狭山くん
TRAINING2022-07-11/空閑汐♂夏祭り11日目!ヤッター!空閑はなんでもかんでも汐見♂を優先するけど、汐見♂はそれを知ってて上手く誘導するよって話。文披31題・夏の空閑汐♂祭:Day11「あ、いたいた!」
燦々と降り注ぐ陽光に麦わら帽子のような髪を輝かせながら、無邪気に声を上げたのはフェルマーで。その声に大木を背に文庫本へと視線を落としていた空閑はゆっくりと晴れた空と同じ色をしたフェルマーの瞳へと視線を向ける。
「あれ? ヴィンどうしたの?」
不思議そうに首を傾げる空閑に、フェルマーの隣に立っている高師は呆れたようなため息を一つ。
「吉嗣先生がお前達を探してたぞ。学生向けのデモでフライトするのに空閑も汐見もどこ行ったって」
高師の説明にあっと声を上げながら左手に巻いた大ぶりな腕時計へと視線を落とす。
「やば、アマネ。起きて起きて」
胡座をかいた空閑の腿を枕にしてすやすやと眠る汐見を揺らしても、鬱陶しげに唸った汐見は空閑の手をパシリと払う。
1246燦々と降り注ぐ陽光に麦わら帽子のような髪を輝かせながら、無邪気に声を上げたのはフェルマーで。その声に大木を背に文庫本へと視線を落としていた空閑はゆっくりと晴れた空と同じ色をしたフェルマーの瞳へと視線を向ける。
「あれ? ヴィンどうしたの?」
不思議そうに首を傾げる空閑に、フェルマーの隣に立っている高師は呆れたようなため息を一つ。
「吉嗣先生がお前達を探してたぞ。学生向けのデモでフライトするのに空閑も汐見もどこ行ったって」
高師の説明にあっと声を上げながら左手に巻いた大ぶりな腕時計へと視線を落とす。
「やば、アマネ。起きて起きて」
胡座をかいた空閑の腿を枕にしてすやすやと眠る汐見を揺らしても、鬱陶しげに唸った汐見は空閑の手をパシリと払う。
狭山くん
TRAINING2022-07-10/夏の空閑汐♂10日目〜〜!!クラゲって脳が無いらしいですね……文披31題・夏の空閑汐♂祭:Day10「お前、クラゲっぽいよな」
ベッドサイドに置かれたスタンドに取り付けられたタブレットを指先で弄びながら、気怠げにベッドに寝転ぶ汐見は呟く。昼下がりの寝室で下履きだけを纏っただけで、シャワーを浴びさっぱりとした肌には朱い情交の痕が残されていた。
「え、俺そんなに脳味噌ない……?」
窓際に腰掛け燦々と差し込む太陽の光と初夏の爽やかな風を受けながら、空閑は汐見の言葉に首を傾げる。ベッドから動こうともしない汐見は、そんな空閑へと「何でそこ拾うんだよ」と呆れたように笑うのだ。
「そうじゃなくて。不思議な生き物というか、謎だよな」
「え、そうかな?」
「あとフワフワはしてるよな」
「やっぱり脳味噌無いって話じゃん!!」
1596ベッドサイドに置かれたスタンドに取り付けられたタブレットを指先で弄びながら、気怠げにベッドに寝転ぶ汐見は呟く。昼下がりの寝室で下履きだけを纏っただけで、シャワーを浴びさっぱりとした肌には朱い情交の痕が残されていた。
「え、俺そんなに脳味噌ない……?」
窓際に腰掛け燦々と差し込む太陽の光と初夏の爽やかな風を受けながら、空閑は汐見の言葉に首を傾げる。ベッドから動こうともしない汐見は、そんな空閑へと「何でそこ拾うんだよ」と呆れたように笑うのだ。
「そうじゃなくて。不思議な生き物というか、謎だよな」
「え、そうかな?」
「あとフワフワはしてるよな」
「やっぱり脳味噌無いって話じゃん!!」
狭山くん
TRAINING2022-07-09/空閑汐♂夏祭り9日目!思いっきり事後である。すけべが書きたくなってる狭山くん、ギリギリラインを攻めている。文披31題・夏の空閑汐♂祭:Day09 ぺたりと肌に張り付く髪や背中に感じる濡れたシーツの感触を不快に思っていれば、ふわりとした風が汐見の身体を撫でていく。熱を持った身体を撫でる風は、心地がいい。
「アマネ、動けそう?」
「無理」
ベッドに仰向けになったまま、指一本すら動かせる気がしない。空閑の問いに答えた声は、ひどく掠れていた。
じゃれつくように肌を滑らされた指に翻弄された結果がこれだ。最終的に空閑の熱を強請ったのは汐見だったが、たっぷり三年の時間をかけて空閑によって拓きつくされた身体は我慢が利かなくなってきた。汐見は冷静さが戻り始めた思考の中で、そんな事を考える。
体力が無いわけでは決して無いはずなのに、汐見が持久力勝負で空閑に挑めば空閑に軍配が上がってしまう。それは嫌と言う程解っている筈で――強請れば結局ベッドに沈む未来が待っているというのに、それでもこの男を求めてしまうのだ。
1022「アマネ、動けそう?」
「無理」
ベッドに仰向けになったまま、指一本すら動かせる気がしない。空閑の問いに答えた声は、ひどく掠れていた。
じゃれつくように肌を滑らされた指に翻弄された結果がこれだ。最終的に空閑の熱を強請ったのは汐見だったが、たっぷり三年の時間をかけて空閑によって拓きつくされた身体は我慢が利かなくなってきた。汐見は冷静さが戻り始めた思考の中で、そんな事を考える。
体力が無いわけでは決して無いはずなのに、汐見が持久力勝負で空閑に挑めば空閑に軍配が上がってしまう。それは嫌と言う程解っている筈で――強請れば結局ベッドに沈む未来が待っているというのに、それでもこの男を求めてしまうのだ。
狭山くん
TRAINING2022-07-08/空閑汐♂夏祭りも8日目。今日はいかがわしめの話ですが、表に出せるいかがわしい話のギリギリラインを攻めはじめているとこある。明日もいかがわしめです(予言)文披31題・夏の空閑汐♂祭:Day08 鼻先を擽る汐見の頭髪から、ふわりとシャンプーの香りが立ち上る。結局ベッドが広くなってもこうやって汐見を抱きすくめて寝ようとする空閑に、汐見は諦めたように――しかし、一応は言っておきたいとでもいうような様子で「暑苦しい」と零す。同じ日本に育ったとはいえ、湿度も気温も高い空閑の生まれ育った地域より湿度も気温も低いこの土地で生まれ育った汐見からしてみれば夏の暑さの盛りなのだろう。
そういえば、気候区分も違うんだったもんな。空閑はそんな事を思い出しながら、触れ合う肌がじっとりと汗ばみ始めている事を感じていた。
「ヒロミ、夏くらいはちょっと離れても良いと思うぞ俺は……」
「嫌だって言ったら?」
「……好きにしろ」
953そういえば、気候区分も違うんだったもんな。空閑はそんな事を思い出しながら、触れ合う肌がじっとりと汗ばみ始めている事を感じていた。
「ヒロミ、夏くらいはちょっと離れても良いと思うぞ俺は……」
「嫌だって言ったら?」
「……好きにしろ」
狭山くん
TRAINING2022-07-07/星空を見る空閑汐♂夏祭り7日目!私は見えないものを見ようとして望遠鏡を覗き込むよりも、見えない星と星に繋がる線を結ぶ為に星座早見盤と夜空を見つめるのが性癖です。文披31題・夏の空閑汐♂祭:Day07 北の大地の海沿いに位置するこの町は、古くから続く漁業と林業の他は宇宙港と国際航空宇宙学院日本校で成り立っている。宇宙港にしても、そこから更に各地の空港へと飛行機が飛んでいる事もあり、この町に来ることを目当てにこの場所に降り立つ人間は基本的に学校に用事がある人物だ。
つまり、一般的には田舎と呼ばれるような場所と言われても仕方がない。買い物や娯楽と言えば学内のコンビニエンスストアか宇宙港に作られたショッピングモールになり、アウトドア志向の学生は校内で定期的に行われる地元の自動車学校の出張講習で免許を取り寮で貸し出しているバイクや自動車でドライブを楽しむ。しかしそんな田舎でも、利点というのはある。人工的な光が少ないこの場所では、満点の星空を見ることが出来るのだ。
1654つまり、一般的には田舎と呼ばれるような場所と言われても仕方がない。買い物や娯楽と言えば学内のコンビニエンスストアか宇宙港に作られたショッピングモールになり、アウトドア志向の学生は校内で定期的に行われる地元の自動車学校の出張講習で免許を取り寮で貸し出しているバイクや自動車でドライブを楽しむ。しかしそんな田舎でも、利点というのはある。人工的な光が少ないこの場所では、満点の星空を見ることが出来るのだ。
狭山くん
TRAINING2022-07-06/空閑汐♂夏祭り6日目にして空閑の誕生日が唐突に決まりました。ハッピーバースデー空閑!今日この日がお前の誕生日だ!文披31題・夏の空閑汐♂祭:Day06 その箱の中に収められてたのは、美しい銀色のボールペンだった。部屋の照明を反射して艶やかに輝く白銀色のクロームメッキに刻まれた己の名前を見つめていた空閑は、その箱を放って渡した汐見へと視線を向ける。
「ねぇ、これってさ」
「フィッシャーのアストロノート、俺も欲しかったしな」
恐る恐る問いかけた空閑の言葉に、汐見はなんて事なくその商品名を口にする。学生の身分では思い切った買い物の部類に入るだろうその高級ボールペンは、百年以上昔に月に初めて立った人類達も使っていたそれで。
地球の重力を利用してインクを出すボールペンを無重力空間でも使えるようにと開発されたスペースペンとも呼ばれるそのペンは、その名の通り宇宙空間は勿論、暑さ寒さにも強く――本来ボールペンとしてはそんな使い方はしないだろうという上向きでも水の中であっても文字を書く事ができるという。
1427「ねぇ、これってさ」
「フィッシャーのアストロノート、俺も欲しかったしな」
恐る恐る問いかけた空閑の言葉に、汐見はなんて事なくその商品名を口にする。学生の身分では思い切った買い物の部類に入るだろうその高級ボールペンは、百年以上昔に月に初めて立った人類達も使っていたそれで。
地球の重力を利用してインクを出すボールペンを無重力空間でも使えるようにと開発されたスペースペンとも呼ばれるそのペンは、その名の通り宇宙空間は勿論、暑さ寒さにも強く――本来ボールペンとしてはそんな使い方はしないだろうという上向きでも水の中であっても文字を書く事ができるという。
狭山くん
TRAINING2022-07-05/空閑汐♂夏祭り5日目〜!私もまさか線香花火ってお題から線香花火作り出すなんて思わなかったし、ハイブリッドロケットをぶち込めるとは思わなかった。何年か前に行った講演で聞いてからずっとどこかで使いたかったネタ。文披31題・夏の空閑汐♂祭:Day05 摘んだ指先に垂れる細い紙縒の先に火を灯せば、ジリジリと小さな音を立ててぽってりとした火の玉が橙色に輝く。しかし、その火球は美しい松葉型をした火花を散らす事なく地面へと落ちていった。
「くっそ、撚り方が甘かったか」
「あ、俺の上手くいってる!」
悔しそうな汐見の声を追うように、楽しげな空閑の声が飛ぶ。
「ボクのもいい感じじゃない? せんこ花火ってこのパチパチがメインなんでしょ?」
パチパチと火花を散らす光を嬉しそうに見つめながらフェルマーも声を上げ、高師は火花を散らす前に落ちた火球を見遣り鼻を鳴らした。それぞれの一喜一憂を見守りつつも、自身の手にあった火花を少しだけ散らし落ちた線香花火の紙縒を水を入れたバケツに落として篠原は笑う。
1755「くっそ、撚り方が甘かったか」
「あ、俺の上手くいってる!」
悔しそうな汐見の声を追うように、楽しげな空閑の声が飛ぶ。
「ボクのもいい感じじゃない? せんこ花火ってこのパチパチがメインなんでしょ?」
パチパチと火花を散らす光を嬉しそうに見つめながらフェルマーも声を上げ、高師は火花を散らす前に落ちた火球を見遣り鼻を鳴らした。それぞれの一喜一憂を見守りつつも、自身の手にあった火花を少しだけ散らし落ちた線香花火の紙縒を水を入れたバケツに落として篠原は笑う。
はるもん🌸
MOURNING※捏造設定おセッセしまくると相手に霊力が溜まるという設定ですが健全です
天賦の才――この体は弱い。そう、思っていた。
* * *
夜狩りの指導の際、魏無羨は琴を使って攻撃をするように指示をする機会がある。
実のところ魏無羨は藍家の琴が放つ攻撃の威力というのをいまいち把握していない。琴で衝撃波を放つ時の基本を知れば子供たちに何かいい助言をしてやれるかもしれないと魏無羨は考えた。
特にやることもなかったというのが一番の理由なのだが、琴の練習に付き合わせてほしいと藍啓仁に願い出てみた。自分の考えを伝えると、思っていたよりも簡単に同行の許可を得ることができた。「遊びではないぞ」と一言忠告は受けたが、理由があるのであればむやみに藍啓仁は魏無羨を邪険にはしない。
岩の上に琴を置いてポロロンと音を鳴らしてみる。美しい音色が響き、魏先輩は琴も弾けるんですね、などと褒められた。ふふんと魏無羨は鼻を高くするものの、皆のように重力を使った攻撃波を打つことができないので少し肩を落とす。
1945* * *
夜狩りの指導の際、魏無羨は琴を使って攻撃をするように指示をする機会がある。
実のところ魏無羨は藍家の琴が放つ攻撃の威力というのをいまいち把握していない。琴で衝撃波を放つ時の基本を知れば子供たちに何かいい助言をしてやれるかもしれないと魏無羨は考えた。
特にやることもなかったというのが一番の理由なのだが、琴の練習に付き合わせてほしいと藍啓仁に願い出てみた。自分の考えを伝えると、思っていたよりも簡単に同行の許可を得ることができた。「遊びではないぞ」と一言忠告は受けたが、理由があるのであればむやみに藍啓仁は魏無羨を邪険にはしない。
岩の上に琴を置いてポロロンと音を鳴らしてみる。美しい音色が響き、魏先輩は琴も弾けるんですね、などと褒められた。ふふんと魏無羨は鼻を高くするものの、皆のように重力を使った攻撃波を打つことができないので少し肩を落とす。
はるもん🌸
MOURNINGまだ魏無羨は弟子たちを引きつれたまま帰ってこない。泊まり込みになると聞いてはいた。魏無羨が不在になってから二日目の午後、気づけば魏無羨の事ばかり考えている。なかなか家業に集中できずにいる自分に気づき、冷泉で少し頭を冷やそうと考えた。冷泉に体を落とし、心が落ち着いてもやはり頭に魏無羨がよぎる。あの笑顔を思いだすと、自然と胸がじんわりとあたたまる。愛しい。そう思った時、一つの旋律が藍忘機に流れた―――藍忘機の鼻歌「…~♪」
魏無羨は耳を疑った。
(まさか藍湛の…鼻歌?!)
いてもたってもいられなくなった。彼は急いで服を脱ぎ、ザブンと冷泉に入る。
* * *
今回の夜狩りの監督は大変だった。新参者の姑蘇の弟子が複数いて、それぞれ腰を抜かしそうになったり手が震えるものがいたりしたのだ。
「俺が14歳だったころはもっと男らしかったぞ」などとぼやきながら静室に戻ろうとしていたその時、
曲がり角でばったりと藍思追と遭遇した。
「魏先輩」
「思追、どこにいくんだ?さっき帰ってきたばっかなんだからヘトヘトだろう。なんだその本の量」
「夜狩りでの魏先輩を見ていたら、まだまだだなと思いまして」
「それで、その量の本を今から読むのか?やめろやめろ。勉強なんて寝てからやれ」
1843魏無羨は耳を疑った。
(まさか藍湛の…鼻歌?!)
いてもたってもいられなくなった。彼は急いで服を脱ぎ、ザブンと冷泉に入る。
* * *
今回の夜狩りの監督は大変だった。新参者の姑蘇の弟子が複数いて、それぞれ腰を抜かしそうになったり手が震えるものがいたりしたのだ。
「俺が14歳だったころはもっと男らしかったぞ」などとぼやきながら静室に戻ろうとしていたその時、
曲がり角でばったりと藍思追と遭遇した。
「魏先輩」
「思追、どこにいくんだ?さっき帰ってきたばっかなんだからヘトヘトだろう。なんだその本の量」
「夜狩りでの魏先輩を見ていたら、まだまだだなと思いまして」
「それで、その量の本を今から読むのか?やめろやめろ。勉強なんて寝てからやれ」
はるもん🌸
MOURNING魏無羨がニヤニヤしながら嗅がせてきたのは、いつしか見た事のある見た目がおかしい香炉。眠る前から怪しい展開になるだろうことはわかっていたが、まさかこの時の夢を見るとは思わず、数回ほど藍忘機は目を瞬かせた。香炉 初めての口づけ―――これは、夢か。
魏無羨が目隠しをしたまま笛を吹いている。自分はそれを眩しそうに見ていた。どうせ気づかれない、気づかれてもこれは夢。そう思い、藍忘機は昔と同じように木の上にいる魏無羨の元へと足を運ばせた。いつしかの夜狩りの帰りに、見知らぬ夫婦が木陰で深い口づけをしているのを見かけた。
好きなもの同士なら、ああやって愛し合うのかと学んだ。
そして魏無羨と同じ事がしたいという欲を感じた。
魏無羨に初めて口づけをしかけた時、あの夫婦のそれを真似た。目を隠しをしたまま的(マト)に矢を放った時の魏無羨は本当に美しく見えた。あれは私のもだと印をつけたくなるほどに。
笛の音が聞こえた瞬間、霊獣を狩る事よりも魏無羨の傍にいたいという欲求が強まった。そっと遠くから眺めるつもりだったが、風を感じて気持ち良さそうにしている無防備な彼を目前に我慢をする事ができなかった。もうすでに自分たちは道侶。今襲わなくても毎晩これでもかと愛し合っている。しかしこの瞬間、藍忘機はあの時の劣情がまざまざと蘇り、気づけば彼の手首を抑えて口づけていた。それも無理やり。
1378魏無羨が目隠しをしたまま笛を吹いている。自分はそれを眩しそうに見ていた。どうせ気づかれない、気づかれてもこれは夢。そう思い、藍忘機は昔と同じように木の上にいる魏無羨の元へと足を運ばせた。いつしかの夜狩りの帰りに、見知らぬ夫婦が木陰で深い口づけをしているのを見かけた。
好きなもの同士なら、ああやって愛し合うのかと学んだ。
そして魏無羨と同じ事がしたいという欲を感じた。
魏無羨に初めて口づけをしかけた時、あの夫婦のそれを真似た。目を隠しをしたまま的(マト)に矢を放った時の魏無羨は本当に美しく見えた。あれは私のもだと印をつけたくなるほどに。
笛の音が聞こえた瞬間、霊獣を狩る事よりも魏無羨の傍にいたいという欲求が強まった。そっと遠くから眺めるつもりだったが、風を感じて気持ち良さそうにしている無防備な彼を目前に我慢をする事ができなかった。もうすでに自分たちは道侶。今襲わなくても毎晩これでもかと愛し合っている。しかしこの瞬間、藍忘機はあの時の劣情がまざまざと蘇り、気づけば彼の手首を抑えて口づけていた。それも無理やり。
はるもん🌸
MOURNING金丹の核を生み出す秘術が藍家にあるif「生まれ生まれて死に死に死んでいゆく。そうやって人は転生していくんだ。俺が万が一死んでも、それは天命って事で受け入れるよ」
含光君×夷陵老祖「姑蘇へ帰ろう。そうすれば、君の体の…」
藍忘機が最後まで言い終わる前に、魏無羨は言う。
「生まれ生まれて死に死に死んでいゆく。そうやって人は転生していくんだ。俺が万が一死んでも、それは天命って事で受け入れるよ」
邪に侵された者の末路は死。藍忘機は魏無羨が魔に魅入られないよう、親切にも姑蘇で清心音を奏でると毎日言いに来てくれるのだ。はじめのうちは金丹を無くした情けない自分を知られたくなくて突き放していた。しかしこうして頻繁に藍忘機が来てくれる事から、だんだんと彼に心を許すようになっていった
「藍湛、俺さ、金丹が無いんだ」
「…?」
藍忘機になら、もうすべて言ってもいいと思った。話し終わったあと、藍忘機は目を閉じ、きつく眉を寄せていた。
1146藍忘機が最後まで言い終わる前に、魏無羨は言う。
「生まれ生まれて死に死に死んでいゆく。そうやって人は転生していくんだ。俺が万が一死んでも、それは天命って事で受け入れるよ」
邪に侵された者の末路は死。藍忘機は魏無羨が魔に魅入られないよう、親切にも姑蘇で清心音を奏でると毎日言いに来てくれるのだ。はじめのうちは金丹を無くした情けない自分を知られたくなくて突き放していた。しかしこうして頻繁に藍忘機が来てくれる事から、だんだんと彼に心を許すようになっていった
「藍湛、俺さ、金丹が無いんだ」
「…?」
藍忘機になら、もうすべて言ってもいいと思った。話し終わったあと、藍忘機は目を閉じ、きつく眉を寄せていた。
はるもん🌸
MOURNING散歩してたら運命の相手を発見した魏嬰とその運命の相手、藍湛との恋の始まりのお話。※魏嬰が犬克服してます注意
転生後の彼ら 天気の良い昼下がり。まだ朝早くではあるが、今日も夷陵の公園には人が集まる。ある人はコーヒーを片手に森林のような木々を眺めて歩き、またある人は柔らかい芝生の上にシートを敷いて寝そべっている。実に気持ち良さそうだ。
夷陵の公園は広い。端から端まで歩くと1時間はかかる広さだ。ペットのお散歩にはもってこい。そこに髪を高く結った、活発そうな美青年が歩いている。そして彼と共に歩いてるのは真っ白なチワワ。道行く人、犬、鳥などに見境なくキャンキャンと吠えている。
「こら~、江澄、そこの犬が怯えてるだろ。吠えるのヤメロって」
江澄の頭を撫でてなだめてやる。すると、まだグルル…とは唸るものの、大人しくなった。
「そうそう。良い子にしてな」
4280夷陵の公園は広い。端から端まで歩くと1時間はかかる広さだ。ペットのお散歩にはもってこい。そこに髪を高く結った、活発そうな美青年が歩いている。そして彼と共に歩いてるのは真っ白なチワワ。道行く人、犬、鳥などに見境なくキャンキャンと吠えている。
「こら~、江澄、そこの犬が怯えてるだろ。吠えるのヤメロって」
江澄の頭を撫でてなだめてやる。すると、まだグルル…とは唸るものの、大人しくなった。
「そうそう。良い子にしてな」
狭山くん
TRAINING2022-07-06/夏の空閑汐♂祭も4日目になりました!夏の剣道部は死ぬ程暑いんですよね……大体防具のせい。剣部時代男子勢が稽古終わりに上脱ぎ捨てて非常扉の外で汗で濡れた道着を絞ってたのを思い出しました。文披31題・夏の空閑汐♂祭:Day04「あっづい!」
稽古が終わるや否や吠えるように叫んだ汐見は、開け放たれたままの非常扉から外へと駆け出していく。日の長いこの時期は、放課後の稽古が終わっても太陽の名残が空を淡く染めていた。防具をその場に置いたままで外に駆け出した汐見を追い、非常扉の前で顔を引き攣らせていたのは引退した筈の皆川で。
「汐見先輩何やってるんですか! ソレ、夏休みの昼間にやるやつですよ!?」
非常扉の前に置かれた共用サンダルを突っ掛け、水場へと一直線に走っていった汐見はそこに取り付けられたホースで頭から水を被っていた。小さく括れる程に伸びた髪も、彼が纏う剣道着すら水に浸されている様子に、思わず叫んでいた皆川の隣で空閑は笑う。
1940稽古が終わるや否や吠えるように叫んだ汐見は、開け放たれたままの非常扉から外へと駆け出していく。日の長いこの時期は、放課後の稽古が終わっても太陽の名残が空を淡く染めていた。防具をその場に置いたままで外に駆け出した汐見を追い、非常扉の前で顔を引き攣らせていたのは引退した筈の皆川で。
「汐見先輩何やってるんですか! ソレ、夏休みの昼間にやるやつですよ!?」
非常扉の前に置かれた共用サンダルを突っ掛け、水場へと一直線に走っていった汐見はそこに取り付けられたホースで頭から水を被っていた。小さく括れる程に伸びた髪も、彼が纏う剣道着すら水に浸されている様子に、思わず叫んでいた皆川の隣で空閑は笑う。
jobskanes_happy
DOODLE天哉、某制汗剤とコラボした(ラベルは幻覚)ものを天晴さんにプレゼントしたけど結局吸われまくったら良いなと思ってしまった…天晴さん吸い尽くしてくださいな。ステイン戦後設定なので、乗っかっている兄さんの腰が上がっていないのは…( ; ; )
狭山くん
TRAINING2022-07-03/夏の空閑汐♂3日目!ダブルベッドでもぴったりくっついて寝る空閑汐♂は可愛いなぁ。文披31題・夏の空閑汐♂祭:Day03 じっとりと熱が残る肌を触れ合わせながら、汐見はその肩口に鼻先を埋める空閑の腕に抱えられていた。結局、ベッドが広くなった所でこうやって肌を触れ合わせながら眠りに就く夜は変わることはなく――辛うじて下履きだけは身に付けた状態で、汐見は空閑の抱き枕となる事に甘んじていた。
身体に燻る快感の残滓が、火照りの引かない肌の奥で渦巻くのすら心地がいい。空閑の吐息が首筋を掠める感触に、ぴくりと身体が震える。
「アマネ」
心地のいい微睡の中、空閑は汐見の名を唇から零す。小さく鼻にかかった息を漏らす事で返事と変えた汐見の反応に、彼は言葉を繋いでいく。
「なんで、俺のことここまで許してくれるの?」
ぐりぐりと鼻先を肩口に埋め、首筋に吸い付く空閑の問いに汐見はどうしたものかと思案する。この男は、時折こうやって何かを確かめるように汐見へと問うのだ。その声色は不安の色が少しだけ混じっていて、何がそんなに不安なのだろうと空閑に背を向けたままで汐見は眉を寄せる。
1213身体に燻る快感の残滓が、火照りの引かない肌の奥で渦巻くのすら心地がいい。空閑の吐息が首筋を掠める感触に、ぴくりと身体が震える。
「アマネ」
心地のいい微睡の中、空閑は汐見の名を唇から零す。小さく鼻にかかった息を漏らす事で返事と変えた汐見の反応に、彼は言葉を繋いでいく。
「なんで、俺のことここまで許してくれるの?」
ぐりぐりと鼻先を肩口に埋め、首筋に吸い付く空閑の問いに汐見はどうしたものかと思案する。この男は、時折こうやって何かを確かめるように汐見へと問うのだ。その声色は不安の色が少しだけ混じっていて、何がそんなに不安なのだろうと空閑に背を向けたままで汐見は眉を寄せる。
いずみのかな
DONE有栖川作家編 出来上がる前。ハロウィンに更新した火村の誕生日ネタです ほくほくのかぼちゃの君とぼくわたしはカボチャ 一瞬、自分の睡眠時間はそんなに足りなかったのかと、火村は心の中で実際何時間寝たのかを指折り数えてしまった。
寝不足から頭が動いていないから聞き間違えをしたのではないか。そうとしか思えないことを目の前の男は言ってのけたのだ。
「やから、心斎橋のあの店、知っとるやろ? 予約しといたから十五日は絶対に明けとけって。ついにボケたか、センセイ」
「俺が聞いてるのはそこじゃない。いや、そこも大いに問題だと思うんだが、その前」
「その前……、君の誕生日やから盛大に」
「そこだ」
火村は座りなれたソファに深々と背を預け、「そこが、って?」ときょとんとしたままの友人を見た。間もなく最新作が発売されるという彼は、しばしの休息に入っているらしい。床屋に行ったのだろう、すっきりとした髪型の下の顔は、顔色がとてもいい。
5623寝不足から頭が動いていないから聞き間違えをしたのではないか。そうとしか思えないことを目の前の男は言ってのけたのだ。
「やから、心斎橋のあの店、知っとるやろ? 予約しといたから十五日は絶対に明けとけって。ついにボケたか、センセイ」
「俺が聞いてるのはそこじゃない。いや、そこも大いに問題だと思うんだが、その前」
「その前……、君の誕生日やから盛大に」
「そこだ」
火村は座りなれたソファに深々と背を預け、「そこが、って?」ときょとんとしたままの友人を見た。間もなく最新作が発売されるという彼は、しばしの休息に入っているらしい。床屋に行ったのだろう、すっきりとした髪型の下の顔は、顔色がとてもいい。
いずみのかな
DONE有栖川作家編 学生時代、酔っ払いと片思い。暗いっていうか陰気です。アリス→火村あらしの前 年に一、二度こういうことがある。
本棚に囲まれた狭い畳敷き部屋の隅で、すっかり呑まれて眠り込んでいる火村を起こさないように、有栖は散らばった酒の缶を台所に運んでいた。
スルメとカワハギと、ワンカップとビールとそしてキャメルの匂いが混ざったこの部屋は、ヘタな場末の酒場よりもすれた雰囲気になっている。火村といえばアルコールが回ったからか、眠り込む直前「暑い」といってシャツのボタンをいくつか外していたから、春になり多少空気が温くんだとはいえ、どこか寒そうに素肌を晒している。健康的というより典型的な酔っ払いの肌がほんのりと赤く色づいているのが、先ほどから何度も有栖の目に飛び込んできていた。
このつまみ類を片付けたらあのボタンを留め直そう。
8006本棚に囲まれた狭い畳敷き部屋の隅で、すっかり呑まれて眠り込んでいる火村を起こさないように、有栖は散らばった酒の缶を台所に運んでいた。
スルメとカワハギと、ワンカップとビールとそしてキャメルの匂いが混ざったこの部屋は、ヘタな場末の酒場よりもすれた雰囲気になっている。火村といえばアルコールが回ったからか、眠り込む直前「暑い」といってシャツのボタンをいくつか外していたから、春になり多少空気が温くんだとはいえ、どこか寒そうに素肌を晒している。健康的というより典型的な酔っ払いの肌がほんのりと赤く色づいているのが、先ほどから何度も有栖の目に飛び込んできていた。
このつまみ類を片付けたらあのボタンを留め直そう。
いずみのかな
DONE有栖川作家編。ヒアリ。朝井からの呼び出しで京都に向かった有栖が出くわしたちょっとした冒険とちょっとした問題。まだクグロフがここまで普通に買えなかったころにバレンタイン用に書いたものです。アンシンメトリー 今日もラジオは甘い恋人達のために、バラードを運んでくる。
ドリカムもユーミンもはっきり言って聞き飽きた。どんなおいしいチョコレートでも三日食べつづければ飽食気味になる。ましてやこの二時間の間延々と流れつづける、名曲といわれるラブソングの量といったらなんだ。やれ「愛してる」「君が欲しい」「あなたこそ全て」と連呼され続ければ、それがどんなに好きな曲であっても賭けてもいい、絶対に嫌になる。
だいたいなんで松任谷由美でかかる曲が『アニバーサリー』や『円舞曲』ばかりなのだ、今の季節だったら『ノーサイド』あたりが素晴らしく映えるじゃないか。
しかも、しかもだ。それらの曲がかかるたび、グリコのごとく見知らぬ他人の恋愛話までついて来るときたら。
16772ドリカムもユーミンもはっきり言って聞き飽きた。どんなおいしいチョコレートでも三日食べつづければ飽食気味になる。ましてやこの二時間の間延々と流れつづける、名曲といわれるラブソングの量といったらなんだ。やれ「愛してる」「君が欲しい」「あなたこそ全て」と連呼され続ければ、それがどんなに好きな曲であっても賭けてもいい、絶対に嫌になる。
だいたいなんで松任谷由美でかかる曲が『アニバーサリー』や『円舞曲』ばかりなのだ、今の季節だったら『ノーサイド』あたりが素晴らしく映えるじゃないか。
しかも、しかもだ。それらの曲がかかるたび、グリコのごとく見知らぬ他人の恋愛話までついて来るときたら。
いずみのかな
DONE有栖川作家編。両思いになる寸前。ゆうきまさみ『困ったしんどろ~む』の本歌取りまっすぐでいこう。 目覚ましを止めるために出した手が、忽ちに冷えていくのが良くわかる朝だった。
寒い日は空気が文字通り張っている感触があり、火村はそれがけっこう好きだ。布団の中のぬくもりは離し難いが、勢い良く起き上がれば、気がまっすぐ引き締まる。
だが、今日の寒さは格別らしい。布団の上からもしんしんと冷気が降りてきて、体が軽く身震いするのがわかった。そういえば悪寒も感じるし、どこか頭がぼぉっとしている。気にしすぎだと思うがあちこちの関節も鈍く痛んでる感じがあり、なにより鼻が垂れてきている。
これはひょっとして、今日の京都も寒くて辛い、以外の原因があるのではないだろうか。
いやしかし、まさか恐らく大丈夫だろう、と自分をごまかして布団から出ようとしたとき、不意にむずむとした感触が来て、「へくしっ」と小さなくしゃみが出る。
11170寒い日は空気が文字通り張っている感触があり、火村はそれがけっこう好きだ。布団の中のぬくもりは離し難いが、勢い良く起き上がれば、気がまっすぐ引き締まる。
だが、今日の寒さは格別らしい。布団の上からもしんしんと冷気が降りてきて、体が軽く身震いするのがわかった。そういえば悪寒も感じるし、どこか頭がぼぉっとしている。気にしすぎだと思うがあちこちの関節も鈍く痛んでる感じがあり、なにより鼻が垂れてきている。
これはひょっとして、今日の京都も寒くて辛い、以外の原因があるのではないだろうか。
いやしかし、まさか恐らく大丈夫だろう、と自分をごまかして布団から出ようとしたとき、不意にむずむとした感触が来て、「へくしっ」と小さなくしゃみが出る。
いずみのかな
DONEヒアリともアリヒともつかない薄暗い話百回目 天王寺署を辞するときには、もういい時刻になっていて、街には家路に着く疲れた背中と陽気に酔った背中とが溢れていた。
桜の季節が近いとはいえ、まだ空気は冷たい。冬用のコートでは暑く感じ、春仕様のそれでは冷気を防げない。中途半端な季節である。
捜査の最中だからか、あるいは週末だからか、途中何度か携帯に出ながらも玄関まで見送ってくれた森下は、現場からずっと鼻をぐずぐずと鳴らしていた。去年まではなんともなくても次の年に突然来るのが花粉症の怖いところである。アルマーニのスーツと赤くなった鼻はやはり不釣合いで、それが彼の病状により一層の同情を寄せる一因にもなっていた。
「今日は本当にありがとうございました。明日なんですが……」
1774桜の季節が近いとはいえ、まだ空気は冷たい。冬用のコートでは暑く感じ、春仕様のそれでは冷気を防げない。中途半端な季節である。
捜査の最中だからか、あるいは週末だからか、途中何度か携帯に出ながらも玄関まで見送ってくれた森下は、現場からずっと鼻をぐずぐずと鳴らしていた。去年まではなんともなくても次の年に突然来るのが花粉症の怖いところである。アルマーニのスーツと赤くなった鼻はやはり不釣合いで、それが彼の病状により一層の同情を寄せる一因にもなっていた。
「今日は本当にありがとうございました。明日なんですが……」
狭山くん
TRAINING2022-07-02/夏の空閑汐♂祭2日目!汐見♂と吉嗣先生の組み合わせ、あまりにも気安い関係過ぎて超楽しい。文披31題・夏の空閑汐♂祭:Day02 金魚鉢を模した透明なアクリルの中、赤く透き通った尾鰭を揺らめかせているのは金魚だった。誰も使っていないデスクの上に置かれたアクリルの下に置かれた機械はモバイル端末と繋がれ、草臥れたティーシャツを纏う青年は唸りながらもキーボードを叩く。カチャカチャとプラスチックが擦れあう音を響かせる自身の教え子でもあった青年――汐見の姿を横目で見つつ、吉嗣は訝しげな表情を浮かべながら紙巻きタバコを咥えていた。
「汐見お前、休みだってのにこんな所で何やってんだよ」
「センセにも同じ言葉が返ってくるってわかってます?」
春先に比べれば少し伸びた髪を後ろで括り端末の画面を睨んでいた汐見は、吉嗣が指先で弄んでいたオイルライターから涼しげな金属音が響いたのにジロリと視線を向けたかと思えばすぐに端末へと向き直る。
1669「汐見お前、休みだってのにこんな所で何やってんだよ」
「センセにも同じ言葉が返ってくるってわかってます?」
春先に比べれば少し伸びた髪を後ろで括り端末の画面を睨んでいた汐見は、吉嗣が指先で弄んでいたオイルライターから涼しげな金属音が響いたのにジロリと視線を向けたかと思えばすぐに端末へと向き直る。
狭山くん
TRAINING2022-07-01/文披31題夏の空閑汐♂祭始まるよ!!!!!そう言えば学祭の話って書いてなかったな〜って思ったので初夏は学祭の季節だろ!?と空閑汐♂には踊って頂きました。学祭で踊るタイプの男性アイドルユニット、うっかり某SとAを思い浮かべてしまった。地元じゃ負け知らずだぜ、アミーゴ。文披31題・夏の空閑汐♂祭:Day01 太陽は山の奥へと隠れ、空は紺青と朱による美しいグラデーションを見せていた。校舎の屋上から遠くに揺れる海原を見つめていた汐見は、屋上に巡らされた柵に凭れて大きなため息を一つ吐き出す。
「おつかれ」
「お前もな」
からからと笑いながら疲れを滲ませた息を吐き出す汐見へと労いの言葉を掛けた空閑に、汐見は小さく笑い言葉を返す。卒業証書を受け取ってから数ヶ月、季節は夏へと差し掛かる頃で。互いに高校指定のジャージを纏う彼らは、次の進学先への渡航までの間をこの場所で過ごす事を決めていた。
実家に帰るよりも、渡航までの約半年をこの場所で知識を深めた方が有意義だという結論に達したのは何も彼らだけではない。彼らよりも前に卒業していった先達であったり、同学年で本校への進学を決めている者の一部も同じような選択をしており――学校もまた、それを受け入れる体制が整えられていた。
1208「おつかれ」
「お前もな」
からからと笑いながら疲れを滲ませた息を吐き出す汐見へと労いの言葉を掛けた空閑に、汐見は小さく笑い言葉を返す。卒業証書を受け取ってから数ヶ月、季節は夏へと差し掛かる頃で。互いに高校指定のジャージを纏う彼らは、次の進学先への渡航までの間をこの場所で過ごす事を決めていた。
実家に帰るよりも、渡航までの約半年をこの場所で知識を深めた方が有意義だという結論に達したのは何も彼らだけではない。彼らよりも前に卒業していった先達であったり、同学年で本校への進学を決めている者の一部も同じような選択をしており――学校もまた、それを受け入れる体制が整えられていた。
狭山くん
TRAINING2022-06-30/空閑汐♂デイリー6月完走!と共に高校卒業おめでとう!!明日からは文披31題参加も兼ねて高校卒業後、航宙士学院入学前の夏の空閑汐♂を1ヶ月書いてく予定です(*•̀ᴗ•́*)و ̑̑空閑汐♂デイリー800字チャレンジ:30 特に約束はしていなくても、やっぱりこの場所に集まってしまう。そんな事を思いながら、三年ないしは二年間共に過ごしたフェルマーと高師と共に篠原は道場へと足を踏み入れる。そこには既に後輩達が集まっており、パイロットコースに所属していた同期たちもピッタリとくっついて――というよりも空閑が汐見の後ろから抱きつくような形で立っていた。
後ろにくっ付いている空閑の存在を気にもせず、普段通りの態度でひらりと手を振った汐見は彼らへと向けて言葉を投げる。
「お、エンジニアコースも解散したのか」
「パイロットコース、解散早くない?」
おんぶお化けの様相を呈している空閑の存在を完全にスルーしたフェルマーの言葉に「センセのホームルーム短いからな。卒業式でも通常営業」と汐見もなんて事ないように答えて。後輩達も何のツッコミも入れていないらしいその体勢へと言い難そうにツッコミを入れたのは高師であった。
1411後ろにくっ付いている空閑の存在を気にもせず、普段通りの態度でひらりと手を振った汐見は彼らへと向けて言葉を投げる。
「お、エンジニアコースも解散したのか」
「パイロットコース、解散早くない?」
おんぶお化けの様相を呈している空閑の存在を完全にスルーしたフェルマーの言葉に「センセのホームルーム短いからな。卒業式でも通常営業」と汐見もなんて事ないように答えて。後輩達も何のツッコミも入れていないらしいその体勢へと言い難そうにツッコミを入れたのは高師であった。
狭山くん
TRAINING2022-06-29/空閑汐♂デイリー何とか日付変わる前に書けたねヤッター!!吉嗣先生が空閑汐♂に巻き込まれてるの見るのは楽しいね……空閑汐♂デイリー800字チャレンジ:29 第一格納庫の隅に作られた教官室。そこはパイロットコースを担当する教員達に割り当てられた部屋で。校舎から離れた場所に位置する格納庫に仕事を持ち込む教員は少なく、その部屋は吉嗣が占有してしまっている。
そしてその場所では安っぽいデスクチェアに腰を下ろし軋ませる吉嗣の他、二人の青年が立たされていた。一人はぴしりと制服を纏い、一人は学校指定のジャージ姿で。
「空閑に汐見も。お前らこの卒業前のクソ忙しいタイミングで呼び出された理由は解ってるよな?」
既に自由登校になっている三年生の中でも、この二人は既にパイロットコースの生徒が一番に目指す場所である航宙士学院への入学資格を手に入れていた。他の生徒達とは異なり、受験勉強からも解放され校内の雑務を請け負うアルバイトもこなしながらモラトリアムを過ごす二人の男達へと吉嗣はじとりとした視線を向ける。視線を向けられた本人達は揃いも揃って――制服を隙なく纏った空閑は面白そうに、ジャージ姿の汐見は不思議そうに、首を傾げる。
1743そしてその場所では安っぽいデスクチェアに腰を下ろし軋ませる吉嗣の他、二人の青年が立たされていた。一人はぴしりと制服を纏い、一人は学校指定のジャージ姿で。
「空閑に汐見も。お前らこの卒業前のクソ忙しいタイミングで呼び出された理由は解ってるよな?」
既に自由登校になっている三年生の中でも、この二人は既にパイロットコースの生徒が一番に目指す場所である航宙士学院への入学資格を手に入れていた。他の生徒達とは異なり、受験勉強からも解放され校内の雑務を請け負うアルバイトもこなしながらモラトリアムを過ごす二人の男達へと吉嗣はじとりとした視線を向ける。視線を向けられた本人達は揃いも揃って――制服を隙なく纏った空閑は面白そうに、ジャージ姿の汐見は不思議そうに、首を傾げる。
nijicatnoodle
DONE前回の続きを書きました 現段階ではタグに書かなくても関係ないですが兄弟モノですあともう一枚キャラクターの設定イラストか軽いあらすじを書いたものを付けて再投稿するつもりです 2
狭山くん
TRAINING2022-06-28/季節感もへったくれもない今日の空閑汐♂デイリーは汐見♂のヤキモチ回。これは前から書きたかったのでにっこにこ。言うてチューしてるだけ。空閑汐♂デイリー800字チャレンジ:28「ハッピーバレンタインです!」
そんな声と共に廊下へと呼び出された汐見へ可愛らしい柄の付いた紙袋をひとつ渡すのは彼の後輩である女子生徒――皆川で。
「あぁ、何か机の上に山積みになってると思ってたけどバレンタインか」
ようやく合点が入ったとでもいうように頷いた汐見に紙袋を渡した女子生徒の隣に立っていた彼女の同期であり汐見の後輩でもある東間は「汐見先輩それマジで言ってます?」と眉を寄せた。
「マジだな。ヒロミも何か大量に渡されてたから、一体何事かとは思ってたが」
「名もなき女子達が地縛霊になりそうですね」
ナンマイダ、なんて言葉と共に手を合わせる東間を横目で見ながら、汐見は「でも何で東間まで来てんだ? お前ら二人って珍しい組み合わせだけど」と問う。
2353そんな声と共に廊下へと呼び出された汐見へ可愛らしい柄の付いた紙袋をひとつ渡すのは彼の後輩である女子生徒――皆川で。
「あぁ、何か机の上に山積みになってると思ってたけどバレンタインか」
ようやく合点が入ったとでもいうように頷いた汐見に紙袋を渡した女子生徒の隣に立っていた彼女の同期であり汐見の後輩でもある東間は「汐見先輩それマジで言ってます?」と眉を寄せた。
「マジだな。ヒロミも何か大量に渡されてたから、一体何事かとは思ってたが」
「名もなき女子達が地縛霊になりそうですね」
ナンマイダ、なんて言葉と共に手を合わせる東間を横目で見ながら、汐見は「でも何で東間まで来てんだ? お前ら二人って珍しい組み合わせだけど」と問う。
haru00305656
DONEクソ闇鬱地獄最高~~~~~~~っっっ❤❤❤もっと病んで不幸になってくたばってくれ~~~~~~っっっ❤❤❤❤❤❤❤
永遠に幸福を享受して永遠に生き地獄を味わって永遠に呼吸するだけの肉人形と化してくれ~~~~~~~~~~~~っっ❤❤❤❤❤❤
天使の導き 最近、妙な幻覚を見るようになった。
....ここ何日前くらいからだったっけかな。
そういえば、数日前より以前の記憶が無いことにたった今気づく。昨日は何してたっけか。一昨日の夜は何を食ったんだっけか。一昨昨日はどんな事を考えていたんだっけか。
......遡れば遡るほど記憶が曖昧になって、思い出せなくなって、まるで他人事のようにそれらが色褪せていく。
どうせ日常なんてそんなモンだ。
思い出せなくなっても、思い出さなくても...結局は問題なく何も変わらずに過ぎていく。所詮、そんなモン。
____なんで俺、生きてんだろ。
......今日も結局眠れなかった。
雑に閉めたカーテンの隙間から、いつの間にか白んでいた空が覗いている。その先にはベランダがあって。
3921....ここ何日前くらいからだったっけかな。
そういえば、数日前より以前の記憶が無いことにたった今気づく。昨日は何してたっけか。一昨日の夜は何を食ったんだっけか。一昨昨日はどんな事を考えていたんだっけか。
......遡れば遡るほど記憶が曖昧になって、思い出せなくなって、まるで他人事のようにそれらが色褪せていく。
どうせ日常なんてそんなモンだ。
思い出せなくなっても、思い出さなくても...結局は問題なく何も変わらずに過ぎていく。所詮、そんなモン。
____なんで俺、生きてんだろ。
......今日も結局眠れなかった。
雑に閉めたカーテンの隙間から、いつの間にか白んでいた空が覗いている。その先にはベランダがあって。