肴飯のポイ箱
DONE春といえばなお話です。少年期の二人がわちゃわちゃしながら過ごすお話を書くのがとても楽しいですね☺️✨🌸✨ようこそ、春 春。という季節がダンデは小さな頃から大好きだった。草むらを転がれば鼻をくすぐってくる甘い草の香りに、日差しを浴びて気持ちよさそうにしている小さなポケモン達。彼がチャンピオンになって数年経った今でも、春の時期は休みを見つけてはワイルドエリアや野山を駆け回り、野生のポケモン達とバトルをして季節の変わり目を満喫していた。その日も、ワイルドエリアを走り回ってから木登りをした。昼寝をしていたのか、カジッチュが木の上でゆらゆらとりんごを揺らしながら目を閉じていたので、起こさないようにそうっと横に座る。木の軋む音で、起きてしまわないかとダンデはドキドキしたが、よほど日差しが気持ちいいのだろう。全く起きる様子も無く、夢の縁で揺れているようだった。
3013肴飯のポイ箱
DONEREVELЯY2411「COUNT DOWN vol.2」の書き手クイズ企画に提出した作品となります。お題「催眠 付き合ってないキダ」
開催中はドキドキとしながら過ごしておりました!すごく楽しい企画でした☺️✨ありがとうございました!
夜空、星二つ ガラルにしては気持ちの良い、からりとした青空が朝から広がっている日だった。ブラックナイトに関する諸問題で暫く奔走を余儀なくされていたキバナは、ようやく業務もひと段落し始めた。屋外での作業は晴れの少ないガラルでは何よりも優先したい事柄だ。そんなこともあって、キバナは温かな陽気の中、ナックルジムの中庭で膝と頬を土で汚しながらせっせと植物の剪定に明け暮れていた。元が城ということもあり、一般の人々が立ち入らない場所には未だに当時の面影を残す部分が多い場所だ。キバナが居る中庭もその一つで、ナックルのジムリーダーが代々手入れをしていくことがいつの頃から習わしとなっていると聞いていた。初めてその役割を聞いた時には正直乗り気では無かったキバナだったが、元々好奇心旺盛な方だと自覚していることもあって、やり始めてみればなんだかんだと楽しみを見つけ出し、気付けば少しずつこだわりも持つようにもなってきた。
6909肴飯のポイ箱
DONE12月オンイベ展示作品その②(新しいお話)みんなが寝静まった夜。こっそりひっそり楽しく過ごす不思議な生き物のキバナとダンデのお話
「🎄ホリデー編🌟」
※ポ世界のクリスマス概念が曖昧な為、あえてクリスマスから正月までをホリデーと設定してお話をかいています。細かく考えず緩くお楽しみください🌟👻👻🎄
それは賑やかな すっかり夜の帳が下り、静まり返ったとある家のキッチン。小綺麗に整頓されたそんな場所を小さな林檎程の大きさの何かが二つ、白い布を頭から被ってチョロチョロと薄暗いキッチンの中を動き回っている。
「キバナ、息が真っ白だ!寒いなぁ」
「今日も月が大きいなぁ。でも、流石に今日はみんな寝てるだろ」
月明かりに照らされたキッチンを、キバナと呼ばれた大きい方がそれよりも少し小さなダンデの手を引きながらずんずん進んでいく。
少し前にお菓子を貰ったキッチンは、同じように整えられていた。水切り籠にはジュラルドンとリザードンが描かれたカップが逆さまになって雫を落としていた。今日は、それ以外にもカラフルなカップや皿がたくさん並んでおり、いつもは食器棚の一番上で偉そうにしている白地に金の模様が入った大きな皿も、ピカピカに洗われて月の光を反射している。
2994「キバナ、息が真っ白だ!寒いなぁ」
「今日も月が大きいなぁ。でも、流石に今日はみんな寝てるだろ」
月明かりに照らされたキッチンを、キバナと呼ばれた大きい方がそれよりも少し小さなダンデの手を引きながらずんずん進んでいく。
少し前にお菓子を貰ったキッチンは、同じように整えられていた。水切り籠にはジュラルドンとリザードンが描かれたカップが逆さまになって雫を落としていた。今日は、それ以外にもカラフルなカップや皿がたくさん並んでおり、いつもは食器棚の一番上で偉そうにしている白地に金の模様が入った大きな皿も、ピカピカに洗われて月の光を反射している。
肴飯のポイ箱
DONEオンイベ展示用作品(過去作再掲)みんなが寝静まった夜。こっそりひっそり楽しく過ごすちょっと不思議な生き物なキバナとダンデのお話。👻👻
「🎃ハロウィンのお話🎃」
それはささやかな すっかり夜の帳が下り、静まり返ったとある家のキッチン。水切りカゴに置かれたジュラルドンとリザードン柄のマグカップから落ちる雫が、時折静けさの中にピチョンっと控えめに響き渡る。小綺麗に整頓されたそんな場所を小さな林檎程の大きさの何かが二つ、白い布を頭から被ってチョロチョロと薄暗いキッチンの中を動き回っている。
キッチンには灯りは点いておらず、勝手口横の小窓から見える満月が、その動き回る何かの手助けをしているように淡くまろい光を落としていた。
「キバナ、おつきさまがピカピカだ」
「そうだな。おかげであるくのにこまらない」
「ジャンプしてみろ!かげがふわふわうごくぞ!」
「ダンデ、しぃー……だれかにみつかったらどうするんだよ」
1104キッチンには灯りは点いておらず、勝手口横の小窓から見える満月が、その動き回る何かの手助けをしているように淡くまろい光を落としていた。
「キバナ、おつきさまがピカピカだ」
「そうだな。おかげであるくのにこまらない」
「ジャンプしてみろ!かげがふわふわうごくぞ!」
「ダンデ、しぃー……だれかにみつかったらどうするんだよ」
肴飯のポイ箱
DONEロマンチストな1人と、そうじゃない1人の話。一度は書いてみたかったネタです。良いホリデーをお過ごしください🎄✨🎁ベタって言わないでくれ それは、ツンッと鼻が痛くなるような寒い冬の朝だった。
「はいこれ、やるよ」
付き合って3年目の冬。12月に入ってから一気に寒さの増したガラルでは街中の至る所にホリデーの飾り付けがされ始め、夜になると街中がまるでおもちゃ箱のように輝き、賑やかな姿となる。朝食を終えたリビングで、無造作にキバナから渡された平べったい箱は、1から25までの数字が順に書かれており、ツリーやリース、雪だるま。おもちゃ箱の街並みをそのまま写したような見た目の物だった。
「……これは?」
「アドベントカレンダーってやつ。この間見つけてさ。ちょっと面白そうだなって」
「おお!これがあのアドベントカレンダーなのか」
「あのって?」
「この間ハロンに寄った時、母さんと家にお茶をしに来ていたソニアがドラマを見ていてな。そこに出てきてたんだ」
1471「はいこれ、やるよ」
付き合って3年目の冬。12月に入ってから一気に寒さの増したガラルでは街中の至る所にホリデーの飾り付けがされ始め、夜になると街中がまるでおもちゃ箱のように輝き、賑やかな姿となる。朝食を終えたリビングで、無造作にキバナから渡された平べったい箱は、1から25までの数字が順に書かれており、ツリーやリース、雪だるま。おもちゃ箱の街並みをそのまま写したような見た目の物だった。
「……これは?」
「アドベントカレンダーってやつ。この間見つけてさ。ちょっと面白そうだなって」
「おお!これがあのアドベントカレンダーなのか」
「あのって?」
「この間ハロンに寄った時、母さんと家にお茶をしに来ていたソニアがドラマを見ていてな。そこに出てきてたんだ」
en12412411
DONEキバダンショ夕プチ企画「TEENAGER!!」参加作品アニバコスなキバナとマジコスなダンデのよくあるわちゃわちゃした話です。
最後の一コマが描きたいためのまんがでした!
PASS→キダ数字 4
肴飯のポイ箱
DONEお題『映画』※チャンプ時代
※無自覚矢印
これからタイトルが付く二人のお話です。
エンドロールはまだ遠く 初夏の日差しが容赦無く差し込む広場も、日が翳ってくれば気温がグッと下がってくる。足元を過ぎていく涼しい風に、少しだけ肌を泡立たせながら、キバナとダンデは臨時で張られたイベントテントの下で帰り支度を進めていく。
キルクスタウンで行われた小さな子ども向けイベントは、チャンピオンダンデとそのライバルのキバナが揃って登場した事で、それはもう大盛況だった。ほぼ一日がかりのイベントは夕方になって漸く終わり、明日はそのままオフ。ここからはリーグから手配されたホテルに二人揃って泊まることになっていた。
「キミも明日オフだろ、部屋遊びに行って良いか?」
「オッケー。だけどお前は動くな、オレさまが行くから」
ジムチャレンジ時代から交流のある二人は、時間が合えばオフで遊ぶことも多い。泊まりで同じホテルであれば、どちらかの部屋で夜更かしをすることもよくある事だった。
2528キルクスタウンで行われた小さな子ども向けイベントは、チャンピオンダンデとそのライバルのキバナが揃って登場した事で、それはもう大盛況だった。ほぼ一日がかりのイベントは夕方になって漸く終わり、明日はそのままオフ。ここからはリーグから手配されたホテルに二人揃って泊まることになっていた。
「キミも明日オフだろ、部屋遊びに行って良いか?」
「オッケー。だけどお前は動くな、オレさまが行くから」
ジムチャレンジ時代から交流のある二人は、時間が合えばオフで遊ぶことも多い。泊まりで同じホテルであれば、どちらかの部屋で夜更かしをすることもよくある事だった。
肴飯のポイ箱
DONEお題『雨の日』※is over後🗼
どうしてもあの夜がこびりついているお話。
あと15センチ 朝方から分厚い雲が占拠していた外の景色も、午後に入るといよいよ大粒の雨が降り始め、今やもうバタバタと執務室の窓ガラスを叩き続けている。タワーは構造上ガラス部分が多いため、天気の変化がよく分かる。バトルタワーの来場者数は、屋内バトル施設という事もあり寧ろいつもより多いくらいの数であったが、今日はダンデの所まで登ってくるトレーナーはまだ居ないらしい。そうなると事務仕事が増えてくるわけで。ダンデは朝から山のように積まれた書類達をせっせと捌いていた。
「オーナー、時間ですよ」
「ああ、もうそんな時間か。通してくれ」
「実は、もう来ちゃってたりしてな」
「おお。ビックリしたぜ」
「全然してない顔じゃん!」
悪戯な顔でドアの後ろから顔を出す来客、もといキバナは想像と違う反応に少し不貞腐れた顔をする。その気安いやりとりに、クスリと笑みを浮かべた秘書は応接テーブルの上に手早くティーセットを置く。
1314「オーナー、時間ですよ」
「ああ、もうそんな時間か。通してくれ」
「実は、もう来ちゃってたりしてな」
「おお。ビックリしたぜ」
「全然してない顔じゃん!」
悪戯な顔でドアの後ろから顔を出す来客、もといキバナは想像と違う反応に少し不貞腐れた顔をする。その気安いやりとりに、クスリと笑みを浮かべた秘書は応接テーブルの上に手早くティーセットを置く。
肴飯のポイ箱
DONEお題「相棒」変わらないものと、変えたいものについて。これからキダになる。そんなお話。
変わらない、変わりたい 夜の帳が下りてから大分時間も経ち、今や空の天辺には艶やかに月が光り輝いている。月明かりによって漸く足元が見えるような部屋のさらに奥。窓も無い物置部屋は橙色の小さな室内灯によって照らされている。
「あれ…やっぱりねえな」
物置部屋からあちこち物を引っ張り出しては首を捻る長身の男は、最後に諦めきれないようにザッと散らかった部屋の中を見回す。が、お目当てのものは見つけられなかったのだろう。心なしかガックリと肩を落としながら部屋の電気を落とす。
パチリ、と音を響かせてスイッチを押せば部屋の中はたちまち薄白い光が差し込むだけとなる。
「ゴーキン」
「おっジュラルドン。どうした?月光浴はもう良いのか?」
ベランダに通じるガラス戸を器用に開けて、のっしのっしと音を立てながら自分の方へと歩いてくる白銀の相棒に、長身の男の正体であるキバナは、優しく笑いながら話しかける。いつもならもう少し月夜を浴びて楽しんでいる筈なのに、体調でも悪いのだろうか。そう、少し心配になってじっとこちらを見つめてきているジュラルドンのボディをチェックしようとした瞬間。
4496「あれ…やっぱりねえな」
物置部屋からあちこち物を引っ張り出しては首を捻る長身の男は、最後に諦めきれないようにザッと散らかった部屋の中を見回す。が、お目当てのものは見つけられなかったのだろう。心なしかガックリと肩を落としながら部屋の電気を落とす。
パチリ、と音を響かせてスイッチを押せば部屋の中はたちまち薄白い光が差し込むだけとなる。
「ゴーキン」
「おっジュラルドン。どうした?月光浴はもう良いのか?」
ベランダに通じるガラス戸を器用に開けて、のっしのっしと音を立てながら自分の方へと歩いてくる白銀の相棒に、長身の男の正体であるキバナは、優しく笑いながら話しかける。いつもならもう少し月夜を浴びて楽しんでいる筈なのに、体調でも悪いのだろうか。そう、少し心配になってじっとこちらを見つめてきているジュラルドンのボディをチェックしようとした瞬間。
肴飯のポイ箱
DONEお題『掃除』溢れ出る物が沢山あるのが嬉しいっていう話です。
⏳🐈に妨害されながらの二日
明日、写真を撮ろうか シュートシティを見下ろすマンションの最上階。大型のポケモン達が悠々と寛げる程の広さがあるその家の一室は今、大量の本達によって埋まっていた。
「自分達で言うのもなんだけど、すげぇ溜め込んだよな」
「ヨクバリスも真っ青な溜め込み方だぜ」
家主の一人であるキバナが、艶のある濡鴉色の髪を指で掻き混ぜながら唸る。応えるダンデも琥珀色の瞳を曇らせて、眉間に皺を寄せながら腕を組んで唸る。
二人が結婚し早片手の指を超える年数が立っている。このマンションを購入してからは、主に家具家電をキバナが主導して揃えてきた。ポケモンに関する物はダンデも考えて意見を出し、二人とポケモン達の居心地の良い場所を作っていけば、次第に物が増えていくのも自然な流れ。まあ、目の前の惨状は一緒に暮らしてきた軌跡の結果だといえば聞こえはいいが、結局の所怠慢による本の洪水だ。
2975「自分達で言うのもなんだけど、すげぇ溜め込んだよな」
「ヨクバリスも真っ青な溜め込み方だぜ」
家主の一人であるキバナが、艶のある濡鴉色の髪を指で掻き混ぜながら唸る。応えるダンデも琥珀色の瞳を曇らせて、眉間に皺を寄せながら腕を組んで唸る。
二人が結婚し早片手の指を超える年数が立っている。このマンションを購入してからは、主に家具家電をキバナが主導して揃えてきた。ポケモンに関する物はダンデも考えて意見を出し、二人とポケモン達の居心地の良い場所を作っていけば、次第に物が増えていくのも自然な流れ。まあ、目の前の惨状は一緒に暮らしてきた軌跡の結果だといえば聞こえはいいが、結局の所怠慢による本の洪水だ。
肴飯のポイ箱
DONEワンドロお題「キャンプ」灯台下暗しな1人と、灯台の下でのんびりと焚き火しながら待つ1人の話。
※👑時代
それこそシンプル ワイルドエリアの一角で、こじんまりとしたテントと簡易椅子を一つ。長いライラック色の髪を揺らしながら、慣れた手つきであっという間に設営したダンデは、風に飛ばされそうになるキャップを片手で抑えながら空を見上げる。昨日は雨マークが付いていた場所も、今日は見違えるような青空だ。少し前にボールから出した手持ち達は今横にいるリザードンを残してみんな自由に寛いでいる。
「久しぶりにこうした時間を過ごすなぁ」
チャンピオンという立ち位置について数年。毎日が目まぐるしく過ぎる中で、今日は漸く取れた休日だった。肺に思い切り息を吸い込むと鮮やかな草の香り。風に揺れる草花の音と一緒にあちこちからポケモン達の生きる音が聞こえてくる。そんな音に耳を傾けながら、ダンデは草原に思い切り大の字になって寝そべり、目を閉じる。
2885「久しぶりにこうした時間を過ごすなぁ」
チャンピオンという立ち位置について数年。毎日が目まぐるしく過ぎる中で、今日は漸く取れた休日だった。肺に思い切り息を吸い込むと鮮やかな草の香り。風に揺れる草花の音と一緒にあちこちからポケモン達の生きる音が聞こえてくる。そんな音に耳を傾けながら、ダンデは草原に思い切り大の字になって寝そべり、目を閉じる。
肴飯のポイ箱
DONE少年kbn君と同年代🚺dndちゃんの話。「まずは一手」の続きです。
何でもかんでも楽しくなっちゃう2人の話。
※dndさん先天性女体化
ずっとキラキラが見えた ナックルシティの少し奥まった所にある漆喰と煉瓦壁が特徴の小さなティールームの一角。青々とした観葉植物が並べられたコンサーバトリー内では、淡いブルーの茶器に注がれた花のような香りのする紅茶に、同じく淡い色を基調にしたティースタンド。その上には宝石のような軽食やお菓子達が行儀良く並んでいた。
「…おお…キラキラだぜ!」
テーブルに広げられたそれらを、琥珀色の瞳を無邪気に輝かせながら笑顔になるダンデの姿に、キバナはホッと胸を撫で下ろす。
「喜んでくれて良かった」
「お昼、迷子になってたら食べ損ねてたんだ。助かったぜ」
「そんなに歩き回ってたのかよ?電話すればよかったじゃん」
「いや、まあそうなんだが。服を見てもらいたいって電話は流石にし難くて…」
1750「…おお…キラキラだぜ!」
テーブルに広げられたそれらを、琥珀色の瞳を無邪気に輝かせながら笑顔になるダンデの姿に、キバナはホッと胸を撫で下ろす。
「喜んでくれて良かった」
「お昼、迷子になってたら食べ損ねてたんだ。助かったぜ」
「そんなに歩き回ってたのかよ?電話すればよかったじゃん」
「いや、まあそうなんだが。服を見てもらいたいって電話は流石にし難くて…」
肴飯のポイ箱
DOODLEワンドロ少年kbn君と同年代🚺dndちゃんの話。
※先天性女体化です。
心より行動が先にくる1人と、心が来てから一気に行動し始める1人の話
お題『初恋or意識し始め』
まずは一手 昼下がりのナックルシティ。ジムリーダーになって一年とちょっと。自分に割り振られた仕事をなんとか回せるようになってきたキバナは、最近になって漸く入ることを許された宝物庫内の書庫に昼休憩はもっぱら入り浸っていた。保存の観点から外に全く出される事のない書庫は、知的好奇心が強いキバナにとっては大分豪華なオモチャ箱のようなものだった。
「(今日は午後から休みだし、入室許可も取った。絶対閉まるギリギリまで入り浸ってやる!)」
少し浮き足だった歩みで書庫の扉を開け、少し埃っぽい空気を吸い込む。この、何とも言えない紙とインクの香りがキバナは大好きだった。
ナックルジムの書庫は少し不思議な形をしている。吹き抜け式の円柱型の室内には螺旋階段がぐるりとドラゴンの体のように巻き付いている。その螺旋に沿って壁に本棚が埋め込まれている。光を最低限取り込む為に作られた丸い天窓には、月と太陽をモチーフにしたステンドグラスが嵌められており、外の光を透かして淡い彩光を放っている。
2021「(今日は午後から休みだし、入室許可も取った。絶対閉まるギリギリまで入り浸ってやる!)」
少し浮き足だった歩みで書庫の扉を開け、少し埃っぽい空気を吸い込む。この、何とも言えない紙とインクの香りがキバナは大好きだった。
ナックルジムの書庫は少し不思議な形をしている。吹き抜け式の円柱型の室内には螺旋階段がぐるりとドラゴンの体のように巻き付いている。その螺旋に沿って壁に本棚が埋め込まれている。光を最低限取り込む為に作られた丸い天窓には、月と太陽をモチーフにしたステンドグラスが嵌められており、外の光を透かして淡い彩光を放っている。
肴飯のポイ箱
DONEワンドロお題「駆け引き•取り引き」
立ち止まって周りを見たら不安になってしまった1人と、立ち止まった先でずっと待っていた1人の話。
※イズオーバー後同棲設定
すっごい…難産でした…でも楽しかった!
よーいどん すっかりと夜の帳が下りたナックルシティの片隅。夕食もシャワーも終わらせたキバナは、リビングでのんびりと読書をしながら膝に顎を乗せてくるフライゴンの頭を撫でて存分にリラックスモードだった。間接照明によって柔らかい明るさに包まれた部屋の中では、他のポケモン達ものんびりと寛いでおり平和の一言だ。ただ、少し引っかかる事があるとすれば同棲している恋人の様子が変だったこと。仕事から帰って来たと思えば夕飯もそこそこに共有してる書斎に引き篭もってしまった。
まあ、何かに集中したい時には同じような事は度々あった。キバナもたまにやる。ただ、今回は表情がいつもより鬼気迫ったというか焦っていたというか。
「…ふりゃ」
撫でる手が止まっていた事にちょっと不満げな声でフライゴンが拗ねる。それに謝るように撫でる動きを再開すると、満足そうに目を細めて擦り寄ってくる。そんな可愛い姿に、今日は甘えただなぁ。なんて思いながらキバナは読書を続ける。
3171まあ、何かに集中したい時には同じような事は度々あった。キバナもたまにやる。ただ、今回は表情がいつもより鬼気迫ったというか焦っていたというか。
「…ふりゃ」
撫でる手が止まっていた事にちょっと不満げな声でフライゴンが拗ねる。それに謝るように撫でる動きを再開すると、満足そうに目を細めて擦り寄ってくる。そんな可愛い姿に、今日は甘えただなぁ。なんて思いながらキバナは読書を続ける。
肴飯のポイ箱
DOODLEワンドロ開催ありがとうございます!⏳30分
お題『手を握る』
一歩分の見える景色の違いの話です。
一歩前の世界「ほら」
心底仕方がないという顔をした後に、宙を彷徨っていたオレの手を引いて足速に歩き出すその背中を、静かに眺めながら歩く時間が実は密かな楽しみだと言ったらキミは怒るだろうか。
何度も繰り返されるこの道案内のやり取りに、いつか愛想を尽かされてしまうかもな。なんて自嘲しながらも、自分と同じ所にタコのあるトレーナー特有のガサついた手を、少しだけ力を入れて握り返す。自分より低い体温を帯びた指先が、少しでも長く自分の手と繋がってくれてたらいいのに。
そんな自分勝手な想いを、自分より幾分か広い背中に向かって視線と共に密かに飛ばしたが、キバナの足並みは勿論全く変わらなかった。
◇◆◇
「ほら」
スイっと目の前に差し出された彼の手の意図が掴めずキョトンと見つめていたら。差し出してきた本人も先ほどジュースバーでお揃いで買ったウブのみ入りのスムージーを空いたもう一方の手に持ちながら、一緒になって首を傾げていた。
992心底仕方がないという顔をした後に、宙を彷徨っていたオレの手を引いて足速に歩き出すその背中を、静かに眺めながら歩く時間が実は密かな楽しみだと言ったらキミは怒るだろうか。
何度も繰り返されるこの道案内のやり取りに、いつか愛想を尽かされてしまうかもな。なんて自嘲しながらも、自分と同じ所にタコのあるトレーナー特有のガサついた手を、少しだけ力を入れて握り返す。自分より低い体温を帯びた指先が、少しでも長く自分の手と繋がってくれてたらいいのに。
そんな自分勝手な想いを、自分より幾分か広い背中に向かって視線と共に密かに飛ばしたが、キバナの足並みは勿論全く変わらなかった。
◇◆◇
「ほら」
スイっと目の前に差し出された彼の手の意図が掴めずキョトンと見つめていたら。差し出してきた本人も先ほどジュースバーでお揃いで買ったウブのみ入りのスムージーを空いたもう一方の手に持ちながら、一緒になって首を傾げていた。
肴飯のポイ箱
DOODLEついつい増えるキッチン便利グッズと小さなプライドを抱える1人と、それが分かってるけど構いたくなる1人の話。※kbdnです
※🤒ネタ
※真面目にレンジスチーマー便利です
※ロトちゃんは自由でなんぼ
どんな四文字だったのかは皆さんの想像にお任せします😴
よんもじ 遮光性の高いネイビー色のカーテンを閉め切り、ベッドサイドの小さなライトのみをつけた薄暗い室内。加湿器の微かな駆動音が耳元で流れるだけの空間で、部屋の主であるキバナは文字通りダウンしていた。特筆することは無い。季節性の風邪にやられたのだ。最初はその週ジムの受付を担当していたヒトミが。それを皮切りに次々とスタッフ達がやられていく中で、気を付けてはいたつもりだったがどうやらウイルスの方が一枚上手だったらしい。結局数日前から熱を出してベッドに撃沈し、今もしつこい咳と熱に悩まされているわけである。手持ちのポケモン達をポケモンセンターに預けてこれたのだけはよくやった自分と褒め称えつつ、今はなんとかゼリーと一緒に薬を飲んではベッドに沈む生活を繰り返している。
2727pimankoubo
DONEワンドロ音楽、音お借りしました
君の心音の終わりまで君の心音の終わりまで
生を紡ぐ君の音。
姿が変わろうと、どれだけ歳を重ねようと変わらない、揺らがない君の生の証明。
君の胸に耳を当てて瞳を閉じれば今日も君の音と体温が優しく俺を包んだ。
「しってる?人の命が終るとき、最後まで残る感覚は聴覚らしいよ」
そんな声が聞こえた気がして瞳を開ければ、少し開いた扉の向こうからキバナがキッチンで遅い朝食を作る音が聞こえてきた。
「…………ゆめか」
ふわりと鼻をくすぐる紅茶と、スコーンの薫り。
昼間の温い布団の中で目を擦りながらくわりとあくびを一つ。
もぞもぞとシーツの中に潜り込み再び瞳を閉じたら、今度はトク…トク…と自分の心音が耳の奥に響いた。
トク…トク…
穏やかな、それでいて規則正しい俺の音。
2156生を紡ぐ君の音。
姿が変わろうと、どれだけ歳を重ねようと変わらない、揺らがない君の生の証明。
君の胸に耳を当てて瞳を閉じれば今日も君の音と体温が優しく俺を包んだ。
「しってる?人の命が終るとき、最後まで残る感覚は聴覚らしいよ」
そんな声が聞こえた気がして瞳を開ければ、少し開いた扉の向こうからキバナがキッチンで遅い朝食を作る音が聞こえてきた。
「…………ゆめか」
ふわりと鼻をくすぐる紅茶と、スコーンの薫り。
昼間の温い布団の中で目を擦りながらくわりとあくびを一つ。
もぞもぞとシーツの中に潜り込み再び瞳を閉じたら、今度はトク…トク…と自分の心音が耳の奥に響いた。
トク…トク…
穏やかな、それでいて規則正しい俺の音。
肴飯のポイ箱
DONEワンドロお題「恋バナ•恋愛相談」⏳半日ちまちま
nzさんにだけめっちゃ自を出して事あるごとに駆け込み寺にしていたdndさんの話と、まさかの全力疾走する事になったkbnさんの話。
※🗼時空
やったもん勝ちの勝利宣言 好きに種類があるなんて、ダンデはキバナに会うまで知らなかった。知らなかったのだ。
『ダンデ、恋の昇級戦!?』
『深夜の密会か?夜の街に消えるニ人』
ちょっと上手い言い回しだな。なんて現実逃避をしながら本日発売されたゴシップ誌のページを捲るが、内容の事実無根さに眩暈を覚えて思わず目頭を押さえる。
「…この記事を書いた記者は、小説家にでもなったほうがいいんじゃないか?」
「良いですねそれ。この腐れゴシップ誌を発行した会社へしっかりと伝えておきますね!」
ダンデの少し仄暗い皮肉をしっかりと拾い上げた秘書は、声は明るさこそ保っているが顔は一つも笑っていなかった。
「一月後、このクソな会社の土地を更地にする勢いで法務部がやり合いますのでご安心を。ただ2、3日はタワーも通常営業どころでは無いので今日はこのままお帰りください」
2892『ダンデ、恋の昇級戦!?』
『深夜の密会か?夜の街に消えるニ人』
ちょっと上手い言い回しだな。なんて現実逃避をしながら本日発売されたゴシップ誌のページを捲るが、内容の事実無根さに眩暈を覚えて思わず目頭を押さえる。
「…この記事を書いた記者は、小説家にでもなったほうがいいんじゃないか?」
「良いですねそれ。この腐れゴシップ誌を発行した会社へしっかりと伝えておきますね!」
ダンデの少し仄暗い皮肉をしっかりと拾い上げた秘書は、声は明るさこそ保っているが顔は一つも笑っていなかった。
「一月後、このクソな会社の土地を更地にする勢いで法務部がやり合いますのでご安心を。ただ2、3日はタワーも通常営業どころでは無いので今日はこのままお帰りください」
肴飯のポイ箱
DOODLEワンドロお題「初めて」
⏳1h +30
変わりすぎて一歩がすくんでしまっていた1人を無自覚に一歩どころが100歩踏み出させる1人とベストタイミングで突き飛ばすもう1人の話。
※is over後
覚えてないなら今にして それは、酒の席での他愛無い、ちょっとした好奇心だった。
「ダンデのファーストキスっていつだったの?」
事の始まりは薄暗がりなパブの片隅で、テーブルの少し冷めたチップスを指で弄びながらキバナが尋ねたこの質問から始まった。キバナは、10年以上転がし続けたダンデへの恋心を一体何処へ落ち着けようかとずっと悩んでいた。
チャンピオンがあの子に変わってから、リーグに関わる人間の多くは環境がガラリと変わった。それこそキバナに至ってはジムの修繕手続きやら、新しい体制でのジムチャレンジに向けたあれこれやらと、何かと忙しく。
そんな中で、久しぶりにリーグ会議で一緒の帰りになって、ダンデから明日はオフだとも聞いてしまえば、折角だから帰りに軽く一杯引っ掛けようなんて言葉が出てくるのも自然な事だった。あわよくばちょっと酔った姿のダンデが見てみたい。そんなちょっと下心を持ちつつ誘ってみたら思ったよりも嬉しそうに乗ってくれて。正面で向かい合って話す事ができて浮かれていた事もある。そこからのちょっとした好奇心と、少しの足踏み。様々な事が一気に変わってしまったこの一年で、キバナは一歩踏み出す事に少しだけ臆病風に吹かれていたと言ってもいい。
3109「ダンデのファーストキスっていつだったの?」
事の始まりは薄暗がりなパブの片隅で、テーブルの少し冷めたチップスを指で弄びながらキバナが尋ねたこの質問から始まった。キバナは、10年以上転がし続けたダンデへの恋心を一体何処へ落ち着けようかとずっと悩んでいた。
チャンピオンがあの子に変わってから、リーグに関わる人間の多くは環境がガラリと変わった。それこそキバナに至ってはジムの修繕手続きやら、新しい体制でのジムチャレンジに向けたあれこれやらと、何かと忙しく。
そんな中で、久しぶりにリーグ会議で一緒の帰りになって、ダンデから明日はオフだとも聞いてしまえば、折角だから帰りに軽く一杯引っ掛けようなんて言葉が出てくるのも自然な事だった。あわよくばちょっと酔った姿のダンデが見てみたい。そんなちょっと下心を持ちつつ誘ってみたら思ったよりも嬉しそうに乗ってくれて。正面で向かい合って話す事ができて浮かれていた事もある。そこからのちょっとした好奇心と、少しの足踏み。様々な事が一気に変わってしまったこの一年で、キバナは一歩踏み出す事に少しだけ臆病風に吹かれていたと言ってもいい。
kusobokeobaa
MOURNINGpixivに載せたものこちらにも載せておきました。18歳未満の方閲覧できません。
下ネタ全開のkbdnです。dndさんが狂っています。よろしくお願いします。
pass:18↑?+キダ数字 13
888
DONE12月17日のキダプチで作った冊子の中身です。漫画と話の内容は一緒です。
パスワードはお品書きのpassとCP数字。
うたた寝ンデの昼下がりキダ「あっ?」
無い。
何が無いって? 資料が。今日これから行われる会議のために準備してきた資料が、オレの鞄の中に無いのである。朝、起床してからここに至るまでの自分の行動を辿っていくと思い当たる原因は一つ。
家に忘れてきた。
そのことに気付いたオレは慌ただしく立ち上がり、事務室で自分の業務をこなしているジムトレーナーに話しかける。
「レナ! 先方が来るのって何時だったっけか」
額に汗を浮かべるオレさまを一瞬不思議そうに眺めながらも、レナはすぐその問い掛けに返事をくれた。
「十五時と聞いています」
「ッあと三十分か……」
「どうかなさいました?」
ドタバタと外出の準備を始めるオレが流石に気になったのか、手元の作業を一旦中断したレナに笑いかける。
2399無い。
何が無いって? 資料が。今日これから行われる会議のために準備してきた資料が、オレの鞄の中に無いのである。朝、起床してからここに至るまでの自分の行動を辿っていくと思い当たる原因は一つ。
家に忘れてきた。
そのことに気付いたオレは慌ただしく立ち上がり、事務室で自分の業務をこなしているジムトレーナーに話しかける。
「レナ! 先方が来るのって何時だったっけか」
額に汗を浮かべるオレさまを一瞬不思議そうに眺めながらも、レナはすぐその問い掛けに返事をくれた。
「十五時と聞いています」
「ッあと三十分か……」
「どうかなさいました?」
ドタバタと外出の準備を始めるオレが流石に気になったのか、手元の作業を一旦中断したレナに笑いかける。
pimankoubo
DONE半年前初めて書いたキダを書き上げました。こちらに加筆修正+書き下ろしをしたものをいつか本に出来たらとたくらんでいます。
⚠️シリアス
沢山ないて沢山悩む
ハッピーエンドではある
パス2411315 10092
肴飯のポイ箱
DONEお題『会いたい』を拝借しました!⏳1h +30
煙の香りってびっくりするほど残るよねって話です。
※恋人になって少し経った二人
そこにいてくれ パチリと時折思い出したかのように跳ねる火の粉が夜空に飛び上がってフッと闇に紛れていく。薄茶色だった丸太型のトーチに置かれた小さな火種から、ゆっくりと煙が上がっていたのはだいぶ前のことだ。今は風が吹く度にその体の隙間から拍動するような赤を見せながらダンデ達を温めてくれている。
ワイルドエリアでのキャンプは、二人が子どもの頃から何度もしてきた。ライバルという関係に恋人という肩書きが追加されてからもそれは変わらず。忙しい時期であっても一月に一度はキャンプをして昼間にポケモン達と遊び、夜にはこうしてゆったりと二人静かに火を囲む。言葉に出して約束をしている訳では無いが、普段の慌ただしい日常から切り離されるこの時間は二人にとっても、一緒に過ごしてくれるポケモン達にとっても大切な時間となっている。
2445ワイルドエリアでのキャンプは、二人が子どもの頃から何度もしてきた。ライバルという関係に恋人という肩書きが追加されてからもそれは変わらず。忙しい時期であっても一月に一度はキャンプをして昼間にポケモン達と遊び、夜にはこうしてゆったりと二人静かに火を囲む。言葉に出して約束をしている訳では無いが、普段の慌ただしい日常から切り離されるこの時間は二人にとっても、一緒に過ごしてくれるポケモン達にとっても大切な時間となっている。
肴飯のポイ箱
DONEお題「寒がりor温まる」⏳1h+15
少年期の2人。無自覚な2人に、何かが芽吹く時の話。副題kbさんへの無垢な流れ弾がぶち当たる話。
ぽっかぽか ダンデが王冠を被り、真紅のマントを纏って過ごす2年目。雪がチラつくことも増え始めた時期に今年のジムチャレンジも無事終わり、ポケモンバトルのお祭り騒ぎが少しずつ、年を越すための騒ぎへと緩やかに変化していく中で、シュートスタジアムの一角では、来年度用のリーグカードの撮影が行われていた。
スタジアムの端の方に設置された簡易テントとテーブルで作られた休憩スペースには、大型のヒーターが設置され、ドリンクや菓子類も揃えられており、パイプ椅子には暖かそうなブランケットも掛けられていて、待ち時間を少しでも快適にというスタッフの心遣いが感じられる。その簡易テントの横で、ヒーターに両手を当てながら暖を取っているキバナへと、足音を忍ばせながらゆっくりと近寄ってきたダンデが、勢い良くフードと背中の隙間に両手を突っ込んでくる。
1734スタジアムの端の方に設置された簡易テントとテーブルで作られた休憩スペースには、大型のヒーターが設置され、ドリンクや菓子類も揃えられており、パイプ椅子には暖かそうなブランケットも掛けられていて、待ち時間を少しでも快適にというスタッフの心遣いが感じられる。その簡易テントの横で、ヒーターに両手を当てながら暖を取っているキバナへと、足音を忍ばせながらゆっくりと近寄ってきたダンデが、勢い良くフードと背中の隙間に両手を突っ込んでくる。
肴飯のポイ箱
DONEワンドロお題「ふわふわ、もこもこ」
⏳1h +10
ふわふわでもこもこなあれが生えて、キバナさんがダイマックス(比喩)する話。
※そういう描写は無いですが、少し如何わしい言葉がチラホラ出るので注意です!!
嘘つき!! それは何でもない、何でもないいつもの日になるはずだった夕方に突然起こったのだった。
「驚かないで聞いて…いや、見てほしいんだが」
同棲している家の玄関扉を開けて、帰宅した事を告げるダンデをキバナが出迎えた際、藪から棒にダンデが急にキバナの前で自分の帽子へと手を伸ばした。スルリと頭から外された帽子の下からは、ダンデの髪色と同じ毛色のチョロネコみたいな耳が二つ、行儀良く頭の上にピンッと立っていた。
「えっ何これ?!!」
「耳元で大声はやめてくれ!この耳もの凄い音を拾うんだぜ」
「あっごめん」
キバナが確かめる為に恐る恐る触れると、ふわふわとして温かかく、キバナが触れるのが擽ったいのか、時折ぴくっと身じろぎするように動く。これはどう見ても本物だ。
2298「驚かないで聞いて…いや、見てほしいんだが」
同棲している家の玄関扉を開けて、帰宅した事を告げるダンデをキバナが出迎えた際、藪から棒にダンデが急にキバナの前で自分の帽子へと手を伸ばした。スルリと頭から外された帽子の下からは、ダンデの髪色と同じ毛色のチョロネコみたいな耳が二つ、行儀良く頭の上にピンッと立っていた。
「えっ何これ?!!」
「耳元で大声はやめてくれ!この耳もの凄い音を拾うんだぜ」
「あっごめん」
キバナが確かめる為に恐る恐る触れると、ふわふわとして温かかく、キバナが触れるのが擽ったいのか、時折ぴくっと身じろぎするように動く。これはどう見ても本物だ。
肴飯のポイ箱
DONEワンドロお題「コスプレ、仮装、変装」恥ずかしいとそういうことしちゃう1人と、それに気付いちゃた1人の話。🎃楽しい。
それはそれ、これはこれ ガラル地方では、ハロウィンの時期になると街中がゴーストポケモンモチーフの飾りや色とりどりのお菓子を模した飾りで彩られ、ショップを覗けばポップな音楽に合わせてお菓子を寄越せと可愛らしく歌う店内ミュージックが繰り返し流れているのが定番だ。目にも耳にも賑やかなこの時期、キバナは例年よりも浮かれている自信があった。
「(一昨年は狼男、去年はヴァンパイア…今年は何の仮装すんのかな?ちょっと路線変えてチョロネコとか、ワンパチとかやってくんないかなぁ…)」
なにせ今年は恋人になって初めてのハロウィン。プライベートだと鈍くて、大変恥ずかしがりやの恋人の。仕事とはいえ、いつもは見れない姿にちょっと位期待したって良いじゃない。あわよくば、それをお家デートの時に着てもらえたら万々歳だ。なんて浮かれてシュートシティまでやってきて、手を振ってくれるファンへと軽く握手やバトルポーズをしながら、いつもより賑わっているタワーの入り口へと足を踏み出した。ダンデがいるであろう場所へと視線を巡らせると、仮装をしている恋人の姿が見えた。いや、訂正すると恋人なのか信じたくないけどきっとそうだろうなっていう姿が見えた。
2181「(一昨年は狼男、去年はヴァンパイア…今年は何の仮装すんのかな?ちょっと路線変えてチョロネコとか、ワンパチとかやってくんないかなぁ…)」
なにせ今年は恋人になって初めてのハロウィン。プライベートだと鈍くて、大変恥ずかしがりやの恋人の。仕事とはいえ、いつもは見れない姿にちょっと位期待したって良いじゃない。あわよくば、それをお家デートの時に着てもらえたら万々歳だ。なんて浮かれてシュートシティまでやってきて、手を振ってくれるファンへと軽く握手やバトルポーズをしながら、いつもより賑わっているタワーの入り口へと足を踏み出した。ダンデがいるであろう場所へと視線を巡らせると、仮装をしている恋人の姿が見えた。いや、訂正すると恋人なのか信じたくないけどきっとそうだろうなっていう姿が見えた。