うとき
PROGRESS【凪茨♀️・ジュン茨♀️・ひよ茨♀️】Q/Alia(クアリア)[クオリア(Qualia)]
感覚的な意識や経験のこと、また意識的・主観的に感じたり経験したりする質
──「どうなってもいい関係になりたいんです」
心の歪みから狂った関係に堕ちていく、凪砂・ジュン・日和の話。
※キャプション・更新についてはTwitterの固定ツイートを参照してください(更新途中であれば含まない可能性もあります) 3194
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TRAININGAdam秀越学園時代戦争映画大画面のモニターから土煙が舞う。時代を感じさせる白黒の世界、その画面の向こう側から息も絶え絶えに這い蹲る兵士が塹壕から銃を構えた。鋭い銃声が一面に鳴り響く。
敵を殲滅した兵士が生気のない目を携えたままゆっくりと立ち上がる。まわりを見渡し何かに気づく。遠くから乾いた銃声がひとつ。
それまでずっと彼を映していたカメラが、仰向けに倒れた彼の目線の先を辿るように大空を映した。皮肉なほど美しい。
ピッとエンドロールが流れる前にリモコンで消された映画は第一次世界大戦の異国の地に生まれたひとりの青年の人生を描いたものだった。リモコンを持ち上げた茨はそのつまらなそうな顔を一転させ、いつも通り貼り付いた笑顔を見せた。
「閣っ~下?んもう、レッスンの時間ですよ!ここ最近のブームは戦争映画なのでしょうが時間は平等に有限であります!ご趣味は程々にと口酸っぱくして言ってますよね!?」
1416敵を殲滅した兵士が生気のない目を携えたままゆっくりと立ち上がる。まわりを見渡し何かに気づく。遠くから乾いた銃声がひとつ。
それまでずっと彼を映していたカメラが、仰向けに倒れた彼の目線の先を辿るように大空を映した。皮肉なほど美しい。
ピッとエンドロールが流れる前にリモコンで消された映画は第一次世界大戦の異国の地に生まれたひとりの青年の人生を描いたものだった。リモコンを持ち上げた茨はそのつまらなそうな顔を一転させ、いつも通り貼り付いた笑顔を見せた。
「閣っ~下?んもう、レッスンの時間ですよ!ここ最近のブームは戦争映画なのでしょうが時間は平等に有限であります!ご趣味は程々にと口酸っぱくして言ってますよね!?」
verace1511
PROGRESS凪茨新刊の冒頭。卒業後同居中の二人新刊進捗 火照る体に冷えた水が染み渡る。長湯でのぼせかけた体が欲するがままにごくごくとそれを飲み干していると、カウンター越しに恨みがましい視線と目が合った。長湯となった原因である彼の視線はできれば気づかなかったふりをしたいが、もはやこのやり取りも日課になりつつある事からそうもいかないだろう。彼――自分の敬愛する乱凪砂はすこぶる不機嫌だ。
彼の言いたいことはなんとなくわかっている。だがそれには触れず「どうかされましたか?」と白々しくも問えば、頬の一つでも膨らましそうな凪砂が拗ねたような表情を浮かべた。
「……乾かしちゃったんだ。やってあげるっていつも言ってるのに」
「いえいえ、とんでもない! 閣下のお手を煩わせるわけにはいきません! お気持ちだけ有難く頂戴致します!」
2613彼の言いたいことはなんとなくわかっている。だがそれには触れず「どうかされましたか?」と白々しくも問えば、頬の一つでも膨らましそうな凪砂が拗ねたような表情を浮かべた。
「……乾かしちゃったんだ。やってあげるっていつも言ってるのに」
「いえいえ、とんでもない! 閣下のお手を煩わせるわけにはいきません! お気持ちだけ有難く頂戴致します!」
きみどり
DONE凪茨利き小説企画さん(@718kiki)に投稿した小説です。普段の凪茨よりも距離感近めのイチャイチャした全年齢の話はなんか自分で書いてても新鮮な気持ちになったので、楽しかったです!
時間と場所と愛情を君に「……茨、誕生日当日の予定、教えて貰えないかな?」
事務所のスタッフブログをタブレットで確認していた茨は凪砂の問いかけに顔を上げ、少し間をおいてから首を傾げる。
「誕生日……?」
「……自分の誕生日、忘れちゃった?」
「あぁ! 確認しますので、少々お待ち下さい……日中はESの共通行事として、バースデーイベント。夜は会食の招待が二つほど、ですね」
「……招待? 出席にしていないの?」
茨は基本、予定は保留にせず早い段階で決めている。既に決まっている予定を言われると思っていた凪砂はぱちくりと瞬きをし、戸惑いを露わにする。決めずに保留にしているなんて、茨にしては珍しい。
「何ですか……、その顔。出席する、で伝えると、後から断るのが大変ですし面倒なので……」
2812事務所のスタッフブログをタブレットで確認していた茨は凪砂の問いかけに顔を上げ、少し間をおいてから首を傾げる。
「誕生日……?」
「……自分の誕生日、忘れちゃった?」
「あぁ! 確認しますので、少々お待ち下さい……日中はESの共通行事として、バースデーイベント。夜は会食の招待が二つほど、ですね」
「……招待? 出席にしていないの?」
茨は基本、予定は保留にせず早い段階で決めている。既に決まっている予定を言われると思っていた凪砂はぱちくりと瞬きをし、戸惑いを露わにする。決めずに保留にしているなんて、茨にしては珍しい。
「何ですか……、その顔。出席する、で伝えると、後から断るのが大変ですし面倒なので……」
きみどり
MOURNING作品に昇華できなかった茨の誕生日ネタの凪茨を供養のつもりでAIのべりすとくんに調理してもらったら思いのほかいい感じにしてくれたので、せっかくなのでシェアします。AIのべりすとくんに調理してもらった凪茨 今日は茨の誕生日だから、茨のお願い聞いてあげるよ?と言って、凪砂は長い脚を組み直した。
「お願い、ですか……?」
唐突に言われ、何も言葉が出てこない。否、別にあれが欲しい、とか、そういう物欲はそもそも茨には無い。なぜなら、大抵のものは金さえあればどうにかなる事を知っているからだ。
「えっ、と…………閣下の残りの人生」
「……それは、茨にもう売約済み。これ、渡す時に言ったと思うんだけど、忘れちゃった?」
凪砂は自分の左手の薬指を撫で、指輪を指す。揃いの銀の指輪は茨の薬指にもある。
「……信じられない?」
「まぁ、そう、ですね……」
信用はされてるけど、信頼されていないんだね。と、悲しそうに笑う凪砂の表情に、きゅうと胸が苦しくなる。なんで自分が悪者みたいな気持ちにならなければならないんだ。おかしいだろう
2913「お願い、ですか……?」
唐突に言われ、何も言葉が出てこない。否、別にあれが欲しい、とか、そういう物欲はそもそも茨には無い。なぜなら、大抵のものは金さえあればどうにかなる事を知っているからだ。
「えっ、と…………閣下の残りの人生」
「……それは、茨にもう売約済み。これ、渡す時に言ったと思うんだけど、忘れちゃった?」
凪砂は自分の左手の薬指を撫で、指輪を指す。揃いの銀の指輪は茨の薬指にもある。
「……信じられない?」
「まぁ、そう、ですね……」
信用はされてるけど、信頼されていないんだね。と、悲しそうに笑う凪砂の表情に、きゅうと胸が苦しくなる。なんで自分が悪者みたいな気持ちにならなければならないんだ。おかしいだろう
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DONE凪砂くん誕生日おめでとー!🎉✨閣下を全力で祝いたい茨の小話にしようと思ったのにトンチキな方向にぶっ飛びかけた凪茨です
閣下誕生日凪砂の逞しい腕が茨の腰のあたりをぎゅうと抱きしめる。茨が着ているパジャマ代わりのライブTシャツの裾にすっぽりと頭を入れて、静かに息を吸い込んだ。ボディーソープの甘い香りの中に茨の匂いを嗅ぎつけて一息つく。可哀想に伸びきったTシャツはもう使い捨てるほかないだろう。
素肌の腹に顔をぴったりとくっつけられて、茨は落ち着かないようだ。
退避したい気持ちをじりっとした身動ぎで誤魔化せば、察しの良い最終兵器は拘束具ばりにぎゅうううっと締めつけを強めた。
腕の力強さに反して、腹を撫でる頬は幼子が母親に戯れるようにくすぐったい。こちょこちょに弱いジュンならば大爆笑してたかもしれない。……などと、茨の頭に他の男が過ぎったことすらも察した凪砂は頬を徐々に膨らませ「私は怒っているよ」という主張を腹越しに伝えた。
2116素肌の腹に顔をぴったりとくっつけられて、茨は落ち着かないようだ。
退避したい気持ちをじりっとした身動ぎで誤魔化せば、察しの良い最終兵器は拘束具ばりにぎゅうううっと締めつけを強めた。
腕の力強さに反して、腹を撫でる頬は幼子が母親に戯れるようにくすぐったい。こちょこちょに弱いジュンならば大爆笑してたかもしれない。……などと、茨の頭に他の男が過ぎったことすらも察した凪砂は頬を徐々に膨らませ「私は怒っているよ」という主張を腹越しに伝えた。
きみどり
MAIKING1→https://poipiku.com/2533984/5282574.html次の話3(※R18です)→https://poipiku.com/2533984/5313190.html
媚薬を飲み干さないと出られない部屋2 こぽ、こぽ、と気泡が淡いピンク色の液体の中を踊り、昇ってゆく。隣で豪快に飲む茨の姿に圧倒されてしまい、おもわず凪砂の手が止まる。
いや、こんな事で止まってなんかいられない。今、手に握られているのは三本目。茨は既に二十本の内の半分をボトルに全て注いでしまっているので、机の上にある小瓶は全て凪砂が飲み干さなければならない分だ。茨はいつだって凪砂に優しく、気遣いを忘れない。無理をしないようにと声を掛けてくれたが、それはお互い様なのに……そんな思考を挟んでる間にも刻一刻と時間は過ぎ、茨のボトルの中身も減ってゆく。
慌てて三本目を飲み干し、四本目のアルミキャップを開けた。
***
「ぷ、は。甘ッッッッッッたるい! やー、これはカロリー考えたくないですねぇー!」
1770いや、こんな事で止まってなんかいられない。今、手に握られているのは三本目。茨は既に二十本の内の半分をボトルに全て注いでしまっているので、机の上にある小瓶は全て凪砂が飲み干さなければならない分だ。茨はいつだって凪砂に優しく、気遣いを忘れない。無理をしないようにと声を掛けてくれたが、それはお互い様なのに……そんな思考を挟んでる間にも刻一刻と時間は過ぎ、茨のボトルの中身も減ってゆく。
慌てて三本目を飲み干し、四本目のアルミキャップを開けた。
***
「ぷ、は。甘ッッッッッッたるい! やー、これはカロリー考えたくないですねぇー!」
きみどり
MAIKING凪茨お遊びアンケートネタその1。縦書きテスト。TRPGの毒入りスープの導入かと思うくらいにはビックリするほど色気のない導入。
次の話2→https://poipiku.com/2533984/5313151.html
媚薬を飲み干さないと出られない部屋「「媚薬を飲み干さないと出られない部屋??????」」
二人は扉の上に掛けられた部屋の名前と思しき言葉を、一言一句間違えることなく、ライブの時に歌声を重ねるように一人分の声で読み上げた。
「えっ、セックスしないと出られない部屋ではなく?」
「……どういう部屋なの、それ」
「あぁ、いえ、閣下はお気になさらず。なにやらそういうイタズラめいた部屋がある、という都市伝説みたいなものです」
茨と凪砂は己の置かれている状況を把握しようと、今居る部屋の様子を観察する。
真っ白で殺風景な部屋。壁に窓は無く、一つだけ出口と思われる扉がある。簡易的なベッドが部屋の隅にあり、中央には机が一つと、椅子二脚。
それと、机の上に置かれた茶色い小瓶、計二十本。大きさは市販の栄養ドリンク剤と同じぐらいだが、ラベルは無い。開封された跡も無いため、完全に謎の液体としか言い様が無かった。
1865二人は扉の上に掛けられた部屋の名前と思しき言葉を、一言一句間違えることなく、ライブの時に歌声を重ねるように一人分の声で読み上げた。
「えっ、セックスしないと出られない部屋ではなく?」
「……どういう部屋なの、それ」
「あぁ、いえ、閣下はお気になさらず。なにやらそういうイタズラめいた部屋がある、という都市伝説みたいなものです」
茨と凪砂は己の置かれている状況を把握しようと、今居る部屋の様子を観察する。
真っ白で殺風景な部屋。壁に窓は無く、一つだけ出口と思われる扉がある。簡易的なベッドが部屋の隅にあり、中央には机が一つと、椅子二脚。
それと、机の上に置かれた茶色い小瓶、計二十本。大きさは市販の栄養ドリンク剤と同じぐらいだが、ラベルは無い。開封された跡も無いため、完全に謎の液体としか言い様が無かった。
きみどり
DONEボギータイムの女装茨を見て「強火の乱凪砂の女」って単語を聞いて、それがめちゃくちゃツボったので、お題にして書いてって言われたので書きました!!!凪茨は付き合ってる。
かわいいかのじょのつくりかた(凪茨) 鏡に映る自分の姿を見て、何度目か分からない深い深いため息をついた。隣に立つプロデューサー殿は『渾身の出来栄えだ』と自負するような、達成感に満ち溢れた笑顔を浮かべていて、それが互いの浮かべる表情が対照的であることを際立たせていた。
遡ること数時間。自分がプロデューサー殿に捕まる前。
既に自分の手元には先日の【ボギータイム】で課された罰ゲームの執行日が今日であるという通達が届いていた。朝から密着取材という形でカメラが回っているため、朝早くから準備をする必要がある。衣装等は準備されているし、メイクもヘアスタイルも全部任せておけばいい。自分は格好こそ違えど、いつも通り仕事をすればいいだけ。
「おはようございま……す? あれ、ええと、プロデューサー殿? どうしてここに?」
3156遡ること数時間。自分がプロデューサー殿に捕まる前。
既に自分の手元には先日の【ボギータイム】で課された罰ゲームの執行日が今日であるという通達が届いていた。朝から密着取材という形でカメラが回っているため、朝早くから準備をする必要がある。衣装等は準備されているし、メイクもヘアスタイルも全部任せておけばいい。自分は格好こそ違えど、いつも通り仕事をすればいいだけ。
「おはようございま……す? あれ、ええと、プロデューサー殿? どうしてここに?」
きみどり
MAIKINGDom/Subユニバースの設定を敷きつつ以下の要素があります。凪砂くん年齢操作あり(12歳)こう、小さい凪砂くんと、ふわっとした感じでいちゃいちゃして欲しい欲をぶつけているだけ。
共同生活のお引越し(凪茨)【前回までのあらすじ】
自分、七種茨(Sub)は通りすがりに助けた乱凪砂(Dom)に気に入られ「自分のSub」認定をされてしまった!(本人の同意は不要らしい)本能的な欲求が満たされない今、目の前のDomにPlayを頼めと内なる自分が悪魔のように囁く。いやでもだって相手は5歳も年下のまだ少年だぞ?どうする俺!?!?
***
「……ん」
「お目覚めですか」
「……い、ばら?」
「はい」
まだ眠気が残るのか、ごしごしと目元を擦りながら、凪砂はその身を起こす。
「……おは、よ」
「おはようございます、閣下」
挨拶をしたものの、凪砂はそれから暫くしても茨の上から動かない。流石におかしいと思い、身を起こそうと凪砂の体に触れると、布越しに伝わってくる体温がいつもより高い。
2700自分、七種茨(Sub)は通りすがりに助けた乱凪砂(Dom)に気に入られ「自分のSub」認定をされてしまった!(本人の同意は不要らしい)本能的な欲求が満たされない今、目の前のDomにPlayを頼めと内なる自分が悪魔のように囁く。いやでもだって相手は5歳も年下のまだ少年だぞ?どうする俺!?!?
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「……ん」
「お目覚めですか」
「……い、ばら?」
「はい」
まだ眠気が残るのか、ごしごしと目元を擦りながら、凪砂はその身を起こす。
「……おは、よ」
「おはようございます、閣下」
挨拶をしたものの、凪砂はそれから暫くしても茨の上から動かない。流石におかしいと思い、身を起こそうと凪砂の体に触れると、布越しに伝わってくる体温がいつもより高い。
きみどり
DONEDom/Subユニバースの設定を敷きつつ、以下の要素があります。凪砂くん年齢操作あり(12歳)、茨とジュンがアイドルしてる謎世界のパラレル。だけど凪茨。
奇妙な共同生活(凪茨)「七種くん、君……今は暇だったよね?」
「訂正を要求します、猊下。あくまで自分は休止中なだけですので」
「でも、仕事は無いよね?」
「おっしゃる通りで!」
天祥院英智と七種茨は睨み合ったまま、静かな攻防を繰り広げていた……と、言っても茨に攻めの一手は無い。防戦一方のため、英知に押し切られてしまうのも時間の問題だった。
「……やれやれ、あまりこの手は使いたく無かったんだけど仕方ない。この仕事は弓「分かりました、お受けします!」
半ば、ヤケクソな返事をすれば、「本当かい。助かるよ!」と英智は人畜無害そうな笑みを浮かべる。そんな顔でも腹の中は真っ黒なのを知ってるぞと茨は心の中で悪態をつく。
「じゃあ七種くん、よろしくね。資料は端末に送っておくとして……」
6960「訂正を要求します、猊下。あくまで自分は休止中なだけですので」
「でも、仕事は無いよね?」
「おっしゃる通りで!」
天祥院英智と七種茨は睨み合ったまま、静かな攻防を繰り広げていた……と、言っても茨に攻めの一手は無い。防戦一方のため、英知に押し切られてしまうのも時間の問題だった。
「……やれやれ、あまりこの手は使いたく無かったんだけど仕方ない。この仕事は弓「分かりました、お受けします!」
半ば、ヤケクソな返事をすれば、「本当かい。助かるよ!」と英智は人畜無害そうな笑みを浮かべる。そんな顔でも腹の中は真っ黒なのを知ってるぞと茨は心の中で悪態をつく。
「じゃあ七種くん、よろしくね。資料は端末に送っておくとして……」
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DONE凪茨ワンライ1時間+α
宝石強盗と遭遇する凪茨の話になりました!
「指輪」「涙」涙の数だけ強くなれる、なんて嘘ですよ。泣いたら泣いた分だけ惨めさが増すだけです。
そう言っていた茨が、私の目の前で泣いていた。声もなく、しゃくりあげもせずにただ雨粒が静かに床に染み込むように、涙が流れていく。
真っ赤に腫れた目蓋に触れないように、よしよしと頭を撫でようと手を伸ばしたら逆に手首を掴まれてしまった。
「お〜と!自分に触れてはいけませんよ閣下!おそらくOCガスの催涙スプレーでありますから後遺症などの心配もございません!ただ、カプサイシンが主成分なので皮膚に触れるとピリピリする恐れがあります。自分は訓練されているので平気ですよ!」
「でもどう見ても痛そうだし、涙もものすごく出てるよ」
「なあに1時間もすれば元に戻ります!ちょっとお見苦しい姿を晒してるのはなかなか業腹ですが……名誉の負傷とでも思えば我慢も出来ましょう。ええ!下手人はちゃんと捕えましたしね!」
1454そう言っていた茨が、私の目の前で泣いていた。声もなく、しゃくりあげもせずにただ雨粒が静かに床に染み込むように、涙が流れていく。
真っ赤に腫れた目蓋に触れないように、よしよしと頭を撫でようと手を伸ばしたら逆に手首を掴まれてしまった。
「お〜と!自分に触れてはいけませんよ閣下!おそらくOCガスの催涙スプレーでありますから後遺症などの心配もございません!ただ、カプサイシンが主成分なので皮膚に触れるとピリピリする恐れがあります。自分は訓練されているので平気ですよ!」
「でもどう見ても痛そうだし、涙もものすごく出てるよ」
「なあに1時間もすれば元に戻ります!ちょっとお見苦しい姿を晒してるのはなかなか業腹ですが……名誉の負傷とでも思えば我慢も出来ましょう。ええ!下手人はちゃんと捕えましたしね!」
きみどり
MAIKING嫉妬する茨と、凪茨距離感がバグってるライブの幻覚。スタンドマイクぶん回す治安の悪い茨がすごく見たい欲望をぶつけた。「……茨は私に、よく説明を求めるよね。何が悪いのかな……?」
視線を天井から、既に横で寝る体勢になっていた茨に移し、凪砂は問いかける。もぞりと体を動かし茨の方を向けば、相手もまた凪砂と向かい合う様に体の向きを変える。
「閣下の説明箇所が、スタートとゴールしか無いからですよ。今回だってそうです。」
「……なるほど。ええと、最初は確か、日和くんが茨と仲良くしているのを見て、つい、声を荒らげてしまって」
「でしょうね。それは何となく分かりましたが、不可解なのは『良かった』の方です」
周りから見れば、過剰なスキンシップに見えたであろう茨と日和を見て、どちらかは分からないが嫉妬心のようなものを自覚したというのであれば「触られて不快ではなかった」という茨の言葉に「良かった」という言葉は出てこない筈だ。少なくとも茨は同じような状況で、凪砂の様な言葉を選べない。
3176視線を天井から、既に横で寝る体勢になっていた茨に移し、凪砂は問いかける。もぞりと体を動かし茨の方を向けば、相手もまた凪砂と向かい合う様に体の向きを変える。
「閣下の説明箇所が、スタートとゴールしか無いからですよ。今回だってそうです。」
「……なるほど。ええと、最初は確か、日和くんが茨と仲良くしているのを見て、つい、声を荒らげてしまって」
「でしょうね。それは何となく分かりましたが、不可解なのは『良かった』の方です」
周りから見れば、過剰なスキンシップに見えたであろう茨と日和を見て、どちらかは分からないが嫉妬心のようなものを自覚したというのであれば「触られて不快ではなかった」という茨の言葉に「良かった」という言葉は出てこない筈だ。少なくとも茨は同じような状況で、凪砂の様な言葉を選べない。
きみどり
MAIKINGお付き合い初心者の凪茨。おひいさんのちょっかいに振り回されるの巻 さて、長期休暇から戻り、星奏館に向かえば入り口で日和とジュンが迎えてくれた。日和は帰ってきた茨を見て「何だか棘を抜かれた気がするね!」と言った。何かを察してなのか、凪砂と何か話をしていたのか分からない以上、下手に追求すると墓穴を掘ってしまう可能性が大いにあったので、それ以上は突っ込まず気にしないことにした。
「そういえば閣下、これ、お渡ししておきます」
「……どうしたの? って、これ、何?」
「カードキーです。私的に部屋を持ってはいたんですが、ほとんど使う機会はありませんでした。その……ええと、自分とのプライベートの時間が欲しいって、言ってたじゃないですか」
お願いの答えをこんなタイミングでするのか。情緒も、ムードも無い……が、それがまた茨らしい。
2634「そういえば閣下、これ、お渡ししておきます」
「……どうしたの? って、これ、何?」
「カードキーです。私的に部屋を持ってはいたんですが、ほとんど使う機会はありませんでした。その……ええと、自分とのプライベートの時間が欲しいって、言ってたじゃないですか」
お願いの答えをこんなタイミングでするのか。情緒も、ムードも無い……が、それがまた茨らしい。
きみどり
MAIKING凪砂くんの愛情に溺れて、ぐずぐずに泣く茨の話。とりあえず凪茨両思いハッピー! おはよう、日和くん。迎えは、明日のお昼なんだね。うん、うん……分かった、茨に伝えておくね。……ん? 茨? まだ寝ているよ。疲れているから、もう少し寝かせてあげたいんだ。用があるなら、私から伝えておくよ。そうそう、茨ね、体調も良くなっていて、元気いっぱいだから♪ えっ? いい事でもあったのか? …………そう、だね。うん、あった、かな。そっちに帰ったら、日和くんに聞いて欲しいな。
ねぇ、日和くん。私……少し、困ってるんだ。どうしようもなく、心を乱されて、切なくなって、暖かくなって……えっ? 確かに私は今、茨の事を考えながら喋っていたけど……、分かりやすかった? そうなんだ。ふふ、隠し事はできないね。うん、分かった。じゃあ、また明日。
3230ねぇ、日和くん。私……少し、困ってるんだ。どうしようもなく、心を乱されて、切なくなって、暖かくなって……えっ? 確かに私は今、茨の事を考えながら喋っていたけど……、分かりやすかった? そうなんだ。ふふ、隠し事はできないね。うん、分かった。じゃあ、また明日。