珈琲とお酒
DONEどっちもどっちな大人の駆け引き。赤ワインとウィスキーを飲みながら。どうしても🐑とどうにかなりたい🔮
🔮への気持ちはあるけれど恋に懐疑的で臆病な🐑
ある曲をもとに歌詞の進行に合わせて書きましたが、曲の趣旨とは逆にしたかったので苦戦した跡が見えます。 2010
おもち
TRAININGPsyBorg。🔮🐏寄り。ワードパレット「オパール」心・曇り・包み込む、がお題です。長らくお待たせしました…!言葉がうまく紡げない時期が続いていた。打ち込んだ文字は中身のないからっぽな文章に思えて、書いては消してを繰り返す。一日中パソコンの前にいたのにたったの一行も完成せずに、夜になってパソコンの電源を落とす。インプットが足りないのだろうか。でも最近は暑くて散歩以外で出歩く気が起きず、毎日冷房をつけた部屋で本を読んだり映画を見たりして過ごしている。感動して心が熱くなるような感覚だって確かにあった。だけどいざ文章を書こうとすると、頭の中が真っ白になる。
インターホンが聞こえたのは夕方、執筆はしばらく時間を置こうかと憂鬱な気持ちで今まで書いたデータを整理していた時だった。日が長い夏はまだ外が明るく時間の感覚がブレる。時計を見て、配達業者が来る時間ではないことを確認してから玄関へ向かった。
2274インターホンが聞こえたのは夕方、執筆はしばらく時間を置こうかと憂鬱な気持ちで今まで書いたデータを整理していた時だった。日が長い夏はまだ外が明るく時間の感覚がブレる。時計を見て、配達業者が来る時間ではないことを確認してから玄関へ向かった。
珈琲とお酒
REHABILI張り合ったり、慰め合ったり、励まし合ったり、応援し合ったりするよねって話。🐑🔮で🔗🎭です。
🔮が笑顔を取り戻すまで🎭が頑張ります。
それぞれの住まいの距離感はお好きな感じでどうぞ。 3356
途綺*
DONE🔮🐑//サードアイにはご注意をうっかりやらかすサイボーグの話。機械なのを良いことに色々ずぼらになってたら可愛い。
『いま駅に着いたとこ、何か買って行くものある?』
電車を降りて改札へ向かいながら、すっかり見慣れたアイコンのトーク画面を開いて文字を打ち込む。数秒もせずに既読が付いて、ファルガーからのメッセージが届いた。
『特にないな。雨が降ってるし、やっぱり迎えに行こうか?』
『ううん、まだそんなに強くないし大丈夫だよ』
大切にされていると分かる優しさに、浮奇の頬が自然と弛む。スマホを上着のポケットに入れてお気に入りの傘を広げ、空から降り注ぐ雨がゆっくりと濡らしていく地面へ踏み出した。一ヶ月ぶりに取った数日間の休暇をリラックスして過ごすべく、浮奇はファルガーの家へと向かっている。「ふーふーちゃんの家で休暇を過ごしたい」と半ば思い付きで伝えた浮奇を、コラボも含めて配信の予定が入っているが、それでも構わないなら、とファルガーは快く受け入れてくれた。
3026電車を降りて改札へ向かいながら、すっかり見慣れたアイコンのトーク画面を開いて文字を打ち込む。数秒もせずに既読が付いて、ファルガーからのメッセージが届いた。
『特にないな。雨が降ってるし、やっぱり迎えに行こうか?』
『ううん、まだそんなに強くないし大丈夫だよ』
大切にされていると分かる優しさに、浮奇の頬が自然と弛む。スマホを上着のポケットに入れてお気に入りの傘を広げ、空から降り注ぐ雨がゆっくりと濡らしていく地面へ踏み出した。一ヶ月ぶりに取った数日間の休暇をリラックスして過ごすべく、浮奇はファルガーの家へと向かっている。「ふーふーちゃんの家で休暇を過ごしたい」と半ば思い付きで伝えた浮奇を、コラボも含めて配信の予定が入っているが、それでも構わないなら、とファルガーは快く受け入れてくれた。
途綺*
DONE🐑🔮//ポルックスの羽化SF要素強め。星のチカラに振り回されて繭に籠る話。ポルックスは🔮の誕生星。
途轍もなく、むしゃくしゃしていた。
胎児のように体を丸めて頭から布団を被って、母親の優しい体温を思い出して眠ってしまいたいような、そんな気分だった。最も残念ながら、浮奇にはそんな風に縋れるほど優しい幼少期の思い出なんて無いけれど。
やるせなさに泳がせた視線がお湯を沸騰させる鍋を捉える。ふつふつと沸き上がる湯を見ていると自分の中の何かが暴れ出しそうな感覚がして、気持ちを抑え込もうとキツく目を閉じた。
気持ちに影響されているのか体がぐらぐらと揺れる感覚がして、やがて目の前がぐるぐると回るような眩暈へと変わる。倒れる、と気付いて咄嗟に伸ばした手は何かにぶつかって支え損ねた。重力に従って硬い床に体をぶつけた感覚を最後に、浮奇は意識を手放していた。
5966胎児のように体を丸めて頭から布団を被って、母親の優しい体温を思い出して眠ってしまいたいような、そんな気分だった。最も残念ながら、浮奇にはそんな風に縋れるほど優しい幼少期の思い出なんて無いけれど。
やるせなさに泳がせた視線がお湯を沸騰させる鍋を捉える。ふつふつと沸き上がる湯を見ていると自分の中の何かが暴れ出しそうな感覚がして、気持ちを抑え込もうとキツく目を閉じた。
気持ちに影響されているのか体がぐらぐらと揺れる感覚がして、やがて目の前がぐるぐると回るような眩暈へと変わる。倒れる、と気付いて咄嗟に伸ばした手は何かにぶつかって支え損ねた。重力に従って硬い床に体をぶつけた感覚を最後に、浮奇は意識を手放していた。
おもち
TRAININGPsyBorg。やきう部の🔮と、ほけんの先生🐏。窓を開けたら夏の音がした。遠くで鳴く蝉の声をBGMに、グラウンドで走る運動部のかけ声、校舎裏のプールで水泳部が水を蹴る音、窓を開け放っているのか吹奏楽部の高らかな演奏も聴こえてくる。生徒たちの重なる声は青春を耳で味わわせてくれる。
だが外の空気は青い春だなんて言ってられないくらいに夏をまとっていた。触れられそうなくらいモワッと蒸した空気がクーラーで冷えた薬品臭い保健室の中に入り込んでくる。
さっきまでベッドで眠っていた体調不良の生徒が保護者が迎えにきて帰って行ったから、空気を入れ替えようと思って窓を開けたけれど、これで室内の空気が新鮮になっているのかどうかは甚だ疑問だ。
空気の入れ替えは諦めてアルコール消毒を念入りにしようか、と開けたばかりの窓を閉めようとしたその時、ふわりと涼しい風に乗って「先生!」という声が届いた。
2201だが外の空気は青い春だなんて言ってられないくらいに夏をまとっていた。触れられそうなくらいモワッと蒸した空気がクーラーで冷えた薬品臭い保健室の中に入り込んでくる。
さっきまでベッドで眠っていた体調不良の生徒が保護者が迎えにきて帰って行ったから、空気を入れ替えようと思って窓を開けたけれど、これで室内の空気が新鮮になっているのかどうかは甚だ疑問だ。
空気の入れ替えは諦めてアルコール消毒を念入りにしようか、と開けたばかりの窓を閉めようとしたその時、ふわりと涼しい風に乗って「先生!」という声が届いた。
おもち
TRAININGPsyBorg。風邪っぴき🐏と誕生日の🔮。また泣かせちゃった。コンコンとノックをすればすぐに「はい」と声が返ってきた。寝ているかと思ったけど、もう寝るのにも飽きちゃったかな。
「おはようふーふーちゃん。体調はどう?」
「おはよう浮奇。まあまあ……。……無理はできない感じだな」
「ん、無理しないでゆっくり休んで。レストランの予約はちゃんとキャンセルした? ケーキ屋とか花屋、俺が代わりに行ってこようか?」
「……、……俺、寝ぼけておまえに何か言ったか?」
「ううん。でも俺の彼氏ってすっごいロマンチストでキザなんだよね」
「……レストランはキャンセルの連絡を入れた。ケーキは、浮奇が配信中に食べられるように明日予約している。今日しっかり休めば明日は動けるようになるはずだから……というか、動けないと浮奇の配信を見られなくて困るから、今日で体調は治す。それと、……花屋、……」
1768「おはようふーふーちゃん。体調はどう?」
「おはよう浮奇。まあまあ……。……無理はできない感じだな」
「ん、無理しないでゆっくり休んで。レストランの予約はちゃんとキャンセルした? ケーキ屋とか花屋、俺が代わりに行ってこようか?」
「……、……俺、寝ぼけておまえに何か言ったか?」
「ううん。でも俺の彼氏ってすっごいロマンチストでキザなんだよね」
「……レストランはキャンセルの連絡を入れた。ケーキは、浮奇が配信中に食べられるように明日予約している。今日しっかり休めば明日は動けるようになるはずだから……というか、動けないと浮奇の配信を見られなくて困るから、今日で体調は治す。それと、……花屋、……」
おもち
TRAININGPsyBorg。🔮がカフェ店員してる話。特に誕生日の話ではないんですがしっかり長めに書いたので誕生日のお祝いとして投稿です🎂 太陽が傾き始めて空が華やかに彩られる。店の扉が開くたびに空の色が変わっていくこの時間が俺は好きだった。
それに、いつもこのくらいの時間に来る、とあるお客さんも。
週に数回、曜日は決まっていなくて、混雑が途切れて気を緩めた途端に来ることが多いその人は、毎回同じカフェインレスのコーヒーを頼んでいく。アイスかホットかはわりとランダム。寒い日にアイスコーヒーを頼むこともあったし、たぶん気温とかじゃなく気分で選んでいるんだと思う。
そろそろ来るかなと期待した気持ちで扉を見つめていると、本当にその人が扉を開けて入ってきた。俺は表情を綻ばせ、まだ彼が店の中に完璧に入ってはいないのに「いらっしゃいませ」と声をあげた。他の店員たちも次々といらっしゃいませと声を出す。
14702それに、いつもこのくらいの時間に来る、とあるお客さんも。
週に数回、曜日は決まっていなくて、混雑が途切れて気を緩めた途端に来ることが多いその人は、毎回同じカフェインレスのコーヒーを頼んでいく。アイスかホットかはわりとランダム。寒い日にアイスコーヒーを頼むこともあったし、たぶん気温とかじゃなく気分で選んでいるんだと思う。
そろそろ来るかなと期待した気持ちで扉を見つめていると、本当にその人が扉を開けて入ってきた。俺は表情を綻ばせ、まだ彼が店の中に完璧に入ってはいないのに「いらっしゃいませ」と声をあげた。他の店員たちも次々といらっしゃいませと声を出す。
おもち
TRAININGPsyBorg。図書館にお迎えに行く話。高い天井まで届きそうなほど、所狭しと本が詰まった棚が壁を覆っている。もしかして本が緩衝材の役割を果たしていてこんなに静かなのかな。誰の話し声もしないシンと静かな図書館の中は、ページを捲る音とペンが紙を擦る音ばかりで、時々椅子が引かれるとびっくりするくらいにその音が響く。時計の針の音すら聞こえそうなくらいの静寂の中に視線を走らせ、俺は探していた人を見つけ出した。
大きな机には本を何冊も重ねた人たちが間隔を空けて数人座っていた。彼の周りは前後左右ぐるりと席が空いており、俺はそのうちのひとつ、ちょうど中途半端に引かれて動かさずに座ることができそうだった彼の向かい側の椅子に腰掛け、通りがけに適当に手に取った本を開いた。数秒文字を目で追って、すぐに視線を上げる。
2274大きな机には本を何冊も重ねた人たちが間隔を空けて数人座っていた。彼の周りは前後左右ぐるりと席が空いており、俺はそのうちのひとつ、ちょうど中途半端に引かれて動かさずに座ることができそうだった彼の向かい側の椅子に腰掛け、通りがけに適当に手に取った本を開いた。数秒文字を目で追って、すぐに視線を上げる。
おもち
TRAININGPsyBorg。夏のSS。お風呂から上がって寝室に向かった俺を、ドアを開けた途端に寒いくらいの冷気が包み込んだ。うわぁ、とちょっと引きながら部屋の中に入りベッドに横になるふーふーちゃんの隣にくっつく。
「おかえり。ちゃんとあったまってきたか?」
「ただいま。あったまったけどさ……ねえ、ちょっとこの部屋寒すぎない? ふーふーちゃんってそんな暑がりだっけ」
「あ……ふふふ、もう少ししたら温度を上げるよ」
「……なに笑ってんの」
「いいや?」
くっつくだけじゃ足りなくて、彼の体温を探ってぎゅーっと抱きしめる。ふーふーちゃんは俺のことを抱きしめて腕の中に閉じ込めくすくすと楽しそうに笑った。なぁに、と唇を尖らせれば温かい唇がちゅっと触れる。
「浮奇、暑いの苦手だろ?」
1114「おかえり。ちゃんとあったまってきたか?」
「ただいま。あったまったけどさ……ねえ、ちょっとこの部屋寒すぎない? ふーふーちゃんってそんな暑がりだっけ」
「あ……ふふふ、もう少ししたら温度を上げるよ」
「……なに笑ってんの」
「いいや?」
くっつくだけじゃ足りなくて、彼の体温を探ってぎゅーっと抱きしめる。ふーふーちゃんは俺のことを抱きしめて腕の中に閉じ込めくすくすと楽しそうに笑った。なぁに、と唇を尖らせれば温かい唇がちゅっと触れる。
「浮奇、暑いの苦手だろ?」
おもち
TRAININGPsyBorg。服屋🔮と小説家🐏。『ずいぶん前に選考委員をやった文学賞があるだろう。あれの授賞式に参加してほしいんだ』
担当編集からの電話を受けた俺はその言葉を聞いて返事もせずに電話を切った。すぐに再び着信を知らせる携帯をしばらく無視し、あまりのしつこさに仕方なく耳に当てる。
「しつこい」
『ああ、繋がった。電波が悪かったか? 話の途中で切れたから驚いたよ。それで、おまえは授賞式に着て行くような服なんて持っていないだろう。俺の知り合いの店に話を通しておくからちょっと行ってこい』
「……締切があって忙しい」
『先週書き上げたものの返しはまだ来ていないはずだが他にも何か?』
「……次回作の案を練っている」
『それなら外に出て刺激に触れたほうが良いな。散歩がてら行ってこい』
3016担当編集からの電話を受けた俺はその言葉を聞いて返事もせずに電話を切った。すぐに再び着信を知らせる携帯をしばらく無視し、あまりのしつこさに仕方なく耳に当てる。
「しつこい」
『ああ、繋がった。電波が悪かったか? 話の途中で切れたから驚いたよ。それで、おまえは授賞式に着て行くような服なんて持っていないだろう。俺の知り合いの店に話を通しておくからちょっと行ってこい』
「……締切があって忙しい」
『先週書き上げたものの返しはまだ来ていないはずだが他にも何か?』
「……次回作の案を練っている」
『それなら外に出て刺激に触れたほうが良いな。散歩がてら行ってこい』
おもち
TRAININGPsyBorg。仲直りの話。「ただいま〜」
いつも通りの声を意識したそれはちょっとだけわざとっぽかったけど、俺は彼みたいに演技が上手じゃないんだ。震える手を気にしないようにしながら靴を脱いでスリッパを履き、返ってこない「おかえり」の声に泣きそうになった。ほんと、自分勝手で嫌になるな。
キャリーバッグを玄関に置いて俺は家の中に進んだ。チリンと鈴の音がしてリビングの方向から猫が転がるように駆けてくる。俺の足にぽてっとぶつかり頭を擦り寄らせてくる愛猫を抱き上げ「ただいま」とキスをした。続いてパタパタ歩いてきたのは足元に子猫たちを連れた大型犬で、俺は片手で彼らのことも優しく撫でる。
ねえ、君たちのパパはどこにいる? もしかしてお昼寝の途中かな? そうだったら良いんだけど。
2489いつも通りの声を意識したそれはちょっとだけわざとっぽかったけど、俺は彼みたいに演技が上手じゃないんだ。震える手を気にしないようにしながら靴を脱いでスリッパを履き、返ってこない「おかえり」の声に泣きそうになった。ほんと、自分勝手で嫌になるな。
キャリーバッグを玄関に置いて俺は家の中に進んだ。チリンと鈴の音がしてリビングの方向から猫が転がるように駆けてくる。俺の足にぽてっとぶつかり頭を擦り寄らせてくる愛猫を抱き上げ「ただいま」とキスをした。続いてパタパタ歩いてきたのは足元に子猫たちを連れた大型犬で、俺は片手で彼らのことも優しく撫でる。
ねえ、君たちのパパはどこにいる? もしかしてお昼寝の途中かな? そうだったら良いんだけど。
おもち
TRAININGPsyBorg。夜と朝の間の時間。暑くて寝苦しい夜だった。一度眠ったはいいけれど睡眠は細切れで、水を飲みに部屋を出たのはまだ夜明けまでずいぶん時間がある頃だった。
冷蔵庫から出した冷たい水をゴクゴクと飲むと体の中が冷えて心地良い。空になったペットボトルをゴミ箱に捨て、買い溜めてあるぬるい水のペットボトルを冷蔵庫に補充した。
まだ夏が始まったばかりなのに昼間だけでなく夜まで冷房をつけるとなると電気代が……。俺ははぁとため息を吐いて寝室に戻り、なかばヤケクソで冷房のスイッチを入れた。ベッドに横になり、しばらくすると部屋の中は涼しくなった。
これなら朝まで続けて眠れるだろうとホッとしたが、動いたせいかすこし眠気が遠ざかっていて、時計で時間を確認した俺は枕元に置いてあるスマホを手に取った。履歴から簡単にその名前を見つけ出しスマホを耳に当てる。
1720冷蔵庫から出した冷たい水をゴクゴクと飲むと体の中が冷えて心地良い。空になったペットボトルをゴミ箱に捨て、買い溜めてあるぬるい水のペットボトルを冷蔵庫に補充した。
まだ夏が始まったばかりなのに昼間だけでなく夜まで冷房をつけるとなると電気代が……。俺ははぁとため息を吐いて寝室に戻り、なかばヤケクソで冷房のスイッチを入れた。ベッドに横になり、しばらくすると部屋の中は涼しくなった。
これなら朝まで続けて眠れるだろうとホッとしたが、動いたせいかすこし眠気が遠ざかっていて、時計で時間を確認した俺は枕元に置いてあるスマホを手に取った。履歴から簡単にその名前を見つけ出しスマホを耳に当てる。
途綺*
DONE🐑🔮//夜空を想う日常のひとコマ。今夜は満月なので夜空に想いを馳せて。
「今日が満月って知ってたか?」
夜の散歩から帰ってきたふーふーちゃんが、玄関で出迎えた俺にハグをするなり唐突な質問を投げかけてきた。
「ううん、だからこんなに外が明るかったんだ」
「あぁ、よく晴れてるから余計に」
満足したのか俺の身体を離してドッゴの脚を拭くふーふーちゃんの横を擦り抜けて空を見上げれば、そこにはまんまるのお月様が浮かんでいた。
「どうりで星の声が静かだと思った」
一等星を除いて月明かりに姿を隠している星々は、まるで後ろに引っ込んでこちらをそっと見ているかのようだった。
「…浮奇には星の声が聞こえるのか?」
目を丸くしてこちらを見てくるふーふーちゃんに、俺は首を傾げた。
「言ってなかったっけ」
「初めて聞いたぞ」
2398夜の散歩から帰ってきたふーふーちゃんが、玄関で出迎えた俺にハグをするなり唐突な質問を投げかけてきた。
「ううん、だからこんなに外が明るかったんだ」
「あぁ、よく晴れてるから余計に」
満足したのか俺の身体を離してドッゴの脚を拭くふーふーちゃんの横を擦り抜けて空を見上げれば、そこにはまんまるのお月様が浮かんでいた。
「どうりで星の声が静かだと思った」
一等星を除いて月明かりに姿を隠している星々は、まるで後ろに引っ込んでこちらをそっと見ているかのようだった。
「…浮奇には星の声が聞こえるのか?」
目を丸くしてこちらを見てくるふーふーちゃんに、俺は首を傾げた。
「言ってなかったっけ」
「初めて聞いたぞ」
おもち
TRAININGPsyBorg。大学生の朝。俺のものじゃないアラームの音で眠りから覚めた。薄く目を開けて手を伸ばし枕元を探ったがそこにスマホは見つからない。
「んん……うき、うき……んっ、浮奇、おまえスマホどこだ?」
体を起こし顔にかかる髪を適当にかき上げた。俺の横で猫のように丸まって眠っている浮奇の肩をぐらぐらと揺らすとうざったそうに手を払われる。
朝の浮奇はたいてい不機嫌で、寝起きが悪い。分かっているけれどこのアラームを止めなければ結局彼の睡眠を妨げてしまう。
「浮奇、スマホ、アラーム鳴ってる。……ていうかおまえ今日三限からだろ? なんでアラーム鳴らしてんだ?」
「んぅ……すまほ……じゅうでんき……」
「充電器……あった」
ベッドの下、すぐそこのコンセントに充電器が刺さってそれがスマホに繋がっていた。浮奇に覆い被さるようにしてスマホを拾い上げ、アラームを止める。ようやく静かになった部屋の中に安心してふぅと息を吐いた。
1512「んん……うき、うき……んっ、浮奇、おまえスマホどこだ?」
体を起こし顔にかかる髪を適当にかき上げた。俺の横で猫のように丸まって眠っている浮奇の肩をぐらぐらと揺らすとうざったそうに手を払われる。
朝の浮奇はたいてい不機嫌で、寝起きが悪い。分かっているけれどこのアラームを止めなければ結局彼の睡眠を妨げてしまう。
「浮奇、スマホ、アラーム鳴ってる。……ていうかおまえ今日三限からだろ? なんでアラーム鳴らしてんだ?」
「んぅ……すまほ……じゅうでんき……」
「充電器……あった」
ベッドの下、すぐそこのコンセントに充電器が刺さってそれがスマホに繋がっていた。浮奇に覆い被さるようにしてスマホを拾い上げ、アラームを止める。ようやく静かになった部屋の中に安心してふぅと息を吐いた。
にこ:)
DOODLE🐑🔮/オーダーメイドヴェール「世界一可愛いって言ってもらいたいの!」
お友達🎭出ます🙏(🔗🎭)
🔗🎭のお話↓のヴェールについて詳しく書きました。順番どちらでも大丈夫です。
https://poipiku.com/8013418/8917367.html 3494
おもち
TRAININGPsyBorg。夜のお散歩に行く話。人目がないほうが触れ合うことに抵抗がないのは俺も浮奇も同じだった。友人の距離でしかいられない外でのデートより、家の中に篭る率のほうが高くなるのも必然。そしてルームシェアをしている浮奇のところより一軒家で愛犬と暮らしている俺の家のほうが都合がいいのも考えるまでもないことだった。
夕方に家に来た浮奇はもう使い慣れたうちのキッチンで夕飯を作ってくれ、夜は狭い風呂に乱入してきて、俺の髪を乾かしたあとはその倍以上の時間をかけてスキンケアを済ませ、まだ眠るには早い時間に俺をベッドに引っ張り込んだ。
日付が変わる頃、夜の散歩を抜かしてしまったことに不服を訴える愛犬が寝室のドアを引っ掻き、パッと起き上がった俺の腕を浮奇が掴んだ。俺を見上げる彼に顔を寄せて瞼にキスを落とす。
1809夕方に家に来た浮奇はもう使い慣れたうちのキッチンで夕飯を作ってくれ、夜は狭い風呂に乱入してきて、俺の髪を乾かしたあとはその倍以上の時間をかけてスキンケアを済ませ、まだ眠るには早い時間に俺をベッドに引っ張り込んだ。
日付が変わる頃、夜の散歩を抜かしてしまったことに不服を訴える愛犬が寝室のドアを引っ掻き、パッと起き上がった俺の腕を浮奇が掴んだ。俺を見上げる彼に顔を寄せて瞼にキスを落とす。
おもち
TRAININGPsyBorg。初めてのお泊まりの話。初めてのお泊まりは、どうしようもないハプニングのせいで突如決行された。
ある日俺と友人がルームシェアをしているアパートが雨漏りをして、工事に一週間ほどかかると大家さんに伝えられた。工事の間はアパートを空けなければならない。
友人はすぐ職場の人に連絡を取って近くに住んでいる後輩の家に泊めてもらえることになったと俺にピースサインを作って見せたけれど、俺はといえば飼い猫も一緒に寝泊まりできて配信もできる環境なんてホテルだとしても探すのは難しい。
ひとまずマネージャーさんに配信がスケジュール通りに行えないかもしれないことと現状を伝え、最低限の荷物をキャリーバッグに詰めながら毎日電話をしている恋人のふーふーちゃんに電話をかけた。
6467ある日俺と友人がルームシェアをしているアパートが雨漏りをして、工事に一週間ほどかかると大家さんに伝えられた。工事の間はアパートを空けなければならない。
友人はすぐ職場の人に連絡を取って近くに住んでいる後輩の家に泊めてもらえることになったと俺にピースサインを作って見せたけれど、俺はといえば飼い猫も一緒に寝泊まりできて配信もできる環境なんてホテルだとしても探すのは難しい。
ひとまずマネージャーさんに配信がスケジュール通りに行えないかもしれないことと現状を伝え、最低限の荷物をキャリーバッグに詰めながら毎日電話をしている恋人のふーふーちゃんに電話をかけた。
おもち
TRAININGPsyBorg。演劇部パロ。演劇部のことよく知らないのでなんか雰囲気で適当に書いてます。彼の声が好きだ。ステージ上から体育館の一番後ろの隅っこまでハッキリ届く力強い声。演技は苦手だって謙遜するのに照れたり逃げたりせずに演じ切るところも好き。舞台映えする体の使い方や目を離せない繊細な表情は俺を惹きつけてやまない。
彼に見惚れているうちに演目は終わり幕が閉じていく。俺は後ろの扉を薄く開けて体育館を出ると足早に部室へ向かった。
鍵を開けて部室に入り、パチパチと電気をつける。衣装用のラックはハンガーだけが乱雑にかけられていた。俺はそれを向きを揃えて整え、座りやすいように椅子の間隔をあけ、空調を強めに効かせる。
部室の準備が整う頃にちょうどよく廊下から足音と話し声が聞こえてきて、俺は扉に手をかけみんなを迎え入れた。
2711彼に見惚れているうちに演目は終わり幕が閉じていく。俺は後ろの扉を薄く開けて体育館を出ると足早に部室へ向かった。
鍵を開けて部室に入り、パチパチと電気をつける。衣装用のラックはハンガーだけが乱雑にかけられていた。俺はそれを向きを揃えて整え、座りやすいように椅子の間隔をあけ、空調を強めに効かせる。
部室の準備が整う頃にちょうどよく廊下から足音と話し声が聞こえてきて、俺は扉に手をかけみんなを迎え入れた。
おもち
TRAININGPsyBorg。アイドルパロ。カプとしては一応さいぼぐだけど、マネージャー👟とアイドル🔮が仲良く話してるだけです。「ふーふーちゃんと一緒がいい」
「一緒の仕事も入れてるじゃん。明日は四人一緒だからふーちゃんもいるし、今日の夜はふーちゃんの家に行くんでしょ?」
「……じゃあちゃんとシュウがついてきてよ。現場に一人、やだもん」
「ええ……? 他のマネージャーとスケジュール確認してみないとなんとも言えない」
「じゃあ断って」
「浮奇〜」
フンッとそっぽを向く浮奇に僕は苦笑を浮かべた。浮奇のわがままには慣れっこだけど、今日は特にご機嫌斜めみたいだ。
僕のデスクの椅子は彼が座って長い足を組むと撮影セットのようにかっこよく見える。浮奇は不機嫌な顔も需要があるから、いま写真を撮ってSNSに上げればまあまあ良い数字になるだろう。
「もう話は終わりでいい? 野菜を買って行きたいからふーふーちゃんの家の前にスーパー寄って」
1669「一緒の仕事も入れてるじゃん。明日は四人一緒だからふーちゃんもいるし、今日の夜はふーちゃんの家に行くんでしょ?」
「……じゃあちゃんとシュウがついてきてよ。現場に一人、やだもん」
「ええ……? 他のマネージャーとスケジュール確認してみないとなんとも言えない」
「じゃあ断って」
「浮奇〜」
フンッとそっぽを向く浮奇に僕は苦笑を浮かべた。浮奇のわがままには慣れっこだけど、今日は特にご機嫌斜めみたいだ。
僕のデスクの椅子は彼が座って長い足を組むと撮影セットのようにかっこよく見える。浮奇は不機嫌な顔も需要があるから、いま写真を撮ってSNSに上げればまあまあ良い数字になるだろう。
「もう話は終わりでいい? 野菜を買って行きたいからふーふーちゃんの家の前にスーパー寄って」
おもち
TRAININGPsyBorg。甘えて甘やかして甘やかされるらぶらぶなさいぼぐが好き。『検査でサイボーグパーツの一部に問題が見つかった』
そう言ってふーふーちゃんはサラダを食べた。あんまりいつも通りの口調だったから俺は作業をしながら「へぇ」と返して、数秒経ってから「うん?」と手を止めた。いま、なんて?
「問題? 異常があったってこと?」
『ああ。それでパーツを取り替えなければいけないんだが、俺のこの体はそこらへんで直してもらえるようなものじゃないんだよ』
「ふーふーちゃんどこか行っちゃうの?」
『いや、俺がどこかに行くんじゃなく、足だけ外してそれを直してくれる人のところに送るんだ。だから、配信はしばらく休むことになる。ただの休暇ってことにするから他のメンバーには特に言わないけど、浮奇には伝えておこうと思って』
3829そう言ってふーふーちゃんはサラダを食べた。あんまりいつも通りの口調だったから俺は作業をしながら「へぇ」と返して、数秒経ってから「うん?」と手を止めた。いま、なんて?
「問題? 異常があったってこと?」
『ああ。それでパーツを取り替えなければいけないんだが、俺のこの体はそこらへんで直してもらえるようなものじゃないんだよ』
「ふーふーちゃんどこか行っちゃうの?」
『いや、俺がどこかに行くんじゃなく、足だけ外してそれを直してくれる人のところに送るんだ。だから、配信はしばらく休むことになる。ただの休暇ってことにするから他のメンバーには特に言わないけど、浮奇には伝えておこうと思って』
途綺*
DONE🐑🔮//月明かりに舞う眠れない月夜にダンスを踊る話。時間があれば ”So This is Love” を聴きながらお楽しみください。
眠りについていた意識が浮上する感覚に抗うように寝返りを打って隣の温もりを探す。伸ばした手が空を切って冷たいシーツへ触れたことで、ファルガーはゆっくりと目を開けた。
「…ぅき?」
確かめるように呼んだ声は掠れて暗い部屋に溶ける。一緒にベッドに入ったはずの浮奇はいつの間にか抜け出したらしく、ぼやけた視界に映るベッドはもぬけの殻だった。まだ暗さに慣れない瞳を瞬きながら手探りでスマホを探して時間を確認すれば、強い光を放つ画面が表示する時間に瞠目して、ファルガーはそっとベッドを抜け出した。
「浮奇」
電気も付けずにカーテンだけを開け放ったリビングに差し込んだ月光が、ソファで膝を抱える浮奇を照らしている。ぼんやりとしていたのかファルガーの声に弾かれたように肩を揺らした浮奇が、困ったような顔でゆっくりと振り返った。
1880「…ぅき?」
確かめるように呼んだ声は掠れて暗い部屋に溶ける。一緒にベッドに入ったはずの浮奇はいつの間にか抜け出したらしく、ぼやけた視界に映るベッドはもぬけの殻だった。まだ暗さに慣れない瞳を瞬きながら手探りでスマホを探して時間を確認すれば、強い光を放つ画面が表示する時間に瞠目して、ファルガーはそっとベッドを抜け出した。
「浮奇」
電気も付けずにカーテンだけを開け放ったリビングに差し込んだ月光が、ソファで膝を抱える浮奇を照らしている。ぼんやりとしていたのかファルガーの声に弾かれたように肩を揺らした浮奇が、困ったような顔でゆっくりと振り返った。
akikane_cosplay
DONEPsyborg 🐑🔮 左右気にせず読めます⚠️死ネタ/ナチュラルに同棲中
新衣装のアンクレットに狂ってしまいました
ミサンガじゃないような気がしないでもないけど全て妄想・捏造なのでなんでも大丈夫な方だけ読んでネ
ミサンガが切れたら薄く開いた窓から流れ込む冷ややかな風が、じんわりと汗の滲んだ背中を走り抜けてゆく火点し頃。
キッチンで夕飯の準備をしながら食卓を挟んだ向こうにあるリビングに目をやると、愛しのサイボーグが珍しく眼鏡をかけて何やら真剣そうに金属の指を動かしている。暇さえあれば文字を追いかける本の虫だった彼だが、最近はああしているところを見る機会が増えた気がする。彼の姿を視界に入れながらも手は動かしていたはずだが、ふと彼がどうしたんだ?というような微笑みをこちらに向けたことで己の手が止まっていたことに気が付いた。
「ごめんね、邪魔しちゃった」
そう言って途中だった盛り付けを終え、皿を食卓に運んだ足でファルガーの元へ向かえば、作業の手を止めて両手を広げてくれる愛しい彼。遠慮なくその胸に納まると、彼の冷たくて大きな手に優しく撫でられた。
6070キッチンで夕飯の準備をしながら食卓を挟んだ向こうにあるリビングに目をやると、愛しのサイボーグが珍しく眼鏡をかけて何やら真剣そうに金属の指を動かしている。暇さえあれば文字を追いかける本の虫だった彼だが、最近はああしているところを見る機会が増えた気がする。彼の姿を視界に入れながらも手は動かしていたはずだが、ふと彼がどうしたんだ?というような微笑みをこちらに向けたことで己の手が止まっていたことに気が付いた。
「ごめんね、邪魔しちゃった」
そう言って途中だった盛り付けを終え、皿を食卓に運んだ足でファルガーの元へ向かえば、作業の手を止めて両手を広げてくれる愛しい彼。遠慮なくその胸に納まると、彼の冷たくて大きな手に優しく撫でられた。
おもち
TRAININGPsyBorg。暑い日でもくっついていちゃいちゃしてる推しかぷは最高。仕事を終えてリビングへ行ったが、浮奇と愛犬が二人して見当たらない。散歩にでも行ったのかとソファーに腰掛けたところで他に誰もいないはずの家のどこからか物音が聞こえた。
恐る恐る音をたどって開いていた窓から顔を出してみると、庭で浮奇が花の植え替えをしているようだった。きっと愛犬は日焼け対策で帽子を被った浮奇を散歩に行くんだと勘違いしてついて行きそのまま一緒に外にいるのだろう。
「ちゃんと水分補給はしてるか?」
「わっ! ……びっくりしたぁ。仕事終わったの?」
「ああ。何か手伝うか? 飲み物を入れてこようか」
「お疲れ様。飲み物お願いしてもいい? キンキンに冷たいやつ」
「了解」
家の中に戻りキッチンでグラスにたっぷりの氷とお茶を入れていると、パタパタと足音が近づいてきて愛犬が顔を出した。ハッハッと息をする様子を見て空になっていた彼のボウルに水を入れる。すぐに勢いよく飲み始めたからホッと息を吐き、水分が必要であろうもう一人にもグラスを届けに行った。
1360恐る恐る音をたどって開いていた窓から顔を出してみると、庭で浮奇が花の植え替えをしているようだった。きっと愛犬は日焼け対策で帽子を被った浮奇を散歩に行くんだと勘違いしてついて行きそのまま一緒に外にいるのだろう。
「ちゃんと水分補給はしてるか?」
「わっ! ……びっくりしたぁ。仕事終わったの?」
「ああ。何か手伝うか? 飲み物を入れてこようか」
「お疲れ様。飲み物お願いしてもいい? キンキンに冷たいやつ」
「了解」
家の中に戻りキッチンでグラスにたっぷりの氷とお茶を入れていると、パタパタと足音が近づいてきて愛犬が顔を出した。ハッハッと息をする様子を見て空になっていた彼のボウルに水を入れる。すぐに勢いよく飲み始めたからホッと息を吐き、水分が必要であろうもう一人にもグラスを届けに行った。
おもち
TRAININGPsyBorg。新衣装寄りのイメージでいちゃいちゃ。わりと🔮🐏。昨日の浮奇の配信がいつもより長かったことはアーカイブに表示される数字を見れば明らかで、開始時間から考えて眠ったのは朝方、もしかしたら俺が起きるほんのちょっと前くらいだったかもしれなかった。
朝食と散歩を済ませて配信を始めるまでの間の時間、俺は寝室に戻ってベッドの上で丸くなる浮奇を見つめた。浮奇が丁寧に手入れをして伸ばしていた髪はもうすっかり長くなって、シーツの上に広がるそれを見ていると少し鼓動が早くなる。一房持ち上げて指先に巻きつけ、柔らかなそれにそっと口付けた。ぐっすり眠って体と心を休められるようにと、祈りを込めて。
浮奇にふーふーちゃんも似合うと思うよと勧められるまま俺も髪を伸ばしてみてはいるが、浮奇のように毎日時間をかけることはなかなかできず、昨日もドライヤーをせずに寝てしまったせいで爆発したような寝癖がついていた。適当にひとつに結べば誤魔化せるのはいいけれど配信をやるには気が抜けすぎている。
3940朝食と散歩を済ませて配信を始めるまでの間の時間、俺は寝室に戻ってベッドの上で丸くなる浮奇を見つめた。浮奇が丁寧に手入れをして伸ばしていた髪はもうすっかり長くなって、シーツの上に広がるそれを見ていると少し鼓動が早くなる。一房持ち上げて指先に巻きつけ、柔らかなそれにそっと口付けた。ぐっすり眠って体と心を休められるようにと、祈りを込めて。
浮奇にふーふーちゃんも似合うと思うよと勧められるまま俺も髪を伸ばしてみてはいるが、浮奇のように毎日時間をかけることはなかなかできず、昨日もドライヤーをせずに寝てしまったせいで爆発したような寝癖がついていた。適当にひとつに結べば誤魔化せるのはいいけれど配信をやるには気が抜けすぎている。