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    #BL

    Boys Love
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    はるもん🌸

    MOURNINGまだ魏無羨は弟子たちを引きつれたまま帰ってこない。泊まり込みになると聞いてはいた。魏無羨が不在になってから二日目の午後、気づけば魏無羨の事ばかり考えている。なかなか家業に集中できずにいる自分に気づき、冷泉で少し頭を冷やそうと考えた。冷泉に体を落とし、心が落ち着いてもやはり頭に魏無羨がよぎる。あの笑顔を思いだすと、自然と胸がじんわりとあたたまる。愛しい。そう思った時、一つの旋律が藍忘機に流れた―――
    藍忘機の鼻歌「…~♪」
    魏無羨は耳を疑った。
    (まさか藍湛の…鼻歌?!)
    いてもたってもいられなくなった。彼は急いで服を脱ぎ、ザブンと冷泉に入る。

    * * *

    今回の夜狩りの監督は大変だった。新参者の姑蘇の弟子が複数いて、それぞれ腰を抜かしそうになったり手が震えるものがいたりしたのだ。
    「俺が14歳だったころはもっと男らしかったぞ」などとぼやきながら静室に戻ろうとしていたその時、
    曲がり角でばったりと藍思追と遭遇した。

    「魏先輩」
    「思追、どこにいくんだ?さっき帰ってきたばっかなんだからヘトヘトだろう。なんだその本の量」
    「夜狩りでの魏先輩を見ていたら、まだまだだなと思いまして」
    「それで、その量の本を今から読むのか?やめろやめろ。勉強なんて寝てからやれ」
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    はるもん🌸

    MOURNING魏無羨がニヤニヤしながら嗅がせてきたのは、いつしか見た事のある見た目がおかしい香炉。眠る前から怪しい展開になるだろうことはわかっていたが、まさかこの時の夢を見るとは思わず、数回ほど藍忘機は目を瞬かせた。
    香炉 初めての口づけ―――これは、夢か。

    魏無羨が目隠しをしたまま笛を吹いている。自分はそれを眩しそうに見ていた。どうせ気づかれない、気づかれてもこれは夢。そう思い、藍忘機は昔と同じように木の上にいる魏無羨の元へと足を運ばせた。いつしかの夜狩りの帰りに、見知らぬ夫婦が木陰で深い口づけをしているのを見かけた。

    好きなもの同士なら、ああやって愛し合うのかと学んだ。
    そして魏無羨と同じ事がしたいという欲を感じた。

    魏無羨に初めて口づけをしかけた時、あの夫婦のそれを真似た。目を隠しをしたまま的(マト)に矢を放った時の魏無羨は本当に美しく見えた。あれは私のもだと印をつけたくなるほどに。

    笛の音が聞こえた瞬間、霊獣を狩る事よりも魏無羨の傍にいたいという欲求が強まった。そっと遠くから眺めるつもりだったが、風を感じて気持ち良さそうにしている無防備な彼を目前に我慢をする事ができなかった。もうすでに自分たちは道侶。今襲わなくても毎晩これでもかと愛し合っている。しかしこの瞬間、藍忘機はあの時の劣情がまざまざと蘇り、気づけば彼の手首を抑えて口づけていた。それも無理やり。
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    狭山くん

    TRAINING2022-07-01/文披31題夏の空閑汐♂祭始まるよ!!!!!そう言えば学祭の話って書いてなかったな〜って思ったので初夏は学祭の季節だろ!?と空閑汐♂には踊って頂きました。学祭で踊るタイプの男性アイドルユニット、うっかり某SとAを思い浮かべてしまった。地元じゃ負け知らずだぜ、アミーゴ。
    文披31題・夏の空閑汐♂祭:Day01 太陽は山の奥へと隠れ、空は紺青と朱による美しいグラデーションを見せていた。校舎の屋上から遠くに揺れる海原を見つめていた汐見は、屋上に巡らされた柵に凭れて大きなため息を一つ吐き出す。
    「おつかれ」
    「お前もな」
     からからと笑いながら疲れを滲ませた息を吐き出す汐見へと労いの言葉を掛けた空閑に、汐見は小さく笑い言葉を返す。卒業証書を受け取ってから数ヶ月、季節は夏へと差し掛かる頃で。互いに高校指定のジャージを纏う彼らは、次の進学先への渡航までの間をこの場所で過ごす事を決めていた。
     実家に帰るよりも、渡航までの約半年をこの場所で知識を深めた方が有意義だという結論に達したのは何も彼らだけではない。彼らよりも前に卒業していった先達であったり、同学年で本校への進学を決めている者の一部も同じような選択をしており――学校もまた、それを受け入れる体制が整えられていた。
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    狭山くん

    TRAINING2022-06-30/空閑汐♂デイリー6月完走!と共に高校卒業おめでとう!!明日からは文披31題参加も兼ねて高校卒業後、航宙士学院入学前の夏の空閑汐♂を1ヶ月書いてく予定です(*•̀ᴗ•́*)و ̑̑
    空閑汐♂デイリー800字チャレンジ:30 特に約束はしていなくても、やっぱりこの場所に集まってしまう。そんな事を思いながら、三年ないしは二年間共に過ごしたフェルマーと高師と共に篠原は道場へと足を踏み入れる。そこには既に後輩達が集まっており、パイロットコースに所属していた同期たちもピッタリとくっついて――というよりも空閑が汐見の後ろから抱きつくような形で立っていた。
     後ろにくっ付いている空閑の存在を気にもせず、普段通りの態度でひらりと手を振った汐見は彼らへと向けて言葉を投げる。
    「お、エンジニアコースも解散したのか」
    「パイロットコース、解散早くない?」
     おんぶお化けの様相を呈している空閑の存在を完全にスルーしたフェルマーの言葉に「センセのホームルーム短いからな。卒業式でも通常営業」と汐見もなんて事ないように答えて。後輩達も何のツッコミも入れていないらしいその体勢へと言い難そうにツッコミを入れたのは高師であった。
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    狭山くん

    TRAINING2022-06-29/空閑汐♂デイリー何とか日付変わる前に書けたねヤッター!!吉嗣先生が空閑汐♂に巻き込まれてるの見るのは楽しいね……
    空閑汐♂デイリー800字チャレンジ:29 第一格納庫の隅に作られた教官室。そこはパイロットコースを担当する教員達に割り当てられた部屋で。校舎から離れた場所に位置する格納庫に仕事を持ち込む教員は少なく、その部屋は吉嗣が占有してしまっている。
     そしてその場所では安っぽいデスクチェアに腰を下ろし軋ませる吉嗣の他、二人の青年が立たされていた。一人はぴしりと制服を纏い、一人は学校指定のジャージ姿で。
    「空閑に汐見も。お前らこの卒業前のクソ忙しいタイミングで呼び出された理由は解ってるよな?」
     既に自由登校になっている三年生の中でも、この二人は既にパイロットコースの生徒が一番に目指す場所である航宙士学院への入学資格を手に入れていた。他の生徒達とは異なり、受験勉強からも解放され校内の雑務を請け負うアルバイトもこなしながらモラトリアムを過ごす二人の男達へと吉嗣はじとりとした視線を向ける。視線を向けられた本人達は揃いも揃って――制服を隙なく纏った空閑は面白そうに、ジャージ姿の汐見は不思議そうに、首を傾げる。
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    狭山くん

    TRAINING2022-06-26/空閑汐♂デイリー、今日は前後編。収まらなかったとも言える。事情聴取編もとい後編はこれから書きます!笑
    空閑汐♂デイリー800字チャレンジ:26.1 受験シーズンもそろそろといった三年の秋、放課後になっても教室から出ていく生徒は少なかった。そしてそれ故にその暴挙のような男の言葉を耳にした生徒というのもまた、少なくなかったのだ。
    「ヴィンツェンツ・シエン・フェルマー! 俺と浮気してくれ!」
    「わかった!」
     勢いよく教室の引き戸が開かれたと思えば、フェルマーの名を一字一句違わず口にする頬を腫らした男が自慢の腹筋をフルに利用したような伸びのある大声でとんでもない事を叫ぶ。そしてその相手であるフェルマーもまた、神が自画自賛する程の美貌に笑みを湛えて頷いて。そんな唐突に繰り広げられた謎の寸劇とも思える会話に、教室はどよめいていた。
     教室がどよめこうが静まろうが、高師は基本的に我関せずを貫く事が多いものの――流石にこの出来事を無視出来る程の図太い神経は持ち合わせていない。何故なら、この教室をどよめかせた二人の男のうちの片割れは同じ部活の同期という関係で、もう一方は普段高師を懸想していると公言して憚らない男であった為である。
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