を吐き捨てる。手にした松明を掲げ、火の粉を散らしながら走り寄ってくるヒルチャールをくるりと振り向きながら蹴り飛ばし、すぐさま手元の武器を弓へと変形させて火球を作り出していたアビスの魔術師を打ち抜いた。あいにくとシールドに阻まれて致命傷には成り得なかったが、一時的に詠唱を止めることは出来たようだ。不完全な火球は魔術師の足元に落ちて、草原を燃焼させた。
おにきゅ
DONEなんか、痛そうな止血法!焼灼止血法って言うんだって!今日の学び!【鍾タルワンライ 1009「喧嘩」「HP低下ボイス」】
鍾タルワンライ「喧嘩」「HP低下ボイス」死と言うものは意外とすぐ傍にあるものだ。
転んで打ち所が悪ければ死ぬし、夕飯に当って死ぬ事だってある。今日が命日になるかもしれないし、数十年先の未来で命日を迎えるかもしれない。そこは誰も通らないような秘境の奥地かもしれないし、柔らかな布団の上かもしれない。
それは今も尚、元気に璃月港で高額な買い物をしたり、談義に花を咲かせている元神も例外ではないと言っていた。
『生きていれば、誰にだって等しく死は訪れる』
これはタルタリヤにとって、今日がその日になるかもしれないだけの話だ。
◇◇◇
がたがた、と噛み合わない歯の擦れる音が脳裏に響いて煩い。震える身体とは裏腹に、先ほどまで全身を襲っていた突き刺さるような痛みと寒さは失われ、腹から下は真っ赤に染まって感覚がなくなっていた。唇からは、ひゅ、と空気が漏れるような浅く短い呼吸が零れている。
2535転んで打ち所が悪ければ死ぬし、夕飯に当って死ぬ事だってある。今日が命日になるかもしれないし、数十年先の未来で命日を迎えるかもしれない。そこは誰も通らないような秘境の奥地かもしれないし、柔らかな布団の上かもしれない。
それは今も尚、元気に璃月港で高額な買い物をしたり、談義に花を咲かせている元神も例外ではないと言っていた。
『生きていれば、誰にだって等しく死は訪れる』
これはタルタリヤにとって、今日がその日になるかもしれないだけの話だ。
◇◇◇
がたがた、と噛み合わない歯の擦れる音が脳裏に響いて煩い。震える身体とは裏腹に、先ほどまで全身を襲っていた突き刺さるような痛みと寒さは失われ、腹から下は真っ赤に染まって感覚がなくなっていた。唇からは、ひゅ、と空気が漏れるような浅く短い呼吸が零れている。
おにきゅ
DONER-15の雰囲気!キス描写がちょろっとある!【鍾タルワンライ0710「嘘」】
鍾タルワンライ「嘘」「先生ってさ、嘘が上手いよね」
覚束ない箸先で点心を摘まみ、なんとか小皿へと移したところで相手へと視線を向ける。心外だ、と顔に大きく書いた相手が優雅な所作で山菜を口に運んでいた。よく咀嚼し、その喉元が上下して咥内から物がなくなるとようやっと口を開く。
「俺は嘘はつかないぞ」
「でも、本当のことを言わない時もあるだろ。覚えがないとは言わせないよ」
「公子殿、行儀が悪い」
咥えていた箸先を離すと、室温との寒暖差で水滴を纏ったグラスへと手を伸ばした。少し青くさい香りは未だ慣れないが、冷たく爽やかな飲み心地は夏の蒸し暑い空気を吹き飛ばしてくれるようだ。
「凡人になった鍾離先生に教えてあげるけど、話してもらえないと不安になるって言う人も世の中にはいるんだ。勿論、なんでもかんでも伝えることが良いとは言わないけど。大事な人が出来たら、その回りくどい言い方を改める努力をした方が良いかもね」
1467覚束ない箸先で点心を摘まみ、なんとか小皿へと移したところで相手へと視線を向ける。心外だ、と顔に大きく書いた相手が優雅な所作で山菜を口に運んでいた。よく咀嚼し、その喉元が上下して咥内から物がなくなるとようやっと口を開く。
「俺は嘘はつかないぞ」
「でも、本当のことを言わない時もあるだろ。覚えがないとは言わせないよ」
「公子殿、行儀が悪い」
咥えていた箸先を離すと、室温との寒暖差で水滴を纏ったグラスへと手を伸ばした。少し青くさい香りは未だ慣れないが、冷たく爽やかな飲み心地は夏の蒸し暑い空気を吹き飛ばしてくれるようだ。
「凡人になった鍾離先生に教えてあげるけど、話してもらえないと不安になるって言う人も世の中にはいるんだ。勿論、なんでもかんでも伝えることが良いとは言わないけど。大事な人が出来たら、その回りくどい言い方を改める努力をした方が良いかもね」
おにきゅ
DONE【鍾タルワンライ 0626 「はじめて」】鍾タルワンライ「はじめて」小さなスプーンで掬い上げると、杏仁豆腐の欠片がふるりと震えた。そのまま、ゆっくり口へと運ぶと上品な甘みが咥内に広がる。
時刻は夕刻を過ぎ、夜に足を踏み入れた頃合い。穏やかな灯りの照明に照らされた個室は他の客の気配もなく、ゆっくりと食べ進める事が出来た。
「あ~、食った食った。腹がはち切れそうだよ!」
前菜から始まり、主食を食して、最後にはデザート。どれも絶品で、腹が破裂寸前だ。
たまには贅沢も良いだろうと勧められて訪れた店だが、おかげで満ち足りた腹を撫でさする手が止まらない。
誘って来た当の本人は食後の茶を手に微笑ましそうな表情を浮かべていた。
「満足したようで何よりだ」
「先生のオススメって言う時点で期待はしてたけど、予想以上だ。この後で体を動かせたら最高なんだけどなぁ」
1542時刻は夕刻を過ぎ、夜に足を踏み入れた頃合い。穏やかな灯りの照明に照らされた個室は他の客の気配もなく、ゆっくりと食べ進める事が出来た。
「あ~、食った食った。腹がはち切れそうだよ!」
前菜から始まり、主食を食して、最後にはデザート。どれも絶品で、腹が破裂寸前だ。
たまには贅沢も良いだろうと勧められて訪れた店だが、おかげで満ち足りた腹を撫でさする手が止まらない。
誘って来た当の本人は食後の茶を手に微笑ましそうな表情を浮かべていた。
「満足したようで何よりだ」
「先生のオススメって言う時点で期待はしてたけど、予想以上だ。この後で体を動かせたら最高なんだけどなぁ」
おにきゅ
DONEクライナーチャレンジもどきをする先生とタルが書きたかった話!酒を口移し(仮)しています。
えっちな雰囲気をかもせていたら嬉しいので、ゆるっとR-15くらい(希望)
【鍾タルワンライ1023「酒」「毒」】
鍾タルワンライ「酒」「毒」カラン、と来客を告げる鐘が鳴る。ぐるりと視線を巡らせるとすし詰めのような人数の男たちが、酒瓶を片手に大騒ぎをしていた。目的の人物の姿はない。さて、どうしたものかと思案していると「やぁ、」と気安い声が掛かる。視線を声のした方に向けると、手に小さな小瓶を持ち、頬を僅かに赤く染め、吐息に酒気を混ぜた赤毛の男が片手を上げてにこやかに笑っていた。
「公子殿。これはどういう状況だ」
「どういうも何も、見ての通り。ただの酒盛りさ」
大げさな身振りで肩を竦めてみせる。
「部下の労いの為に『俺のおごり』って連れて来たら、随分と溜め込んでいたものがあったみたいでね。羽目を外して、あのザマだ」
あの、と視線で指し示す先では幾つもの空瓶が転がり、一方では脱ぎ始め、一方では口喧嘩。隅の方では既に深い眠りについた相手に「なぜ俺は彼女が出来ないのか」と延々愚痴っている様子も漏れ聞こえてくる。混沌としか表現できない光景を見た鍾離は柳眉をひそめ、それを見たタルタリヤから軽やかな笑い声が上がる。
2016「公子殿。これはどういう状況だ」
「どういうも何も、見ての通り。ただの酒盛りさ」
大げさな身振りで肩を竦めてみせる。
「部下の労いの為に『俺のおごり』って連れて来たら、随分と溜め込んでいたものがあったみたいでね。羽目を外して、あのザマだ」
あの、と視線で指し示す先では幾つもの空瓶が転がり、一方では脱ぎ始め、一方では口喧嘩。隅の方では既に深い眠りについた相手に「なぜ俺は彼女が出来ないのか」と延々愚痴っている様子も漏れ聞こえてくる。混沌としか表現できない光景を見た鍾離は柳眉をひそめ、それを見たタルタリヤから軽やかな笑い声が上がる。
moku_amekaru
DONE(出来たら)1日1SS鍾タル「下着」
⚠️ちょっと匂わす表現、変態臭い公子
全部捏造二次創作
鼻元思案 その日は一週間ぶりの帰還だった。
放棄された仙境がアビス教団の拠点に使われていると情報を掴み、制圧しようと意気込んで入った。そこまでは良かったが敵は好き放題湧いて出てくるし、そのくせ出口は一向に現れず。まあ、魔物の坩堝に放り込まれるのは本望であるから、携帯食料と空気中の水蒸気から作った飲料で過ごして五日間。そこから移動で二日間。帰り道も生憎の雨で道が悪く、ある程度は自分の水で清めたものの身体は汗まみれ泥まみれの最悪の状況だった。
そんなこんなを乗り越えて無事に帰還し間もなく璃月港である。本来ならすぐにでも北国銀行に戻り報告書を認めなければならないのだが。思う存分暴れ回りすっきりしたというのに、事務仕事に向き合うのは億劫だった。
3183放棄された仙境がアビス教団の拠点に使われていると情報を掴み、制圧しようと意気込んで入った。そこまでは良かったが敵は好き放題湧いて出てくるし、そのくせ出口は一向に現れず。まあ、魔物の坩堝に放り込まれるのは本望であるから、携帯食料と空気中の水蒸気から作った飲料で過ごして五日間。そこから移動で二日間。帰り道も生憎の雨で道が悪く、ある程度は自分の水で清めたものの身体は汗まみれ泥まみれの最悪の状況だった。
そんなこんなを乗り越えて無事に帰還し間もなく璃月港である。本来ならすぐにでも北国銀行に戻り報告書を認めなければならないのだが。思う存分暴れ回りすっきりしたというのに、事務仕事に向き合うのは億劫だった。
gyubeez
SPUR MEChilde really needs to learn how to use chopsticks. Good thing his Xiansheng is there to lend him a helping hand. 5moku_amekaru
DONEうっかり若い子に手を伸ばしてしまった鍾離先生の鍾タル辻褄併せ 名の通り璃月の夜空は美しい。磨き上げた宝石に似た月が街を見下ろし、それに応えるように淡い橙の灯りが通りに並ぶ。穏やかな水面はきらきらと光を返し、港全てが黄金の山のように尊い。
見慣れた愛しい街。硝子越しに指で撫でて、ひとつため息。常と変わらない香に、微かにまじる異質な残り香につい眉が下がった。
振り返った先には男がもう一人。衣服は纏わず、布団一枚が中途半端にその身を隠している。近づいてみたが、草臥れているようで起きる様子はない。
あどけなさの残る寝顔には常の飄逸した空気も氷のような鋭さもない。ぺらりと布団をめくると、鍛え抜かれた身体が姿を現す。刻まれた古傷の上にはいくつかの鬱血痕と歯型が重なっていた。全て、鍾離が残したものだ。
3378見慣れた愛しい街。硝子越しに指で撫でて、ひとつため息。常と変わらない香に、微かにまじる異質な残り香につい眉が下がった。
振り返った先には男がもう一人。衣服は纏わず、布団一枚が中途半端にその身を隠している。近づいてみたが、草臥れているようで起きる様子はない。
あどけなさの残る寝顔には常の飄逸した空気も氷のような鋭さもない。ぺらりと布団をめくると、鍛え抜かれた身体が姿を現す。刻まれた古傷の上にはいくつかの鬱血痕と歯型が重なっていた。全て、鍾離が残したものだ。
maxbannem
DOODLE #鍾タル #종탈 #ZhongChiFor the password, please enter the 4 digits of my birthday shown in my X's bio.
The birthday is only visible to X's followers.
Just look at adults.
moku_amekaru
MOURNING鍾タル(未満)⚠️ちょっと痛そう、中途半端な感じ
あばれくじらのこ あれは嵐だった。台風だった。
黒ずんだ紅に染まる絨毯、床に広がった数多の本、ぱらぱらと木の屑を散らしながら走る風、鼻をつく乾いた油と鉄の匂い。それと焦げ臭さ。
吹き抜けの天井を改めて見上げて知らずのうちに溜息が漏れた。絢爛な硝子細工の照明も破片を散らし、油は血と混じって床板に染み込んでいる。六千年を生きてきた鍾離であっても、未だに呆気に取られる出来事というのは起こりうるらしい。感心すら覚えていた。
傍らの臥牀に横たわる男は昨夜と打って変わって穏やかで何処かあどけない寝姿を晒している。膝を抱いて横向きの姿勢は酷い疲労が溜まっているだか、心の拠り所を探しているだかといつか書物で読んだことがある。鍾離は人間ではないので、本当のところは分からないが。
2396黒ずんだ紅に染まる絨毯、床に広がった数多の本、ぱらぱらと木の屑を散らしながら走る風、鼻をつく乾いた油と鉄の匂い。それと焦げ臭さ。
吹き抜けの天井を改めて見上げて知らずのうちに溜息が漏れた。絢爛な硝子細工の照明も破片を散らし、油は血と混じって床板に染み込んでいる。六千年を生きてきた鍾離であっても、未だに呆気に取られる出来事というのは起こりうるらしい。感心すら覚えていた。
傍らの臥牀に横たわる男は昨夜と打って変わって穏やかで何処かあどけない寝姿を晒している。膝を抱いて横向きの姿勢は酷い疲労が溜まっているだか、心の拠り所を探しているだかといつか書物で読んだことがある。鍾離は人間ではないので、本当のところは分からないが。
rani_noab
PROGRESSアイドルパロ「鍾タル夢」。男主攻。鍾タル、主鍾、主タルみたいな爛れた永遠の三角関係やつ。。。ネタバレはないと思いますが、一章終わってからをお勧めします。夢主の名前は佐神唯嘉(さがみゆいか)です。2000字くらい。暗闇に光が駆け抜ける。開幕を知らせるように、ステージが一気に輝いた。期待にはちきれそうだった世界はこの時を待っていた。弾かれたように世界が歓声でいっぱいになる。その声は空気を震わせ、熱気が遥か高みにまでのぼっていく。ステージの上、眩いライトの中心に照らされて、彼は立っていた。
一万を超えるファンを前に、緊張など知らないかのように楽しそうに笑った青年に、すべての注目が集まる。少しあどけなさの残る輪郭は整い、少し癖のある茶色の髪が強いライトに毛先が金に光るようだ。大きなモニターに見える青い瞳は、深く底のしれない海のような色を湛えて、見る者を魅了した。
彼のために仕立てられた白い衣装に、ピアスを揺らし、彼はマイクを握る。
8649一万を超えるファンを前に、緊張など知らないかのように楽しそうに笑った青年に、すべての注目が集まる。少しあどけなさの残る輪郭は整い、少し癖のある茶色の髪が強いライトに毛先が金に光るようだ。大きなモニターに見える青い瞳は、深く底のしれない海のような色を湛えて、見る者を魅了した。
彼のために仕立てられた白い衣装に、ピアスを揺らし、彼はマイクを握る。
のくたの諸々倉庫
DONE鍾タルワンライお題「喧嘩」「HP低下ボイス」一時間早く書き始めてたやつです。
「先生なんか頑固の神で頑神だよ」「それは罵倒なのか?」 夢を見た。
「——その実力、認めてやらなくもない」
口元の血を拭い、そう笑った先生になぜか——どうしようもなく、胸が高鳴ると同時に。
これを引き出せるのがどうして自分じゃないんだろう、と思ったことも、間違いなく事実だった。
「……先生のばーか」
とはいえそれは、今現実で起こっていることとは悲しいほど無関係だ。なんてったって俺と先生は今、喧嘩の真っ最中で……その原因はよく分かっていないのだから困りものである。
……いや、そう表現すると少し語弊があるだろうか。原因自体は「俺が任務以外で魔王武装を使ったこと」だ。それは分かりきっている。ただ、それで先生が俺を叱りつける理由が分からなかった。
俺だって子供じゃないのだから、言われなくたってその危険性くらいは理解している。それでもやっぱりあの男からすれば、俺なんて赤子同然なんだろうな、と。
2236「——その実力、認めてやらなくもない」
口元の血を拭い、そう笑った先生になぜか——どうしようもなく、胸が高鳴ると同時に。
これを引き出せるのがどうして自分じゃないんだろう、と思ったことも、間違いなく事実だった。
「……先生のばーか」
とはいえそれは、今現実で起こっていることとは悲しいほど無関係だ。なんてったって俺と先生は今、喧嘩の真っ最中で……その原因はよく分かっていないのだから困りものである。
……いや、そう表現すると少し語弊があるだろうか。原因自体は「俺が任務以外で魔王武装を使ったこと」だ。それは分かりきっている。ただ、それで先生が俺を叱りつける理由が分からなかった。
俺だって子供じゃないのだから、言われなくたってその危険性くらいは理解している。それでもやっぱりあの男からすれば、俺なんて赤子同然なんだろうな、と。
morimori
DOODLE【鍾タル】素材を取りに行く鍾+タル+旅人の話。カプ要素が毎度のごとく極薄なんですが一応鍾タルです🦀砂浜にて砂浜にて(鍾タル+旅人) @ruauiue
ザザァン——
潮の香りに満ちた風が吹きすさび、遠慮のない陽光が降り注ぐ。足元は焼かれた砂から立ち上る熱気で僅かに熱い。渡り鳥の鳴き声が遠くから届く。
「海だねえ」
「海だな……」
岩の上に腰掛けつつ暇を持て余し、独り言を言ったつもりの青年は、応えるような声が右後方から聞こえてきたので思わずそちらを見た。振り返れば、目に痛いほど眩く光を反射する砂には到底似合わぬ、黒い出で立ちをした男がしかめ面で立っていた。その男越しに視界に映った水平線上には、突き出した岩が点在しているのが見える。
「やあ鍾離先生。先生も相棒に呼ばれてきたの?」
「こんにちは公子殿。旅人のことか。ああ、探索に付き合ってもらいたいから現地で合流しよう、と、三日前に」
3192ザザァン——
潮の香りに満ちた風が吹きすさび、遠慮のない陽光が降り注ぐ。足元は焼かれた砂から立ち上る熱気で僅かに熱い。渡り鳥の鳴き声が遠くから届く。
「海だねえ」
「海だな……」
岩の上に腰掛けつつ暇を持て余し、独り言を言ったつもりの青年は、応えるような声が右後方から聞こえてきたので思わずそちらを見た。振り返れば、目に痛いほど眩く光を反射する砂には到底似合わぬ、黒い出で立ちをした男がしかめ面で立っていた。その男越しに視界に映った水平線上には、突き出した岩が点在しているのが見える。
「やあ鍾離先生。先生も相棒に呼ばれてきたの?」
「こんにちは公子殿。旅人のことか。ああ、探索に付き合ってもらいたいから現地で合流しよう、と、三日前に」
piz_tk
DONEモブレされてるみたいなタルです。未成年の方は閲覧はご遠慮ください。This is a doodle of Childe being treated badly by mobs.
It is not for minors to view.
PASS➡成人済ですか?
yes/no
kino_fic
DONE鍾タルワンライ・第十四回目【抱擁】所要時間:1.5h
(!)注意
・魔神第1章3幕までのネタバレ
・先生のケツを狙うような言動をする公子
空いた隙間に綺麗に嵌まるものだから(鍾タル) 公子殿、と唐突に名を呼ばれて手が止まった。外しかけた神の目に指を添えたまま、視線だけを男に向ける。なんだ、気が変わりでもしたのだろうか。
「俺を抱いてくれないか」
「えっ、いいの?」
「……待て。性行為の話ではないぞ」
露骨に目を輝かせた俺にすかさず否定が入った。まるで俺が非常識なことを言ったかのような胡乱な目つきに逆に言い返したくもなってくる。今このタイミングで言うそっちの方が悪いんじゃないだろうか。肉体関係を持っている男二人。いつも性行為に及ぶ鍾離先生の自宅の寝室で「抱く」といえば連想するべきものはひとつに決まっているのに。
なぁんだ、と肩を竦めた。どこかで断るのが面倒になってきたり、変な気を起こしたりしてその気になってくれやしないかと何度か戯れに持ち掛けたことはあった。だが、一度も承諾を得たことはない。何がそこまで拘るのかはよくわからない。無理矢理とか、何かしらの手段を用いることは考えなかったわけじゃないが、後が怖いので実行したことはなかった。強者に挑むことは好きだが負け戦がしたいわけではないので。
1944「俺を抱いてくれないか」
「えっ、いいの?」
「……待て。性行為の話ではないぞ」
露骨に目を輝かせた俺にすかさず否定が入った。まるで俺が非常識なことを言ったかのような胡乱な目つきに逆に言い返したくもなってくる。今このタイミングで言うそっちの方が悪いんじゃないだろうか。肉体関係を持っている男二人。いつも性行為に及ぶ鍾離先生の自宅の寝室で「抱く」といえば連想するべきものはひとつに決まっているのに。
なぁんだ、と肩を竦めた。どこかで断るのが面倒になってきたり、変な気を起こしたりしてその気になってくれやしないかと何度か戯れに持ち掛けたことはあった。だが、一度も承諾を得たことはない。何がそこまで拘るのかはよくわからない。無理矢理とか、何かしらの手段を用いることは考えなかったわけじゃないが、後が怖いので実行したことはなかった。強者に挑むことは好きだが負け戦がしたいわけではないので。
うみ 海未
MOURNING吸血鬼の末裔タルタリヤと財閥の御曹司で学級委員を務める鍾離の二人だけの不思議な学園物語。二人は由緒正しい御曹司様♪ーこれは二人だけの学園物語。
タルタリヤと鍾離が出会ったのはタルタリヤが転校して来たことがきっかけだった。
教室に入り、自己紹介を済ませた転校生はタルタリヤと名乗った。
俺は生徒会でもあり学級委員長であるから教師からタルタリヤを部活の案内を頼まれた。
初めてのことだったので少し戸惑ったが、困っている生徒が居たら放ってはおけない。
部活案内をしながら、俺はタルタリヤに「困ったことがあれば俺に言ってくれ」と一言、言ってやった。
タルタリヤは初対面なのか少し静かであまり喋ろうとはしなかった。
だが、サッカー部やアーチェリー部の部活案内をしていると興味津々で俺に話しかけてくる。
俺はそれなりに答えてやるが、その日はまだ本格的には入部するとまでは言ってこなかった。
1486タルタリヤと鍾離が出会ったのはタルタリヤが転校して来たことがきっかけだった。
教室に入り、自己紹介を済ませた転校生はタルタリヤと名乗った。
俺は生徒会でもあり学級委員長であるから教師からタルタリヤを部活の案内を頼まれた。
初めてのことだったので少し戸惑ったが、困っている生徒が居たら放ってはおけない。
部活案内をしながら、俺はタルタリヤに「困ったことがあれば俺に言ってくれ」と一言、言ってやった。
タルタリヤは初対面なのか少し静かであまり喋ろうとはしなかった。
だが、サッカー部やアーチェリー部の部活案内をしていると興味津々で俺に話しかけてくる。
俺はそれなりに答えてやるが、その日はまだ本格的には入部するとまでは言ってこなかった。
長(なが)
DOODLE鍾タルワンドロのお題を借りて描こうと思ったけど思ったよりも薄くなってしまったのでただのワンドロ(+15min)久しぶりに短時間で集中して描いたからものすごく手が疲れた…
追記:本来のお題は「悪趣味」「矛盾」 2
kino_fic
DONE鍾タルワンライ・第十三回目【悪趣味】所要時間:2h
(!)注意
・魔神第1章3幕までのネタバレ
倒錯は誰のせい(鍾タル) 誰も彼もが寝静まる深い夜の頃。鍾離先生の自宅を訪れると出迎えてきたのは、つくりもののように美しい女だった。
その女は、赤い紅を引いた薄いくちびるで、「ああ、公子殿か」といつも通りの低音で紡ぐものだから。すごく、混乱した。視覚情報と音声情報の不一致でおかしくなったのかとさえ思うほどに。
「……は?」
「どうした。随分と愉快な顔つきになっているが、入らないのか」
俺の頭がおかしくなってしまったのだろうか。あまりにも当然のような顔をする。俺はどんな間抜け面をしていたなど考えたくはないけれど。
「……入るよ。おじゃまします」
「ああ、」
招き入れられるまま室内に足を踏み入れる。一人暮らしには広すぎる彼の自宅の中でも俺が入ったことがあるのは寝室と浴室ぐらいのものだった。そのまままっすぐ寝室に向かう。俺よりも先んじて進む鍾離先生の後ろ姿に、妙に意識が向いた。
2400その女は、赤い紅を引いた薄いくちびるで、「ああ、公子殿か」といつも通りの低音で紡ぐものだから。すごく、混乱した。視覚情報と音声情報の不一致でおかしくなったのかとさえ思うほどに。
「……は?」
「どうした。随分と愉快な顔つきになっているが、入らないのか」
俺の頭がおかしくなってしまったのだろうか。あまりにも当然のような顔をする。俺はどんな間抜け面をしていたなど考えたくはないけれど。
「……入るよ。おじゃまします」
「ああ、」
招き入れられるまま室内に足を踏み入れる。一人暮らしには広すぎる彼の自宅の中でも俺が入ったことがあるのは寝室と浴室ぐらいのものだった。そのまままっすぐ寝室に向かう。俺よりも先んじて進む鍾離先生の後ろ姿に、妙に意識が向いた。
moku_amekaru
DONEお題「悪趣味」鍾タルの2回目の話
1h+30m
⚠️ガッツリ事後、R-15程度
#鍾タルワンドロ·ワンライ
お互い様の話 眼下には、溺れる男。小刻みで荒い呼吸に唇が揺れ、肌はしとりと艶のある湿りを帯びている。命からがら漆黒の海から這い出てきたような姿だが、男が鍾離と泳いでいたのは波のように皺を帯びたシーツの上だ。
真白い肌は霜焼けのように赤らみ、朽葉の髪は雪解けのように潤う。常よりもさらに色濃く腫れた唇を親指でなぞり、そのまま頬に手を添える。温度差が心地いいのか、気まぐれに甘える猫のように、一つ擦り寄られた。いじらしい仕草に誘われて、離したばかりの身体を寄せる。背に腕を回し、ぴたりと胸を合わせる。どちらの鼓動も妙に早く、落ち着きがない。擦り寄せた首筋から汐の匂いがした。
「はあっ、なあに、もう一回、する?」
耳に注ぎ込まれる揶揄の声。乱暴な手が鍾離の枝毛のない髪を乱す。強者を挑発するときと同じ調子だ。魅力的な誘いであるが、その声音はすり減って掠れ、確かな疲労が滲んでいる。逆境を得意とする男はこんな時でも侮られるのを嫌がるのか。呆れと感心の半々を添えて、赤らむ目尻に唇を寄せた。
2847真白い肌は霜焼けのように赤らみ、朽葉の髪は雪解けのように潤う。常よりもさらに色濃く腫れた唇を親指でなぞり、そのまま頬に手を添える。温度差が心地いいのか、気まぐれに甘える猫のように、一つ擦り寄られた。いじらしい仕草に誘われて、離したばかりの身体を寄せる。背に腕を回し、ぴたりと胸を合わせる。どちらの鼓動も妙に早く、落ち着きがない。擦り寄せた首筋から汐の匂いがした。
「はあっ、なあに、もう一回、する?」
耳に注ぎ込まれる揶揄の声。乱暴な手が鍾離の枝毛のない髪を乱す。強者を挑発するときと同じ調子だ。魅力的な誘いであるが、その声音はすり減って掠れ、確かな疲労が滲んでいる。逆境を得意とする男はこんな時でも侮られるのを嫌がるのか。呆れと感心の半々を添えて、赤らむ目尻に唇を寄せた。