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    心中

    masu_en

    DONE昨年8月発行のかなやさんの不穏な燐ひめ本に寄稿させていただいたもの。テーマは心中です。直接的ではないつもりですが登場人物の死を描写しています。苦手な方は閲覧をお控えください。また、2021年6月までの情報を元に執筆したため、燐音が運転免許を持っていません。
    映画『ノッキン・オン・ヘヴンズ・ドア』のオマージュを多分に含みます。
    【再録】通行料はまけてよ、神さま 明日、地球は滅びるのだそうだ。

     例えばこれを桜河に言われたなら、「インターネットの見過ぎですよ」と窘めたことだろう。椎名に言われたなら、「何かおかしなものでも食べたのですか?」と本気で心配したかもしれない。天城に言われたならば、そうだな、村上春樹にでも影響されたか、あるいは今更『アルマゲドン』でも観たのか。見かけによらず純粋なところのある我らがリーダーは、今度は何にかぶれたのか──うんざりしながらも話に付き合ってやっていたのかも。ただしHiMERUの機嫌が良ければ、という条件付きで。
    「──はあ」
     しかし冗談にしても笑えないこの話題を持ち掛けてきたのは、よりによってあの風早巽だった。
    「もしそれが本当なら……、随分落ち着いているのですね、巽?」
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    kashi_futon

    DONE2022.05.21開催オズフィガオンリー「悠久のヘリオスフィア」にて展示している作品①です。心中するオズフィガがどうしても欲しくて書きました。テーマがテーマなので気を付けてください。死ネタを扱っています。パスはお品書きにあります!
    『ゆめみるために、おやすみ』 こんなに緩やかな終わりが待っているだなんて、きっと誰もが想像出来やしなかった。ひとりぼっちで石になると、誰にも知られないままどこかへの行ってしまうようにしか死ぬことが出来ないのだと。そう思っていた。
     例えば、誰にも看取って貰えないのだとすれば。北の魔法使いの矜持を持ったまま、誰かの前に這いつくばって石になる運命があったかもしれない。だって南の魔法使いを名乗っていて、南の国からの賢者の魔法使いとして選ばれていたとしても。結局フィガロの本質には北の気質が含まれざるを得ない。
     だからきっと所詮自分のいのちはただ孤独に石になるだけの運命だと思っていた。愛し、愛されることを夢に見た、でもそれは夢のままだった。フィガロの人生は黒鉛筆を斜めに握った子供が書き殴った線のようにぐちゃぐちゃになってしまっている。何千年と生きてきていて真っ直ぐな人生の線を持っている者の方が逆におかしいとも言えるのだ。気を狂わせてしまうのに十分で、何かを探し求めて生きるのにはあまりにも永きに渡る年月で。その間ならばきっと望むものは全て手に入るのではないかと思っていた、でも事実はそうではない。
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