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    ひわ@turoporfali

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    #F蘭ワンドロ お題:七夕/Tanabata:star festival。

    みんなの知らない世界「人間界の習慣、やるの好きだねー」
     樹果が近所の花屋から笹をかついで帰ってきた。
    「これでいいのか?」
     うるうが、鞄から色紙を差し出した。
    「せや。うるうくん、ハサミで綺麗に縦に三分の一に切ってくれへん?」
    「構わないが、これに願い事を書いて吊るすと、なぜ願いが叶うのかはわかりかねるな」
     不平をいいながらも、うるうは鞄から鋏を取り出した。
    「まあまあ、せっかく人間界に来たんだから、人間界のいろんなお祭りをやってくのも楽しいと思うなー」
    「祭祀の重要性は把握しているつもりだが、どうも人間界の祭祀は金儲け主義のような気が」
    「せやないと、ワイが乗り気なわけがあらしまへんがな」
     うるうと樹果は同時に顔を見合わせて、ため息をついた。
    「ところで、焔は?」
     樹果の問いと同時に、
    「悪ぃ、はぐれた」
     焔が帰ってきた。
    「蘭丸くんのお守りを頼んどったんや。焔くんおかえり」
     基本的には学生組はいっしょに行動しているはずだった。なのになぜか蘭丸だけ、ふいに姿を消すことが多い。だから寶は誰かしらをさりげなく伴わせるようにしていた。そのはずだった。
     樹果でもうるうでも焔でも、蘭丸は例外なくどこかに消え、またどこからともなく帰ってくる。その理由は誰にもわからなかった。おそらくは蘭丸自身にも。
    「ただいま……お客さん連れてきちゃったけど、いい?」
     噂をすれば何とやらで、蘭丸が帰ってきた。外は雨が降り出したようで、蒸れた空気が室内に入ってくる。
    「へ? 蘭丸一人じゃん」
     樹果があっけにとられたような声を出す。
     蘭丸が促すように後ろをむいたが、そこには誰もいなかった。
    「だって、いくら帽子かぶってるからって、白いワンピース着て、何も言わずに突っ立ってたから、雨宿りさせてあげようと思って、さっきまでついてきてたのに」
     蘭丸が要を得ない説明を始めた。
    「ユーレイ」
     樹果が怯えてみせる。
    「バカ、おれたちの親戚みてぇなもんだろ! ユーレイなんて」
     焔がムキになり大声を出す。
    「店の路線、変えたほうがええやろか……」
     寶が呟いた。
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    ひわ@turoporfali

    DONE #F蘭ワンドロ お題:虹/rainbow。
    虹を食べる 一軒家の後片付けはなかなか骨が折れる。押入れの中から貰い物のタオルはごっそり出てくるし、昭和生まれのおばあちゃんは悪気はないけど、賞味期限にルーズすぎて怖い。もう、いなくなってしまったけど。可愛がってくれたおばあちゃんに最後のお別れができた。
     仕事がうまくいかなくて、電車を見て、ふらっと誘い込まれるように気を失って、なぜか飛行機に乗っていた。いろいろなものから逃げたかったのかな。
    「千佳ちゃん、あと少しでお昼だから、そうめんとトウモロコシ茹でてくるねー」
    「あー、ありがとうございます」
     一緒に片付けをしていたおばさんは、お昼の用意をしに、近所の自分の家に戻るらしい。
     出前もコンビニも遠いここでは「お構いなく」ということもできない。何か作れたらよかったな、と台所に行き水屋を漁る。おかきやチョコレートの袋の奥に、ゼリー菓子があるのを見つけた。まるで虹みたい、そう思っておばあちゃんに言ったら、来るたびにいつも出されるようになった。思いつきで言ってみただけで、特別好きというわけでもなかった。でも目に鮮やかできれい。そのとき気づいた。このゼリー菓子がここにあるってことは、おばあちゃんが、わたしがまた来ると思ってたから買ってたんだ。
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