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    蝋いし

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    蝋いし

    DONEガスマリ(ワンドロ)、ジューンブライド ガストが部屋へ戻ると、リビングではマリオンがソファでくつろいでいた。
    「た、ただいまー……」
    「あぁ。なんだオマエ、外に出てたのか」
     マリオンはガストの手にしていた本屋の紙袋を見て言った。ガストの見る限り、マリオンに怒っている様子はない。まだ例の噂はマリオンの耳に入っていないようだ。
     詳細は省くが、事情があってガストは雑誌にウエディングドレス姿のマリオンと撮影した写真が載った。写真はマリオンだとわからないように撮られたが、わからなかったせいというのかどうか、その花嫁がガストの恋人ではないかと噂が立っている、らしかった。
     らしかった、というのはガストもつい先ほどその噂を聞いたばかりだからだ。ガストはジュニアからのメッセージで噂を知った。おおかた早耳のビリーがグレイに噂を教えて、A班三人でいたグレイがジュニアへ伝えたんだろう。ガストはジュニアと、ちょうどその記事についてやり取りをしているところだった。
     花嫁がマリオンだと知られていないとはいえ、噂はマリオンからすれば不名誉なことに違いなかった。何せ自分の部下と恋仲扱いだ。
     花嫁が当初の予定通りに女性モデルだったなら、写真について 3561

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    DONEガスマリ、ウエディングフォト(🌹女装) 女性向け雑誌のブライダル特集に、ガストたちの記事が載ることになった。
     インタビューが少しと、正装姿の写真が複数掲載される。女性向け雑誌なら男のガストたちよりもドレスがメインの写真の方が喜ばれそうだが、そういうのは専門の結婚情報誌に敵わないからやらないそうだ。
     ドクターは白のタキシード姿で一人、難なく撮影を終えて帰った。ドクターがガストたちの撮影を見守る姿は想像できなかったが、あいさつ一言で先に出ていくなんてドクターは相変わらずドライだ。
     マリオンはブラウン系、レンはブラックのタキシードで、女性モデルと一緒に撮影だった。腕を組んだり手を取ったり、ドレス姿のモデルの身体が一部だけ写り込むように撮っていた。マリオンはそつなくこなし、レンは少し表情の硬さを指摘されていたか。
     そうしてガストの順番になって、今ガストは女性モデルを前に困り果てていた。
     ガストもドクターのように、一人きりで写してほしかった。スタッフからガストの受けた指示は、女性モデルの横抱きだ。ガストは意を決して構えたものの、身体が強張ってどうにも上手く力が入らない。
     女の子はやっぱり、どうしたって苦手だ。腰が引ける。 6070

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    DONEガスマリ日常、罰ゲーム リビングのソファに座るまま、マリオンに睨みつけられて数分経った。ガストは視線の鋭さへ身を強張らせるばかりだ。
     ノースのチームは午前がオフだったので、ガストは朝食を終えてリビングでくつろいでいた。レンはまだ寝ているしドクターはおそらくラボ、マリオンは外へ出ていたらしかった。
     そのマリオンが部屋に戻るなり、ソファのガストへ詰め寄った。何事かと立ち上がりかけたガストに、マリオンは一言「座っていろ」と言いつける。
     それから数分、座るガストのわきでマリオンは仁王立ちだった。
     何かしてしまったろうかとガストは記憶を手繰るが、思い当たるような出来事がない。無自覚に何かやらかしたのか。以前に「そういうところだ」と言われたときも、ガストは何にも思い当たらなかった。
     ガストが冷や汗かいていると、今度はドクターが部屋へ戻った。
    「おや、マリオン。難しいようなら、実行せずともよいのですよ」
    「うるさい。オマエは黙ってろ、ヴィクター」
     ガストは助けを求めてドクターを見上げた。
     ドクターはマリオンの態度にか、それともガストの視線にか肩を竦めてキッチンへ行ってしまった。
     ガストたちを気にすることな 4144

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    DONEガスマリ、夜食を作っただけの話 レンとヴィクターはそれぞれ自分たちの部屋へ行った。読書と、コレクションの手入れと言っていたか。マリオンはお腹がすいたので、ホットサンドを作ることにした。まともに食事をとるには少し時間が遅く、ちょっとした夜食にあたる。
     食パンならキッチンにまだあるし、中に挟む具材になるようなものも冷蔵庫を探せば見つかるだろう。自分でホットサンドを作ったことはないものの、ジャックが出してくれたことがあるので形にはできるはずだ。
     具材になりそうなものを調理台へ並べて、ふとマリオンはガストの視線に気がついた。テレビ前のソファの背もたれ越しに半身、キッチンの方を向いてこちらを眺めている。
    「おい。なんだ」
    「何作るんだろうなって、見てただけだよ。えっ、邪魔しなければいいんだろ」
     邪魔になってないよな!?とガストが狼狽えたので、マリオンはふんと息をついた。
     邪魔をするヤツは鞭で打ってやると先ほど言ったのはマリオンだ。マリオンと同じように夜食がほしくなったヤツが、一緒になってキッチンを使いたがったら迷惑だ、だのでマリオンは邪魔をするなと口にしてから作業を始めた。
     少し前までだったらこんなとき、ガストは自 4033

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    DONEガスマリ、ボンボンショコラで酔った 珍しく、ガストのスマホにノヴァ博士から着信があった。マリオンが今日は朝から検査がある、とノヴァ博士のラボに先ほど向かったはずだ。
    「『おはよぉガストくん、今話しても大丈夫かい? うん、ありがとう。さっそくで申し訳ないんだけど、お願いがあってね、今からラボに来てもらえる?』」
     マリオンが動けなくなっちゃって、とノヴァ博士が続けたのでガストは驚いた。
     ノヴァ博士は、マリオンのことをガストに部屋まで運んでほしいようだった。どういうことかとガストが訊ねると、どうやらマリオンは酒入りのお菓子で酔ってしまったらしい。
     マリオンが大人しく採血を受けたご褒美に、ノヴァ博士はチョコレートをあげたそうだ。もらいものだったからノヴァ博士は確認していなかったが、チョコレートにはなかなかの度数の酒が使われていた。甘さを気に入ったマリオンは、それをいくつも食べてしまった。
     酔ったマリオンをノース部屋まで送ろうにも、非力のノヴァ博士には難しい。それでガストへ連絡が入ったというわけだ。
     ガストがラボを訪れると、ノヴァ博士が朗らかに出迎えた。
    「いらっしゃ~い、待ってたよ、ガストくん。急でごめんね、あっそう 5147

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    DONEガスマリ、目元の話 自室のベッドに腰掛けて、マリオンは膝の上のぬいぐるみを見つめた。
     大きさはジャクリーンと同じか、彼女よりやや小さい程度だ。ずんぐりした座り姿は綿がたっぷり詰まっていて、手でも顔でもつまんでやれば指の形に柔らかく生地が凹む。置いたとき安定させるためか、見た目の軽そうなデフォルメ具合に対して意外と重さがあった。ヒーローになるとひとりひとり発売されるぬいぐるみだ。
     マリオンもルーキーになってから、しばらくしてぬいぐるみの販売が始まった。マリオンは自分のグッズにはあまり興味がなかったので、発売前のサンプルを確認するようブラッドから言われた覚えはあるものの、あのときは適当な確認して返してしまったのだったと思う。
     今年もルーキーが入所して、新たにヒーローのぬいぐるみが作られた。そのサンプルを本人に確認させるようにと、マリオンはガストのぬいぐるみを受け取ったのだ。
     レンの方は手違いで明日、別に届くということだった。先にガストだけ渡されたはいいものの、肝心のガスト本人がまだ部屋へ帰ってきていなかった。夕食にでも出ているだろう。タイミングの悪いヤツだ。
     渡されたガストのぬいぐるみは、ヒーロー 4292