星彩不安定な道を踏みしめながら歩いて行く。アーチャークラスのおかげで、多少の単独行動が可能なのは便利で助かっている。マスター君たちが休んでいる間に、多少の情報は集めておきたいところだ。
それにしても、雪山というのはこれほど気力を削られる物なのか。ロンドンはほとんど雪は降らない。経験上、慣れていない、ということだ。
はぁ、と吐く息は白い。氷点下の世界は体温を下げる。体温調整の備えはあるが、今は無駄な魔力消費は避けたいところである。
サクサクと音を立てながら、歩みを止めない。一度、止まれば、二度と歩き出せないような強迫観念に襲われる。
「教授」
陰気なコートを纏った男が私を呼ぶ。ああ。強迫観念の正体。私の死因。我が宿敵。
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