君のことが好きだから 盗撮は犯罪である。が、傑はその腕がすこぶる良かった。
被写体にどうにかばれないように、それでいて捉えたいシーンを的確に収められるように。
自分なりに工夫し、試行錯誤をしているうちに上達していった傑の盗撮スキルは並の盗撮犯よりも優れていると言っても過言ではないだろう。
何せその年季は十年にも及ぶのだ。
好きこそものの上手なれとも言うが、それだけ続けていれば嫌でも腕は上がるだろう。
否、傑は別に盗撮が好きでも、ましてやライフワークにしている訳でもないのである。
そもそも傑が盗撮、もとい隠し撮りをするようになったのは、すぐ側でいつでも懐っこい笑顔を浮かべてくれる親友の存在があったからなのだ。
華やかな美しさを持つ悟は傑がカメラを向ければいつでも満点の笑顔または変顔をして撮影に応じてくれる。
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