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    ひわ@turoporfali

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    #F蘭ワンドロ お題:晴れ着。寶さんと七五三。

    とりかえっ子(未遂) その日はパパもママも朝から忙しそうだった。あさごはんをたべたら、動きづらい服に着替えさせられた。蝶ネクタイが女の子のリボンみたいで、首が苦しいし気恥ずかしいしでイヤだった。電車に乗るのは楽しかったけど、神社は変な笛の音がするし、ぼくと同じような格好の子がいっぱいいて、しゃべりかけてもあんまり話してくれなかった。
     めんどくさくなったから、トイレに行くふりをして外に出た。外の空気は冷たくて、少しだけ気が晴れた。
    「そんなにイヤなら、ぼくとかわる?」
     振り返ると、薄汚れたなりのやせっぽちの男の子がいた。見たこともない肌と髪の色をしている。返事できなくて、黙っていると、向こうが勝手にしゃべってきた。
    「それ、なに?」
     その子はぼくの持っている千歳飴の袋を指差した。
    「なんか、長い飴。食べると長生きできるんだって」
     あんまりその子がジロジロ見てくるんで、袋を開けて一本わけてあけた。
    「長生きしたいと思ってるんだ、人間ってバカだな」
     それじゃ、あんたは何なんだ、聞けずにその子を見ていると、千歳飴をものすごい勢いで噛み砕きはじめた。このあいだ図書館で読んだ絵本にああいうのが出てた、あれは鬼だったっけ、餓鬼だったっけ。
    「おまえ、早く帰れよ、ぼくの気が変わらないうちに」
     飴をものすごい音をさせて食い終わったら、用が済んだのか、いきなりそんなことを言い出した。
    「なんで」
    「ぼくはキンコーゾクのセイトーコーケイシャだから、おまえじゃぼくのかわりができない。いま思い出した」
     何を言っているのかわからなかった。
    「ほら、さっさと行けよ!」
     ものすごい力で背中を押された。その後のことは、よく覚えていない。

     まだ小さい頃、七五三で、そういう体験をした。あのとき、あの鬼の子の誘いに乗っていたら、ぼくは今頃どこでどうしていたのだろう。
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