かわいいだけの仕事 コツを掴めば、スカートのレースの上だって、そう座り心地は悪くない。ご主人様は、なんでもさせてくれる。ご主人様を差し置いてゲームに熱中しても怒らない。つんと匂いをさせて、爪を塗っても怒らない。ひょっとして自分は、かわいいだけが仕事なのだろうか?
振り返ってご主人様の顔を見遣ると、
「そう思いたければ、そう思っていればよい」
と言って、何かを思い出すように黙る。
と思うと、何やら甘いものを口に押し込まれる。
「豊穣、おまえの若い頃にそっくりだな」
そう仰って笑った。誰に似ているだって? あの口数少ない、ものを食べることなんて見たこともない、あいつに自分が似ているものか。
ゲームをしたりネイルをしたり寝たり食べたり。豊穣は仕事をしている。ご主人様である女王さまは、何もしていないのに、遊べずにいる。だからここで遊んでいるのは自分だけだ。