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    実家

    妖怪おしぼり煮込み

    CAN’T MAKE皆さんはお婆ちゃんの事、大切にしていますか?覚えていますか?
    私は実家にいた頃いつも喧嘩してばっかりでした。
    喧嘩は同じレベルの者同士でしか起こらないとも言いますし、これだけ歳が離れているにも拘らず何日も引きずるような喧嘩をしているのならば、逆に仲が良いのかもしれませんね。
    喧嘩をする事も、話をする事も、亡くなってからでは遅いのですから。
    あの景色を追いかけて。暑い、全身が痛い、でも、あと少し…
    視界に映る景色は呆れるほどの田舎道で、一車線程の道路を除くと全てが自然に溢れていた。
    徐々に足が地面から離れなくなり、焼けたアスファルトの熱が足に伝わる。
    脇に東屋が見えたので、少し道を外れて木造の椅子に腰を下ろした。
    視界は常に歪み、蜃気楼を捉えることすら難しい状態だ。
    もう動きたくない…帰りたい。
    こうして挫けそうになる度、朦朧とした意識でこの苦行の始まり、そして遠い昔の事を回想するのだった。

    あれは今から二時間前、俺はクーラーの効いた部屋で何をするでもなく、いたずらに時間を食い潰していた。
    我が家は取り立てて広いと言うわけでもない無難な一戸建て。
    祖父の代からあるらしいが、扉や壁は一式新しい物に替えられている。
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    💤💤💤

    INFO『ファンダ・メンダ・ワーズ』(文庫/164P/¥1200-)
    7/23発行予定のモクチェズ小説新刊サンプルです。

    ヴ愛後しばらくしての時間軸。あるきっかけで二人がモクマの実家に里帰りすることになる話。
    ※オレク、モの母&兄&その家族、犬など捏造まみれですので何でも許せる人向けです
    ※主な構成要素:真面目なモ、実家の面子に気に入られるチェ、頭を使うモクチェズ、振り回されるオレク、馬に蹴られるアロ
    ファンダ・メンダ・ワーズ1.

    「長期休み?」
    差し出されたコーヒーを受け取りながら聞き返すと、チェズレイは軽く頷いた。
    「えぇ。先日の仕事の後始末も兼ねて、になりますから純粋な休みとは言えませんがね。それでも、『思い思いに過ごすように』と言うのが命令ですから、彼らもそれなりに羽を伸ばせるでしょう」
    チェズレイの視線の先には、ここ一年で増えた部下達の姿がある。人数にして5人——オレク、カーター、ネス、マチダ、ウィルソン。いずれも明らかに『その道の人』みたいなスーツの男たちが談笑してるのを見ると、何つか本当に『マフィア』って感じだ。いやまぁ実際そうなんだけども。
    (……まぁこの部屋のせいもあるかもしれんねぇ)
    俺はそう思いながらぐるりと部屋を見渡した。古い外観に反して、内部はしっかりと手入れが行き届いている。部屋の隅にはセンスの良い調度品が飾られてるし、真ん中に置かれた革張りのソファだって相当良い値段がするんだろう――こんな郊外のセーフハウスでも、だ。
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