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    タニシ

    96noScull

    DONE三天戦争直後の話。どらくまという忍者バトル(語弊はない多分)漫画に冥銭の話が絡めてあって、いつかネタにしたいな~と思っていたので。日本の三途の川の渡し賃とギリシャ神話のカロンの川の渡し賃、真田の六文銭が有名ですが、カロンの渡し賃は1オボロス=オボロス6枚で1ドラクマ=掌いっぱいのという意味。冥銭の文化があるとこは大抵燃やすみたいだけど日本とギリシャだけ『渡し賃』なの面白いですよね。
    カロンの畔にてごうごうと音を立てる濁流の前に、頼りなげな金髪の少年が立っている。
     やめろ、そっちへ行くな。
    「ねぇ、ココ君――」
     やめてくれ。

     君は冥銭を稼いでいるんだね。
     そう宣ったのは情報源の一つだった、大陸系の占い師の爺だった。
     死者があの世で困らないように、弔いのために燃やす金。
     赤音さんのことを知っている、そしてイヌピーのことも知っているという脅しだろう。
     これからも御贔屓に、と流暢な日本語で握手を求められた。食えない爺だった。
     握手をしながら片手ではその手を切り落とすための刀を握りしめているのが大陸流だ。
     関東卍會として動くようになって、金の使い方も派手になった。兵隊は金がかかるし、ましてやチンピラどもは鬱憤が溜まればどこぞになびきかねない。
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    リトル・ミィ

    TRAINING7月にお土産でいただいた琥珀糖が綺麗でいつかSSのネタにしたいなと思ったまま夏が終わってしまいそうなので。
    もっと会話のキャッチボールをしたかったんですができなかったので、コソ練として供養します。
    蒼の琥珀少し高くなった薄水色の空に一刷毛の飛行機雲。
    明日は雨かと思いながら、今日ゼミでもらってきたお土産の袋を取り出し、ローテーブルに置いた皿の上にざらざらと音をたてて取り出す。
    涼やかな透き通った青い琥珀糖。つるんとした表面に光を映してきらきらしている。
    ひとつ取り、手の上で転がす。
    コバルトブルーの宝石を一粒つまんで日に透かしてみるとたちまち真夏の空が蘇る。
    夏の空を閉じ込められたらいいのに。

    夏から秋になるのが一年で一番さみしい気がする。
    木々が色を変えて、肌にあたる空気がべたつく甘さからピリリとした緊張感を増す。
    動から静への移り変わりがさみしい。


    ドアがギィと開いた。
    あまり広くない玄関に所狭しとならんだスニーカーをひょいと避けながら、ここはオレの家なのに井田が「ただいま」と言う。なんだか一緒に暮らしてるようでいつまで経ってもこそばゆい。なるべく顔に出さないように「おかえり」と返した。
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