そこにあった世界3A
「じゃあ、春日くんの記憶では、俺たちが付き合ってて、一緒に暮らしていたってこと?」
「そうだよ」
「それも最近じゃなくて、ずっと前から?」
「だから、さっきからそう言ってんだろ。俺はここから引っ越してもう長いし、この家も久しぶりだ。まさか、またここに戻ってきちまうとはな」
ソファにぐったりと座り込み、背もたれに頭をもたげると懐かしい心持が戻ってくる。今思えば、ここに住んでいる時の自分は深く孤独を抱えていたのだなと思う。その孤独を埋めてくれたのが他でもない趙だったと今ならばはっきりと分かる。でも……。
「一体、どういうことなんだろうね。記憶喪失……とはまた違うみたいだし……」
「だからぁ、さっきから言ってんだろ。俺はお前が言っていることの方が信じられねぇよ」
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