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    ドライブ

    imo_blgr

    DONE喧嘩したビリグレが深夜ドライブする話
    (ビリグレワンライ【ドライブ】)
    naked くぐもった音を合図に前方の景色が開かれたのを見て、ビリーは雨が降り出したのだと悟った。車窓に流れゆく景色は変わらず、等間隔で背の高い街灯をうつし出している。きれいに舗装された広い道には人はおろか他の車だって見当たらない。眠らない街・ニューミリオンでもさすがに深夜のハイウェイは閑散としていた。
    「もうそろそろブルーノースに入るヨ。サービスエリアがあるけど寄る?」
    「……まだいいかな」
     ビリーは僅かに眉を上げ、スマートフォンの灯りを消した。それならばしばらくナビゲーションの必要は無い。出る幕なしだ。口を閉ざしてしまえば、そこに残ったのは息が詰まるほどの静寂だった。タイヤがアスファルトを削る低音を背後に、フロントガラスに降り注ぐ霧雨を拭うワイパーの間抜けな音だけが続く。彼の実家の車とは違ってエリオス社貸し出しの車のシートは硬く、けれどそれよりも遥かにぶっきらぼうな返事の方が固かった。ビリーくんは大丈夫? トイレとか平気? 普段ならかけられるであろう言葉もかけられないほど、今のふたりの間には薄く張り詰めた氷のようななにかがあった。
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    ngmch_

    DONE【夏インテ新刊先読み】
    8月21日のインテ頒布予定の新刊です。
    ファーベリの2人がドライブデートからカーセッにいたるR18小説になります🚗³₃
    お祭り便乗したいので、冒頭~挿入の直前の約半分をこちらからお読みいただけるように置いときます🥳
    やや暗めりんり低めの展開がありますが、お気に入りいただけると幸いです。
    夏インテ新刊先読み夏インテ終了後しばらくしたら全文公開(無期限)の予定です。(2023年6月のファベオンリー後くらいかな?と思ってます。)
    その他の既刊もほぼ全てポイピクからご覧いただけます(R18、R18g、ファべ以外カプ作品も含みます)。
    紙の本は、手元に欲しい方向けに少部数ご用意しております。通販の予定はございません。



         ― ◇

     広い旅館にはオレたち二人きりで、目の前にどかどかと並べられた夕食たちは自慢の海の幸ではなく、さっき拝借したキッチンでこしらえたオレの手作りメシと、途中見かけたコンビニで調達した酒と飲料、あとは雑多な食べ合わせの悪いツマミ類で、せっかくの旅行らしい揃いの浴衣姿に少しもったいない気すらした。駆け込みでやって来ているため、マトモな夕食の提供に期待していた訳ではなかったが、これでは折角の遠出に色気がなさすぎる。それでも、ファーさんは黙って箸をつけている。こんなとき美味しいかい?と聞くのは野暮。ベリアルは代わりの話題を探した。
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    sendofu2

    DONE付き合ってないひぜさにで夜に肥前とドライブする話です。恋心とかも「まだ」ないです。肥前に夢見てる限界夢女が書いてますのでご注意ください。
    続くかはわからないけど一応ここから恋仲になる予定の二人です。
    夜のドライブを君と審神者になってはや幾年、この役割にも大分慣れた。しかし、適性があったからという理由だけで本丸と呼ばれる異空間に住み込み、365日役割を全うするのは、なかなか精神的にクるものがあることも事実。本丸の刀剣男士たちとの仲は良好だが、こればかりは仕方がない。一定値を超えそうになるフラストレーションを布団の上をゴロゴロ転がって散らせようとするが、余計に目がさえるばかり。
    「眠れない……」
    審神者にだって眠れない夜ぐらいあるのだ。昔はそんな夜ばかりだったが、いい大人となった今では、審神者はこのフラストレーションの解消方法を知っていた。寝巻の浴衣からラフなジーンズとTシャツに着替え、そっと部屋から抜け出す。目指すは転送ゲート。現世の自室にだけは自分一人でも転送できるようにと設定していた。完全に一人になって、なんとも安心するにおいの毛布にくるまって、明日の朝には戻ってくる。そんな夜だってたまには必要なのだ。
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    お箸で摘む程度

    TRAININGビームス兄弟 ワンライ
    お題「ドライブ」お借りしました。アカデミー時代、父親と運転の練習をする弟の話。父親の人柄や設定の捏造が多くあります。
    男のはなし 並んだ家々の前庭の芝生が、青い直線を伸ばす間。新芽が形づくる林冠を、透かした木漏れ日が揺れる中。湖沿いのゆるいカーブに沿って走ると、父さんの手が右から軽くハンドルを正す。
     緑眩しく心地よい五月の終り、俺は金曜日の教科書を抱えたまま、車に揺られて実家へ戻った。電話を受けていた運転手は、このままお父様の方へ向かいますと、カーナビの行き先を変更している。長い陽が真西に近く沈もうとする、そのかすかな空の明るさとビル街の煌めきとの混ざり合いが、もうそろそろ夏が近いという感慨を呼び起こしたところで、父さんが後部座席に乗り込んできた。俺が席を詰めると、軽く微笑み扉を閉める。息子を見とめてその顔は、外務省の要人から父親になったらしい。運転手と二言三言話すと、思い出したように、フェイス、お前もそろそろ運転できるようになった方がいいんじゃないか、と言ってきた。その飾らない、あたたかな父親の声音。親子を乗せた自動車が、街の中を滑るように走り抜けていく。
    1999