なにかと過保護キングおじさん。その16!《ミトンとこぐま亭》をあとにした二人は、《旅行チケット》とメリオダスのメモに従い次の目的地を目指していた。
「っても地図はふんわりだし、どこに向かっているのかすら正直わかんねぇけどな〜♬」
「フフッ! ワクワクするわね!」
一応旅程が決まっているので、気まぐれたのではない。かと言って行き先もはっきりしない、なんとも言えない奇妙な旅だ。けれどもそれを計画したのはほかでもない、ランスロットだ。きっとゴウセルやメリオダスの入れ知恵で愉快な感じになっているのだろうが、何よりも信用できる計画書なのだ。
《旅行チケット》という名前がついているが、実際には小さな冊子である。そこにおおまかな旅程やふわっとした地図、その上あやふやな観光案内までついている力作だ。
「これがランスが作ったのかと思うとたまんねぇな♬ いったいどんな顔して書いたんだか」
「きっと、すっごく難しい顔していたと思うわ」
「カカッ♪ ありうる♬」
「今頃くしゃみしているかもね」
「はっくしょ!」
「大丈夫かい、ランス」
一方、ベンウィックにて。
エレインの冗談のとおりに、ランスロットはわかに鼻がむずついてくしゃみをした。ちょうど訪ねてきたキングは甥っ子の心配をする。
「風邪じゃないから。急に鼻がむずむずしただけ」
「じゃあ噂されてるのかな。バンあたりに」
「うう、ありそう。あのくそオヤジ」
「コラ、そんな口を利いてはだめだろ バンみたいだよ、まったくもう……」
その頃、バンも盛大にくしゃみをした。
つづく!