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MEMO2023年5月発行の水麿本「びねつのひみつ」の後日の水麿と雨さん雲くんのやりとりです本の通販は↓↓
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フスキ
DONE水麿家族パロ、まろくんが不倫に誘われる回。立ちはだかれ夫と娘!というお話です。(水麿家族パロ)不倫に誘おうものならば 水心子に見つけてもらって、抱きしめられたとき、清麿は本当に嬉しかった。心から安堵をした。彼から逃げたのは自分なのに、ずっと会いたかった。
結局己の帰るべき場所を、あのときすでに清麿は理解していたのだと思う。水心子もわかってくれていた。だから広い日本列島で再会できて、足掻きがうそのようにきちんと結ばれることができた。
運命はあのときからずっと笑顔で傍にある。
「ママ、かいわすれなんてめずらしいねえ」
「うう……ごめんね……」
コンビニの入口をくぐって、清麿は肩を落とし牛乳のコーナーに歩み寄る。娘のまひろが先にパックを重たそうに手に取って、清麿の持ったレジかごに入れてくれた。
「一本では足りないよね……もうひとつ買う? まひろたくさん飲むよね」
4068結局己の帰るべき場所を、あのときすでに清麿は理解していたのだと思う。水心子もわかってくれていた。だから広い日本列島で再会できて、足掻きがうそのようにきちんと結ばれることができた。
運命はあのときからずっと笑顔で傍にある。
「ママ、かいわすれなんてめずらしいねえ」
「うう……ごめんね……」
コンビニの入口をくぐって、清麿は肩を落とし牛乳のコーナーに歩み寄る。娘のまひろが先にパックを重たそうに手に取って、清麿の持ったレジかごに入れてくれた。
「一本では足りないよね……もうひとつ買う? まひろたくさん飲むよね」
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DONE水麿家族パロ、家族で家飲み回です。よっぱらいしんし再び。(水麿家族現パロ)家族で飲み会 明日は土曜。抱えていた仕事も一段落し、久しぶりにゆっくり休めるなあ、と思いながら帰宅したら、妻が『これ、いただいたんだ』と白ワインの瓶を見せてくれた。
「甘口だから、水心子も飲めるかなって。今晩一緒に開けない?」
すこしだけ窺うような表情で覗き込んでくる清麿に、いいね、と笑ってやると彼はぱあっと表情を明るくした。よほど嬉しかったのか、これ度数もそんなに高くなくてね、フルーティーだって評判のやつなんだよ、と矢継ぎ早に続けるので、水心子は吹き出してその額を小突く。
「いただきもの、は嘘だな? 買ってきたんだろ、わかるぞ」
そう言ったら、彼は口を開けて顔を真っ赤にした。慌てる清麿の足元、娘のまひろがけたけた笑う。
3005「甘口だから、水心子も飲めるかなって。今晩一緒に開けない?」
すこしだけ窺うような表情で覗き込んでくる清麿に、いいね、と笑ってやると彼はぱあっと表情を明るくした。よほど嬉しかったのか、これ度数もそんなに高くなくてね、フルーティーだって評判のやつなんだよ、と矢継ぎ早に続けるので、水心子は吹き出してその額を小突く。
「いただきもの、は嘘だな? 買ってきたんだろ、わかるぞ」
そう言ったら、彼は口を開けて顔を真っ赤にした。慌てる清麿の足元、娘のまひろがけたけた笑う。
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DONE水麿小説です!!養生本丸とふた×女のすいまろが出会うお話。ほぼまろとまろしか喋ってません。年末に書き出してたので年末設定です……両設定をお読みいただいている方はぜひ!(養生本丸とふたにょの水麿)この身体に積もる 雪が降るころになると、清麿は降り出す空のその高さにぞっとする。ふつうは秋にこそそう思うのだろうけれど、雪空のどこから降るのかを探ろうと視線を上向ければ、まるで吸い込まれそうに、天に昇ってしまいそうにある白を不思議とそう感じるのだった。
「本丸間交流だ~? この忙しい年末にか、政府連中は正気か?」
「まあ、彼らが正気だとはまったく思わないが」
大包平がしかめっ面でこぼした言葉を、水心子は腕を組んで苦笑しながら拾いあげた。寒い縁側に立ったままのやり取り、清麿は外を見ていた目を大好きな声につられて内に戻す。
「忙しさでいったら、こちらに来るという先方のものたちのほうがよほどだろう。彼らは今ごろ連隊戦の真っ最中だ」
5386「本丸間交流だ~? この忙しい年末にか、政府連中は正気か?」
「まあ、彼らが正気だとはまったく思わないが」
大包平がしかめっ面でこぼした言葉を、水心子は腕を組んで苦笑しながら拾いあげた。寒い縁側に立ったままのやり取り、清麿は外を見ていた目を大好きな声につられて内に戻す。
「忙しさでいったら、こちらに来るという先方のものたちのほうがよほどだろう。彼らは今ごろ連隊戦の真っ最中だ」
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DONE養生本丸の水麿、クリスマス編です!まにあった……!!すいまろちゃんとプレゼントのはなし。半端な時間ですが、みなさまメリークリスマスです!!!(水麿養生本丸)誓い 顕現したときから、もしくは戦場に出て負った傷が癒えずに。そんなふうに身体に障害のあるものたちが集う、後方支援の本丸、通称・養生本丸。
戦わぬとはいえども仕事はしているのだから、楽しいことは平等にあるべきなのよ。そもそも生きているものに楽しいことがなければそんな世界はくそくらえ。──それがここを統べる審神者の基本理念らしい。クリスマスイブとなった今日、宴会は盛大に執り行われた。
水心子を含む数名の健康体の男士も、宴会の進行で酒は飲めなかったものの楽しんで過ごすことができた。普段つらい思いをして生きているものも多いが、こんなふうに皆で息抜きができること、幸せなことだと思う。
「それはそれとして、きよまろのプレゼントほしかった……」
2715戦わぬとはいえども仕事はしているのだから、楽しいことは平等にあるべきなのよ。そもそも生きているものに楽しいことがなければそんな世界はくそくらえ。──それがここを統べる審神者の基本理念らしい。クリスマスイブとなった今日、宴会は盛大に執り行われた。
水心子を含む数名の健康体の男士も、宴会の進行で酒は飲めなかったものの楽しんで過ごすことができた。普段つらい思いをして生きているものも多いが、こんなふうに皆で息抜きができること、幸せなことだと思う。
「それはそれとして、きよまろのプレゼントほしかった……」
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DONE水麿と静ちゃん巴ちゃん小説の続きです!巴→麿っぽい描写入りますがちゃんと水麿ハピエンです。おおきいこどもたちの話。(水麿と静と巴2)恋はふたりだけ 水心子が静形に懐かれた。
「水心子ぃ、膝枕をしてくれ! 午前は買い出しを手伝ったのだ!」
「な、なるほど、それは労わねばなるまいな」
突進してきた静形を宥めて、水心子が縁側に座る。外に足を投げ出した彼の腿に、静形は嬉々として寝転んだ。
「……ずいぶん、仲良しになったね」
静形を後ろから追って歩いていた清麿は、苦笑しながらそう呟いた。一緒だった巴形が、ふむ、と頷く。
「清麿よりも水心子のほうが生存値が上だと知ってからは、一瞬だったな」
脆いものを遠ざけようとする性質のある静形は、元々清麿にべったりだった。打刀の中では強い部類にあることで安心されていたらしい。しかし、まあちょっとした揉め事で輪に加わるようになった水心子を、彼は最初こそ小さい怖いと怯えていたが、水心子が存外頑丈であることを理解してからは坂を転がる石のように懐いていった。
4309「水心子ぃ、膝枕をしてくれ! 午前は買い出しを手伝ったのだ!」
「な、なるほど、それは労わねばなるまいな」
突進してきた静形を宥めて、水心子が縁側に座る。外に足を投げ出した彼の腿に、静形は嬉々として寝転んだ。
「……ずいぶん、仲良しになったね」
静形を後ろから追って歩いていた清麿は、苦笑しながらそう呟いた。一緒だった巴形が、ふむ、と頷く。
「清麿よりも水心子のほうが生存値が上だと知ってからは、一瞬だったな」
脆いものを遠ざけようとする性質のある静形は、元々清麿にべったりだった。打刀の中では強い部類にあることで安心されていたらしい。しかし、まあちょっとした揉め事で輪に加わるようになった水心子を、彼は最初こそ小さい怖いと怯えていたが、水心子が存外頑丈であることを理解してからは坂を転がる石のように懐いていった。
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DONE水麿家族パロ、まろくんに頭痛がある日のこと。ましゅまろで夫婦喧嘩しないのかといただいたので、夫婦喧嘩をさせようとしたんですが…しなかったですね☆笑笑(水麿家族パロ)頭痛ではじまる いつも通りに目覚めたつもりだったのに、起きた瞬間に己が普段とは違うことが分かった。頭がずきずきと痛くて、なかなか身体を起こせない。
──ああ、久しぶりにきてしまった、頭痛。
水心子と結婚する以前は癖のようにあったものだった。最近は幸いにぐんと減っていて、きっと娘を産んだおかげで体質が変わったのだと楽観していたのだけれど。それはそうだ、簡単にすべてなくなってくれるわけもない。
娘を挟んで横で眠る水心子を、薄目を開けて見た。健やかそのものの寝顔は近頃すこし精悍になって、こちらを向いて寝息を立てている。……巻き込む、わけにはいかない。
ベッドに懐いてしまった己を奮い立たせようと、頭の中で『せーの』を唱えてやっと起き上がった。その瞬間も頭がずきんとして、顔を顰めてしまったけれどこのままではいけない。すぐに顔を洗いに立って、目を醒ますために冷水を使う。耳が、きんと冷えた。
3628──ああ、久しぶりにきてしまった、頭痛。
水心子と結婚する以前は癖のようにあったものだった。最近は幸いにぐんと減っていて、きっと娘を産んだおかげで体質が変わったのだと楽観していたのだけれど。それはそうだ、簡単にすべてなくなってくれるわけもない。
娘を挟んで横で眠る水心子を、薄目を開けて見た。健やかそのものの寝顔は近頃すこし精悍になって、こちらを向いて寝息を立てている。……巻き込む、わけにはいかない。
ベッドに懐いてしまった己を奮い立たせようと、頭の中で『せーの』を唱えてやっと起き上がった。その瞬間も頭がずきんとして、顔を顰めてしまったけれどこのままではいけない。すぐに顔を洗いに立って、目を醒ますために冷水を使う。耳が、きんと冷えた。
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DONE水麿家族パロ小説、会社の忘年会にトラウマのあるすいくんの話。家族でいちゃいちゃしてるの書くのめちゃくちゃたのしいです…(水麿家族パロ)酒の失敗談 今年も暮れが近づいてきて、この季節となってしまった。つい顔を顰めながら書状を清麿に差し出すと、文面を見た彼もまた難しい顔になる。
「そうか、今年はあるんだね……」
「そうなんだ……去年はなくて助かったと思ってたのにな」
両親が一枚の紙を見つめて渋面をしているのを不審に思ったのか、娘のまひろが首を傾げて近寄ってきた。
「どうしたの、なにがあるの?」
そう問われて、夫婦視線を合わせる。うーん、と清麿が口を開けた。
「忘年会、っていってね、会社に一緒に働いている人たちで、今年もお疲れさまでしたってお食事会をするんだよ」
「そうなの……パパ、それ、いやなの?」
たのしそうなのに、と続けて、大きな瞳で見上げられる。そうされてしまうと、なんだか己が酷くちっぽけな人間なようで情けなくなってしまうのだ。言葉に詰まる水心子をフォローするように、清麿がまひろの頭を撫でる。
3797「そうか、今年はあるんだね……」
「そうなんだ……去年はなくて助かったと思ってたのにな」
両親が一枚の紙を見つめて渋面をしているのを不審に思ったのか、娘のまひろが首を傾げて近寄ってきた。
「どうしたの、なにがあるの?」
そう問われて、夫婦視線を合わせる。うーん、と清麿が口を開けた。
「忘年会、っていってね、会社に一緒に働いている人たちで、今年もお疲れさまでしたってお食事会をするんだよ」
「そうなの……パパ、それ、いやなの?」
たのしそうなのに、と続けて、大きな瞳で見上げられる。そうされてしまうと、なんだか己が酷くちっぽけな人間なようで情けなくなってしまうのだ。言葉に詰まる水心子をフォローするように、清麿がまひろの頭を撫でる。
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DONE水麿家族パロ、ギャグ回を目指しました。幼児向け歌と体操の番組を見ている家族のお話です。すいくんが天然です。まろくんがツッコミしてる…珍しい…(水麿家族パロ)よその男「ただいまー」
「おかえり」
帰り着いたドアを開ければ、当たり前に妻が出迎えてくれる。当たり前、になったんだなあ、といつだって面映ゆく思ってしまうのだ。
しかしいつもなら彼より早く駆け寄ってきてくれる娘が、今日は奥から出てこない。
「……まひろは?」
コートを受け取ってくれる清麿に、物足りなさを隠しきれもせず問いかけると、彼は苦笑いをして『テレビを見ているよ』と教えてくれた。
「テレビ?」
それでもいつもこちらに来てくれるのに。そう思っているのが分かったのだろう、一緒にリビングへ歩みながら清麿が口にする。
「水心子、今日はいつもより帰りが早かっただろう。いつもは終わっている番組が、今日はまだ真っ最中なんだよ」
2387「おかえり」
帰り着いたドアを開ければ、当たり前に妻が出迎えてくれる。当たり前、になったんだなあ、といつだって面映ゆく思ってしまうのだ。
しかしいつもなら彼より早く駆け寄ってきてくれる娘が、今日は奥から出てこない。
「……まひろは?」
コートを受け取ってくれる清麿に、物足りなさを隠しきれもせず問いかけると、彼は苦笑いをして『テレビを見ているよ』と教えてくれた。
「テレビ?」
それでもいつもこちらに来てくれるのに。そう思っているのが分かったのだろう、一緒にリビングへ歩みながら清麿が口にする。
「水心子、今日はいつもより帰りが早かっただろう。いつもは終わっている番組が、今日はまだ真っ最中なんだよ」
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DONE水麿家族パロ、胎動とコミュニケーションのおはなしです。息抜きに書いたらこっちが先にできてしまった…。あとひとつふたつ書いたらぴっしぶさんにまとめると思います!(水麿家族パロ)三人のコミュニケーション「ふふ」
唐突に清麿が笑い始め、水心子は首を傾げた。夕食後、二人でホットミルクを飲んでいた時。
「どうしたの、急に」
「ふふ……あのね、胎動が激しくて」
「えっ」
「すごいポコポコ蹴っている。ふふふ……どれだけ元気な子なんだろう……」
そのときソファに座った清麿の腹が、ぽん、と小さく突き上げられたのが見えた。
「……えっ!?」
思わず水心子は飛びつき、その腹部に触れる。
「えっ、え、今、いまちょっとお腹! きよまろ大丈夫!?」
慌てて撫でて、たった今突き出た箇所を凝視する。しかしその瞬間から胎児の動きは静まってしまったのか、まったく感じられなくなった。
「あ、あれ……」
「ああ、大丈夫だよ。ママではない誰かがいる、と思ってびっくりしているんだよ、今」
2468唐突に清麿が笑い始め、水心子は首を傾げた。夕食後、二人でホットミルクを飲んでいた時。
「どうしたの、急に」
「ふふ……あのね、胎動が激しくて」
「えっ」
「すごいポコポコ蹴っている。ふふふ……どれだけ元気な子なんだろう……」
そのときソファに座った清麿の腹が、ぽん、と小さく突き上げられたのが見えた。
「……えっ!?」
思わず水心子は飛びつき、その腹部に触れる。
「えっ、え、今、いまちょっとお腹! きよまろ大丈夫!?」
慌てて撫でて、たった今突き出た箇所を凝視する。しかしその瞬間から胎児の動きは静まってしまったのか、まったく感じられなくなった。
「あ、あれ……」
「ああ、大丈夫だよ。ママではない誰かがいる、と思ってびっくりしているんだよ、今」
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DONE水麿家族パロ、ついに出産編です。大フィクションなのでよろしくお願いします…。(水麿家族パロ)すてきなおうち 腹が痛いのだか腰が痛いのだか、いやもう全身が痛いのだ。
息が苦しいまま分娩台に乗って、清麿は必死に喘いでいた。その手が握られる。霞む目を向けた先に、涙目の水心子がいた。
「きよまろ、がんばれ」
「いきんで!」
医師の、助産師たちの声に必死に応じる。息を吐きながら力を込めた。
『妊娠……僕が』
新たな命を告げられたあの日、心を覆ったのは絶望に似た思いだった。
相手なんて一人しかいないのに、そのたった一人にどうしても伝えたくなかった。伝えればきっと大喜びして、抱き上げてくれようとして身重なことに気づき慌てて手を放して、『ごめん、嬉しすぎて』なんて言って泣いてくれる。……そんな明確なビジョンすら浮かぶのに、それは絶対に起きてはいけない未来だと唇を噛んだ。
2861息が苦しいまま分娩台に乗って、清麿は必死に喘いでいた。その手が握られる。霞む目を向けた先に、涙目の水心子がいた。
「きよまろ、がんばれ」
「いきんで!」
医師の、助産師たちの声に必死に応じる。息を吐きながら力を込めた。
『妊娠……僕が』
新たな命を告げられたあの日、心を覆ったのは絶望に似た思いだった。
相手なんて一人しかいないのに、そのたった一人にどうしても伝えたくなかった。伝えればきっと大喜びして、抱き上げてくれようとして身重なことに気づき慌てて手を放して、『ごめん、嬉しすぎて』なんて言って泣いてくれる。……そんな明確なビジョンすら浮かぶのに、それは絶対に起きてはいけない未来だと唇を噛んだ。
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DONE水麿家族パロ小説、妊娠中その2。でも最後のほう娘ちゃん出てきます。今日ずっと考えてた話なのでどうしても書きたかった…(水麿家族パロ)あたりまえになる僥倖「ほんとよかった、つわりが落ち着いて……見てるだけしかできないの、気が気じゃなかったから」
心底ほっとした口調で、ハンドルを握った水心子が零す。車窓を眺めていた顔を彼のほうに向け、清麿もごめんねと笑った。
「でも、見ていただけ、なんてどの口で言うんだい。僕が潰れている時、家事のほとんどをしてくれたくせに」
「そんなの、当然だろ。清麿の苦しいのを見てるだけしかできなかったのはほんとだし、そういう時に代わるのは当たり前だよ」
そもそも家事全部が君の役割だなんてこともないんだから。そう続ける水心子は、本当に当たり前だと思っている顔だ。自分が清麿を助けることを疑っていない。……けれど。
「……当たり前、なのかな」
3904心底ほっとした口調で、ハンドルを握った水心子が零す。車窓を眺めていた顔を彼のほうに向け、清麿もごめんねと笑った。
「でも、見ていただけ、なんてどの口で言うんだい。僕が潰れている時、家事のほとんどをしてくれたくせに」
「そんなの、当然だろ。清麿の苦しいのを見てるだけしかできなかったのはほんとだし、そういう時に代わるのは当たり前だよ」
そもそも家事全部が君の役割だなんてこともないんだから。そう続ける水心子は、本当に当たり前だと思っている顔だ。自分が清麿を助けることを疑っていない。……けれど。
「……当たり前、なのかな」
フスキ
DONE水麿家族パロ、妊娠中のつわりのお話。まだ娘ちゃん産まれてません。すごくフィクションなので怒らないでやってください…(水麿家族パロ)増えていくしあわせ「え、ぅ」
「きよまろ」
袋に向かい嘔吐する清麿の、丸まった背に触れたまま水心子は動けなかった。さすってやりたいけれど、さすったら余計吐いてしまって苦しいだろうかと思ったら何もできなかった。
それでもひとしきり吐くことを続けた彼は、少し落ち着いた様子で水心子にぽすんともたれかかってきた。それを抱き止め、覗き込んだ口元に水の入ったコップを向けてやる。彼が口をゆすいだ。
「ん……ごめん」
「謝らないで……ごめんね、何もできなくて」
青いままの顔を、清麿はううんと左右に振った。嬉しそうに懐いてくれる。
「君がいてくれるから、安心する。……一人だった時は、つわりさえ来なかったんだから」
表情が歪むのを堪えながら、彼をそっと抱きしめた。まだ荒い呼吸が苦しい。
3431「きよまろ」
袋に向かい嘔吐する清麿の、丸まった背に触れたまま水心子は動けなかった。さすってやりたいけれど、さすったら余計吐いてしまって苦しいだろうかと思ったら何もできなかった。
それでもひとしきり吐くことを続けた彼は、少し落ち着いた様子で水心子にぽすんともたれかかってきた。それを抱き止め、覗き込んだ口元に水の入ったコップを向けてやる。彼が口をゆすいだ。
「ん……ごめん」
「謝らないで……ごめんね、何もできなくて」
青いままの顔を、清麿はううんと左右に振った。嬉しそうに懐いてくれる。
「君がいてくれるから、安心する。……一人だった時は、つわりさえ来なかったんだから」
表情が歪むのを堪えながら、彼をそっと抱きしめた。まだ荒い呼吸が苦しい。
フスキ
DONE28歳×20歳水麿現パロ小説です!とりあえずまとめた…!この続きはたぶん鍵垢で書きます…全年齢部分だけひとまず。めちゃくちゃ楽しかったです…28×20水麿 そのいち その日は日差しがきらきらとしている日だった。日曜日に朝早くから起き出さなければならなかったのは低血圧な清麿からすれば気が重かったけれど、公園に着いてみれば木漏れ日がきれいで気持ちも浮上した。
「源、ほんとごめんな」
自分と同じく高校のジャージ姿の同級生が、申し訳なさそうに手を合わせてくる。それはもう今日数回目で、清麿は苦笑しながら『いいってば』と返した。
「〇〇が体調が悪くなってしまったんだもの。ボランティアのお仕事だからね、事前に出した参加人数を変えるわけにいかないっていうのはよく分かるし……やってみると意外に楽しいから、そんなに何度も謝らなくていいんだよ」
「ありがとう……源は天使だー」
大袈裟に泣き真似をする同級生を笑い飛ばして、清麿はまたごみ拾いに戻る。
7183「源、ほんとごめんな」
自分と同じく高校のジャージ姿の同級生が、申し訳なさそうに手を合わせてくる。それはもう今日数回目で、清麿は苦笑しながら『いいってば』と返した。
「〇〇が体調が悪くなってしまったんだもの。ボランティアのお仕事だからね、事前に出した参加人数を変えるわけにいかないっていうのはよく分かるし……やってみると意外に楽しいから、そんなに何度も謝らなくていいんだよ」
「ありがとう……源は天使だー」
大袈裟に泣き真似をする同級生を笑い飛ばして、清麿はまたごみ拾いに戻る。
フスキ
DONEてんえどwebオンリー開催おめでとうございます、ありがとうございます!!すけべがしたい全年齢の水麿です。(水麿)立つ場所を並べて 清麿が、もたれかかるように身を寄せてくる。横から肩口に頭が載せられて、その髪の甘い香りに胸の内が燃えた。
「……すいしんし」
すこし甘えた声に拗ねが滲んで、そこに戸惑いもかすかに揺れる。見えないけれど、視線もきっと揺れているのだろう。その手が水心子の手の指に触れそうで触れない位置に所在なさげにあって、こちらももどかしさを握った。
「……どうして……抱いてくれないの?」
不安が、水を張ったキャンバスに絵の具を垂らしたように広がった声音。それでも肩への甘えは確かなのだった。擦り寄りながらこんなふうに窺う様子はまるで猫のようで。
水心子の恋人の清麿は、今まで何度も夜のお誘いをくれた。
けれど水心子はそのたび断り続けてきた。
2165「……すいしんし」
すこし甘えた声に拗ねが滲んで、そこに戸惑いもかすかに揺れる。見えないけれど、視線もきっと揺れているのだろう。その手が水心子の手の指に触れそうで触れない位置に所在なさげにあって、こちらももどかしさを握った。
「……どうして……抱いてくれないの?」
不安が、水を張ったキャンバスに絵の具を垂らしたように広がった声音。それでも肩への甘えは確かなのだった。擦り寄りながらこんなふうに窺う様子はまるで猫のようで。
水心子の恋人の清麿は、今まで何度も夜のお誘いをくれた。
けれど水心子はそのたび断り続けてきた。
f8i8oh
MOURNINGワンドロの残骸。豪勢な白くまを食べさせたかった
夜更かしの日のかき氷 今は子の刻、真夜中。熱帯夜で眠れない夜にいっその事、寝ないで宴会をしてしまえと真夏の夜に定期開催される『夜更かしの日』その夜は夜中に食べるには背徳感しかない食べ物を食べたて夏の夜らしく花火や怪談話を楽しんだり、映画鑑賞をしたりと思い思いに過ごしている。
大きな硝子の器にこんもりと盛られたかき氷にはミルクシロップがたっぷりと掛かっていて干しぶどうと最中の皮で白熊の顔と耳を模している。かき氷の周りには桃、パイナップル、バナナ、キウイ、瓜、西瓜に干し杏の蜜煮、色とりどりの寒天が器から溢れんばかりに盛られている。それだけでは飽き足らず、円錐形のコーンを添えたアイスクリンと白熊の頭上には蜜漬けの真っ赤なさくらんぼまで乗っている、やりすぎな位に豪勢なかき氷が水心子と清麿の目の前に鎮座していた。
865大きな硝子の器にこんもりと盛られたかき氷にはミルクシロップがたっぷりと掛かっていて干しぶどうと最中の皮で白熊の顔と耳を模している。かき氷の周りには桃、パイナップル、バナナ、キウイ、瓜、西瓜に干し杏の蜜煮、色とりどりの寒天が器から溢れんばかりに盛られている。それだけでは飽き足らず、円錐形のコーンを添えたアイスクリンと白熊の頭上には蜜漬けの真っ赤なさくらんぼまで乗っている、やりすぎな位に豪勢なかき氷が水心子と清麿の目の前に鎮座していた。
f8i8oh
MOURNINGワンドロの残骸、独自設定もりもり珈琲とフルーツ牛乳万屋で買い物をした日、休憩の為に併設されている喫茶店に立ち寄る事にした。
それぞれ飲み物と軽食を注文をして向かい合わせに座る。
「空いていて良かったね」
「お店の方は相変わらずのヒト混みだから酔っちゃいそうだったよ」
温かい珈琲を一口飲むと肩の力を抜いて、一息つく。
手を暖める様にカップを両手で持ち直す
水心子は顔立ちも相まって可愛らしくさえ見える。
本丸が利用する政府直営店の他に様々な店が建ち並び
あやかし、妖怪、付喪神や魑魅魍魎に名のある神々の眷属が経営する店とそれと同じくらい多種多様な客。
刀剣男士も含めて常に百鬼夜行状態で半日歩き回っただけでも疲れてしまう。
特に水心子は慣れない状況や突発的な事が苦手なうえに新々刀の祖として刀剣男士として威厳を保とうと気を張っている為、神経を使ってしまうのだろう。
427それぞれ飲み物と軽食を注文をして向かい合わせに座る。
「空いていて良かったね」
「お店の方は相変わらずのヒト混みだから酔っちゃいそうだったよ」
温かい珈琲を一口飲むと肩の力を抜いて、一息つく。
手を暖める様にカップを両手で持ち直す
水心子は顔立ちも相まって可愛らしくさえ見える。
本丸が利用する政府直営店の他に様々な店が建ち並び
あやかし、妖怪、付喪神や魑魅魍魎に名のある神々の眷属が経営する店とそれと同じくらい多種多様な客。
刀剣男士も含めて常に百鬼夜行状態で半日歩き回っただけでも疲れてしまう。
特に水心子は慣れない状況や突発的な事が苦手なうえに新々刀の祖として刀剣男士として威厳を保とうと気を張っている為、神経を使ってしまうのだろう。
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DONE春鍋さんお誕生日おめでとうございます!!をフライングしました…夏色的な水麿。学パロでちょっとそねさんいます。(水麿)二人の夏(春鍋さんへ!)「では明日から夏休みな訳だが、危険な場所には近づかず気を引き締めて──」
担任教師たる長曽祢のまじめな声を聞きながら、暑さにぼうっとした頭で水心子は前の席の親友のうなじに浮かんだ汗を見ていた。
エアコンは一応ついているものの、なぜか快適なくらいには効かせてくれないのがこの学校だ。親友、清麿は暑さにも寒さにも弱い体質なので、今だって相当つらいだろう。──そう考える水心子自身だって、暑い夏はそれほど好きではなかった。
清麿に出会うまでは。
「……はい、では、これで終わりにする。課題と登校日を忘れずに、夏休み、楽しんでこい」
にっと笑った長曽祢に、元気な返事を合唱して教室は沸き立った。
夏休みが始まる。
3464担任教師たる長曽祢のまじめな声を聞きながら、暑さにぼうっとした頭で水心子は前の席の親友のうなじに浮かんだ汗を見ていた。
エアコンは一応ついているものの、なぜか快適なくらいには効かせてくれないのがこの学校だ。親友、清麿は暑さにも寒さにも弱い体質なので、今だって相当つらいだろう。──そう考える水心子自身だって、暑い夏はそれほど好きではなかった。
清麿に出会うまでは。
「……はい、では、これで終わりにする。課題と登校日を忘れずに、夏休み、楽しんでこい」
にっと笑った長曽祢に、元気な返事を合唱して教室は沸き立った。
夏休みが始まる。
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DONE水麿小説、官能小説家×ヌードモデルシリーズです!今回はすいくんの女性恐怖症について。過去も交えてます。この設定久々に書けてたのしかったー!!(水麿)官能小説家×ヌードモデル 4「この人、痴漢です!」
手を取られた時、状況が理解できなかったのを憶えている。
水心子の過去だ。高校生の頃、満員電車の中でそう女性に手を掴まれ掲げられた。驚いたなんてものではない。取られたその手はずっとショルダーバッグのベルトを握っていたのに、どうしてそんなことになるのか意味が分からなくて。
「僕は、なにも」
しかし周囲の目が視界に入った時、なにも言えなくなった。蔑むような、白々しいものを見る目。言葉を飲み、背筋には汗が噴き出した。
次の駅で女性と数人の男性客に引きずり降ろされても、どう無実を証明していいのか水心子には分からなかった。絶望した、このまま、自分はどうされるのだろうと。
しかしそれはすんでのところで追いかけてきた男性客に救われた。
3220手を取られた時、状況が理解できなかったのを憶えている。
水心子の過去だ。高校生の頃、満員電車の中でそう女性に手を掴まれ掲げられた。驚いたなんてものではない。取られたその手はずっとショルダーバッグのベルトを握っていたのに、どうしてそんなことになるのか意味が分からなくて。
「僕は、なにも」
しかし周囲の目が視界に入った時、なにも言えなくなった。蔑むような、白々しいものを見る目。言葉を飲み、背筋には汗が噴き出した。
次の駅で女性と数人の男性客に引きずり降ろされても、どう無実を証明していいのか水心子には分からなかった。絶望した、このまま、自分はどうされるのだろうと。
しかしそれはすんでのところで追いかけてきた男性客に救われた。
フスキ
DONE水麿小説です。テレビに熱中するまろくんに妬くすいくん。えちちの前後の話なので匂わせも無理な方はご注意ください!(水麿)耳も心も奪ってしまって 清麿には最近お気に入りのテレビ番組がある。今夜はその放送日だ。
ドラマではないのだが、途中にそのような描写も挟みつつ歴史を解読していく趣旨の番組で、ナレーターの声が低く響くのが心地よく気に入っている。内容も日本史を主に扱うので本丸の仲間たちの顔がよぎることも多く、それもあり毎回楽しみに見ていた。
始まる時間の五分前にテレビをつけると、日誌を書いていた同室の水心子がわずかに肩を跳ねさせた。
「……清麿、今日もあの番組?」
「うん。ああごめん、うるさかったかな」
日誌に向き合っているのにテレビの音なんて毒だろう。そう慌てて清麿はヘッドホンに手を伸ばした。しかし水心子は焦ったように声を上げて、そういうわけじゃないんだと口にしてまた黙ってしまう。
3278ドラマではないのだが、途中にそのような描写も挟みつつ歴史を解読していく趣旨の番組で、ナレーターの声が低く響くのが心地よく気に入っている。内容も日本史を主に扱うので本丸の仲間たちの顔がよぎることも多く、それもあり毎回楽しみに見ていた。
始まる時間の五分前にテレビをつけると、日誌を書いていた同室の水心子がわずかに肩を跳ねさせた。
「……清麿、今日もあの番組?」
「うん。ああごめん、うるさかったかな」
日誌に向き合っているのにテレビの音なんて毒だろう。そう慌てて清麿はヘッドホンに手を伸ばした。しかし水心子は焦ったように声を上げて、そういうわけじゃないんだと口にしてまた黙ってしまう。
フスキ
DONE水麿、薬研くんとまろくんの小説です。とあるきっかけから手入れ部屋のお手伝いをするようになったまろくんと見守るすいくんのお話。※重傷描写あります(水麿と薬研)白衣の天使 己の親友は優しい。審神者の命により手入れ部屋で手伝いをするようになってから、彼は本丸内で白衣の天使なんて呼ばれるようになった。
その呼称を親友、清麿はただの大袈裟なからかいだと一笑するけれど、なにも大袈裟なこともからかいもないと水心子は思う。清潔で慈愛に満ちた存在だ。
「へえ、薬研殿が出陣」
座卓の斜め横に座った清麿が、うん、と微笑んだ。
「最近ずっと手入れ部屋にこもりきりだったけれど、戦育ちの刀だからね。やっと戦場に出られるって、それはもう喜んでいて」
「それじゃ明日、手入れ部屋はどうするんだ?」
「うん……それなんだけれど」
どこか面映ゆそうに、彼が頬を掻く。
「明日は、僕が管理者代理をするんだ」
水心子は目を見開いた。手入れ部屋の管理者といえば、この本丸では薬研がずっと一人で勤め続けてきた重要な役職だ。そこに清麿が、代理とはいえ立つことになるなんて。
5656その呼称を親友、清麿はただの大袈裟なからかいだと一笑するけれど、なにも大袈裟なこともからかいもないと水心子は思う。清潔で慈愛に満ちた存在だ。
「へえ、薬研殿が出陣」
座卓の斜め横に座った清麿が、うん、と微笑んだ。
「最近ずっと手入れ部屋にこもりきりだったけれど、戦育ちの刀だからね。やっと戦場に出られるって、それはもう喜んでいて」
「それじゃ明日、手入れ部屋はどうするんだ?」
「うん……それなんだけれど」
どこか面映ゆそうに、彼が頬を掻く。
「明日は、僕が管理者代理をするんだ」
水心子は目を見開いた。手入れ部屋の管理者といえば、この本丸では薬研がずっと一人で勤め続けてきた重要な役職だ。そこに清麿が、代理とはいえ立つことになるなんて。
フスキ
DONEワードパレット、7番「払暁に擁す」たまらない・腕にかかる寝息・触れるだけ、で水麿小説です。明け方に目覚めていちゃこらする話。(ワードパレット・水麿)払暁に擁す(たまらない・腕にかかる寝息・触れるだけ) とても穏やかな夢を見ていた。水心子が笑っていて、何よりそれがうれしくて清麿まで笑ってしまうような、そんな柔らかな世界だった。
けれどそれは線香花火の玉のようにふつりと落ちて、覚醒していく自分を悟った時にもったいなさで苦しくなった。もっとここにいたいな。水心子が笑っていてくれる世界なんて最高じゃないか。また意識が眠りに沈みかけ、彼の笑顔が見える。そうだこれでいい。ずっと寝ていたいよ……。
『起きたら、もっといい世界があるぞ』
耳元で、囁かれたような気がした。
目を開いた。部屋にはうっすら明け方の気配が差し込んでいるけれどまだ暗い。早く起きすぎてしまったのだ。残念に思う。あんな優しい夢はそうないのに。もっとあそこにいたかったのに、こんな時間に起きてしまうなんて。
1685けれどそれは線香花火の玉のようにふつりと落ちて、覚醒していく自分を悟った時にもったいなさで苦しくなった。もっとここにいたいな。水心子が笑っていてくれる世界なんて最高じゃないか。また意識が眠りに沈みかけ、彼の笑顔が見える。そうだこれでいい。ずっと寝ていたいよ……。
『起きたら、もっといい世界があるぞ』
耳元で、囁かれたような気がした。
目を開いた。部屋にはうっすら明け方の気配が差し込んでいるけれどまだ暗い。早く起きすぎてしまったのだ。残念に思う。あんな優しい夢はそうないのに。もっとあそこにいたかったのに、こんな時間に起きてしまうなんて。