バンさんRE:BORNじゅーしち そんな訳はない、と獣の頭でもわかることだ。ジバゴがここにいるなんて。
もしかしたら森に迷い込んだ獣人かもしれない。兎に角バンは不審な獣の影を追おうと、まずはそっとエレインを揺り起こした。
「ア゛ ヴアーー」
「ううん……え? 不審者ですって? 何も感じないけど……」
短く言葉を交わしている間に、遠くに見えたはずだった獣の影がこちらに近づいて来た。エレインも気づいているはずなのに、不思議そうな顔をしてバンを見上げているだけだ。そしてとうとう、それは二人の目前にやってきて、今度こそバンは愕然とした。
正真正銘、ジバゴである。
「おお、バン。ちょっと見ないうちにまた、随分デカくなったなぁ」
狐のすがたのジバゴは笑いながら、バンの身体をバシンと叩く。
エレインにしろ、ジバゴにしろ、体格以外に注目すべきところはないのか、と、バンはちょっと思った。
いや、それよりも。何故、ここにいるんだ? アンタは、確かに……。
「どうしちゃったの、バン。お義父さんに会うのが久しぶりで照れているのかしら!」
「ハハッ。思春期のガキみてぇだな」
しかもいつの間にか、エレインとジバゴが顔見知りになっている。
「やぁねぇ、バンったら。この間紹介してくれたじゃない」
エレインもそう言ってクスクス笑うものだから、バンはそういえばそうだっけ、と首を傾げた。何せ煉獄の獣になってしまったので、少し頭がぼんやりしているから、言われてみたらそんな気もしてきた。
そうと分かればバンはにわかに機嫌が良くなって、ぎ、ぎ、と笑った。
エレインとジバゴが一緒にいる。なんて素敵なんだろう!
さぁエールを飲もう。アンタと飲むのが夢だったんだ。